Lovin’ YOU
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Lovin’ YOU
「先生♪先生っ♪子衡 先生~~v」
小走り気味にるんた、るんたとリズムを踏みながら呂範 を探す芙蓉。
「うーん、みつからないなぁ…どこにいるんだろ?準備室にはいなかったしなぁ…」
下を向き、うーんと考え始める。
「あっ!そだ!屋上だっ!!」
そう言って芙蓉は元の調子に戻り、るんた、るんた♪と小走りで屋上へ駆け上って行く。
芙蓉が屋上に着くと、案の定呂範はそこで横になり昼寝していた。 結構爆睡しているらしく芙蓉が近くによっても起きる様子はない。
「きゃーvキャーv子衡先生の寝顔だ――vvかわいいっv かっこいいっv きれいぃぃ――v」
一人やたら盛り上がって大変なことになっている芙蓉だが 呂範を起こさないようにととりあえず小声で騒いでいる。
そして、一人ニヤニヤしながら呂範の頬をつんつんとつついてみた。
すると、呂範は「んー」と1回寝返りをうちながら目を開ける。 その寝返りと一緒に芙蓉は顔をかたむける。
「んーうんっん…――――!!!井上っ!」
呂範が目を開けるとその前に広がっていたのは芙蓉の顔。
「子衡先生――v探したんですよぉ」
「井上…いつからそこに…?」
「ん?先生が爆睡してる時から♪」
「…んで、今日も……?」
「もちろんっ♪昨日、明日もねっ☆って言ったじゃん!」
そう言って、側においてあったお弁当の包みをジャンっ!と差し出す。
「だから、高校教師ゴッコは嫌だって言ったろ」
「だーかーらー、芙蓉はゴッコじゃなくて本気なんだって!」
「それだとよけいメンドくさい」
「なによ、このめんどくさがり子衡」
「…うるさい。んで、今日のメニューはなんなんだ?」
ため息をついて多少うんざりとした顔をしながらも呂範はしょうがなさそうに起き上がり あぐらをかいて座った。
「結局は芙蓉のお弁当食べたいんじゃん♪今日のメニューは、先生の好きな中華弁当だよ。 チャーハンに春巻き、シューマイ。それと、デザートに杏仁豆腐!」
「んーボツ」
「え――――っ!!なんで―――。昨日から下準備とかして頑張ったんだよ――」
芙蓉は、ちょっと泣きそうになりながら呂範の目を見て訴える。
「盛り付けが悪い。私は美術の先生だぞ。人より色彩とか、 視覚の「美しさ」ってやつにはウルさいの知ってるだろ」
「うー、じゃあ、じゃあよ、これがこう来たらどおっ?」
「20点」
「はぁっ?20点!?だったらこうは?」
「18点」
「げぇっ、下がってるし!つーか、人が作ってきてあげたモノにケチつけるなんて生意気なの!」
「私は井上より年上だと思うが?生意気って言ってるお前こそ生意気じゃないか。子供。 それより盛り付けはどうなってる?」
「はいっ!どうよ!」
「22点」
弁当に絶対高得点をあげない呂範に芙蓉はだんだんムキになり始めてきていた。
「よしっ、まぁしょうがない、こんなもんでいいだろ、ハラ減った」
そう言って、芙蓉が手荒にちまちまいじっていた弁当と、箸を取り上げてパクパク食べ始めた。 それを唖然と見やる芙蓉。
「おっ、結構ウマいじゃないか、盛り付け以外なら私の嫁に来てもいいな。」
「…本当?…」
芙蓉の顔が一瞬で桜色に染まる。いつも、ちゃかちゃかしている芙蓉にしては珍しいことだ。
呂範が芙蓉をこういう風に褒めるのも珍しいのだが…。
「ゴホッ…、ゴッ、なんだ?ガラにもなくヲトメちっくになって、キモチ悪いぞ」
「…ネェ…何か言った?子衡せーんせぇ?」
「…イヤ…何も…それにしても、本当に私好みの味付けだよ」
「そりゃ、芙蓉が子衡先生の事を思いに思って、おいしく作ったんだからあたり前なのっ!」
ズバっと言った言葉とは反対に芙蓉の顔ははにかんだ本当に嬉しそうな笑顔だった。
それを見た呂範も同じくらい嬉しそうに笑っている事を本人は知らない…。
*
*
芙蓉は部活を終え、正門へ向かう途中にある職員駐車場の前に差し掛かると 車へ向かう呂範を見つけた。
「あっ!先生っ、送ってっ!部活の後一人で自主練してたら遅くなったー!!」
「嫌」
「なんでよっ!もうこんなに暗いんだよ。可愛い女の子を一人歩きさせていいわけ?」
「井上なら大丈夫だろ。間違ったら私より強いんじゃないか?」
昔っから気が強く、男勝りで、喧嘩だって簡単には負けた事のない芙蓉だったが、 だからこそ今の一言は禁句だったらしい。
しかもそれを思いを寄せている呂範に言われた事のショックと怒りが入り混じり
「それどーゆーことっ?!!あたしが先生より強い? んなわけないじゃないっ!!頭どうかしてんじゃないの?このバカっ!アホっ!!めんどくさがりっ!! 子衡なんてだいっ嫌いっ!!!もうお弁当作ってきてやんないっ!」
そのとき呂範の中で何かが切れた。
「あぁ、大ッキライで結構!バカでもアホでも結構!!めんどくさがり?あぁ、そうですよ!!! だからなんだ?今に始まった事じゃないだろ!それでお前に何か迷惑かけたか?
