短編
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「では本日より煉獄、宇髄の二名の特殊部隊配属を命ずる!敬礼!!」
「「了解!」」
ピッと敬礼をした瞬間に意識を取り戻した煉獄と宇髄は視線を取り交わした。上官らしき人物に一礼すると部屋を出て廊下を歩く。そこは煉獄も宇髄も見た事のない無機質なコンクリートの廊下だった。周囲を油断なく警戒しながら煉獄が宇髄に尋ねる。
「どう思う宇髄!」
「まぁ十中八九血気術だな」
「紗雪もいるだろうか!」
「そりゃあ居るだろ。つか派手にあいつが一番正面から食らってたしな」
煉獄と宇髄を守ろうと飛び出した紗雪を思い出して眉を寄せる。煉獄は自分の体を見下ろした。隊服ではなく迷彩柄のつなぎを何故か着ている。この服には見覚えがあった。紗雪が初めて会った時に着ていたものだ。
「どういう血気術かは知らんが紗雪の記憶に入り込んでるって考えるのが自然だろうな」
「やはりそうか!見たことの無いものばかりだな!!」
廊下ばかりでは無い。天井にある驚くほど明るい照明も、壁の中を上下に移動する箱状のものも、建物中どこに居ても天井から聞こえる人の声も何もかもが知らないものばかりだ。廊下を曲がると坊主頭の男性が話しかけて来た。
「お、挨拶終わったのか?んじゃ整備場の方に行こうか。お前らの世話役がちょうど任務から帰って来た所だから」
言われるがままついて行くと少し開けた場所で大勢の人間が集まっていた。案内して来た坊主頭の男性がそのうちの一人に声をかける。
「お疲れさん紗雪。今日からの新人二人頼むわ」
その声に振り向いたのはヘルメットにゴーグル、自分の半分ほどある大きなリュックを背負った紗雪だった。あちこち泥だらけで擦り傷だらけだ。
(紗雪!)
(待て待て。様子を見ようぜ)
飛び出していきそうな煉獄を宇髄が抑える。紗雪は二人に視線を送ると小さく首を傾げた。
「新人?そんな予定あったっけ?」
「万年人手不足だからな!常時人員募集中ってやつだよ」
「ふーん」
リュックを降ろしヘルメットとゴーグルを整備員に渡すと手袋とウェストポーチを外す。煉獄と宇髄を前にしても何も言わない紗雪に二人は顔を見合わせた。
「金髪が煉獄杏寿郎で、銀髪が宇髄天元な」
「宜しく。煉獄。宇髄」
「「………」」
何の躊躇いもなく呼び捨てにされて二人は思わず沈黙した。それから宇髄が慌てて手で口を塞ぐ。
「ぶっふ!」
「おい、宇髄」
今にも腹を抱えて笑い出しそうな宇髄の脇腹を煉獄は肘で小突いた。首を傾げる紗雪にお辞儀をする。
「宜しく頼む!」
「いやいや、頭なんか下げなくて良いから!」
調子狂うなぁとボヤく紗雪に坊主頭の男性がひらりと手を振った。
「んじゃ後頼むなー」
「りょー。二人は施設内の案内はもう受けた?まだ?じゃあここ整備場から」
紗雪はまだあちこちで片付けをしている水色のつなぎを着た職員を大雑把に指し示した。
「ここにいるのは銃火器類や刀剣類その他機材一式の点検整備をしてくれる皆さんでーす」
「「「ウェーーーイ」」」
「「………」」
整備場にいた全員が親指と小指を立ててポーズをとった。絶句する煉獄と宇髄を他所に紗雪が歩き出す。案内先にいる職員は誰もが陽気に手を振ってきた。
「何か…想像してたのと派手に違ったわ」
紗雪の話を聞くにもっと殺伐とした場所を思い描いていただけに宇髄の戸惑いが半端ない。
「この辺は装備品の備蓄室。医薬品の持ち出しは許可がいるから。向こうは書類を作成する時に使う事務室ね。そこを左に曲がると運動場、トレーニングルーム、射撃場。右がシャワー室。あー…」
紗雪は足を止めると振り返った。廊下を真っ直ぐ指差す。
「向こうが談話室。悪いけどそこで待ってて」
「わかった!談話室だな!!」
「ゆっくりで良いぜ」
泥だらけの自分が気になったのだろう紗雪と別れると教えられた道を進む。紗雪の姿がシャワー室の中に完全に見えなくなると、宇髄が腹を抱えて蹲った。
「やっべー。タメ口の紗雪とか面白すぎるわ」
「笑い事じゃ無いぞ宇髄!やはり紗雪は血気術の影響が俺達より強いようだ!!」
完全に取り込まれていて、煉獄達を見ても思い出す様子がない。煉獄の表情が厳しいものに変わった。
「日輪刀を探さなければ!」
気づいた時には迷彩柄の服を着ていて隊服も日輪刀も手元に無かった。ここが紗雪の記憶の中だとしてもどうにかして日輪刀を取り戻さなくては鬼の討伐が出来ない。
「あると思うか?」
自分が鬼ならば記憶の中に日輪刀など持ち込ませない。宇髄の問いに煉獄が力強く頷いた。
「ある!紗雪は鬼殺隊士だ!必ずある!!」
「ねぇっつってんだろ!!」
ガン!
