悪役令嬢は恋を知らない
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「椎名!」
「煉獄さん」
もう少しで風屋敷という所で煉獄さんとばったり会った。駆け足で近付いてきた煉獄さんは………何だか嬉しそう?
「不死川の所に行くのか?」
「えぇ、蟲柱様に仰せつかりました。莉奈ちゃんの様子を見てほしいと」
「そうか!では俺も行こう!!」
なるほど、莉奈ちゃんに会えるのが楽しみなのね。それなら納得。
「柱合会議の日はご苦労だったな椎名!花野少女の面倒も見ていたのに不死川に途中退席させられて驚いたろう!」
(花野少女?)
随分回りくどい呼び方ね。うーん、やっぱり色々齟齬がある気がする。風屋敷に行けば何かわかるのかしら。
「む?賑やかだな!」
「そうですね………」
風屋敷に近付くにつれ言い争う様な声が聞こえてきた。その声はドンドン大きくなってきて玄関から風柱様と莉奈ちゃんが飛び出してくる。
「だから!んな事テメェがする必要はねぇんだ!!」
「あります!大有りです!!私言いましたよね!?鍛錬したら強くなれるんだって!!スペック高いんですから!!」
「すぺっくって何だぁ!!」
「「……………」」
えー………何と言うか、ツッコミどころが多数過ぎてどうしたら良いの?呆気に取られる私を他所に煉獄さんは苦笑している。何でそんな反応なんですか。私の視線に気付いた煉獄さんがネタバラシをしてくれた。
「花野少女には前世の記憶というものがあるらしい!それによると花野少女には大変な才能があってメキメキ頭角を現し、俺や宇髄の危機を救うそうだ!」
「……………」
はあぁぁぁぁーっ!?何ぶっちゃけてんの!?莉奈ちゃん!!て言うか前世のその記憶って………記憶って!私と同じって事!?
「不死川!往来まで筒抜けだ!」
「おう、煉獄じゃねぇかぁ。それと紗雪か」
「蟲柱様の命で参りました」
「あー!煉獄さん!椎名さん!!実弥さんを説得して下さーい!!」
私に泣きついてくる莉奈ちゃん。もう名前呼びとは距離の近い子だ………えっ!?風柱様を説得!?無理無理!!こんな頑固な人どうやって説得するのよ!!
「テメェで納得させられねぇならこの話は無しだぁ!」
「どうしてですか!!私が戦力になれば煉獄さんは猗窩座に負けずに済むんですよ!?ね!椎名さん!」
「ちょっと落ち着いて莉奈ちゃん。確かに上弦の鬼は強敵だけれど………」
「………ん?」
「はぁ?」
「え?」
三人にキョトンとした顔で見られて私は思考停止した。え、何か今おかしな事言った?
「椎名、猗窩座という名が上弦の鬼の名だと何故知っているんだ?」
「……………」
あぁぁぁーっ!!やっちゃった!!莉奈ちゃんが普通に猗窩座って言うからつられた!!どどど、どうしよう!?これってつまり内通者として疑われても仕方ないんじゃ………!
「ちょーっっっと待ったーっ!!!椎名さんお借りしますね!!!」
莉奈ちゃんが大声をあげたかと思うと私の腕を引っ張った。そのまま力任せに風屋敷の裏庭まで連れていかれる。莉奈ちゃんは立ち止まって振り返るとガシッと私の両肩を掴んだ。
「二次元は!?」
「う、裏切らない」
余りの勢いについ馬鹿正直に答えてしまう。莉奈ちゃんは目を輝かせた。
「こんにちは!中の人について伺って良いですか!?」
「ちょっと!人聞きの悪いこと言わないで頂戴!!私は生まれた時から私自身よ!?」
前世の記憶の有る無しで私と言う人間を否定されたくない。しかし莉奈ちゃんは余程嬉しかったのか私の抗議などどこ吹く風だった。
「じゃあ転生ですね!事故ですか?事件ですか?」
「それを嬉々として聞くのは止めた方が良いわよ。人間性を疑われるわ」
前世での死因をそんな楽しそうに聞かないで欲しい。あーでもそんな期待に満ちた目で見られると………まぁいっか。もう昔の事だものね。
「交通事故よ。3年前には両親を飛行機事故で無くしているのに嫌になるわよね」
「あ………ごめんなさい。流石に無神経でした」
突然反省した莉奈ちゃんに苦笑すると私は胸に手を置いた。
「もう前の名前は良いわよね。電機メーカー勤務3年目のしがないOLだったわ」
「ち、ちなみに薄い本にご興味なんて………」
恐る恐るの質問につい吹き出してしまう。こちらからも少し踏み込んでみようかしら。
「それはキミコイについて聞きたいって事?」
「あー」
唐突にスンとした顔になる莉奈ちゃん。えっ!?何か違った!?
