悪役令嬢は恋を知らない
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「椎名さーん!」
「莉奈ちゃん」
数ヶ月後、私達は鬼殺隊解散の日を迎えていた。莉奈ちゃんはやっぱり凄いヒロインで、周囲のありとあらゆる人間を巻き込んで多くの人の命を拾い上げた。
煉獄さんや宇髄さん達柱全員に玄弥君。そして大勢の隊士達。もちろん全てを救えたわけではないけれど原作を知っている身としては本当に凄いことだと思う。
「お久しぶりー!」
「元気そうね」
「もちろん!!」
そう言って私の腕に抱きついてくる莉奈ちゃんは既に隊服ではなくワンピース姿で不死川さん意外な趣味をしてらっしゃる………と思うのは穿ったものの見方だろうか。
「椎名さん、そろそろ煉獄さんとくっ付きましたか?」
実に楽しげに耳打ちしてくる莉奈ちゃんの頭をベリッと引き剥がす。莉奈ちゃんは私の事を弄り甲斐があるとでも思ったのかこの手のことをよく聞いてくる。貴女も女の子なんだからもうちょっと恥じらいを持ちなさい。
「この時代にはこの時代の倫理観があるのよ莉奈ちゃん」
「椎名さん本気で言ってます?あー、そう言えば椎名さんはお嬢様でしたもんね」
言ってしまえば前世は干物だったので適役だと思って欲しい。
「それじゃあ椎名さん!第2ミッション行きますよ!」
「まだ何かやる気なの?」
もう充分色々やった気がするが莉奈ちゃんはまだ何かをする気らしい。苦笑気味に尋ねれば莉奈ちゃんに人差し指を突き付けられた。
「何言ってるんですか!私達、痣が発現してるんですよ!次なるミッションは痣による副作用を抑える薬です!」
「………」
確かに柱の殆どと私達、炭治郎君は痣を発現させている。でもそれを抑える薬なんて………あぁ、なるほど。
「どんな設定ですか?作者様」
使いもしない設定を山のように決めていたらしい莉奈ちゃんに尋ねれば良い笑顔が返ってくる。
「もうここまで来たんだから皆んなが幸せじゃ無いと悔しいですからね!まずはしのぶさんを引き込みましょう!それから大きな商家の娘さんである蜜璃さんにも手伝ってもらいます!もちろん椎名さんも手伝って下さいね!」
「はいはい。御心のままに」
前向きな莉奈ちゃんを見ているとこれからの苦労が苦労と感じられないから不思議だ。もっと詳しい話を聞こうと莉奈ちゃんに近付いた私を力強い腕が引き戻した。
「花野少女!椎名を危ない事に巻き込むのは控えてもらおう!」
最後の柱合会議を終えた煉獄さんが私の肩に腕を回していた。産屋敷邸から戻ってきたのだろう他の柱の皆さんもいる。莉奈ちゃんの目がキラリと光った。
「巻き込んでなんかいません!椎名さんだって当事者なんですよ?私は25なんて若い身空で死ぬのは真平です!だから皆さんも当事者として巻き込まれてください!」
「こぉら莉奈。悲鳴嶼さんの前で失礼だろぉ」
コツンと莉奈ちゃんの頭を小突く不死川さん。その手つきが呆れるほど優しくて笑ってしまいそう。
「紗雪、なに笑ってんだテメェ」
あら、失礼。もう笑ってたわ私。
「何か危ない事をするのなら止めたい所だが………」
「煉獄さん、大正ってとても短いんです」
確か二十年も無く次の元号に変わる筈。だから。
「一緒に新しい元号を迎えたいんです」
30代になった煉獄さんも40代になった煉獄さんもとても素敵だと思うから傍で見てみたい。私が一ファンそのものの発言をすると煉獄さんは手で顔を覆ってしまった。呆れられたのかしら?
