素敵な夢になりますように…
darling 3
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
合同演習が始まってから2週間が過ぎ、壁外調査までも折り返し地点だ。
兵士達の疲労具合や普段の頑張りを鑑み、エルヴィンは、明日の訓練で一旦一区切りとし明後日は全兵士、休息日にしようと決めた。
「お前達も、明後日はしっかり休んでくれ」
訓練後、団長室に招集された幹部と班長達は、エルヴィンからの指示に感謝を込めて敬礼した。
やはり気を張り詰めすぎるのもよくない。
たまには休息も必要だ。
久しぶりのお休みだし、みんな喜ぶだろうな。
そんな思いを抱きながら、NAMEは翌日、班員達の前に立った。
「え、明日ですか?」
「うん。明日は一日休息日にしてくれって団長からの指示だよ」
その言葉を聞き、班員達は「やったー!!」と声を揃えて喜んだ。
部下の喜ぶ顔は嬉しいものだな、なんてNAMEも微笑ましく見ていると、ペトラが何かを思いつき、より顔を明るくした。
「親睦会しませんか!」
「おー、それはいい案だな、ペトラ」
「でしょ?グンタ!せっかくこのチームで今まで頑張ってきたし、またこれからも頑張ろうって意味も込めて!
ねっ兵長?いいですよね!」
ペトラの言葉に、リヴァイは「ああ、そうだな」と答えている。
どうでもいいけど(本当はよくない)、ペトラには随分お優しいですこと。
なんて、NAMEは心の中で少し拗ねてみた。
「NAMEさんもいいですよね?今日の夜、みんなでパーッと飲みましょう?」
ペトラからの同意を求める言葉に、NAMEは「そうだね」と答えつつ、飲みましょうって、君たちは未成年でしょうが。とクスリと笑いながら考えていた。
本当は、そういう場ではまたあの時の、顔から火が出るほどの失言をした時の二の足を踏みそうで躊躇ったが、純粋に楽しみたいと思っている部下達の誘いは受けないとなと思った。
失言をしなければいいだけの話だ。
自分の話はうまく流して、素直に楽しもう!
NAMEはそう思った。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
訓練も終わり、片付けをしているとペトラがみんなに声を掛けた。
「はーい皆さーん!片付けが終わったら、着替えて本部前に集合です!」
どうやら、今日は街へ繰り出すらしい。
誰かの部屋に集まって飲むのだと思っていたNAMEは、街へ行くのも久しぶりだなぁとぼんやり思った。
部屋に戻ったNAMEは、多くない服の中から適当に着るものを選ぶ。
今は初夏。
昼間は大分暑くなってきたが、夜はまだ冷える季節だ。
NAMEはアイボリーのTシャツに軽めのジャケットを羽織り、下はタイトなジーンズにスニーカーという、およそ女性らしいとは言い難い出で立ちで集合場所へと向かった。
集まった皆も、NAMEと然程変わらないラフな格好に着替えていた。
お洒落をするような場でもないということだろう。
時刻は18時になる頃、一行は、賑やかな飲み屋街に入った。
ペトラは一軒の店の前で、こちらです、と手招きしている。
ペトラの案内で着いた店は、一見古そうだが中は小奇麗に整えられ、置物や、扱っている酒が並んでいる。
今日は空いているのか、出迎えてくれた店主は人数分よりも広い、ここらでは珍しい座敷の部屋に通してくれた。
席につき、それぞれが飲み物を選ぶ。
ペトラの、パーッと飲みましょう、は雰囲気で使っただけのようで、エルドとグンタ以外の未成年たちはちゃんとジュースを選んでいるようだった。
「それでは!
とりあえず2週間お疲れ様でした!これからもよろしくお願いしますっ!