それどころかお前はそれを承知で俺が好きだったんだろう? ―――お前が私を嫌いになったんなら私はお前に言った言葉を後で かわいそうな事したなとか悩まないでいいんだな。
よかったよ!これからの生活が楽になりそうでっ!!!」
そう荒く言葉を切った呂範はガバっと、芙蓉に背を向けて機嫌悪そうに歩いていった。
(…なぜだろう…井上が相手だといつもムキになってしまう。調子くるうな。)
その後ろでは芙蓉が大声で「バカ――」と叫んでいるのが微かに聞こえた。
帰ろうと、車に乗り学校を出た呂範だったが、すぐに家には向かえず意味もなく 海沿いの道で車をひた走らせていた。
「はぁ、なんであんなに思ってもいない事を言ったんだ。楽だなんて…。 どちらかと言うと井上といると楽しいんだが―――あいつと居ると調子がくるう」
しばらくボーっと考えながら運転していると急にひょんな答えに行き着いた呂範は 危うく急ブレーキを踏みかけた。
それから徐々にスピードを落とし道の隅に車を止めると
「まさか、まさかな。私に限って…。10も違う子供だぞ…」
ハンドルに肘をかけ両手で顔を覆う。
しばらくその状態で動かなかった呂範だが、ゴチャゴチャした気持ちを何とか力ずくで押さえ込むと 再び車を走らせた。
*
*
「子衡先生…」
昨日の呂範のブチ切れた様子に「バカー」とは叫んだものの、準備室と言う一つの部屋で2人っきり。
いざ、本人を目の前にするとどうもバツが悪く、話そうに話し出せない。
それは呂範も同じらしく「なんだ?」と言う顔をしながらも軽く引きつった笑みを浮かべている。
「昨日の…おわび…・・じゃないけど…・・コレアゲル!」
語尾を早口で一気にまくし立て差し出したソレは、可愛くラッピングされたクッキー。どうやら手作りらしい。
「お、あぁ、ありがとう」
呂範もそれだけ言うと、芙蓉の手からクッキーを受け取り可愛らしいラッピングを丁寧に広げようとすると芙蓉が慌てた。
「先生っ!待って!それ、芙蓉が居なくなってから開けて」
芙蓉は顔を赤く染めながらそう言うと、さっさと準備室を出て行った。
「ラッピングなかなか上手いじゃないか。正直、あのときの弁当の盛り付けもそんなに悪くはなかったんだが…」
そう言いながら包みを一つ一つ丁寧に広げていく。
そして、クッキーを口に入れると。
「美味い。。。」
(そう言えばあいつ、あんなこと言ってたけど何かあるのか?) そう思い、ガサガサと箱の中身を探してみるとちいさなメッセージカードがあった。
『昨日は先生が悪いんだよ。気にしてる事言うんだもん。でも、あたしも悪かった。 先生の事全然大っキライじゃないよ。大好きだから。。。
でも、子衡先生は私のことなんとも思ってない事も知ってる。でも、彼女いない事も知ってる。
だから芙蓉まだまだ先生の事あきらめる気なんか全然ないから! 先生も#芙蓉のことちゃんと見てよね。』
呂範は「ふぅ」と、ひとつため息をつくと何か吹っ切れたように
「―――――なんだ。。。そうだったのか。私も落ちたもんだな」
そう言いながらもその顔はやわらかく、やさしく微笑んでいた。
呂範は、勢い良く座っていた椅子から立ち上がると 小走りで芙蓉の姿を追う。
「芙蓉!」
芙蓉が呼ばれた声に従い振り向くと呂範大きな手がふわっと芙蓉の顔を包む。
次の瞬間には目の前に呂範の顔が近づき、かと思うと芙蓉の唇に何かが触れた。
