短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ガヤガヤと酒場独特の音が充満する酒場の二階の個室で、紗雪はニコニコと杯を重ねていた。
「派手にイケる口なんだな紗雪。飲め飲め!」
煉獄に宇髄、胡蝶、不死川という面々に何故かの紗雪。初めは帰るつもりだったのだ。煉獄だけが飲みに行って自分は見送るつもりだったのに…気付けば柱と酒席を共にしている不思議。
「やっぱりお前らの特殊部隊とやらの連中も派手に酒は強いのか?」
「さぁ…どうなんでしょう?休暇にまで同僚と顔を合わせたことがないのでなんとも」
休暇以外は嫌でも、ヘタをすると一日中見なければいけない顔である。休暇の時ぐらい仕事からはスッパリ離れたい。紗雪がそう答えると宇髄がニヤニヤと意味ありげな顔をした。
「ふぅん?じゃあ煉獄の顔なんかはもう派手に見るの嫌なんじゃねぇの?」
「ぐふっ…」
酒が変な方に入って煉獄が咳き込んだ。胡蝶が追撃する。
「あら、確かにそうですね。煉獄家に住み込んで最近では巡回任務も一緒に行ってらっしゃるんですよね?」
「そいつは気の毒になぁ煉獄」
「面白がっているな!?君達!」
三人のからかいに動じる事なく紗雪は笑った。
「師範には大変お気遣い頂いてますから気になった事はありませんよ」
「あら、煉獄さん良かったですね」
「気遣いねぇ?」
「何が言いたい!?不死川!」
「んじゃあ煉獄に不満は一切ないってか?スゲェな」
「え?不満はありますよ?」
「「「「!!?」」」」
しれっと言ってのけた紗雪に全員の視線が集中した。煉獄の顔色が悪い。紗雪は相変わらずニコニコしていた。
「紗雪?」
「師範は卑怯者だと思います」
「!!!」
青を通り越して白く顔色を変えた煉獄に宇髄が腹を抱えて笑った。胡蝶と不死川も肩を震わせる。
「ひ、卑怯者!あの煉獄が卑怯者とか面白すぎんだろ!」
「一番煉獄さんに似合わない台詞が来ましたね」
「紗雪は手厳しいなぁ、煉獄ぅ」
宇髄が紗雪の盃に酒を注ぎながら先を促した。
「派手にどの辺がだ?」
「人の希望を最優先してますみたいな顔して自分のやりたい様にしている辺りですかね」
「………」
「まぁ、紗雪さんったら」
「的確すぎんだろぉ」
ぐうの音も出ない煉獄を他所に三人は大笑いだ。だいたい…と紗雪は続けた。
「弟子の希望を最優先にする師範がどこに居るんですか。これまで師範のやりたい様に乗せられていた私にも原因は勿論ありますが、師範はその頭の良さを別の事に使うべきです」
「そーだとよ煉獄」
「師範は普通にしていれば人当たりもいいですし、細やかな気遣いのできる方なのですからそんな回りくどいことをする必要はないと思うんですよ」
「あら?あらあら?」
「師範の前向きで責任感の強い所に憧れる隊士も多いのですからそう言った行動は控えられるべきかと」
「…誉め殺しにかかってんのかぁコイツ」
紗雪が話しているうちに三人は笑いを引っ込めると苦笑いした。表情が緩んでしまった煉獄が慌てて紗雪の手を取る。
「今日はもう帰ろう紗雪!」
煉獄が立ち上がるよう促すと紗雪は駄々っ子のように頬を膨らませた。
「私はまだ話終わってません!」
「それは帰ったら聞こう!」
「師範は私の話を聞けないと仰るのですね?」
「…っ!?」
ポロッと大粒の涙をこぼす紗雪に煉獄は固まった。しくしくと泣き出す紗雪の涙を胡蝶が手拭いで拭いてやる。宇髄がニヤニヤした。
「あーあ、なーかせた」
