素敵な夢になりますように…
darling 5
Name change
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――落ち着いてきたNAMEの背を一撫ですると、リヴァイはもう一度「はー、」と息を吐いた。
「っ…ご、ごめん、も、もう…大丈夫…」
「…殴られただけで、処女は奪われてねぇんだな?」
突然のとんでもない発言に、NAMEはかぁっと顔が熱くなった。
「な、な、なにっ/////」
「どうなんだ」
「~~////な、なんにもされてないよ!ふ、服はこんなんだけど、殴られただけ!」
処女は否定しないんだな。と思いながら、リヴァイはまた一つ、今度はNAMEに聞こえないように安堵の息を漏らした。
腕の中でそう返すNAMEには返事をせず、リヴァイはNAMEの背中に回していた手を肩に置いて、自分の身体からゆっくりと離した。
目の前には、涙で濡れ、赤くなっている瞳がある。
身体を離されたNAMEの目に映るリヴァイの顔は、今まで見たことのない切なげな顔だった。
その顔を見た瞬間、NAMEの身体は金縛りになったように動かなくなった。
リヴァイの手はNAMEの頬に触れ、その手はゆっくり口元へと降りていく。
「…血が、出てるな」
そう言いながら、親指でその血の滲んだ口の端に優しく触れた。
下げられていた瞳がゆっくり上がり、リヴァイの視線がNAMEのそれと重なる。
ドキンドキンと心臓がうるさく響く。
これは、私の心臓…?
それとも、リヴァイの心臓…?
また分からなくなる…
尚も心臓は激しく胸を跳ねさせる。
ダカッダカッ…。
二人の距離は、どちらからともなく少しずつ近付く。
ダカッダカッダカッ…
互いの睫毛がゆっくりと伏せられ、リヴァイの手が顎を伝い、耳の後ろへと回る。
そのまま、二人の鼻先が触れた、
その瞬間だった。
―――ダカダッ「ヒヒーーンッッ」
「「!!!」」
思いもよらない馬の鳴き声で二人はパッと目を見開いた。
目の前にある相手のドアップに、NAMEは物凄い勢いで、リヴァイはゆっくりと、同時に顔を背けて横向きだった身体を正面に向き直した。
…い、い、今…私、なに、を…!!!?/////////
これ以上ないくらいバックンバックンと鳴る心臓に胸が突き破られそうだった。
そんなNAMEの頭に、バサリと何かが降ってきた。
「!?…あ、リヴァイ、これ」
「着ろ。…チッ。邪魔しやがって」
そう言い残し、リヴァイは馬車から降りていった。
最後の言葉は聞き取れなかったが、手元には、リヴァイがさっきまで来ていた外套。
NAMEはそれを握りしめながら、後ろの窓のカーテンを少しだけ捲った。
馬車の後ろには、もう一台馬車が停まっている。
リヴァイは馬車の中に話し掛け、中から顔を出したのはエルヴィンだった。
「!!」
NAMEは自分の姿を思い出し、リヴァイが置いていってくれた外套を慌てて纏った。
立ち上がると、殴られたお腹に若干の痛みを感じつつ、NAMEはゆっくりと馬車から降りた。
「NAME!無事…ではないようだな、すまない、遅くなってしまった」
自分の顔を見て言っているのか、ちぐはぐな服を見て言っているのか、恐らく両方ではあると思うが、リヴァイと同じく、エルヴィンにも心配を掛けてNAMEは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
NAMEは、これ以上心配かけまいとニカっと笑った。
「心配掛けてごめんね。でも、全然大丈夫!
ちょっと殴られたけど私だって鍛えてるし、それにリヴァイがかなりボコボコにしてくれたから!」
エルヴィンは眉を下げながら、「そうか」と優しく笑った。
NAMEはその笑顔に安心すると、馬車の中からまだ何人かの気配を感じた。
まず出てきた人物にNAMEは驚きの声を上げた。
「!!ナっナイル師団長!」
憲兵団のトップであるナイルは、中にいた部下である憲兵の男達に指示を出していた。
NAMEに気付いたナイルは、不機嫌そうにNAMEに近付いてくる。
NAMEはビクビクと身構えていると、ナイルはバッと頭を下げた。
「すまなかった!!
部下のしたことは私の責任だ。…心から陳謝する!
本当に申し訳なかった…!!!」
「あ、わ、そっそんな、師団長自ら…!
