悪役令嬢は恋を知らない
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「君も雨宿りか!」
「……えぇ、雨が降る直前にここに入れましたの」
随分降られてしまったのだろう煉獄さんはびしょ濡れだった。どうしよう、風邪をひいてしまうわ。
「囲炉裏が切ってあると良いのだけれど……」
せめて釜戸でも良い。私は気休めにと煉獄さんに手ぬぐいを渡すと廃屋の中を見渡した。あぁ、良かった。囲炉裏がちゃんとある。
「椎名、俺なら大丈夫だ!」
「ちょっと待ってて下さいね」
埃っぽいのは仕方がない。でも大丈夫、使えそう。椎名はお嬢様育ちだから火なんて起こしたことはないだろうけど、前世の私はキャンプの経験があるし何とかしてみせるよ!
ボロ布を着火剤代わりに上に細かな木を置いてマッチをする。一応最低限の装備としてマッチとかは持ち歩いてて良かった!危なげなく火をつける私が珍しいのか煉獄さんは目を丸くしていた。
余ったボロ布で囲炉裏の周囲を拭くと私は煉獄さんを手招いた。
「綺麗な場所とは言い難いですが濡れたままでは良くありませんわ。私の服では小さくてお貸しすることも出来ませんし……まず羽織を乾かして、それから服を乾かしましょう」
流石に煉獄さんをすっぽんぽんにさせる訳にはいかないので苦肉の策だ。立ち尽くしている煉獄さんに私は首を傾げた。
「煉獄さん?風邪をひいてしまいますわ」
「あ、あぁ。わざわざすまない!」
煉獄さんは入り口で羽織と隊服の上だけ脱ぐと力一杯搾った。あ!そうだわ!!
「えっと……こんな所で何ですが炎柱就任おめでとうございます」
「ありがとう。すまないが上を全て脱いで構わないか?やはり濡れたままでは体が冷える」
白シャツ姿の煉獄さん!なんて不埒なことを考えていた私は慌てて後ろを向いた。いやいや!何のボーナスステージなの!?無理無理!!恥ずかしさで爆発出来るよ!?
「そうですよね!私はこちらを向いていますのでどうぞ!!」
あぁぁ、顔が熱い!囲炉裏の火のせいだと思いたいけど流石に無理!少しの衣擦れの音がして、その後は長い沈黙が続いた。
「…………」
「…………」
(えっっっとぉ?)
何で無言?何で静寂?あ!そうか!!いつもは煉獄さんが話しかけてくれるから私は返事をするだけだったもんね!自分から話振ったことないや!待ってこの沈黙すごい辛いんだけど!?
「椎名」
「はいっ!」
突然名前を呼ばれ私は勢いよく振り返って、次の瞬間前に向き直った。いやぁぁぁぁあ!煉獄さんの肌色がっ!見てない見てない!私は見てない!多分……残像ぐらいは見たかもしれないけど、でもセーフ!!
「このままで……ごめんなさい」
「いや、俺の方こそすまない」
煉獄さんの声に覇気が無い。私はある事に気付いて思わず吹き出した。
「ふふっ」
「どうした?」
「いえ、煉獄さんここに来てから謝ってばかりだなと思って」
すまないすまないって謝る必要なんか無いのに。緊張と緩和のギャップが大き過ぎたのか私はなかなか笑いが収まらなかった。
「いつまで笑ってるんだ」
「ご、めんなさい……もうちょっと、待って……!?」
グイと肩を引かれ振り返れば煉獄さんが間近にこちらを覗き込んでいた。ふぇ!?近い近い近い!!
「なっ、なんですの!?」
「君がこんなに笑っているのを見るのは久しぶりだ」
珍しいですか!そうですか!!でもこっちはイケメンの至近距離攻撃が辛いなぁ!
「だからって人の顔を覗き込むのは行儀悪いです!」
「それはすまん!」
笑いながら謝ってるし!煉獄さん面白がってません!?背中を向けたままプンス!と怒っていると羽織と隊服の上が乾いたのか煉獄さんが濡れている服と乾いている服を取り替えているのが分かった。
「振り返らないでくれよ?」
「振り返るはずがないでしょ!!」
だって脱いでるの下だもんね!!本の向こうならキャー♪で済むけどリアルは無理!!
「これで良し。椎名」
「何ですか?」
さっきの言いかけかな?私が返事すると煉獄さんが小さく笑った。
「やはり少し肌寒い。こんな言い方ですまないが湯たんぽの代わりになってくれないか」
もう振り返っても大丈夫だと言われて恐る恐る振り返ると煉獄さんは上は黒の隊服だけ。下は……。
「歴代の炎柱には怒られそうだが非常時だから多めに見てもらおう」
「炎柱の証が腰巻きですものね」
しっかり巻き付けられた羽織に私は苦笑した。大事な羽織だけど確かに非常事態だもんね。
「椎名」
「えぇと……重かったらごめんなさい」
両手を広げてくる煉獄さんに恐る恐る寄っていくと、ヒョイと抱えられ膝の上に下ろされる。えっ!ちょっと待って!相当恥ずかしい!!
「すまないがなるべく寄り添ってくれるか」
「あ、はい!」
そう!煉獄さんは寒いの!寒いのよ!!私は湯たんぽ!人間懐炉なの!!
