素敵な夢になりますように…
darling 7
Name change
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「…なぁ、NAMEよ」
「な、に…?」
見つめ合ったまま、リヴァイはゆっくりと口を開く。
NAMEは依然として落ち着かない心臓の音が、リヴァイに聞こえてしまうのではないかとヒヤヒヤしながらそれに答えた。
「お前は隙がありすぎだ。…俺以外の男と、絶対にサシで酒を飲むなよ」
「……は?…な、なんで」
「聞こえなかったか?てめぇはアホみたいに隙だらけなんだよ」
「あ、アホみたいってなによ!い、いくら私が酔ったからって、そんな簡単に襲われるとでも思って…―ぅっ!」
「…簡単に襲われてるじゃねぇかよ」
リヴァイの言葉にムキになって反論したNAMEは、そのままリヴァイ側に引き寄せられ、いとも簡単にソファに組み敷かれた。
さっきまでとは反対側に頭を持っていかれ反転させられたNAMEの身体は、リヴァイの両手で腕を押さえられ、腰の両サイドに膝をついたリヴァイに見下ろされている。
腕を動かそうとするが、人類最強の腕はびくともしない。
リヴァイは困惑の表情を浮かべるNAMEに対し、無表情のまま口を開く。
「…どうした。俺は半分の力も出しちゃいねぇぞ。
…酔っ払いはその俺にすら手が出ねぇのか?それとも、…俺に襲われてもいいと思ってやがるのか?」
「ちがっ…!」
図星だった。
組み敷かれた瞬間、リヴァイになら、リヴァイだからと、このまま襲われたいと思ってしまっていた。
本当なら、思いの通じ合っている者同士でないと、と昔から考えていたNAMEだが、付き合っていた時に恥ずかしさからどうしても手を繋ぐことすら出来なかった自分をひどく恨み後悔していた。
こんな一方的な想いでさえも、リヴァイに触れられるなら、リヴァイと身体だけでも繋がれるなら、もういっそのこと襲われてもいいと。
NAMEは、ズバリと痛いところを突かれカッと赤くなった顔を隠すようにリヴァイからそれを背けた。
そのすぐあと、リヴァイから大きな溜め息が漏れ、NAMEはズキリと胸が痛くなる。
呆れられている、そう感じたから。
自分のやましい心を見透かされ、リヴァイは幻滅したのではないか、とそう思った。
しかし、リヴァイから出た言葉はNAMEの予想もしていないものだった。
「…そんな隙だらけだから、あんなガキにキスされんだろ」
「…え…。…-っ!?////な、なんでそんなこと知って…」
「見られたくなきゃ、もっと人目につかない場所を選べとあいつに教育してやるんだな」
今日のことに続き、まさかキスされた現場も見られていたとはNAMEは思ってもいなかった。
ワタワタと動揺しているNAMEを一瞥し、リヴァイはゆっくりと身体を起こしてNAMEの足元に座り直した。
リヴァイが退いたのを確認すると、NAMEは訝しげに身体を起こし、先ほどまでリヴァイが座っていたひじ掛け側に身体を寄せリヴァイを見つめた。
リヴァイはまた一つ息を吐き、NAMEへ力ない視線を送る。
「…は。てめぇは魔性の女かよ。…そうやって、男を誑かすのが趣味か」
パンっと渇いた音が部屋に響く。
NAMEは、その言葉を聞いた瞬間にリヴァイの頬を平手打ちしていた。
避けることも、それを防ぐこともできたがリヴァイはそのままNAMEの平手を頬に受けた。そうされても仕方ないことを言ったという自覚があったから。
しかし、震えているのは打たれたリヴァイではなく、NAMEだった。
「…んなこと、…するわけないじゃない…」
そうだ。
NAMEが、部下思いのNAMEが、あのクソ真面目で、付き合った時は俺と距離を縮めるだけで赤面してしまうようなイノセントなNAMEが、男を誑かすようなことをするわけがない。
リヴァイは、そう頭で自分を咎めた。
しかし、どうしても今NAMEを思いやってやれる余裕がリヴァイにはなかった。
ああ、そうか…。