「お前も大変だなぁ煉獄よぉ」
「君ほどでは無いから大丈夫だ!」
肩に手を置く不死川さんに煉獄さんが憮然と答える。やっぱり怒ったのかしら。
「あの、煉獄さん。お気に触ったなら………」
「椎名さん、違うと思いますよ」
あら、何かしら?莉奈ちゃんにまで呆れられてる気がする。どうしたものかと思っていると宇髄さんが話しかけてきた。
「なんかやる事あんなら派手に早い方が良いんだろ?何すんのか言えよ」
「宇髄さんは実験台するまで出番ないので大丈夫でーす!」
「はぁ!?ったく不死川の嫁は可愛げねぇ!」
宇髄さんと莉奈ちゃんは相性が悪いのか直ぐに喧嘩しようとする。案の定莉奈ちゃんは宇髄さんの台詞に目くじらを立てて言い返した。
「まだ結婚してないし嫁じゃないですぅ〜!嫁が三人もいるのにそんなことも知らないんですかぁー?」
「かーっ!相変わらずムカつくやつだな!オイ不死川!お前なんでこんな女がいいんだよ!!」
「よぉし宇髄。斬ってやるからそこ動くなよぉ」
賑やかになっていく場にそれでも皆んな明るく笑っていて幸せな気持ちになれる。視界の端で煉獄さんが一つ頷いたのが見えて私はそちらを振り返った。
「煉獄さん?」
「花野少女が言う薬とやらが完成したら俺と祝言を上げよう!」
「……………」
突然のプロポーズに点になる私に煉獄さんは良い笑顔を返してくる。
「俺の妻になってくれ!!」
「きゃー!おめでとうございます!!」
私が返事するより先にお祝いしてくる莉奈ちゃん。ちょっと!私の意志は無視なの!?
「うむ!ありがとう!花野少女!」
「煉獄さん!?私まだお返事してませんよね!?と言うかこんな衆人環視の中言うようなことではありませんわ!!」
「そうか!すまない!!だが俺も学んだのだ!君の倫理観に従っていたら君と結婚できる前に老衰してしまう!」
「どう言う事ですの!?」
そんな岩のような倫理観を持った記憶はない………けれど残念ながら誰もフォローしてくれない。おかしい。
「じゃあ準備が整い次第、出発しますよ椎名さん!」
「あ、莉奈ちゃん待って………」
何処に行くのか。何をするのか前もって教えて欲しい。莉奈ちゃんの後を追おうとしたら、煉獄さんに手を掴まれた。
「返事は?」
「え?」
「せめて返事ぐらいは聞かせてくれ」
そっか!プロポーズに返事しないままは失礼だものね!やだー、プロポーズなんて恋人同士みたい。
「………えっ!?私達恋人同士なんですか!?」
「そこからか!!」
地面に膝をついて項垂れる煉獄さんに必死で謝罪する私の情けない声をBGMに莉奈ちゃんの第2ミッションは始まるのだった。
「莉奈ちゃん」
数ヶ月後、私達は鬼殺隊解散の日を迎えていた。莉奈ちゃんはやっぱり凄いヒロインで、周囲のありとあらゆる人間を巻き込んで多くの人の命を拾い上げた。
煉獄さんや宇髄さん達柱全員に玄弥君。そして大勢の隊士達。もちろん全てを救えたわけではないけれど原作を知っている身としては本当に凄いことだと思う。
「お久しぶりー!」
「元気そうね」
「もちろん!!」
そう言って私の腕に抱きついてくる莉奈ちゃんは既に隊服ではなくワンピース姿で不死川さん意外な趣味をしてらっしゃる………と思うのは穿ったものの見方だろうか。
「椎名さん、そろそろ煉獄さんとくっ付きましたか?」
実に楽しげに耳打ちしてくる莉奈ちゃんの頭をベリッと引き剥がす。莉奈ちゃんは私の事を弄り甲斐があるとでも思ったのかこの手のことをよく聞いてくる。貴女も女の子なんだからもうちょっと恥じらいを持ちなさい。
「この時代にはこの時代の倫理観があるのよ莉奈ちゃん」
「椎名さん本気で言ってます?あー、そう言えば椎名さんはお嬢様でしたもんね」
言ってしまえば前世は干物だったので適役だと思って欲しい。
「それじゃあ椎名さん!第2ミッション行きますよ!」
「まだ何かやる気なの?」
もう充分色々やった気がするが莉奈ちゃんはまだ何かをする気らしい。苦笑気味に尋ねれば莉奈ちゃんに人差し指を突き付けられた。
「何言ってるんですか!私達、痣が発現してるんですよ!次なるミッションは痣による副作用を抑える薬です!」
「………」
確かに柱の殆どと私達、炭治郎君は痣を発現させている。でもそれを抑える薬なんて………あぁ、なるほど。
「どんな設定ですか?作者様」
