素敵な夢になりますように…
go on 4
Name change
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…でも紅茶って結構高いんだなぁ…。
私のお金じゃないのにお土産を買って帰るわけにはいかないし…、ここは自分の分だけにして、また自分で稼げるようになったらちゃんと皆さんにお礼の紅茶、買いに来よう。
そう心の中で決めたNAMEは、店主から新しい茶葉だと教えてもらった銘柄を、一つ購入した。
「お待たせしました!」
「お目当てのものは買えたかい?」
「はいっ!お付き合いしていただき、本当にありがとうございました!また、近々お礼させてください」
「そんなの気にしなくていいってー!」
「そうだよ。分隊長は書類整理しなくて済んで喜んでますもんね」
そうして、三人はまた他愛もない話をしながら本部へと戻った。しかし本部に戻る頃には15時に差し掛かる時刻で、朝から何も食べていなかったNAME達はさすがにヘロヘロになっていた。
「腹減ったーー!」
「さすがにこんな時間まで食べてないとこたえますね」
「長い時間付き合わせてしまってほんとにごめんなさい!あ、モブリットさん…!荷物は私一人で持てますから…!」
NAMEは、紅茶以外の買い出しした荷物を全てモブリットに持たれてしまい、慌てて二人の後を追いかけながら発した。
「何言ってんの!普段鍛えてる兵士なんだよ、私達。こんなの腹減ってたって軽い軽い!ね?モブリット!」
「はいはい。…大丈夫だよ。それに俺が運んだ方が早いしね。早く運んで食事しよう。この時間なら食堂も空いてるだろうから」
「う、ほんと…何から何まですみません…」
「謝らなくていいんだ。これも仕事のうちだって言ったろう?」
そう言いながらも優しく微笑むモブリットに、NAMEは心が暖かくなる気がした。
「ほんとに、ありがとうございます」
「…っ…」
にこりと満面の笑みを称えるNAMEに、モブリットは自分の胸がざわつくのを感じた。
そして三人はNAMEの部屋に向かう途中で、エルヴィンとリヴァイが反対側から歩いて来るのに気がついた。
「お!エルヴィン!リヴァイ!今帰ったよ!」
ハンジの呼び掛けに手を挙げるエルヴィン。そして、NAMEは二人に向かって走り出し、目の前で頭をガバッと下げた。
二人は目を丸くし、ハンジ達も目を見合わせている。
「今日は、わざわざ私の為に資金を用意してくださってありがとうございました!お陰様で生活に必要な物を購入することが出来ました!」
「ああ、それは良かった」
「あと、お忙しいのにハンジさんやモブリットさんも私に付き添わせていただいて感謝してます。明日から、お役に立てるようしっかり務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願い致します!」
礼儀正しく挨拶をするNAMEに、エルヴィンもハンジもモブリットも、リヴァイでさえもNAMEに好感を持った。
「こちらこそ宜しく頼むよ。また夜に明日からの話をするから会議室に集まってくれ。もちろん、NAME、君もだ」
「はい!」
「…それにしても…。随分と大きな服を着ているな」
エルヴィンは、ダボダボの服装のNAMEを見て少し眉根を寄せた。
「あ、///これは…」
「リヴァイの服を貸してもらったんだよ!元の世界の服装は露出が激しかったからさ」
「ふむ。なるほどな」
「リヴァイさん、ありがとうございました。こちらは洗濯してお返ししますのでちょっとお待ち下さい…」
「いつでもいい。…それより、目当ての物はちゃんと多めに買ったんだろうな。あとからアレがないコレがないだ言われても、しょっちゅう買い出しには連れてってやれねぇ」
「はい。大丈夫だと思います!」
「そうそう。NAMEってば欲がなくてさー、本当に必要最低限の物だけにしちゃうんだ。アレとか絶対買ってほしかったのに」
「アレ?」と全員が同じ疑問を頭に思いながらハンジに目をやると、ハンジはニヤァと厭らしく笑った。
「めっっっちゃエロい下着さ!面積がこーんなしかなくって後ろはTバックだし、両サイドは紐で結んであるだけなんだよ!しかも!セットのキャミソールがスッケスケで…」
「ハっハハハンジさんっっっ//////////」
NAMEは慌ててハンジの口を両手で押さえるも時すでに遅し…。
モブリットは顔を真っ赤にし、リヴァイは眉間の皺を深くする。エルヴィンは目を見開いたあとにクスリと笑って自分の拳で口元を隠した。
「そうか…それはぜひ見てみたかった」
「だっ団長さん…!////////」