「!!!!!」
びっくりして声も出ない芙蓉だがそんな事お構いなしの呂範はギュっと
芙蓉を抱きしめながら 頭とクシャクシャとすると
「芙蓉。お前こそ私のことをちゃんと見ろ」
もう一度お互いの唇が触れ合った。
「せんせ?子衡先生?」
「今更、先生って呼ぶな。背筋が寒い」
「えっ、子衡…。これって、本気?ウソじゃないよね?からかってないよね?」
足が震えて立っているのがやっとの芙蓉。震え声でなんとか聞くと
「カラカイでこんな後処理がめんどくさい事、私がやると思うか?」
「うんん。あははっ。そうだよね、子衡、究極のめんどくさがりだもんね」
と、言い笑ってはいるものの、一気に力の抜けた芙蓉は くたぁっと呂範の胸にもたれ掛かる様な姿勢になっていた。
それを呂範はやさしく受け止めると、ひょいと芙蓉を持ち上げきちんと立たせると言った。
「どうも、私は自分の事をごまかし続けていたらしい。 自分がこんな子供のことが気になっているなんて思いたくなかったんだな。
でも、さっきお前から貰ったメッセージカードを読んでわかった。もう、無理だ、これ以上誤魔化しきれない。 私は、お前…芙蓉が好きだ。。。。今更嫌だとか言うなよ…」
「言わないっ!!絶対言わないっ!!!芙蓉、この世界中で先生…子衡が一番好きだもんっ! 子衡が嫌いだって言ってもダメだから。ぜぇったい離さないから!」
「なんか、台詞取られたな。ははっ。今から何処か行くか?」
「えっ?今から?まだ授業あるよ?」
「授業?芙蓉は授業と私どっちが好きだ?」
「先生!」
「なら文句はないだろ。行くぞ」
呂範は芙蓉の手を引っぱり芙蓉を自分の前にもってくると 上から覆いかぶさる様に芙蓉を包み込むと言った。
「離さない」
愛してる
「先生♪先生っ♪
小走り気味にるんた、るんたとリズムを踏みながら
「うーん、みつからないなぁ…どこにいるんだろ?準備室にはいなかったしなぁ…」
下を向き、うーんと考え始める。
「あっ!そだ!屋上だっ!!」
そう言って芙蓉は元の調子に戻り、るんた、るんた♪と小走りで屋上へ駆け上って行く。
芙蓉が屋上に着くと、案の定呂範はそこで横になり昼寝していた。 結構爆睡しているらしく芙蓉が近くによっても起きる様子はない。
「きゃーvキャーv子衡先生の寝顔だ――vvかわいいっv かっこいいっv きれいぃぃ――v」
一人やたら盛り上がって大変なことになっている芙蓉だが 呂範を起こさないようにととりあえず小声で騒いでいる。
そして、一人ニヤニヤしながら呂範の頬をつんつんとつついてみた。
すると、呂範は「んー」と1回寝返りをうちながら目を開ける。 その寝返りと一緒に芙蓉は顔をかたむける。
「んーうんっん…――――!!!井上っ!」
呂範が目を開けるとその前に広がっていたのは芙蓉の顔。
「子衡先生――v探したんですよぉ」
「井上…いつからそこに…?」
「ん?先生が爆睡してる時から♪」
「…んで、今日も……?」
「もちろんっ♪昨日、明日もねっ☆って言ったじゃん!」
そう言って、側においてあったお弁当の包みをジャンっ!と差し出す。
「だから、高校教師ゴッコは嫌だって言ったろ」
「だーかーらー、芙蓉はゴッコじゃなくて本気なんだって!」
「それだとよけいメンドくさい」
「なによ、このめんどくさがり子衡」
「…うるさい。んで、今日のメニューはなんなんだ?」