響いた大きな音に煉獄と宇髄はそちらを振り向いた。談話室から屈強な男性が一人転がり出てくる。それを追うように豊満な胸をした女性が飛び出て来た。
「何で!アタシが!アンタなんかの為にそんな労力払わなくちゃならない!!やらねぇって言ってんだろ!!」
「だからってその鉄板の入った靴で顔狙うなよ!メイファ!!」
(メイファ…何処かで)
聞き覚えのある名前に煉獄が首を傾げていると後ろから近づいて来た足音が煉獄の横を通り過ぎた。迷彩柄の繋ぎの下だけを履いた上にTシャツを着た紗雪が駆けて行って…。
ドガッ。
「「………」」
男性にヤクザキックをかます。談話室の中にいた他の隊員から笑いが起こった。煉獄と宇髄が点になるのを他所に床に倒れ伏した男性が叫んだ。
「何で俺!?」
「ごめんごめん。的が大きかったから」
「そこなんだ!?」
「うん」
「俺…泣いても良い?」
「勝手に泣き喚きゃ良いでしょ!アタシの紗雪と口利かないで!!」
メイファが紗雪に抱きつきながら男性をしっしっと追い払った。その仕草に流石に紗雪が苦笑する。
「メイファ、謝ろうね?」
「何でアタシが!?」
「メイファが悪い気しかしないから」
「ひどーい!アタシたち紫の絆はどこに行ってしまったの?」
紫という単語に煉獄の記憶が蘇った。紗雪と初めて会ったあの時、彼女の探す仲間の中にあった名前だ。
(生きていればこのような娘だったのだな)
煉獄はなんとも言えない気持ちで紗雪とメイファを眺めた。ふとメイファの視線が煉獄と宇髄に向く。
「で、あっちは?」
「新入隊員。金髪が宇髄で銀髪が煉獄」
「派手に逆だわ!!」
どっと笑いが起きて煉獄と宇髄は隊員から温かく歓迎された。
「「了解!」」
ピッと敬礼をした瞬間に意識を取り戻した煉獄と宇髄は視線を取り交わした。上官らしき人物に一礼すると部屋を出て廊下を歩く。そこは煉獄も宇髄も見た事のない無機質なコンクリートの廊下だった。周囲を油断なく警戒しながら煉獄が宇髄に尋ねる。
「どう思う宇髄!」
「まぁ十中八九血気術だな」
「紗雪もいるだろうか!」
「そりゃあ居るだろ。つか派手にあいつが一番正面から食らってたしな」
煉獄と宇髄を守ろうと飛び出した紗雪を思い出して眉を寄せる。煉獄は自分の体を見下ろした。隊服ではなく迷彩柄のつなぎを何故か着ている。この服には見覚えがあった。紗雪が初めて会った時に着ていたものだ。
「どういう血気術かは知らんが紗雪の記憶に入り込んでるって考えるのが自然だろうな」
「やはりそうか!見たことの無いものばかりだな!!」
廊下ばかりでは無い。天井にある驚くほど明るい照明も、壁の中を上下に移動する箱状のものも、建物中どこに居ても天井から聞こえる人の声も何もかもが知らないものばかりだ。廊下を曲がると坊主頭の男性が話しかけて来た。
「お、挨拶終わったのか?んじゃ整備場の方に行こうか。お前らの世話役がちょうど任務から帰って来た所だから」
言われるがままついて行くと少し開けた場所で大勢の人間が集まっていた。案内して来た坊主頭の男性がそのうちの一人に声をかける。
「お疲れさん紗雪。今日からの新人二人頼むわ」
その声に振り向いたのはヘルメットにゴーグル、自分の半分ほどある大きなリュックを背負った紗雪だった。あちこち泥だらけで擦り傷だらけだ。
(紗雪!)