カンパーイ!!」
成人たちはビール、未成年たちはそれぞれジュースを手に、ペトラの掛け声でグラスを合わせ、会はスタートした。
明日は休みという束の間の休暇に、皆心から楽しみ、会話も弾んだ。
酒を飲んでいた成人たちはというと。
リヴァイは酒が進んでも顔色一つ変えず、いつも通りの涼しい顔をしている。
エルドは少し顔が赤くなり始め、グンタはいつもより饒舌になっているようだ。
そしてNAMEは。
「あれ?分隊長、飲まないんですか?」
3人に比べて明らかに進みの遅いそのグラスを見たベックが声を掛けると、NAMEはモグモグと口を動かしゴクンと飲み込んだ。
「あ、うん。だってご飯が美味しくて!
ビールのあてに食べようと思ってたらご飯の方が進んじゃった。ペトラ!いいお店教えてくれてありがとうね!」
楽しそうに言うNAMEに「いえいえそんな!」と答えるペトラの横で、クッと喉の奥を鳴らして笑うリヴァイが口を開いた。
「お前は色気よりも食い気だな。んな大食いでよく自分はレディーだと言えるな」
「なぁに?何か言いました?」
「ああ、聞こえなかったか?レディーには程遠いと言ったんだ」
「うるさい!聞こえたわ、このチビ助が!
あなたこそ、もっと食べた方がいいんじゃないのー?ほら、成長できないよ?」
「ああ?」
「わちゃー。また始まった!」
「止めろよエルド!」
「うーん。そしたらビール以外の酒を考えて…」
いつも通りぎゃあぎゃあと口喧嘩を始める二人を、班員達はどうしようかと頭を悩ませた。
そんな時、救いの声が班員達の耳に届く。
「あっれー!なに?みんなも飲みに来てたの?」
「「「ハンジさん!!」」」
タイミングよくそこに現れたのは、同じく飲みに来たハンジとナナバだった。
尚も喧嘩を止めない二人に、エルドはハンジに助けを求めた。
「あらら。またやってんのかこの二人は。懲りないなぁ」
「早く止めてやんなよ、ハンジ」
呆れるハンジに、心配しながらも面白そうに見つめるナナバ。
新兵の3人は少々おろおろしている。
ハンジはNAMEの肩を掴んで二人の喧嘩に割って入った。
「NAMEっ!飲んでる?」
「!ハっハンジ?ナナバも!どうしたのー?」
ハンジ達に気が付いたNAMEは、どうやら普段通りの落ち着きを取り戻したようだ。
リヴァイも座り直すと、酒を口に含み少々熱くなった身体を冷やすように息を吐いた。
「私らも、明日休みだから久しぶりに飲もうと思ってさ!
これからエルヴィンも来るんだよ!」
(((!!団長がっ!)))
「へぇ!エルヴィンも!珍しいね。」
「なんか楽しそうだし、ご一緒してもいいかい?」
団長が来る!という事実に急に緊張した班員達だが、上官のお誘いを断るなんてことは出来ず、「どーぞどーぞ!!」と迎え入れた。
エルヴィンも合流し、改めて仕切り直した会は堅苦しいものになるのでは、という班員達の予想に反し、大いに盛り上がった。
新兵の3人も、個人的に会うことなんて中々ないエルヴィンと談笑できるのは新鮮で興奮するものだ。
そんな会が盛り上がりを続けている中、変化があったのは一人だけだった。
料理に合うから、と別の酒をハンジから勧められたNAMEは大分飲み進め、かなり雰囲気が一変していた。
肌は上気してほんのり赤く染まり、潤いをもった瞳はトロンとしている。
言動はそれほど変わってはいない為あまり目立っていないが、明らかな色香を漂わせるNAMEの変化に気付いている者ももちろんいた。
「アラン、そっちのお皿取ってくれる?」
「………」
「…?アーラーンー?」
「へっ!///あっ、はっはい!?」
席は何度も入れ替わり、今はNAMEの隣に座るアランは、NAMEのその只ならぬ色気に完全にやられていた。
急に掛けられた声に全く反応ができない。
「なにボーっとしてるの。…まさか飲んでる?」
「いっいえ!飲んでません!あ、あの、今、なんて言ったんですか?////」
