悪役令嬢は恋を知らない
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「つまり?」
「つまり!椎名さんにも私と同じ前世の記憶があると言う事です!!」
風屋敷の奥座敷に場所を変えての風柱様の問いかけに莉奈ちゃんが元気よく答えた。せめて私がどんな顔しているか確認してから返事をして欲しい。
「………そうなのか椎名」
「……………はい」
あー、ごめんなさい、申し訳ない、罪悪感が凄すぎてまともに煉獄さんの顔を見られない。だってこれって今まで騙していた事になるんだもの。死んでいった隊士達にだってなんて詫びれば良いのか。
(あ………)
体が重い。私のしてきた事は間違いだった?知っていることを話していれば助けられたかも知れない?死んでいった者の命の重みで呼吸が出来ない。
「っ!」
グッと手を掴まれて私は我に返った。煉獄さんが真っ直ぐ私を見ている。その瞳には怒りや疑いは無く私の体はそれだけで随分軽くなった。
「不死川!俺たちはこれで失礼する!椎名と二人で話がしたい!!」
「好きにしろぉ。俺は莉奈から話を聞いておく」
「うむ!さぁ行こう!」
腕を引かれて風屋敷を後にすると人気の少ない道を歩く。煉獄さんの背中を見ているうちにポロポロと涙が溢れてきた。それに気付いた煉獄さんが歩みを止めると振り返る。
「何故泣く」
「………ごめんなさい」
「俺は怒ってないし責めたいわけでもない」
「それは………分かります。でも………」
煉獄さんが怒ってないのは分かる。そんなんじゃ無く自分が情けなくて………自分が力を持つだけじゃ駄目だったのに、強くなった気になって………色んな任務に参加して何でも出来る気になってた。莉奈ちゃんのように胸の中を開いて見せられるようなそんな強さが必要だったのに。
「ごめんなさい………」
「君は謝ってばかりだな」
「ごめん、なさい」
フワリと抱き締められて更に涙腺が決壊した気がする。炎柱の羽織が濡れてしまうわ。
「君のこの二年程の行動は俺を守ろうとしての事だったんだな」
「……………」
返事が出来ない。私はそのつもりだったけど、全部意味がなかったことを思うと頷いて良いのかと思ってしまう。煉獄さんはそんな事お見通しなのか優しく笑うと涙を拭ってくれた。
「ありがとう椎名」
「わ、たし…なに、も………」
あぁ、泣き止まなくちゃ煉獄さんを困らせてしまうわ。離れようと体に力を入れたけれど、それは煉獄さんに呆気なく抑えられてしまった。どうして………?
「君を離したくない。椎名、君が好きだ」
「………ぇ?」
煉獄さんの言葉の意味が理解出来なくて聞き返す。好き?誰が?誰を?煉獄さんは鼻がくっついてしまいそうな程近く私の顔を見つめた。
「俺は、君が、好きだ」
「……………」
驚きから涙が引っ込む。だ、だって………煉獄さんはヒロインちゃんと……………あ、そうか………もうヒロインちゃんは、莉奈ちゃんは風柱様といるんだわ。
『肝心の杏寿郎君がどうしたいかは考えたことがあるかい?』
夏彦お兄様の言葉が思い出される。私………もしかして、煉獄さんに酷いこと、してた?
「煉獄さ………」
謝ろうと口を開きかけた私を遮るように煉獄さんの胸に顔を押し付けられる。
「聞いてくれ。俺が臆病だったが為に君に随分無理をさせてきた。子供心に好いた者がまた居なくなるのが恐ろしく、気持ちを言葉に出来ずにきた。約束をしたのだから君も同じ気持ちだろうなどと………慢心していた」
そんな………そんな事………あぁ、駄目。頭が真っ白で何も考えられない。
「君の日記にも毎日のように俺の事が書かれていたし安心していたのだ。夏彦さんや冬吾さんからも………」
……………んぇ?今何と!?日記………日記って言った!?読んだの!?あのストーカー日記を読んだの!?待って待って!煉獄さんがそれを読んだと言う事は誰かがそれを家から持ち出したと言う事で………っ!まさか!
「まさかお兄様達までご存じなの!?」
「あ、あぁ、日記を見せてくれたのはお二人だからな」
ガバッと顔を上げた私に驚きつつ頷く煉獄さんに先ほどとは違う意味で頭が真っ白になった。嘘でしょ!?あんなの人に………しかも推し本人に読まれるとか何の責め苦なの!?いやぁああああっ!!!
「……………っ!」
ま、待って待って待って!なにシレッと煉獄さんに抱き締めてもらってるの私!!イエス推し!ノータッチよ!!
