素敵な夢になりますように…
go on 6
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「おい、とりあえず入ってこい。もう普通の湯は出る」
「っ…は、はいっ…すみません…」
渡されたTシャツとマントを身に着け、バスタオルは腰に巻いていたNAMEは、同じく腰にタオルを巻いただけのリヴァイの逞しい身体に一瞬目を奪われ、すぐに視線をそこから外してパタパタと浴室へと走り込んでいった。
・-・-・-・-・-・-・-・-
「悪かったな…」
シャワーを浴び終わって出てくると、ラフな格好に着替え終わっていたリヴァイにソファに座るよう促され、NAMEは素直に従い腰をおろすと、すぐさまリヴァイが謝罪の言葉を述べた。
「っあ、謝らなければいけないのは私です…!私、…リヴァイさんにゆっくり寝てもらう為にわざわざ時間を作ってもらったのに、私のどうでもいい話で遅くまで居座って、さらにはシャワーまで図々しく使わせてもらって、挙句リヴァイさんに火傷まで…!…謝っても許されないことして…、補佐官どころか、私なんて人間失格です…!!」
「おい、落ち着け。お前は悪くない」
「いえ!!全て私が…」
「まあ聞け。…せっかく紅茶を淹れたんだ。飲めよ」
「…リ、リヴァイさんが、淹れてくださったんですか…」
「…変に気を回すなよ。俺が飲みたくて淹れただけで、お前のはついでだ」
「…あり、がとうございます…」
「…」
ようやく大人しくなった…。そう思ったリヴァイは紅茶を一口飲むと、事の発端について説明を始めた。
ここの兵団の幹部の部屋には、それぞれ同じ浴室が付いている。だが、このシャワーが元々おかしいらしく、月に一度くらいの頻度で、たまに熱湯が出てくることがあると説明した。
「だから俺達は、入る前にまず、シャワーを1,2分出しっぱなしにしている。…熱湯が出た後はすぐに冷水になって、そのまま適温になるんだ」
「…」
「幹部の部屋になれば、必ずこの説明を受ける。だからお前も知ってると思っていた。まさかいきなり、裸で浴びることはないとな。…だが、よく考えてみればお前の部屋のは壊れていた。説明されるわけがねぇ…。それに気付いた時はお前が浴室に入ったあとだったんでなりふり構わず押し入ったわけだ。…まさかほんとに、このタイミングで熱湯が出ちまうとは思ってもみなかったがな」
「…そ、そうだったんですね…」
「俺の説明不足だ。…すまなかった」
「い、いえそんな。…私は、リヴァイさんが庇ってくれたお陰でこの通り、なんともないので…」
「…焦ったが、お前に怪我がなかったのが不幸中の幸いだな」
「…っ」
NAMEは、自分の為に身を挺して守ってくれ、さらに自分を気遣い、心配もしてくれているリヴァイに、言葉にならない程の申し訳なさと、感謝の気持ちでいっぱいになった。
「…背中、痛みますか…?」
「……少しな」
「見せて、ください」
「あ?…俺の身体が見てぇのか?」
「や、火傷の程度を、見たいんです」
面倒くさそうにしながらもリヴァイが上の服を脱ぐと、NAMEは立ち上がってリヴァイの後ろへと回り、その赤くなった背中に視線を這わした。
確かに、爛れたりなどはしておらず、重症ではなさそうだと分かると少し安心したが、それでも、きっとヒリヒリした痛みはあるだろうと想像し、NAMEは眉を寄せた。NAMEは「ちょっと待っててください」と一言残し、タオルを洗面台で濡らしてきた。
「冷たいの、あてますね」
「…っ」
NAMEが背中にタオルをあてると、リヴァイはその冷たさに思わず声を漏らす。だが、そのひんやりとした感覚が、ジンジンとしていた肌に気持ちよく馴染んでいく気がした。
「…リヴァイさん、…守ってくださって、ありがとうございました…」
「…ああ」
それからしばらく、お互い言葉を交わすことはなかったが、それぞれに、気付かないうちに僅かに芽生えた何かが、二人の胸を温かくしていた。
「リヴァイさん、そろそろ部屋に戻りますね。…こんな遅くまで居座って、ほんとにごめんなさい」
「いや。…背中、助かった。…ありがとうな」
「…っあ、明日も、やらせてください」
「…なに?」
「というか、治るまでやらせてください!私にも、責任がありますので…!」
「…」
また、認めてもらうまで引き下がらない、というような眼差しで自分を見つめるNAMEに、リヴァイは、こいつも中々強情な奴だな、と心の中で笑った。
「そうか。…頼む」
「!はいっ!…では…、失礼します。…おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
自室に戻り、早々にベッドへと潜り込んだNAMEは、今の出来事を思い返しては顔から火が出るほどの恥ずかしさに頭を抱えた。
…い、今更だけど…私、リヴァイさんに、は、裸…見られたんだよね…?
…ジャンやコニーにも下着姿見られてるし…。。。
なんか私、こっちの世界に来てから見られ過ぎ…!
うぅ~~~っ…不可抗力とはいえ…
…っダメだ!もう寝よう!これ以上考えてたら眠れないっ
NAMEはガバッと布団を被り、心拍数を落ち着かせるようにゆっくりと呼吸を繰り返して眠りについた。
・-・-・-・-・-・-・
翌朝。
「…早ぇな。…どうした」
ノックをすると、中から、昨日と同じラフな格好をしたリヴァイが訝し気な顔で扉を開けた。
「お、おはようございます。…お着替えをされる前に、背中のアイシングをした方がいいかと思いまして…!」
その言葉に納得すると、リヴァイは「入れ」、とNAMEを招き入れ、躊躇なく服を脱ぎ捨ててソファへ腰掛けた。
改めてその鍛え抜かれた身体を目の当たりにすると、NAMEは途端に、この異様な状況に若干狼狽えた。そんな感情を隠すように、NAMEはすぐさまタオルを濡らしに行く。
「で、では、あてますね」
「ああ」
NAMEは、リヴァイの昨日と同じく赤いままの背中に、タオル越しで触れていく。
―緊張してるの、私だけなのかな…
逞しい背中を見つめ、ドクドクといつもよりも少し速い鼓動に戸惑いながら、NAMEはそんなことをぼーっと考えていた。ぼーっとし過ぎて、リヴァイの言葉に反応が遅れる。
「おい、聞いてんのか」
「え。…あっ、ご、ごめんなさい…!もう一度お願いします!」
「まだ寝惚けてやがんのか。…お前には、昨日の続きをやってもらうが今日は俺もモブリットも訓練を抜けられねぇ。分かんねぇことがあれば資料室へ行け。そこに、過去の報告書類も保管されてるから参考にするといい」
NAMEは、先日ハンジに案内してもらった資料室の場所を頭に思い浮かべる。
「はいっ!ありがとうございます。分からなくなったら行ってみます」
リヴァイはそれに返事を返しはしなかったが、NAMEは、リヴァイのそのさり気ない気遣いを嬉しく感じた。
「昨日より、然程時間は掛からねぇだろ。終わったら今日は自由にしていていい」
「え、…いいんですか?」
「ああ。ただし、敷地内からは出るなよ」
「はい!分かりました」
アイシングが終わったのを確認すると、リヴァイは兵服へと着替え始める。
NAMEはそちらに目を向けぬように顔を逸らし、書類の準備に取り掛かった。
「じゃあ行ってくる」
「はい。今日も頑張ってください。…背中、まだ痛むと思いますので、あまり無理はしないでくださいね」
リヴァイは小さく「ああ」と返事をして部屋を後にした。
to be continued...
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