「もういいよー。自分で取るから…っと…」
「!!!!?/////////」
言動はそれほど変わってはいない。
…否、そんなことはなかった。
少し不貞腐れたように言葉を発したNAMEは、徐に両膝をつき、胡坐をしているアランの腿に手をついて上半身だけでその脚を跨ぎだした。
アランの目の前にはNAMEの肩と背中がある状態だ。
普段ボディータッチなどしないNAMEが、初めて自分に触れている。
さらに、いつもは後ろで編み込んでいる髪が今日に限っては高い位置でポニーテールにされており、その毛先は肩に流れてNAMEのうなじを綺麗に露わにしていた。
そんな普段見れないNAMEの姿に、アランの心臓はドキンドキンと早鐘を鳴らす。
アルコールの匂いと、微かな女の匂い。
それがアランの鼻を掠め、酒は飲んでいないのにクラリと酔いそうになった。
「ふぅ。前ごめんねー、アラン」
「あ、いっいえ!!す、すみません!きっきき気が付きませんで!!/////」
定位置に戻り声を掛けるNAMEに、アランはハッと我に返り慌てて返答した。
アランは自分の慌てぶりが変に思われなかったかと焦ったが、酔っぱらったNAMEは「はいはーい」と全く気に留めてない様子で笑っている。
対して、斜め向かいの席にいたリヴァイは、全く逆の思いでそれを見ていた。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・
「お。もうこんな時間じゃん。
ほれ、おこちゃま達は帰る時間だよ」
時計の針が22時を回った頃、ハンジがみんなに声を掛けた。
「えぇー!明日はお休みだしもう少しいいじゃないですか~」
「ダメダメー。こっからは大人の時間!
未成年はとっとと帰った帰った!」
シッシと手を払うハンジとは反対に、「遅くまで付き合わせて悪かったね」と優しく微笑むエルヴィン。
楽しい会に名残惜しさを感じつつも、ペトラは酒を飲んでもいないのに潰れているオルオに呆れた視線を落とした。
「まったくもー!オルオ!ほら帰るよ!
…アラン達、悪いけどこのどうしようもない奴運ぶの手伝ってくれる?」
「「はいっ」」
訓練の疲れがどっときたのか、にやけ顔でぐっすり爆睡しているオルオの身体を、アランとルースが肩を貸して持ち上げた。
「俺らも今日は飲み過ぎたので帰ります」と、担ぎ上げられているオルオに苦笑いしながら、エルドとグンタも立ち上がった。
席を離れる際、財布からお金を取り出そうとするみんなに、ハンジがすかさず声を掛けた。
「あーいいよ!途中から私らお邪魔しちゃったから、ここは私らが持つから!」
「いやしかし、」
「いーんだって!こっちにはなんてったって、団長様と兵士長様がいるんだから!」
そう得意気に発するハンジに、「てめぇが威張るな」とリヴァイは一瞥しながら酒を飲み、「はは。ああ、気にせず気を付けて帰れよ」とエルヴィンはにこやかに笑って答える。
「あとは大人組に任せな!」とさわやかにナナバは手を上げ、「明日はみんなゆっくり休むんだよー!」とNAMEはケラケラと笑いながら手を振った。
そんな4人に帰り組はペコリと一礼をし、「ご馳走様です!お疲れさまでした!」と元気よく帰っていった。
「…しかし。NAMEは大分酔っているように見えるが帰らなくて大丈夫なのか?」
「何言ってるのエルヴィン。私全然酔ってないよ?」
NAMEの様子を見て、エルヴィンは心配そうに声を掛けるが、当の本人にはどうやら自覚症状がないらしい。
こうして受け答えが出来ているということに、自分は酔っていないという自信があるようだ。
NAMEの答えにエルヴィンは眉毛を下げながら笑い、ハンジとナナバは「よし!もっと飲むぞー!」とNAMEのグラスに酒を注いでいく。
その様子を見ながら、「潰れてもてめぇら一人で帰れよ」と悪態をつきながらリヴァイもグラスを傾けた。
1/2ページ