素敵な夢になりますように…
darling 4
Name change
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「…っあったま痛ぃ…」
二日酔いという名の不快な痛みで目を覚ますと、時刻はお昼の12時を過ぎたところだった。
NAMEは、寝過ぎたな。と思いつつも、久しぶりにゆっくり寝れたことにスッキリした気持だった。この頭痛さえなければの話だが。
気を取り直しシャワーを浴びて軽い身支度をし、NAMEは食堂へと向かった。
今日は一日(正確には半日)お休みだ。何をしようか、という考えをすることだけで楽しくなった。
お昼時だが、食堂はかなり空いていた。
恐らく、皆久々の休みで外出をしているのだろう。
普段の4分の1ほどの人数しかいない食堂に入り、NAMEはあの仲のいいおばちゃんを見つけた。
「おはよーおばちゃん」
「おおNAMEちゃん!おはよーってあんた、もうお昼だよ。今起きたのかい?」
「えへへ。昨日飲みすぎちゃって」
「はーっ若いねぇ!羨ましいよまったく…ま、夜は長かっただろうしねぇ」
「?」
意味ありげにニヤニヤと笑うその顔を、NAMEは怪訝そうな瞳で返した。
「なぁに?おばちゃん。どういう意味?」
NAMEの質問に、食堂のおばちゃんは手を口元にあて、コソコソとNAMEに耳打ちをした。
「昨日の夜は、あの兵長さんと熱い夜を過ごしたんだろう?」
「はっ!!??///////////」
ガチャ―ンと水を入れていた木のコップを盛大に落とし、NAMEは真っ赤になったまま口をパクパクさせている。
人気の少ない食堂に、その音は大きく響いていた。
「な、な、な!?/////////」
「夕べあたしらも仕事仲間と部屋で晩酌しててねぇ。自分達の部屋に戻る時に、偶然あんたらがよろしくやってんのを見ちまってさ」
今の今まで、ひどい頭痛で忘れていた昨夜のあの出来事が、急にフラッシュバックした。
「大丈夫、あたししか見てないし、誰にも言っちゃいないよ」と、ウィンクをするおばちゃんに、NAMEは顔を真っ赤にしたままワナワナと震えている。
あれを見られていたなんて。
しかも、このおばちゃんは大きな勘違いをしているらしい。
自分達を恋人同士だと。
「おっ////おばちゃんっ!あ、あれはね!違うのっ私達は別に」
「お。噂をすればだよ」
「え?」
「朝から騒がしい奴だな」
「!!!リ、リヴァ…//////」
振り返れば、背後には機嫌の悪そうな、基、いつも通りの仏頂面のリヴァイが片手を腰にあてて立っていた。
NAMEが動揺している間、食堂のおばちゃんは「朝じゃないよ兵長さん。あんたも今起きたのかい」などとリヴァイと会話をしている。
おばちゃんのニヤニヤした顔から、リヴァイに今の会話を勘づかれてしまうのではないかと、NAMEは気が気ではない。
そんなNAMEに気付いているのかいないのか、食堂のおばちゃんは「ほら」と新しいコップを手渡した。
「下のは片付けとくからこれ持っていきな!」
そう言われ、NAMEはさっき落としてしまったコップを慌てて拾った。
「ごっごめんね、おばちゃん、拭くもの借りていい?」
「やっておくのに」というおばちゃんの言葉を制止し、NAMEは用意してくれた雑巾で零した水を拭いた。
「ったく…まだ酔っぱらってやがるのか」
「よっ酔ってないよ!」
屈んでいるNAMEは、上から降ってくるリヴァイの声に返事はしつつも目を合わせようとはしない。
リヴァイは、食堂のおばちゃんが自分の頼んだ紅茶を淹れに奥へ下がったのを確認すると、NAMEと同じように屈んだ。
NAMEの心臓は、目の前に現れたリヴァイを見てドキっと跳ねた。
「それで?いつにするんだ」
「な、なに、が?」
「ワインを開ける日だ」
「っ!!?////////////」
リヴァイの一言で、NAMEは持ち上げていたコップをカランとまた落とした。
パタパタとこちらに向かってくる足音に気付いたリヴァイは、NAMEにニヤリとした笑みを零して立ち上がる。
奥から、「お待たせしたね」と、おばちゃんが湯気の立つティーポットとカップが乗ったトレイを持ってきたところだった。
リヴァイは「いい香りだな」と答えると、それを受け取り去っていった。