「待て椎名、何故離れようとする」
「当たり前です!確かに煉獄さんは私の推しだけど推しにはお触り厳禁です!!」
「何の話だ!?」
こんな状況で言うのもなんだけど流石は柱。押しても引いてもびくともしないわ!煉獄さんは私の抵抗を嬉々として抑え込むとにこやかに笑った。
「では君の中の人とやらのことを教えてくれ!教えてくれるなら離そう!」
「何でも話しますから!!」
煉獄さんの脅しに屈した私は結局知ってることを全部洗いざらい白状させられたのだった。
「つまり!椎名さんにも私と同じ前世の記憶があると言う事です!!」
風屋敷の奥座敷に場所を変えての風柱様の問いかけに莉奈ちゃんが元気よく答えた。せめて私がどんな顔しているか確認してから返事をして欲しい。
「………そうなのか椎名」
「……………はい」
あー、ごめんなさい、申し訳ない、罪悪感が凄すぎてまともに煉獄さんの顔を見られない。だってこれって今まで騙していた事になるんだもの。死んでいった隊士達にだってなんて詫びれば良いのか。
(あ………)
体が重い。私のしてきた事は間違いだった?知っていることを話していれば助けられたかも知れない?死んでいった者の命の重みで呼吸が出来ない。
「っ!」
グッと手を掴まれて私は我に返った。煉獄さんが真っ直ぐ私を見ている。その瞳には怒りや疑いは無く私の体はそれだけで随分軽くなった。
「不死川!俺たちはこれで失礼する!椎名と二人で話がしたい!!」
「好きにしろぉ。俺は莉奈から話を聞いておく」
「うむ!さぁ行こう!」
腕を引かれて風屋敷を後にすると人気の少ない道を歩く。煉獄さんの背中を見ているうちにポロポロと涙が溢れてきた。それに気付いた煉獄さんが歩みを止めると振り返る。
「何故泣く」
「………ごめんなさい」
「俺は怒ってないし責めたいわけでもない」
「それは………分かります。でも………」
煉獄さんが怒ってないのは分かる。そんなんじゃ無く自分が情けなくて………自分が力を持つだけじゃ駄目だったのに、強くなった気になって………色んな任務に参加して何でも出来る気になってた。莉奈ちゃんのように胸の中を開いて見せられるようなそんな強さが必要だったのに。
「ごめんなさい………」
「君は謝ってばかりだな」
「ごめん、なさい」
フワリと抱き締められて更に涙腺が決壊した気がする。炎柱の羽織が濡れてしまうわ。
「君のこの二年程の行動は俺を守ろうとしての事だったんだな」
「……………」
返事が出来ない。私はそのつもりだったけど、全部意味がなかったことを思うと頷いて良いのかと思ってしまう。煉獄さんはそんな事お見通しなのか優しく笑うと涙を拭ってくれた。
「ありがとう椎名」
「わ、たし…なに、も………」
あぁ、泣き止まなくちゃ煉獄さんを困らせてしまうわ。離れようと体に力を入れたけれど、それは煉獄さんに呆気なく抑えられてしまった。どうして………?
「君を離したくない。椎名、君が好きだ」
「………ぇ?」
煉獄さんの言葉の意味が理解出来なくて聞き返す。好き?誰が?誰を?煉獄さんは鼻がくっついてしまいそうな程近く私の顔を見つめた。
「俺は、君が、好きだ」
「……………」
驚きから涙が引っ込む。だ、だって………煉獄さんはヒロインちゃんと……………あ、そうか………もうヒロインちゃんは、莉奈ちゃんは風柱様といるんだわ。
『肝心の杏寿郎君がどうしたいかは考えたことがあるかい?』
夏彦お兄様の言葉が思い出される。私………もしかして、煉獄さんに酷いこと、してた?
「煉獄さ………」
謝ろうと口を開きかけた私を遮るように煉獄さんの胸に顔を押し付けられる。
「聞いてくれ。俺が臆病だったが為に君に随分無理をさせてきた。子供心に好いた者がまた居なくなるのが恐ろしく、気持ちを言葉に出来ずにきた。約束をしたのだから君も同じ気持ちだろうなどと………慢心していた」
そんな………そんな事………あぁ、駄目。頭が真っ白で何も考えられない。
「君の日記にも毎日のように俺の事が書かれていたし安心していたのだ。夏彦さんや冬吾さんからも………」
……………んぇ?今何と!?日記………日記って言った!?読んだの!?あのストーカー日記を読んだの!?待って待って!煉獄さんがそれを読んだと言う事は誰かがそれを家から持ち出したと言う事で………っ!まさか!
「まさかお兄様達までご存じなの!?」
「あ、あぁ、日記を見せてくれたのはお二人だからな」
ガバッと顔を上げた私に驚きつつ頷く煉獄さんに先ほどとは違う意味で頭が真っ白になった。嘘でしょ!?あんなの人に………しかも推し本人に読まれるとか何の責め苦なの!?いやぁああああっ!!!
「……………っ!」
ま、待って待って待って!なにシレッと煉獄さんに抱き締めてもらってるの私!!イエス推し!ノータッチよ!!
「待て椎名、何故離れようとする」
「当たり前です!確かに煉獄さんは私の推しだけど推しにはお触り厳禁です!!」
「何の話だ!?」
こんな状況で言うのもなんだけど流石は柱。押しても引いてもびくともしないわ!煉獄さんは私の抵抗を嬉々として抑え込むとにこやかに笑った。
「では君の中の人とやらのことを教えてくれ!教えてくれるなら離そう!」
「何でも話しますから!!」
煉獄さんの脅しに屈した私は結局知ってることを全部洗いざらい白状させられたのだった。