「なんか分かってきた気がします。椎名さんもしかしてカゼコイは知らない?」
カゼコイ?初めましてのタイトルだけど………?首を傾げた私に莉奈ちゃんが続ける。
「『風の様な貴方と恋をする』でカゼコイです。確か………キミコイの一年半後ぐらいに出したやつ」
「………出したやつ?」
出たんじゃなくて出したの?私の呟きに莉奈ちゃんはギクリと身を強ばらせた。え、もしかしてもしかする?
「拝んで良いですか」
「止めてー」
「貢ぎ物したいです」
「勘弁して!」
莉奈ちゃんは本気で恥ずかしかったのか両手で顔を覆ってしまった。耳まで赤いわ。流石に可哀想かも。
「キミコイのラストで荒れたのは椎名さんも知ってるでしょう?実はあれ友達とのトークで安価して決めたの」
「なにしてるの貴女」
「私もラストとしてはイマイチだと思ったけど!安価は絶対!!」
いや、そこは作者としても矜持を守るべきだったのでは?
「それで自分でも納得できる本が作りたくて一年半後にカゼコイを作ったの」
「ちなみに何故風に?」
「一目惚れ!!」
もうそれしか考えられなかったのー!と頬を染める莉奈ちゃんはヒロインそのものだ。えっ?………つまり?
「煉獄さんは時空を超えない?」
「うん、それどころか柱も引退しないよ」
「……………」
ヘナと私はその場に座り込んだ。これまでの自分の苦労は全て無駄になったけれど、煉獄さんが無事だと言うならそれで良い。
「良かった………」
「話は終わったかぁ?」
風柱様の声に私達は後ろを振り返った。煉獄さんと風柱様が腕を組み並んで立っている。
「先程不死川にも言ったが往来まで筒抜けだ!」
「話し合いが必要みてぇだなぁオイ」
あぁ………オワタ。
「煉獄さん」
もう少しで風屋敷という所で煉獄さんとばったり会った。駆け足で近付いてきた煉獄さんは………何だか嬉しそう?
「不死川の所に行くのか?」
「えぇ、蟲柱様に仰せつかりました。莉奈ちゃんの様子を見てほしいと」
「そうか!では俺も行こう!!」
なるほど、莉奈ちゃんに会えるのが楽しみなのね。それなら納得。
「柱合会議の日はご苦労だったな椎名!花野少女の面倒も見ていたのに不死川に途中退席させられて驚いたろう!」
(花野少女?)
随分回りくどい呼び方ね。うーん、やっぱり色々齟齬がある気がする。風屋敷に行けば何かわかるのかしら。
「む?賑やかだな!」
「そうですね………」
風屋敷に近付くにつれ言い争う様な声が聞こえてきた。その声はドンドン大きくなってきて玄関から風柱様と莉奈ちゃんが飛び出してくる。
「だから!んな事テメェがする必要はねぇんだ!!」
「あります!大有りです!!私言いましたよね!?鍛錬したら強くなれるんだって!!スペック高いんですから!!」
「すぺっくって何だぁ!!」
「「……………」」
えー………何と言うか、ツッコミどころが多数過ぎてどうしたら良いの?呆気に取られる私を他所に煉獄さんは苦笑している。何でそんな反応なんですか。私の視線に気付いた煉獄さんがネタバラシをしてくれた。
「花野少女には前世の記憶というものがあるらしい!それによると花野少女には大変な才能があってメキメキ頭角を現し、俺や宇髄の危機を救うそうだ!」
「……………」
はあぁぁぁぁーっ!?何ぶっちゃけてんの!?莉奈ちゃん!!て言うか前世のその記憶って………記憶って!私と同じって事!?
「不死川!往来まで筒抜けだ!」
「おう、煉獄じゃねぇかぁ。それと紗雪か」
「蟲柱様の命で参りました」
「あー!煉獄さん!椎名さん!!実弥さんを説得して下さーい!!」
私に泣きついてくる莉奈ちゃん。もう名前呼びとは距離の近い子だ………えっ!?風柱様を説得!?無理無理!!こんな頑固な人どうやって説得するのよ!!