「あれ?NAMEちゃん、あんたまだ拭いてんのかい?」
おばちゃんの声を聞きながら、今日も一日ボーっとしてしまいそうだな、とNAMEは熱い顔を押さえながら思った。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
…昨日の分隊長、マジでやばかったな…
賑やかな街の中にも、ボーっとしている人間が一人いた。
街に同期達と遊びに来ていたアランは、色んな店を物色する同期達をぼんやり見つめながら、頭の中では昨日のNAMEの姿がぐるぐると回っていた。
掌から自分の内腿へと伝わってきたNAMEの体温
白くて滑らかなうなじ
ゆったりとした襟から覗く色っぽい鎖骨
上気した肌
赤く染まる頬
潤んだ瞳と艶やかな唇
「-っ//////////////////」
思い出しただけで、自分の下半身のモノが疼く。
いけないいけない…!
こんな真っ昼間の人の往来が激しい所で盛るな!俺!!!
ブンブンと邪な考えを振り払うかのように頭を振った。
…分隊長は俺の事、ちゃんと考えてくれてるのだろうか。
なんかすっかり忘れられてるような気がしてならないが。
いや!それでも、俺が頼りない新兵からしっかりと成長しないと駄目だよな!
焦るな!俺!!!
悲しいことにアランの予想はしっかりと当たっていたが、そうだとしても、彼は前向きに進もうとしていた。
そんな時だった。
アランの目に、店先に並ぶ菓子を、物欲しそうにじっと見つめている子供が映った。
周りには親のような人影はない。
一人のようだ。
何気なく見ていただけだったが、直後、その子供は驚くべき行動に出た。
そう、素早い動きで菓子を服の中へ隠したのだ。
アランはそれを目撃した手前、見過ごすわけにはいかないとゆっくり子供に近付き、肩を叩いた。
「見てたぞ。…ダメだろ?早く戻し…っあっ!こら!」
子供はアランに気が付くと、ドンっとアランを押して走り出した。
足元に散らばった菓子を拾い上げて子供を追おうと走り出したが、雑踏に紛れて見失ってしまった。
仕方ない。戻って説明するか、と足を止めた瞬間、後ろから肩を掴まれ、振り返ったアランは思い切り顔を殴られていた。
「こんの盗っ人野郎が!!!やっと見つけたぞ!!」
「ぃって…」
「ここんところの盗みは全部てめぇだな!?今盗んだやつを出しやがれ!!」
どうやら、菓子屋の店主が自分を泥棒だと勘違いしたようだ。
アランは痛む頬を擦りながら説明しようと口を開いた。
「違いますっ、俺じゃなくて子供が」
「ハッ!てめぇの悪さを子供の仕業にするつもりか!!憲兵団に突き出してやるからこっちへ来い!!!」
「ちょ、待ってくれよ!俺は本当に…!」
聞く耳も持たない店主に腕を掴まれ、アランは必死に抗議する。
街の真ん中でそんなことがあり、すぐさまざわざわと騒ぎになり始めた。
一緒に来ていたベックがそれに気が付き、アランのもとへ駆け寄る。
「おっおい、アラン、何の騒ぎだよこれ」
「ベック、濡れ衣着せられた!子供の万引き注意しようとしたら俺が泥棒扱いを」
「うるせぇ!!まだぬかすかっ!!」
「ぐっ!…てめ…!」
「アランっやめろ!!」
店主の男はアランの頭をはたいた。
いい加減腹が立ったアランは拳を振り上げたが、ベックが慌ててそれを阻止する。
「アラン落ち着け!調査兵団が民間人に手を上げるのはマズイ!!」
「くっ…」
「あぁ?てめぇら調査兵団なのか?ハッ!税金泥棒の上に菓子泥棒たぁ、落ちたもんだな、調査兵団様よぉ!」
―ざわっ
店主は周りの人たちにわざと聞こえるように大声を上げ、抵抗出来なくなったアランをズルズルと店の中へと引き連れていった。
ようやく騒ぎに気付いたルースと他の同期達は、ベックから事情を聞いた。
「調査兵団が泥棒だとよ…」
「やあね…ろくな事しないのね、調査兵団って」
街の人間達は、ヒソヒソと声を潜めながら会話をしている。
そんな謗りも歯を食いしばって聞いていたベックの耳に、聞き流せない言葉が入ってきた。
「可哀想に。子供が盗んでいたのにとばっちり受けちゃって…」
その言葉を発した女性を目で捉えると、ベックはルースに声を上げた。
「ルース!早く分隊長を呼んできてくれ!!