(待て待て。様子を見ようぜ)
飛び出していきそうな煉獄を宇髄が抑える。紗雪は二人に視線を送ると小さく首を傾げた。
「新人?そんな予定あったっけ?」
「万年人手不足だからな!常時人員募集中ってやつだよ」
「ふーん」
リュックを降ろしヘルメットとゴーグルを整備員に渡すと手袋とウェストポーチを外す。煉獄と宇髄を前にしても何も言わない紗雪に二人は顔を見合わせた。
「金髪が煉獄杏寿郎で、銀髪が宇髄天元な」
「宜しく。煉獄。宇髄」
「「………」」
何の躊躇いもなく呼び捨てにされて二人は思わず沈黙した。それから宇髄が慌てて手で口を塞ぐ。
「ぶっふ!」
「おい、宇髄」
今にも腹を抱えて笑い出しそうな宇髄の脇腹を煉獄は肘で小突いた。首を傾げる紗雪にお辞儀をする。
「宜しく頼む!」
「いやいや、頭なんか下げなくて良いから!」
調子狂うなぁとボヤく紗雪に坊主頭の男性がひらりと手を振った。
「んじゃ後頼むなー」
「りょー。二人は施設内の案内はもう受けた?まだ?じゃあここ整備場から」
紗雪はまだあちこちで片付けをしている水色のつなぎを着た職員を大雑把に指し示した。
「ここにいるのは銃火器類や刀剣類その他機材一式の点検整備をしてくれる皆さんでーす」
「「「ウェーーーイ」」」
「「………」」
整備場にいた全員が親指と小指を立ててポーズをとった。絶句する煉獄と宇髄を他所に紗雪が歩き出す。案内先にいる職員は誰もが陽気に手を振ってきた。
「何か…想像してたのと派手に違ったわ」
紗雪の話を聞くにもっと殺伐とした場所を思い描いていただけに宇髄の戸惑いが半端ない。
「この辺は装備品の備蓄室。医薬品の持ち出しは許可がいるから。向こうは書類を作成する時に使う事務室ね。そこを左に曲がると運動場、トレーニングルーム、射撃場。右がシャワー室。あー…」
紗雪は足を止めると振り返った。廊下を真っ直ぐ指差す。
「向こうが談話室。悪いけどそこで待ってて」
「わかった!談話室だな!!」
「ゆっくりで良いぜ」
泥だらけの自分が気になったのだろう紗雪と別れると教えられた道を進む。紗雪の姿がシャワー室の中に完全に見えなくなると、宇髄が腹を抱えて蹲った。
「やっべー。タメ口の紗雪とか面白すぎるわ」
「笑い事じゃ無いぞ宇髄!やはり紗雪は血気術の影響が俺達より強いようだ!!」
完全に取り込まれていて、煉獄達を見ても思い出す様子がない。煉獄の表情が厳しいものに変わった。
「日輪刀を探さなければ!」
気づいた時には迷彩柄の服を着ていて隊服も日輪刀も手元に無かった。ここが紗雪の記憶の中だとしてもどうにかして日輪刀を取り戻さなくては鬼の討伐が出来ない。
「あると思うか?」
自分が鬼ならば記憶の中に日輪刀など持ち込ませない。宇髄の問いに煉獄が力強く頷いた。
「ある!紗雪は鬼殺隊士だ!必ずある!!」
「ねぇっつってんだろ!!」
ガン!
響いた大きな音に煉獄と宇髄はそちらを振り向いた。談話室から屈強な男性が一人転がり出てくる。それを追うように豊満な胸をした女性が飛び出て来た。
「何で!アタシが!アンタなんかの為にそんな労力払わなくちゃならない!!やらねぇって言ってんだろ!!」
「だからってその鉄板の入った靴で顔狙うなよ!メイファ!!」
(メイファ…何処かで)
聞き覚えのある名前に煉獄が首を傾げていると後ろから近づいて来た足音が煉獄の横を通り過ぎた。迷彩柄の繋ぎの下だけを履いた上にTシャツを着た紗雪が駆けて行って…。
ドガッ。
「「………」」
男性にヤクザキックをかます。談話室の中にいた他の隊員から笑いが起こった。煉獄と宇髄が点になるのを他所に床に倒れ伏した男性が叫んだ。
「何で俺!?」
「ごめんごめん。的が大きかったから」
「そこなんだ!?」
「うん」
「俺…泣いても良い?」
「勝手に泣き喚きゃ良いでしょ!アタシの紗雪と口利かないで!!」
メイファが紗雪に抱きつきながら男性をしっしっと追い払った。その仕草に流石に紗雪が苦笑する。
「メイファ、謝ろうね?」
「何でアタシが!?」
「メイファが悪い気しかしないから」
「ひどーい!アタシたち紫の絆はどこに行ってしまったの?」
紫という単語に煉獄の記憶が蘇った。紗雪と初めて会ったあの時、彼女の探す仲間の中にあった名前だ。
(生きていればこのような娘だったのだな)
煉獄はなんとも言えない気持ちで紗雪とメイファを眺めた。ふとメイファの視線が煉獄と宇髄に向く。
「で、あっちは?」
「新入隊員。金髪が宇髄で銀髪が煉獄」
「派手に逆だわ!!」
どっと笑いが起きて煉獄と宇髄は隊員から温かく歓迎された。