「俺の所為なのか!?」
「いいから早く連れて帰ってやれぇ。滅茶苦茶酔っ払ってんじゃねぇか紗雪のやつ」
呆れ返る不死川の台詞に答えたのは胡蝶だった。
「もう手遅れですよ。紗雪さん眠ってしまいました」
「よもや!この一瞬でか!」
煉獄が驚いて覗き込むと紗雪は胡蝶の肩に頭を乗せてぐっすり眠り込んでいた。煉獄が疲れたようにため息をつく。
「紗雪の酔い方は派手に面白ぇなぁ!また飲もうって言っといてくれよ!」
煉獄は胡蝶から紗雪を受け取ると、大事に大事に抱きかかえた。青筋の立った笑顔で宇髄を見る。
「覚えてろよ宇髄!」
「俺の所為かよ!!」
宇髄の抗議を丸っと無視すると煉獄は帰ってしまった。胡蝶がうふふ…と笑うと盃に口をつける。
「紗雪さんの思わぬ本音と言ったところでしょうか?」
「素面でもだいたい似たようなこと言ってるだろぉ、アイツ」
「何にせよあそこまでオロオロする煉獄とか派手に面白すぎんだろ!!」
煉獄は誰に対しても等しく接する男なので、紗雪の一言に振り回される様は見ていて飽きない。覚えてろと言われたのに全く堪えていない宇髄に不死川がため息をついた。
「お前、煉獄に刺されないように気を付けろよぉ」
治療するのは自分なので勘弁してもらいたいと思う胡蝶だった。
「んー…」
煉獄に抱えられた紗雪はユラユラと揺れる体に眉を寄せた。安定させたくて手を伸ばす。丁度いい引っかかりを見つけ紗雪は安心して体の力を抜いた。
「………」
(俺は何を試されているのだろうか?)
煉獄の首に腕を回し落ち着いてしまった紗雪にため息が出る。それでも紗雪を抱える腕はあくまで優しい。
「卑怯…か」
紗雪の身の回りを自分が選んだもので固め、周りの人間に牽制をする。これは俺のものだと。口では紗雪のやり易いよう気を回して居るふりをして紗雪の退路を絶っている。
「確かにこれ以上ない卑怯者だな俺は」
紗雪が離れて行かないよう、紗雪にそれが気が付かれないよう手を回し続けている。
「すまない、紗雪…」
それでもこの大切な継子を手放せる気がしなくて煉獄は苦い笑みを浮かべるのだった。
「派手にイケる口なんだな紗雪。飲め飲め!」
煉獄に宇髄、胡蝶、不死川という面々に何故かの紗雪。初めは帰るつもりだったのだ。煉獄だけが飲みに行って自分は見送るつもりだったのに…気付けば柱と酒席を共にしている不思議。
「やっぱりお前らの特殊部隊とやらの連中も派手に酒は強いのか?」
「さぁ…どうなんでしょう?休暇にまで同僚と顔を合わせたことがないのでなんとも」
休暇以外は嫌でも、ヘタをすると一日中見なければいけない顔である。休暇の時ぐらい仕事からはスッパリ離れたい。紗雪がそう答えると宇髄がニヤニヤと意味ありげな顔をした。
「ふぅん?じゃあ煉獄の顔なんかはもう派手に見るの嫌なんじゃねぇの?」
「ぐふっ…」
酒が変な方に入って煉獄が咳き込んだ。胡蝶が追撃する。
「あら、確かにそうですね。煉獄家に住み込んで最近では巡回任務も一緒に行ってらっしゃるんですよね?」
「そいつは気の毒になぁ煉獄」
「面白がっているな!?君達!」
三人のからかいに動じる事なく紗雪は笑った。
「師範には大変お気遣い頂いてますから気になった事はありませんよ」
「あら、煉獄さん良かったですね」
「気遣いねぇ?」
「何が言いたい!?不死川!」
「んじゃあ煉獄に不満は一切ないってか?スゲェな」
「え?不満はありますよ?」
「「「「!!?」」」」
