素敵な夢になりますように…
darling 1
Name change
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「はぁ…疲れた…」
NAMEは、厩舎にいる自分の愛馬のブラッシングをしながら、大きく息を吐いた。
途中20分程昼食の休憩を挟んだが、夕方になる今の今まで、合同訓練はぶっ通しで行われた。
しかし、今日行った訓練のお陰で全員の動きの癖や、得意不得意の動きもかなり理解できた。
残るNAMEの今日の仕事は、明日以降の演習に組み込めるよう、全員の動きをまとめることだ。
リヴァイは、俺にも回せ、とぶっきらぼうに手伝いを申し出ていたが、リヴァイはリヴァイで、自分達の訓練の報告書をまとめ、ハンジ達合同班の報告書に判を押してエルヴィンに提出するという仕事もある為、それはNAME一人で担当すると断った。
(ご飯食べたら眠くなりそうだしな…)
「…よしっこのまま作業しますかっ!」
「NAME分隊長!」
気合を入れ直した時だった。
厩舎に現れ、声を掛けたのはアランだった。
「あれ?アラン、どうしたの?もう片付けはないから夕飯、食べにいっていいよ?」
「…あ、あの!し、質問があります!」
「?うん、なあに?」
「…っ、分隊長と、リヴァイ兵長は、つ、付き合っているのでしょうか!!」
「っうえっ!?////////////」
予想外の質問に、NAMEは度肝を抜かれた。
まさかまだそんな疑いをかけられることがあるとは…
リヴァイにはペトラがいるというのに。と、頭の奥でそんなことを考えながらゆっくりと心を落ち着かせるように口を開いた。
「まさか。付き合ってないよ。あんなに仲悪いの見てたんだから分かるでしょ?
ていうか、彼氏なんてずっといなくて寂しいったら」
そう苦笑いしながら答えれば、アランは少しホッとしたような、でも何か考えているような、そんな複雑な顔をしていた。
そんなアランに気付いたNAMEは、自分よりも背の高い、俯いたアランの前に歩み寄って顔色を窺うようにのぞき込んだ。
「…アラン?何かあった?」
「っ…!!」
心配してくれているその顔が、アランの目には、何かフィルターが掛かった別の表情のように映っていた。
透き通るような白い肌、汗で所々張り付いた前髪や編み込まれている後ろ髪の毛先、桜色の頬、紅を塗ったように赤く潤った唇。
そして、自分を見上げる美しい瞳。
「…っ」
「えっ…!?うっアランっ…っんっ…!!!!?!?」
抑えの利かなくなった理性に従うように、アランはNAMEの両肩を掴み引き寄せると、強引にNAMEの唇を自分のそれで奪った。
力強く奪われた唇は、アランがすぐに両手を伸ばしてNAMEの身体を遠ざけたことで離れた。
NAMEは、そのあまりにも刹那的な出来事に、ただただ目を見開くことしかできていない。
しばし流れる沈黙…。
その沈黙を破ったのはアランだった。
「…俺、NAME分隊長のこと本気で好きです!!
俺はまだ未熟だし、まだまだ、分隊長には不釣り合いだと、思いますけどっ!
絶対追いつきますからっ…、俺のこと…考えておいてください!!」
「…ア、アラン…」
「お疲れの所、無礼な事をしてすみませんでしたっ!!明日の演習も、切り替えてやりますので!…で、では!!失礼します!!!」
そう言って敬礼をすると、アランは猛ダッシュで本部へと走り去った。
また彼の背中を見つめぼーっと立ち竦むNAMEは、徐々に顔が熱くなってくるのを感じた。
そしてそのまま、膝をぐんと曲げて腰を下げた。
両手で目と額を抑え、止まっていた息を思い切り吐き出した。
「…-っなに、してんだ私は…!」
そう漏らした後、NAMEは力強く立ち上がり、頭をぶんぶんと振ってから厩舎を後にした。
まさか、その一部始終をリヴァイが見ていたなんて知る由もなく。
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「………っああっダメだ!全然進まない!!!」
あの後すぐ自室に戻り、デスクに向かって今日のみんなのまとめを作り始めたけど…。
集中力が無さすぎる。
一向に進まない。
…アランが私を好きだったなんて…
全く気付かなかった…。
そもそも、私は男性に言い寄られるなんてことがない。
リヴァイを好きになるまでは、そういったことに全く興味も無かったから何とも思わなかったけど。
リヴァイと付き合うようになって、自分に女としての魅力が無いと気づいてからは多少なりとも焦った。
リヴァイの浮気現場を見てしまった時も、やっぱりな。とどこかで納得している自分もいて。
…だからかな。
好きな人じゃなくても、私を女として見てくれる
純粋に好意を向けてくれるアランの言葉が、素直に嬉しかった。
「………」
だからといって、私のファーストキスを奪ったことは許すわけにはいかないけど
……
でも、あれはボケッとしてた私も悪いか。
ハハーン!15歳に初チュー奪われるってどーゆーこと!