「だろ!?エルヴィンもそう思うだろう!?」
「おい、エルヴィンてめぇ…昼間っから何馬鹿みてぇなことほざいてやがる」
「そーんなこと言ったってリヴァイだって想像するだろー!?ていうかしたよね!?NAMEのエロい下着姿!!」
「あァ?」
「分隊長!!早く荷物置いて食堂行きましょう!!」
リヴァイの目が殺す、とばかりに睨みつけたのを見逃さなかったモブリットは、すぐさまハンジとNAMEの腕を掴んで「失礼します!」と言い残してNAMEの部屋へと逃げるように去っていった。
「…どうだ、リヴァイ。今のところ好印象な子じゃないか。あれなら仕事の方も期待できるんじゃないか?…それに、美人なのに鼻にかけた感じもない」
「フン…そんなことは仕事させてみなきゃ分かんねぇだろ」
「…。フ、美人は否定しないんだな。…お前の好みか」
「…さぁな」
そんなやり取りが行われてるとは露知らず、NAMEはモブリットに連れられて自分の部屋に辿り着いた。
「まったく!分隊長、リヴァイ兵長を無駄に怒らせるようなことしないでください」
「ハンジさん、私もさすがに怒りますよっ」
「あっはっは!ごめんごめん。まー面白かったからいいじゃない」
はぁ、と溜息をつくNAMEとモブリット。
NAMEは、モブリットの気苦労が絶えないことを少し不憫に思うのであった。
・ー・ー・ー・ー・ー
買った服に着替えてから食堂に向かうと、先に席についていたハンジとモブリットが手招きをする。NAMEはハンジの隣に座ると、テーブルにはNAMEの分の食事がトレイに乗って置いてあった。
トレイには、パンと芋の蒸した物、そして豆の入ったスープに木のコップに入ったお水が乗っていた。
…すごく質素な食事だな…
資金不足で食材もあまり調達できないのかな…?
それとも…元々食糧不足…とか…?
そんなことを考えながらNAMEはスープを一口飲んだ。そしてその薄味にも、少々驚いていた。
「NAMEがいた世界って、どんな料理があったの?肉とか普通に食べれるの?」
その質問に、これは資金とか関係なく食糧が不足してるんだなとNAMEは悟った。
「はい…。私がいた世界は、お肉はいつでも食べれるものでした。もちろん、高級なお肉もあるので、それは裕福な家庭じゃないと中々食べないと思いますが」
「へぇー!そっかぁ。…あとは?あとは?」
「…ここは、お塩ってあまり使わないんですか?」
「塩?塩はすごい貴重なんだよ。だから沢山使うことは少ないと思うな」
「…そうなんですね。お塩も私達には一般的なものだったので…。…なんか私、本当に恵まれたところにいたのに、それでも不自由を感じていました…。贅沢でダメな人間ですね」
「何を言ってるんだ。物流も生活も文化も違うんだ、それぞれの暮らし方があって当然だよ。ましてや、君のいた世界はここより発展したもっと後の時代だろうし。気に病むことじゃないよ」
「モブリットさん…」
「そうそう!それに、NAMEの話を聞けばここももっと発展するかもしれないしね!だから、もっとポジティブにいこう!」
「ハンジさん…!はい!そうですね。ごめんなさい。前向きに考えます!」
その後、NAMEは夜の会議は19時からと聞き、それまでは部屋で買った荷物の整理でもしてゆっくりしてなよとハンジから言われ、その言葉に甘えることにした。
部屋に戻る途中、すれ違う兵士が自分を見てヒソヒソと話してるのに気付いてはいたが、そそくさとその前を通り過ぎた。
「…明日からここで働いて生きてく…
…お母さん、見てる…?」
この世界に来てから数日。
殆ど使ってないとはいえ、全く充電の減らないスマホをNAMEは覗いた。
…スマホは写真の機能しか使えないけど…充電は今のところ切れそうな感じはしないな…。
これもトリップしてきたことと何か関係あるのかな…?
「まぁでもいっか!お母さんの写真、毎日見れるし!…お母さん!私頑張るからね」
NAMEは力強く拳を握り、決意を声に発した。そして窓を開け、元の世界よりももっと美しい夕暮れの空を見上げた。
「…綺麗……」
♪~
「ん…?…歌?」
「…誰…?」
風に乗ったNAMEの歌は、兵士の耳へ緩やかに届いていく。
~♪~♪
訓練帰りの兵士
厩舎で馬の世話をしている兵士
兵舎の廊下や庭を歩いている兵士
窓を開けて部屋で寛いでいる兵士…
その場の空気が澄み渡るようなその歌声に、兵士達は思わず動きを止めて聴き入った。
そして、エルヴィンと本部の入り口にいたリヴァイも…
「……悪くない…」
to be continued...
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