「テメェで納得させられねぇならこの話は無しだぁ!」
「どうしてですか!!私が戦力になれば煉獄さんは猗窩座に負けずに済むんですよ!?ね!椎名さん!」
「ちょっと落ち着いて莉奈ちゃん。確かに上弦の鬼は強敵だけれど………」
「………ん?」
「はぁ?」
「え?」
三人にキョトンとした顔で見られて私は思考停止した。え、何か今おかしな事言った?
「椎名、猗窩座という名が上弦の鬼の名だと何故知っているんだ?」
「……………」
あぁぁぁーっ!!やっちゃった!!莉奈ちゃんが普通に猗窩座って言うからつられた!!どどど、どうしよう!?これってつまり内通者として疑われても仕方ないんじゃ………!
「ちょーっっっと待ったーっ!!!椎名さんお借りしますね!!!」
莉奈ちゃんが大声をあげたかと思うと私の腕を引っ張った。そのまま力任せに風屋敷の裏庭まで連れていかれる。莉奈ちゃんは立ち止まって振り返るとガシッと私の両肩を掴んだ。
「二次元は!?」
「う、裏切らない」
余りの勢いについ馬鹿正直に答えてしまう。莉奈ちゃんは目を輝かせた。
「こんにちは!中の人について伺って良いですか!?」
「ちょっと!人聞きの悪いこと言わないで頂戴!!私は生まれた時から私自身よ!?」
前世の記憶の有る無しで私と言う人間を否定されたくない。しかし莉奈ちゃんは余程嬉しかったのか私の抗議などどこ吹く風だった。
「じゃあ転生ですね!事故ですか?事件ですか?」
「それを嬉々として聞くのは止めた方が良いわよ。人間性を疑われるわ」
前世での死因をそんな楽しそうに聞かないで欲しい。あーでもそんな期待に満ちた目で見られると………まぁいっか。もう昔の事だものね。
「交通事故よ。3年前には両親を飛行機事故で無くしているのに嫌になるわよね」
「あ………ごめんなさい。流石に無神経でした」
突然反省した莉奈ちゃんに苦笑すると私は胸に手を置いた。
「もう前の名前は良いわよね。電機メーカー勤務3年目のしがないOLだったわ」
「ち、ちなみに薄い本にご興味なんて………」
恐る恐るの質問につい吹き出してしまう。こちらからも少し踏み込んでみようかしら。
「それはキミコイについて聞きたいって事?」
「あー」
唐突にスンとした顔になる莉奈ちゃん。えっ!?何か違った!?
「なんか分かってきた気がします。椎名さんもしかしてカゼコイは知らない?」
カゼコイ?初めましてのタイトルだけど………?首を傾げた私に莉奈ちゃんが続ける。
「『風の様な貴方と恋をする』でカゼコイです。確か………キミコイの一年半後ぐらいに出したやつ」
「………出したやつ?」
出たんじゃなくて出したの?私の呟きに莉奈ちゃんはギクリと身を強ばらせた。え、もしかしてもしかする?
「拝んで良いですか」
「止めてー」
「貢ぎ物したいです」
「勘弁して!」
莉奈ちゃんは本気で恥ずかしかったのか両手で顔を覆ってしまった。耳まで赤いわ。流石に可哀想かも。
「キミコイのラストで荒れたのは椎名さんも知ってるでしょう?実はあれ友達とのトークで安価して決めたの」
「なにしてるの貴女」
「私もラストとしてはイマイチだと思ったけど!安価は絶対!!」
いや、そこは作者としても矜持を守るべきだったのでは?
「それで自分でも納得できる本が作りたくて一年半後にカゼコイを作ったの」
「ちなみに何故風に?」
「一目惚れ!!」
もうそれしか考えられなかったのー!と頬を染める莉奈ちゃんはヒロインそのものだ。えっ?………つまり?
「煉獄さんは時空を超えない?」
「うん、それどころか柱も引退しないよ」
「……………」
ヘナと私はその場に座り込んだ。これまでの自分の苦労は全て無駄になったけれど、煉獄さんが無事だと言うならそれで良い。
「良かった………」
「話は終わったかぁ?」
風柱様の声に私達は後ろを振り返った。煉獄さんと風柱様が腕を組み並んで立っている。
「先程不死川にも言ったが往来まで筒抜けだ!」
「話し合いが必要みてぇだなぁオイ」
あぁ………オワタ。