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ヒョデン

僕には好きな人がいる。デンコって名前の子。以前、初のジムリーダー会議で一目惚れしてしまった。彼女は、14歳から17歳ぐらいの年下の女の子で、とにかく可愛かった。死んだ魚のような目はしつつも、ガラス玉みたいに澄んでいて…肌の色は白っぽい。可愛らしい顔つきだが、どことなく綺麗で…………俗に言う「美少女」だ。立って話す時の上目遣い、猫みたいに怠そうにあくびする姿、ジムの状況を「暇」の一言で片付けてしまうところ、全てが可愛い。可愛すぎる。……………言っておくけど僕はロリコンではない。ただ、一目惚れした相手が『たまたま』未成年だったってだけと話だ。そこだけは勘違いしないで欲しい。本当にロリコンではない。 
 さて、話を戻そう。僕は、彼女と仲良くしたい。そしていつかは!!そのためにも、よく話しかけてはいる。ただ、根気よく話しかけてはいるけど、すぐに会話は終了するしなかなか距離が縮まった感じはしない。僕が何か話しかけても「あっそ。」とか「………ん。」で会話終了。最悪、相手の機嫌が悪いと「うっせ。」と言われる。もうどうすればいいのやら。トホホ。


そんな脳内独り言劇場をしながら、いつもジムリーダーの会議に使われるコトブキシティの雑多ビルの屋上に行って、外の空気を1人吸おう、と屋上の扉を開いたその先、彼女がいた。
「あ、デンコちゃん。奇遇だね。」
と。
「ん?」
彼女が振り向い……た……………ん?デンコちゃんの右手に何か白い棒状の物が。あれ?あれってまさかタバコ……?えっ……デンコちゃんって、まだ未成年なんじゃ!?で…でもココアシガレットって可能性も…そっかそっか。背伸びしたいお年頃だもんねうんうん。タッ…タバコじゃないよねあっ…あははははははははははははは
「お…おいどうしたんだ。何固まってんだ。」
………ハッ!?僕はどうやらその場で固まってたようだ。相手、ちょっと引いてる?引いてないよね???というより、やっぱそのタバコらしき物、どう見ても煙がもくもくとしててどこからどう見たってタバコな気がする。ここは聞いて確かめるしか無い。
「ね…ねぇ、その右手に持ってるのって………」
「は?タバコだけど何。お前、メガネの強度合ってんのかよ。」
タバコだったぁぁぁぁぁぁ!!!!!未成年喫煙だ。うん。未成年だよね?未成年+タバコ、うん。
「えっと……デンコちゃんって、まだ未成年じゃ……」


「は?」
彼女はため息を吐いて「まさかとは思ってはいたが……」と呟いた。訳が分からなかった。そして彼女から
「おいメガネ……じゃなくて確かヒョウタだったよな。お前何歳だ。」
メ…メガネって…。けど、一応名前は覚えておいてくれたみたいだ。
「えっと……20歳だけど………」
一気にデンコちゃんの眉間に皺が寄る。僕……何か嫌なこと言っちゃった…………?
「ヒョウタ、お前、私のこと何歳だと思ってる」
「え………14歳から17歳ぐらいだとは思ってるけd…フグッ!」
飛び蹴りされた。視界が反転するから。多分倒れたんだろう。腹部に重さを感じる、僕の視界に、デンコちゃんが上から覗くようにヌッと。
訳がわからない。相手はなんか怒ってるみたいだし突然飛び蹴りされるわで何が何だか………。
「言っとくけど、私はお前より年上だから。」
うん??????年上?????21歳以上?????えっ、デンコ「ちゃん」じゃなくてデンコ「さん」?未成年じゃなくて成人?えっ?駄目だ理解できない。いやいやいや、てことは僕、今まで年上である彼女に失礼なことしちゃってた…?
「ん。これ。」
デンコちゃ……じゃなかった。デンコさんがトレーナーカードを見せてきた。………。この年に生まれてるから……………23?えっ、23歳?
「二十……三歳…だったんですか……」
衝撃的だ。あと今までの自分が恥ずかしい。一生の黒歴史になりそう。ははは。嫌だなー。
「悪かったな、23で。」
少し怒り気味に、不機嫌に、言われた。あーあ。僕、やっちゃったなぁ。というより、重い。重すぎる。そろそろどいて欲しいなぁ。あと、今までのことが黒歴史になりそうで嫌だ。もうこの時点で恥ずかしさのあまり思い出したくなくなる。
僕はそんな脳内での独り言をつらつらとしつつ、今日は多分考え事で寝れないな。と覚悟を決めた。


おわれ。
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