リヴァイには、私がアランにも、リヴァイにもいい顔をして、誰とでも寝るような尻の軽い女に見えるということか。
そりゃそうだ。
私にはその気がなくても、アランにはキスをされ、泣いているところを抱きしめられ。
同じようにリヴァイの前でも泣き喚いて抱きしめてもらい、今も簡単に襲われようとしている。
リヴァイに気があるといっても、そんなことリヴァイからしたら知ったこっちゃないしね…。
「…帰る」
しばらくの沈黙を置き、NAMEがようやく声を発した。
リヴァイは何も答えなかったが、NAMEが部屋を出て扉が閉まる直前、これ以上なく傷ついた顔をしたNAMEを見て、リヴァイは一瞬にして過去を思い出した。
あの時と同じだ。
自分が、別の女と口づけをしてるところをNAMEに見せてしまった時と。
あの時も、NAMEは泣くわけでも怒るわけでもなく、ただそこから目を逸らすように逃げていった。
クソッ…俺は、何度好きな女を傷つければ気が済むんだ
NAMEから付き合わないかと言われた時は、あいつも同じ気持ちでいてくれたことを嬉しく思った。
歳の割にウブな所も可愛いと思った。
大切にしてやりたいと強く思う反面、滅茶苦茶にしてやりたいと思う自分もいた。
別れようと言うNAMEを止められなかった。
俺に止める権利も、傷つく権利も何もない。
それでも、どうしてもあいつを忘れることが出来なかった。
壁外からあいつが生きて帰る度、心の底から安心した。
あいつが、俺を忘れどんどん強く成長していく様を見て寂しく思いながらもイラついた。
そのイラつきを敢えて本人にぶつけた。
NAMEは俺を相手にしないと思ったが、予想外に俺の喧嘩を買ってきた。
それからは、会えば喧嘩する仲になっちまったが、それでもいいと思っていた。
そのすぐ後だ。ペトラに好きだと言われたのは。
他にも色んな女から同じような事を言われ、正直NAME以外の女なんてどーでもよかった。
聞く気も失せるオーラを出すだけで泣いて縋る女もいた。煩わしい以外の何物でもない。
だが、ペトラはそんな女共とは違い、俺とどうこうなるつもりは無いらしくただ伝えたかっただけだと言った。
尊敬からくる好意だとそう思った。
そもそも、俺がNAMEに惚れていることは早々にバレていて、ペトラは頼んでもいねぇのに事あるごとにアドバイスやら近況報告だなんだと伝えてきた。
ペトラは、俺達が付き合ってたことも知らない。
今更、どの面下げてNAMEに好きだと言える?
だが、踏み出すこともできねぇくせに諦めることもできない自分が情けなくて、こんなにも女々しい奴だったのかと心底呆れる。
それでも、NAMEを他の男になんか渡したくなかった。
強くなっていくNAMEは、さらに美しくもなっていった。周りの男共の見る目が変わっていくのに俺は焦った。
下心丸出しの野郎共は裏で殲滅していたが、そんな時、純粋な瞳でNAMEを見つめるアランを見つけた。
NAMEの班に配属されていたアランは、真面目で仲間想いの優しい新兵だ。NAMEに対しても、ペトラと同じで尊敬からの好意だと思っていた。
だからアランがNAMEにキスをした時は驚いた。
しかし、真剣にNAMEを想ってる男なら、俺が邪魔していいわけがない。
そう言い聞かせたのにどうしても気になって仕方なかった。
ガキのアランに、ガキみたいに嫉妬した。
俺はようやく決心した。
俺は、…NAMEを振り向かせてやる。
お前を幸せにしてやるのはこの俺だ
そう決めていたのに。
また俺はあいつを傷つけてるじゃねぇか
…あの時のことは今更何を言っても言い訳にしかならねぇが、
今は、違うだろ!
そう考えながら、リヴァイは無意識にNAMEを追いかけていた。
真夜中の兵舎は薄暗く、近い距離でも目を凝らさなければ相手の顔は判別できない。
早足で先を行ったNAMEを、リヴァイは全速力で追いかけた。
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