「あぁ、暖かいな」
「それは……何よりです」
私を抱き込んでほぅ……と息をつく煉獄さんにただひたすら無心でいる事に努める事にした。
「……えぇ、雨が降る直前にここに入れましたの」
随分降られてしまったのだろう煉獄さんはびしょ濡れだった。どうしよう、風邪をひいてしまうわ。
「囲炉裏が切ってあると良いのだけれど……」
せめて釜戸でも良い。私は気休めにと煉獄さんに手ぬぐいを渡すと廃屋の中を見渡した。あぁ、良かった。囲炉裏がちゃんとある。
「椎名、俺なら大丈夫だ!」
「ちょっと待ってて下さいね」
埃っぽいのは仕方がない。でも大丈夫、使えそう。椎名はお嬢様育ちだから火なんて起こしたことはないだろうけど、前世の私はキャンプの経験があるし何とかしてみせるよ!
ボロ布を着火剤代わりに上に細かな木を置いてマッチをする。一応最低限の装備としてマッチとかは持ち歩いてて良かった!危なげなく火をつける私が珍しいのか煉獄さんは目を丸くしていた。
余ったボロ布で囲炉裏の周囲を拭くと私は煉獄さんを手招いた。
「綺麗な場所とは言い難いですが濡れたままでは良くありませんわ。私の服では小さくてお貸しすることも出来ませんし……まず羽織を乾かして、それから服を乾かしましょう」
流石に煉獄さんをすっぽんぽんにさせる訳にはいかないので苦肉の策だ。立ち尽くしている煉獄さんに私は首を傾げた。
「煉獄さん?風邪をひいてしまいますわ」
「あ、あぁ。わざわざすまない!」
煉獄さんは入り口で羽織と隊服の上だけ脱ぐと力一杯搾った。あ!そうだわ!!
「えっと……こんな所で何ですが炎柱就任おめでとうございます」
「ありがとう。すまないが上を全て脱いで構わないか?やはり濡れたままでは体が冷える」
白シャツ姿の煉獄さん!なんて不埒なことを考えていた私は慌てて後ろを向いた。いやいや!何のボーナスステージなの!?無理無理!!恥ずかしさで爆発出来るよ!?
「そうですよね!私はこちらを向いていますのでどうぞ!!」
あぁぁ、顔が熱い!囲炉裏の火のせいだと思いたいけど流石に無理!少しの衣擦れの音がして、その後は長い沈黙が続いた。
「…………」
「…………」
(えっっっとぉ?)
何で無言?何で静寂?あ!そうか!!いつもは煉獄さんが話しかけてくれるから私は返事をするだけだったもんね!自分から話振ったことないや!待ってこの沈黙すごい辛いんだけど!?
「椎名」
「はいっ!」
突然名前を呼ばれ私は勢いよく振り返って、次の瞬間前に向き直った。いやぁぁぁぁあ!煉獄さんの肌色がっ!見てない見てない!私は見てない!多分……残像ぐらいは見たかもしれないけど、でもセーフ!!
「このままで……ごめんなさい」
「いや、俺の方こそすまない」
煉獄さんの声に覇気が無い。私はある事に気付いて思わず吹き出した。
「ふふっ」
「どうした?」
「いえ、煉獄さんここに来てから謝ってばかりだなと思って」
すまないすまないって謝る必要なんか無いのに。緊張と緩和のギャップが大き過ぎたのか私はなかなか笑いが収まらなかった。
「いつまで笑ってるんだ」
「ご、めんなさい……もうちょっと、待って……!?」
グイと肩を引かれ振り返れば煉獄さんが間近にこちらを覗き込んでいた。ふぇ!?近い近い近い!!
「なっ、なんですの!?」
「君がこんなに笑っているのを見るのは久しぶりだ」
珍しいですか!そうですか!!でもこっちはイケメンの至近距離攻撃が辛いなぁ!
「だからって人の顔を覗き込むのは行儀悪いです!」
「それはすまん!」
笑いながら謝ってるし!煉獄さん面白がってません!?背中を向けたままプンス!と怒っていると羽織と隊服の上が乾いたのか煉獄さんが濡れている服と乾いている服を取り替えているのが分かった。
「振り返らないでくれよ?」
「振り返るはずがないでしょ!!」
だって脱いでるの下だもんね!!本の向こうならキャー♪で済むけどリアルは無理!!
「これで良し。椎名」
「何ですか?」
さっきの言いかけかな?私が返事すると煉獄さんが小さく笑った。
「やはり少し肌寒い。こんな言い方ですまないが湯たんぽの代わりになってくれないか」
もう振り返っても大丈夫だと言われて恐る恐る振り返ると煉獄さんは上は黒の隊服だけ。下は……。
「歴代の炎柱には怒られそうだが非常時だから多めに見てもらおう」
「炎柱の証が腰巻きですものね」
しっかり巻き付けられた羽織に私は苦笑した。大事な羽織だけど確かに非常事態だもんね。
「椎名」
「えぇと……重かったらごめんなさい」
両手を広げてくる煉獄さんに恐る恐る寄っていくと、ヒョイと抱えられ膝の上に下ろされる。えっ!ちょっと待って!相当恥ずかしい!!
「すまないがなるべく寄り添ってくれるか」
「あ、はい!」
そう!煉獄さんは寒いの!寒いのよ!!私は湯たんぽ!人間懐炉なの!!
「あぁ、暖かいな」
「それは……何よりです」
私を抱き込んでほぅ……と息をつく煉獄さんにただひたすら無心でいる事に努める事にした。