使いもしない設定を山のように決めていたらしい莉奈ちゃんに尋ねれば良い笑顔が返ってくる。
「もうここまで来たんだから皆んなが幸せじゃ無いと悔しいですからね!まずはしのぶさんを引き込みましょう!それから大きな商家の娘さんである蜜璃さんにも手伝ってもらいます!もちろん椎名さんも手伝って下さいね!」
「はいはい。御心のままに」
前向きな莉奈ちゃんを見ているとこれからの苦労が苦労と感じられないから不思議だ。もっと詳しい話を聞こうと莉奈ちゃんに近付いた私を力強い腕が引き戻した。
「花野少女!椎名を危ない事に巻き込むのは控えてもらおう!」
最後の柱合会議を終えた煉獄さんが私の肩に腕を回していた。産屋敷邸から戻ってきたのだろう他の柱の皆さんもいる。莉奈ちゃんの目がキラリと光った。
「巻き込んでなんかいません!椎名さんだって当事者なんですよ?私は25なんて若い身空で死ぬのは真平です!だから皆さんも当事者として巻き込まれてください!」
「こぉら莉奈。悲鳴嶼さんの前で失礼だろぉ」
コツンと莉奈ちゃんの頭を小突く不死川さん。その手つきが呆れるほど優しくて笑ってしまいそう。
「紗雪、なに笑ってんだテメェ」
あら、失礼。もう笑ってたわ私。
「何か危ない事をするのなら止めたい所だが………」
「煉獄さん、大正ってとても短いんです」
確か二十年も無く次の元号に変わる筈。だから。
「一緒に新しい元号を迎えたいんです」
30代になった煉獄さんも40代になった煉獄さんもとても素敵だと思うから傍で見てみたい。私が一ファンそのものの発言をすると煉獄さんは手で顔を覆ってしまった。呆れられたのかしら?
「お前も大変だなぁ煉獄よぉ」
「君ほどでは無いから大丈夫だ!」
肩に手を置く不死川さんに煉獄さんが憮然と答える。やっぱり怒ったのかしら。
「あの、煉獄さん。お気に触ったなら………」
「椎名さん、違うと思いますよ」
あら、何かしら?莉奈ちゃんにまで呆れられてる気がする。どうしたものかと思っていると宇髄さんが話しかけてきた。
「なんかやる事あんなら派手に早い方が良いんだろ?何すんのか言えよ」
「宇髄さんは実験台するまで出番ないので大丈夫でーす!」
「はぁ!?ったく不死川の嫁は可愛げねぇ!」
宇髄さんと莉奈ちゃんは相性が悪いのか直ぐに喧嘩しようとする。案の定莉奈ちゃんは宇髄さんの台詞に目くじらを立てて言い返した。
「まだ結婚してないし嫁じゃないですぅ〜!嫁が三人もいるのにそんなことも知らないんですかぁー?」
「かーっ!相変わらずムカつくやつだな!オイ不死川!お前なんでこんな女がいいんだよ!!」
「よぉし宇髄。斬ってやるからそこ動くなよぉ」
賑やかになっていく場にそれでも皆んな明るく笑っていて幸せな気持ちになれる。視界の端で煉獄さんが一つ頷いたのが見えて私はそちらを振り返った。
「煉獄さん?」
「花野少女が言う薬とやらが完成したら俺と祝言を上げよう!」
「……………」
突然のプロポーズに点になる私に煉獄さんは良い笑顔を返してくる。
「俺の妻になってくれ!!」
「きゃー!おめでとうございます!!」
私が返事するより先にお祝いしてくる莉奈ちゃん。ちょっと!私の意志は無視なの!?
「うむ!ありがとう!花野少女!」
「煉獄さん!?私まだお返事してませんよね!?と言うかこんな衆人環視の中言うようなことではありませんわ!!」
「そうか!すまない!!だが俺も学んだのだ!君の倫理観に従っていたら君と結婚できる前に老衰してしまう!」
「どう言う事ですの!?」
そんな岩のような倫理観を持った記憶はない………けれど残念ながら誰もフォローしてくれない。おかしい。
「じゃあ準備が整い次第、出発しますよ椎名さん!」
「あ、莉奈ちゃん待って………」
何処に行くのか。何をするのか前もって教えて欲しい。莉奈ちゃんの後を追おうとしたら、煉獄さんに手を掴まれた。
「返事は?」
「え?」
「せめて返事ぐらいは聞かせてくれ」
そっか!プロポーズに返事しないままは失礼だものね!やだー、プロポーズなんて恋人同士みたい。
「………えっ!?私達恋人同士なんですか!?」
「そこからか!!」
地面に膝をついて項垂れる煉獄さんに必死で謝罪する私の情けない声をBGMに莉奈ちゃんの第2ミッションは始まるのだった。
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