俺達は手分けして目撃者を探す!頼んだぞ!!」
ルースは分かった!と大きく頷き本部へと駆け出した。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
腹がいっぱいになると集中力が欠ける為、紅茶を飲みながら溜まっていた書類の整理をしていたリヴァイは、その仕事をようやく終え、腹ごしらえでもするかと再度食堂へと向かった。
その道すがら、同じく食堂へと向かっているのであろうNAMEの後ろ姿をリヴァイは捉えた。
…?さっき食わなかったのか?
と疑問に思いながら見ていると、チラとNAMEが抱えているトレイが目に入った。
ああ。部屋で取っていた食事を片付けにきたのか、と合点がいく。
個室を与えられている幹部達は、部屋で食事を取ることも珍しくない。
尤も、今日に限ってはボーっとしている自分を誰かに見られるのが恥ずかしくてNAMEは部屋で食事を取っていただけなのだが。
そんな時、外から慌てて走りこんできたルースにリヴァイは気が付いた。
ルースは先にNAMEに気付いていたようだが、リヴァイが気付いたと同時に彼にも気付いたようだった。
そして息を切らしながら声を上げた。
「へっ兵長!NAME分隊長!!」
「えっ?わ、リヴァイっ!いたの!?」
「あ?いちゃ悪ぃか」
「そ、そういう意味じゃ…!」
「たっ大変なんですっアランが!」
また喧嘩でも始まりそうな勢いの二人に、ルースは慌てて話を遮り声を大にした。
ただ事ではなさそうなルースの表情に、NAMEもリヴァイも一瞬顔を見合わせ、真剣な顔つきで口を開いた。
「アランがどうした」
「何かあったの?」
「あ、アランが、アランが街で、泥棒の濡れ衣を着せられているんです!」
「ええ?」「あぁ?なんでそんな面倒なことが起きてる」
とんでもない事情を聞き、NAMEとリヴァイは同時に声を上げた。
ルースは慌てたまま話を続ける。
「と、とにかく、早く行かないと憲兵団に連れていかれちゃうんですよ!
今、ベック達が目撃者を探しててっ…とにかくなんとかしないと…!」
「わかった!リヴァイはエルヴィンに報告しといて。私が行ってくる」
「おい、一人で大丈夫か」
「大丈夫!アランは私の部下だもん。私に任せて!…あ!ごめん、これよろしく!
さ、ルース、行こう!」
「はい!!」
NAMEからトレイを渡されたリヴァイは、走り去る二人の後ろ姿を見送り、何か嫌な予感を感じていた。
「…簡単に片付けばいいがな…。」
そう呟き、リヴァイはトレイを持って足早にエルヴィンのもとへと向かった。
現場に向かいながら大体の経緯を聞いたNAMEは、目の敵にされている調査兵団の実情に憂いた。
あらぬ疑いをかけられ、アランはきっと聞くに堪えない罵倒を浴びせられているだろう。
アランと調査兵団の為に、なんとしてでも疑いを晴らさなければ…!
そう強く思いながら、NAMEはアランのもとへと急いだ。
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