ため息をついて多少うんざりとした顔をしながらも呂範はしょうがなさそうに起き上がり あぐらをかいて座った。
「結局は芙蓉のお弁当食べたいんじゃん♪今日のメニューは、先生の好きな中華弁当だよ。 チャーハンに春巻き、シューマイ。それと、デザートに杏仁豆腐!」
「んーボツ」
「え――――っ!!なんで―――。昨日から下準備とかして頑張ったんだよ――」
芙蓉は、ちょっと泣きそうになりながら呂範の目を見て訴える。
「盛り付けが悪い。私は美術の先生だぞ。人より色彩とか、 視覚の「美しさ」ってやつにはウルさいの知ってるだろ」
「うー、じゃあ、じゃあよ、これがこう来たらどおっ?」
「20点」
「はぁっ?20点!?だったらこうは?」
「18点」
「げぇっ、下がってるし!つーか、人が作ってきてあげたモノにケチつけるなんて生意気なの!」
「私は井上より年上だと思うが?生意気って言ってるお前こそ生意気じゃないか。子供。 それより盛り付けはどうなってる?」
「はいっ!どうよ!」
「22点」
弁当に絶対高得点をあげない呂範に芙蓉はだんだんムキになり始めてきていた。
「よしっ、まぁしょうがない、こんなもんでいいだろ、ハラ減った」
そう言って、芙蓉が手荒にちまちまいじっていた弁当と、箸を取り上げてパクパク食べ始めた。 それを唖然と見やる芙蓉。
「おっ、結構ウマいじゃないか、盛り付け以外なら私の嫁に来てもいいな。」
「…本当?…」
芙蓉の顔が一瞬で桜色に染まる。いつも、ちゃかちゃかしている芙蓉にしては珍しいことだ。
呂範が芙蓉をこういう風に褒めるのも珍しいのだが…。
「ゴホッ…、ゴッ、なんだ?ガラにもなくヲトメちっくになって、キモチ悪いぞ」
「…ネェ…何か言った?子衡せーんせぇ?」
「…イヤ…何も…それにしても、本当に私好みの味付けだよ」
「そりゃ、芙蓉が子衡先生の事を思いに思って、おいしく作ったんだからあたり前なのっ!」
ズバっと言った言葉とは反対に芙蓉の顔ははにかんだ本当に嬉しそうな笑顔だった。
それを見た呂範も同じくらい嬉しそうに笑っている事を本人は知らない…。
*
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芙蓉は部活を終え、正門へ向かう途中にある職員駐車場の前に差し掛かると 車へ向かう呂範を見つけた。
「あっ!先生っ、送ってっ!部活の後一人で自主練してたら遅くなったー!!」
「嫌」
「なんでよっ!もうこんなに暗いんだよ。可愛い女の子を一人歩きさせていいわけ?」
「井上なら大丈夫だろ。間違ったら私より強いんじゃないか?」
昔っから気が強く、男勝りで、喧嘩だって簡単には負けた事のない芙蓉だったが、 だからこそ今の一言は禁句だったらしい。
しかもそれを思いを寄せている呂範に言われた事のショックと怒りが入り混じり
「それどーゆーことっ?!!あたしが先生より強い? んなわけないじゃないっ!!頭どうかしてんじゃないの?このバカっ!アホっ!!めんどくさがりっ!! 子衡なんてだいっ嫌いっ!!!もうお弁当作ってきてやんないっ!」
そのとき呂範の中で何かが切れた。
「あぁ、大ッキライで結構!バカでもアホでも結構!!めんどくさがり?あぁ、そうですよ!!! だからなんだ?今に始まった事じゃないだろ!それでお前に何か迷惑かけたか?
