素敵な夢になりますように…
darling 7
Name change
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そして少し進んだところで、二つの人影が見えた。
一つはNAMEのようだ。
追いついた、そう安堵し、リヴァイはもう一つの影に目を凝らす。
その人物を確認したリヴァイは、緩めていた歩く速度を再度速めた。
そして、「部屋まで送ろう」という声を掛けながらNAMEの肩に回そうとしているその手を阻止するかのように、リヴァイはNAMEの腕を引き寄せ、その身体を自分の胸に抱き込んだ。
突然のことに、NAMEと、そこにいたエルヴィンは目を見開き同時に固まった。
そして、まず口を開いたのはリヴァイだった。
「悪いなエルヴィン、こいつは俺が部屋まで送る」
「っ??え、?な、なに…??」
リヴァイの言葉に、抱き寄せられながら訳も分からず動揺するNAMEと、自分を威嚇するように睨み上げてくるリヴァイとを交互に見ながら、エルヴィンはクスリと笑った。
「ああ。…頼む」
以前の飲み会後に聞いたセリフと全く同じエルヴィンのそれに、リヴァイは小さく舌打ちをし、NAMEの手を引いて薄暗い廊下を歩き出した。
NAMEは、自分の手を引き歩いていくリヴァイについていきながら、「お、おやすみエルヴィン!」と声を掛け、空いてる方の手を軽く上げた。
エルヴィンはそれに応えるように手を上げ、消えていく二人の影に誰にも届かない言葉を静かに漏らしていた。
「やれやれ。…ようやく、本音が出るようになったかな」
・-・-・-・-・-・-・―・
「ね、ねえ!リヴァイってば!放して?自分で歩けるから!」
「酔っ払いの言うことはあてにならねぇ」
「っ…ほ、本当に平気だから…!」
グッと足に力を入れて立ち止まったNAMEは、自分の手首を掴んでいるリヴァイの手にもう一方の手を添えた。
リヴァイは前を向いたまま、掴んでいた手をゆっくりと開く。
自由になった手に、NAMEは視線を落とした。
自分で放せと言ったくせに、まだ触れていたいと未練がましく思ってしまう気持ちにNAMEは自分で呆れてしまう。
あんな屈辱的なことを言われても尚、自分を追いかけ、こうして部屋まで送ってくれるリヴァイに、また都合よく解釈して期待してしまう自分に。
ああ、ダメだ。
NAMEは振り返るリヴァイの顔を見てそう思った。
自然にこの想いが消える日を待つことはできない。
別れてからも、どんどん大きくなってしまうこの想いが自然に消えるわけがない。
自分で断ち切らねばいけないんだと、
そう強く思った。
NAMEは泣きそうな気持を堪え、笑顔を作って口を開いた。
「さっきは叩いてごめん!なんか、お礼言いたかっただけなのに結局恩を仇で返す感じになっちゃったね。…これからは、ちゃんと一人で色々出来るようになるからさ!
もう、気に掛けなくて大丈夫だから!」
何も答えないリヴァイに、NAMEは「じゃあ部屋すぐそこだし帰るね」と言ってリヴァイの横を通って別れを告げた。
リヴァイはその手を後ろ手に掴み振り返る。
NAMEも掴まれた瞬間に目を開いてバッと振り返った。
「俺が……俺の方が、言い過ぎた。…すまなかった」
珍しく弱々しいその声のトーンに、NAMEはふるふると頭を振った。
「…いいよ。言われても仕方ない軽率な行動してたと思うし…」
「お前は、そんなことしねぇよ。…隙は多いが、わざとじゃねぇだろ。…俺が、ただイラついただけだ。…悪かった」
真摯に謝るリヴァイの姿に、NAMEはまた泣きそうになるのをグッと堪えて力なく笑って見せた。
「う、ううん。…じゃあ、お互い様ってことで…。
でも、私のこと気に掛けなくていいって言ったのはホントにそうだから、もう、ほっといてね。リヴァイには、もっと見てあげるべき人がいるだろうし!」
「…あ?どーゆー意味だ」
「ど、どーゆーって…それは」
「あっれー??何してんの?こんな時間に二人仲良くおてて繋いで」
「!」「ハっハンジ!?」
突如その呑気な言葉と共に現れたハンジに、リヴァイとNAMEは同時に腕をバッと引き離した。
「ふぅん。いつもは喧嘩ばっかりなのに、二人っきりだとそうやって仲良くしてたんだねぇ。やっらしーなぁ」
ニヤニヤとゲスい笑みを零しながら言うハンジに、リヴァイはハァとこれ見よがしな溜め息をつき、NAMEは顔を真っ赤にして抗議した。
「ち、ちが、違うから!////繋いでたんじゃなくて掴まれてたの!」
「へぇ!意外と乱暴にされたい感じなんだNAMEは!」
「/////っだから違うってば!」
「てめぇこそこんな時間に何してる。てめぇの部屋はこの棟じゃねぇだろ」
「あー、実はミケの部屋でエルヴィンとモブリットと飲んでてさ!エルヴィンはさっき帰っちゃったから、同じ棟のNAMEとリヴァイも誘うかーって話になったわけ。まさか一緒にいるとは思わなかったけど」
ケラケラと笑うハンジは、すでに酒が回っているようだ。
リヴァイは、なるほど。だからエルヴィンもあそこにいたのかと合点がいく。
NAMEは苦笑いをしながらハンジに答えた。
「わ、私は今日はもう寝るよ。誘いに来てくれたのにごめんね。」
「えー、明日は休みだしいいじゃん」
「ごめん、なんか疲れちゃって。ミケとモブリットによろしく伝えて!じゃ、おやすみ」
そう言い残し、NAMEは少し先の自分の部屋へと走って帰っていった。
残されたハンジは、隣のリヴァイにまたニヤけた顔を向ける。
「ねぇねぇ、いつからイチャイチャしてたのさ」
「してねぇよ。黙ってろクソ眼鏡」
「なんだよー!ノリが悪いなぁ。…まあいっか、リヴァイは飲むだろ?」
「パスだ。俺も今日は疲れた」
「ええー。つまんないなー!付き合い悪いぞ!」
「うるせぇ。明後日は壁外だ。飲み過ぎて使い物にならねぇなんてことのないようにしろよ」
「はいはいー。」
ハンジはちぇー。と肩を落とし、ひらひらと手を振りながらミケの部屋へと戻っていった。
それを見送りながら自分の部屋に戻ったリヴァイは、NAMEとの中途半端に終わった会話と距離間に、またイラつきを覚えて息を吐いた。
そして、一足早く部屋に戻っていたNAMEは、リヴァイを忘れる決意をもう一度固めた。
気持ちはすれ違ったまま、二人は壁外調査の日を迎える。
to be continued...
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