もういいか!若者からフレッシュさを頂きました!ってことでもういいか!!
「…うん!なんかちょっと切ない気分だけど。
気持ちの整理終わりーー!!!」
パンっと両手で頬を叩き、私は無理やり開き直って訓練のまとめに取り掛かった。
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「……チっ…いねぇのか?」
リヴァイは何度かノックを繰り返すが、その部屋の主からの返事は一向にない。
出掛けたのかと思い苛立ちを抑えて軽く持ち手をおろせば、ギイ、と扉は静かに開いた。
「………寝てるじゃねぇか」
デスクに突っ伏し、規則正しい寝息を立てるNAMEを、リヴァイは呆れたように見つめた。
「あの子、夕食食べに来なかったから持ってってあげとくれよ兵長さん!」
と、半ば無理やり食堂のおばちゃんに押し付けられたパンの乗った皿を、リヴァイは静かにローテーブルに置いた。
NAMEの身体の下には、今日の訓練のデータをまとめたであろう書類がバラバラと散らばっている。
リヴァイはその乱雑な書類を見て、小さく舌打ちをした。
「ったく…これじゃまとまるモンもまとまんねぇだろうが」
そう吐き捨てながらも、リヴァイの目に、浮き出たように映った文字がリヴァイを引き寄せた。
“リヴァイ兵士長”
ブレードは片側逆手持ち。
腕に負担をかけない切り方でかなりの高等技術。
体幹がしっかりしていなければこの技術を習得するのは難しい。
真似るのであれば、まずは筋力アップと体幹トレーニングが必須。
状況を見ての決断が早く、その場の対応に優れている。
短所は訓練時には見受けられない。
※回転しながらの技は速すぎて見えない。
「、ハっ…」
…何の感想文を書いてやがる…。
注意書に思わず吹き出したリヴァイだったが、そのさらに下に、小さく付け足した文字に目をやった。
"人類最強という肩書は飾りではないが、その分、本人の重圧は計り知れない。
私は、彼の負担を軽く出来るような具体的な方法を考え、助けになる力をもっとつけたい。"
「…………。充分だ、馬鹿が。」
NAMEの思ってもみなかった心の内が見えた気がして、リヴァイは一瞬面食らったがすぐに安らぐような気持ちになった。
そして乱雑に散らばった書類をよく見れば、全員分のデータはおこし終わっているようだった。
どの部下達も、細かく、しっかりとまとめられていた。
…よく見てやがるな。…大した奴だ
そう感心しながら、リヴァイは眠り続けるNAMEをもう一度見つめた。
朝、後ろで綺麗に編み込まれていた髪は1日経ってかなり乱れている。
スッとリボンを解くと、薄く開いた窓からの風で、サラリと薄茶の髪がなびいた。
白く陶器のような肌に髪が触れ、一瞬「ん…」と声を出して身じろぐが、すぐにまた寝息がたてられた。
長い睫毛を伏せ色素の薄い瞳は閉じられ、最近よく吊り上がる眉毛は下がっている。
目の下には、寝不足なのが分かるような影が出ていた。
リヴァイはまじまじと観察し、そしてその、無防備に緩んだ唇に目線を落とした。
顔にかかった髪を撫でながらよけると、リヴァイはそのまま手を顎に添え、NAMEの唇に自分のそれを重ねた。
「………可愛げがねぇなんて誰も言ってねぇだろうが。
…簡単に、…奪われてんじゃねぇよ」
リヴァイの言葉は誰に届くわけでもなく、吹き抜ける風のように静かに消えていった。
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「っ!ヤバ!!寝ちゃった!……あれ?」
ガバリと起きたNAMEの目に入ってきたのは、テーブルの上に置かれたパンと、綺麗に整理された書類だった。
to be continued...
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