お、お言葉だけで、充分です…!!」
頭を下げ何度も謝罪をするナイルを前に、オロオロと慌てふためくNAME。
その姿を見ていたリヴァイとエルヴィンは、本当に彼女があの憲兵に啖呵を切り、加えて鼻血を噴き出させるほどのパンチをお見舞いしたのかと疑問に思いながら可笑しそうに笑顔を零す。
オロオロしていたNAMEだったが、突然思い出したようにナイルに話しかけた。
コソコソと話をしている為何を話しているのかは二人には聞こえない。
ナイルは急に豪快に笑い出すと、「勿論構わない」と答えた。
ナイルは、伸びている男達を運び出している憲兵に声を掛け、こっちに連れてこいと命令した。
どうやら、最後に一言物申したいと頼んだようだ。
―パシッ「…ぃ…ろ…」
「ぅ…」
「おい、おい起きろ!」
すでにボロボロの男は、自分の顔にくる平手打ちの感覚と、呼ぶ声にゆっくりと目を開いた。その目の前には、自分の所属する団のトップがいた。
「ナ、ナイル師団長っ!!?―う”っ…」
蹴られた箇所が痛むのか、男は苦痛の声を上げる。
しかし、そんなことは構わずナイルは口を開く。
「こちらの分隊長から、貴様に話があるそうだ」
「あ”…」
NAMEの顔を見た男は、サーっと顔から血の気が引いていくのを感じた。
それは、決してNAMEが怖いからというわけではなく、一連の事件をナイルに知られてしまった、ということに青ざめていた。
「残念。やっぱり、あなたにも報いがきましたね。
あとはたっぷりと、上の人にでもコテンパンにやられちゃってください」
笑顔だが、全く目の笑っていないNAMEを見て男は顔を引き攣らせた。
俺の人生は終わったと、そう諦めが入ったと同時に、怨恨の情が沸き上がる。
…どうせ、俺の人生はもう終わりだ。
ならば…せめてこの屈辱を、この女にも味わわせてやるっ…!!
男は、最後の気力を使って自分を拘束していた憲兵を振り払うと、NAME目掛けて両手を振り上げた。
まさか反撃すると思っていなかったナイルら憲兵達は、NAMEに離れろと声を上げながら男を取り押さえに走り出した。
対してエルヴィンとリヴァイは、一瞬ギョッとはしたがその場から動きはしなかった。
あんな手負い、NAMEの相手ではないと、確信していたから。
―ボッキィッ
「ガパベッ!!!!!!!!!???」
男は先と同じく鼻に、しかし今度は掌底ではなく回し蹴りを打ち込まれ、そのまま後ろへと大きく吹っ飛んだ。
ナイル達は、血を出しながら吹っ飛ぶその男を、呆気に取られながら目で追っている。
エルヴィン、リヴァイの二人は、予想以上のNAMEの攻撃力を目の当たりにし、必死に笑いを堪えていた。
ああ、ルースの言っていた武勇伝は間違いなかったんだ、と。
NAMEは両手を腰に添えた仁王立ちで、折れた鼻を押さえながら自分を見上げる男をしっかりと見据えた。
「言ったでしょ?さっきは加減してあげた、って。
女だからってなめんなクソ野郎!」
そう吐き捨て、フンっと男に背を向けた。
その背中には、自由の翼が大きく、はためいていた。
・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
兵舎に戻ると、心配していたアランとルース、ベックのNAME班の3人がNAME達の帰りを外で待っていた。
NAME達に気付いた3人は急いで駆け寄り、開口一番「大丈夫でしたか!?」とNAMEを思いやった。
「なにみんな。大袈裟に出迎えて。街をプラプラして帰ってきただけだよ?」
「え?だ、だって馬車に連れ込まれた、って」
「それ私じゃないよ!誰か違う人と勘違いしたんじゃないかな?」
「で、でも分隊長、顔、怪我してるし、マントも、」
「ああ、これ?
…実は転んじゃって。しかも泥だらけのとこで!そそっかしいよね。
さすがに泥だらけで帰るのは恥ずかしいから、リヴァイにマント借りたんだよ」
「な、なんだー!」
「俺らてっきり憲兵団に捕まったのかと」
「あの人も紛らわしいなー」
「心配かけてごめんごめん!
あ、アランはちゃんと医務室行きなよ!」
『いい!?私が憲兵に捕まったのはここだけの内緒にしといてね!
こうして無事だったんだし、余計な心配掛けたくないから』
そうNAMEに釘を刺されていたエルヴィンとリヴァイは、NAME達のほのぼのした会話を一歩下がった場所から見ていた。
「…嘘がうめぇな」
「女性は器用だからな」
「そうか?あいつは不器用にしか見えねぇが」
「…まあ、本質的なところだろうね」
そんな会話をしながら、NAME達の後に続き兵舎の中へ入ろうとした時だった。
―びゅうっ!!!!!!!!!!
「わっ」
「「「あっ…!?」」」
「「………」」
突風により、羽織っていた外套がフワリと舞い上がった。
その瞬間、NAMEは自分の下着姿を、その場にいた全員に公開することになった。
「あっわっ//////////」
「「「!!!ブフゥーーーッッ!!!/////////」」」
慌てて外套を押さえたNAMEだったが、時すでに遅し。
アラン、ルース、ベックの3人は盛大に鼻血を噴き出し、エルヴィンはクックとまた笑いを堪え、リヴァイは眉間の皺をより一層深めたが心なしか顔は赤い。
「じゃ、じゃあ!私はこれで!/////」
そう言って、NAMEは猛ダッシュで兵舎へと走り去っていった。
残されたアラン達は、「白…」「レース…」などと鼻血を押さえながら戯言のように言葉を発し、リヴァイは、「あいつは…一体何人鼻血を出させりゃ気が済むんだ」と呆れた。
それを見ていたエルヴィンは、とうとう堪えきれずに大きく笑い出し、その笑い声は兵舎へと響き渡っていった。
そして部屋に戻ったNAMEは、
しまった。…またリヴァイにお礼を言うのを忘れてしまった
と、タイミングをまた逃したことにガックリと肩を落としていた。
To be continued...
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