それどころかお前はそれを承知で俺が好きだったんだろう? ―――お前が私を嫌いになったんなら私はお前に言った言葉を後で かわいそうな事したなとか悩まないでいいんだな。
よかったよ!これからの生活が楽になりそうでっ!!!」
そう荒く言葉を切った呂範はガバっと、芙蓉に背を向けて機嫌悪そうに歩いていった。
(…なぜだろう…井上が相手だといつもムキになってしまう。調子くるうな。)
その後ろでは芙蓉が大声で「バカ――」と叫んでいるのが微かに聞こえた。
帰ろうと、車に乗り学校を出た呂範だったが、すぐに家には向かえず意味もなく 海沿いの道で車をひた走らせていた。
「はぁ、なんであんなに思ってもいない事を言ったんだ。楽だなんて…。 どちらかと言うと井上といると楽しいんだが―――あいつと居ると調子がくるう」
しばらくボーっと考えながら運転していると急にひょんな答えに行き着いた呂範は 危うく急ブレーキを踏みかけた。
それから徐々にスピードを落とし道の隅に車を止めると
「まさか、まさかな。私に限って…。10も違う子供だぞ…」
ハンドルに肘をかけ両手で顔を覆う。
しばらくその状態で動かなかった呂範だが、ゴチャゴチャした気持ちを何とか力ずくで押さえ込むと 再び車を走らせた。
*
*
「子衡先生…」
昨日の呂範のブチ切れた様子に「バカー」とは叫んだものの、準備室と言う一つの部屋で2人っきり。
いざ、本人を目の前にするとどうもバツが悪く、話そうに話し出せない。
それは呂範も同じらしく「なんだ?」と言う顔をしながらも軽く引きつった笑みを浮かべている。
「昨日の…おわび…・・じゃないけど…・・コレアゲル!」
語尾を早口で一気にまくし立て差し出したソレは、可愛くラッピングされたクッキー。どうやら手作りらしい。
「お、あぁ、ありがとう」
呂範もそれだけ言うと、芙蓉の手からクッキーを受け取り可愛らしいラッピングを丁寧に広げようとすると芙蓉が慌てた。
「先生っ!待って!それ、芙蓉が居なくなってから開けて」
芙蓉は顔を赤く染めながらそう言うと、さっさと準備室を出て行った。
「ラッピングなかなか上手いじゃないか。正直、あのときの弁当の盛り付けもそんなに悪くはなかったんだが…」
そう言いながら包みを一つ一つ丁寧に広げていく。
そして、クッキーを口に入れると。
「美味い。。。」
(そう言えばあいつ、あんなこと言ってたけど何かあるのか?) そう思い、ガサガサと箱の中身を探してみるとちいさなメッセージカードがあった。
『昨日は先生が悪いんだよ。気にしてる事言うんだもん。でも、あたしも悪かった。 先生の事全然大っキライじゃないよ。大好きだから。。。
でも、子衡先生は私のことなんとも思ってない事も知ってる。でも、彼女いない事も知ってる。
だから芙蓉まだまだ先生の事あきらめる気なんか全然ないから! 先生も#芙蓉のことちゃんと見てよね。』
呂範は「ふぅ」と、ひとつため息をつくと何か吹っ切れたように
「―――――なんだ。。。そうだったのか。私も落ちたもんだな」
そう言いながらもその顔はやわらかく、やさしく微笑んでいた。
呂範は、勢い良く座っていた椅子から立ち上がると 小走りで芙蓉の姿を追う。
「芙蓉!」
芙蓉が呼ばれた声に従い振り向くと呂範大きな手がふわっと芙蓉の顔を包む。
次の瞬間には目の前に呂範の顔が近づき、かと思うと芙蓉の唇に何かが触れた。
「!!!!!」
びっくりして声も出ない芙蓉だがそんな事お構いなしの呂範はギュっと
芙蓉を抱きしめながら 頭とクシャクシャとすると
「芙蓉。お前こそ私のことをちゃんと見ろ」
もう一度お互いの唇が触れ合った。
「せんせ?子衡先生?」
「今更、先生って呼ぶな。背筋が寒い」
「えっ、子衡…。これって、本気?ウソじゃないよね?からかってないよね?」
足が震えて立っているのがやっとの芙蓉。震え声でなんとか聞くと
「カラカイでこんな後処理がめんどくさい事、私がやると思うか?」
「うんん。あははっ。そうだよね、子衡、究極のめんどくさがりだもんね」
と、言い笑ってはいるものの、一気に力の抜けた芙蓉は くたぁっと呂範の胸にもたれ掛かる様な姿勢になっていた。
それを呂範はやさしく受け止めると、ひょいと芙蓉を持ち上げきちんと立たせると言った。
「どうも、私は自分の事をごまかし続けていたらしい。 自分がこんな子供のことが気になっているなんて思いたくなかったんだな。
でも、さっきお前から貰ったメッセージカードを読んでわかった。もう、無理だ、これ以上誤魔化しきれない。 私は、お前…芙蓉が好きだ。。。。今更嫌だとか言うなよ…」
「言わないっ!!絶対言わないっ!!!芙蓉、この世界中で先生…子衡が一番好きだもんっ! 子衡が嫌いだって言ってもダメだから。ぜぇったい離さないから!」
「なんか、台詞取られたな。ははっ。今から何処か行くか?」
「えっ?今から?まだ授業あるよ?」
「授業?芙蓉は授業と私どっちが好きだ?」
「先生!」
「なら文句はないだろ。行くぞ」
呂範は芙蓉の手を引っぱり芙蓉を自分の前にもってくると 上から覆いかぶさる様に芙蓉を包み込むと言った。
「離さない」
愛してる
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