しれっと言ってのけた紗雪に全員の視線が集中した。煉獄の顔色が悪い。紗雪は相変わらずニコニコしていた。
「紗雪?」
「師範は卑怯者だと思います」
「!!!」
青を通り越して白く顔色を変えた煉獄に宇髄が腹を抱えて笑った。胡蝶と不死川も肩を震わせる。
「ひ、卑怯者!あの煉獄が卑怯者とか面白すぎんだろ!」
「一番煉獄さんに似合わない台詞が来ましたね」
「紗雪は手厳しいなぁ、煉獄ぅ」
宇髄が紗雪の盃に酒を注ぎながら先を促した。
「派手にどの辺がだ?」
「人の希望を最優先してますみたいな顔して自分のやりたい様にしている辺りですかね」
「………」
「まぁ、紗雪さんったら」
「的確すぎんだろぉ」
ぐうの音も出ない煉獄を他所に三人は大笑いだ。だいたい…と紗雪は続けた。
「弟子の希望を最優先にする師範がどこに居るんですか。これまで師範のやりたい様に乗せられていた私にも原因は勿論ありますが、師範はその頭の良さを別の事に使うべきです」
「そーだとよ煉獄」
「師範は普通にしていれば人当たりもいいですし、細やかな気遣いのできる方なのですからそんな回りくどいことをする必要はないと思うんですよ」
「あら?あらあら?」
「師範の前向きで責任感の強い所に憧れる隊士も多いのですからそう言った行動は控えられるべきかと」
「…誉め殺しにかかってんのかぁコイツ」
紗雪が話しているうちに三人は笑いを引っ込めると苦笑いした。表情が緩んでしまった煉獄が慌てて紗雪の手を取る。
「今日はもう帰ろう紗雪!」
煉獄が立ち上がるよう促すと紗雪は駄々っ子のように頬を膨らませた。
「私はまだ話終わってません!」
「それは帰ったら聞こう!」
「師範は私の話を聞けないと仰るのですね?」
「…っ!?」
ポロッと大粒の涙をこぼす紗雪に煉獄は固まった。しくしくと泣き出す紗雪の涙を胡蝶が手拭いで拭いてやる。宇髄がニヤニヤした。
「あーあ、なーかせた」
「俺の所為なのか!?」
「いいから早く連れて帰ってやれぇ。滅茶苦茶酔っ払ってんじゃねぇか紗雪のやつ」
呆れ返る不死川の台詞に答えたのは胡蝶だった。
「もう手遅れですよ。紗雪さん眠ってしまいました」
「よもや!この一瞬でか!」
煉獄が驚いて覗き込むと紗雪は胡蝶の肩に頭を乗せてぐっすり眠り込んでいた。煉獄が疲れたようにため息をつく。
「紗雪の酔い方は派手に面白ぇなぁ!また飲もうって言っといてくれよ!」
煉獄は胡蝶から紗雪を受け取ると、大事に大事に抱きかかえた。青筋の立った笑顔で宇髄を見る。
「覚えてろよ宇髄!」
「俺の所為かよ!!」
宇髄の抗議を丸っと無視すると煉獄は帰ってしまった。胡蝶がうふふ…と笑うと盃に口をつける。
「紗雪さんの思わぬ本音と言ったところでしょうか?」
「素面でもだいたい似たようなこと言ってるだろぉ、アイツ」
「何にせよあそこまでオロオロする煉獄とか派手に面白すぎんだろ!!」
煉獄は誰に対しても等しく接する男なので、紗雪の一言に振り回される様は見ていて飽きない。覚えてろと言われたのに全く堪えていない宇髄に不死川がため息をついた。
「お前、煉獄に刺されないように気を付けろよぉ」
治療するのは自分なので勘弁してもらいたいと思う胡蝶だった。
「んー…」
煉獄に抱えられた紗雪はユラユラと揺れる体に眉を寄せた。安定させたくて手を伸ばす。丁度いい引っかかりを見つけ紗雪は安心して体の力を抜いた。
「………」
(俺は何を試されているのだろうか?)
煉獄の首に腕を回し落ち着いてしまった紗雪にため息が出る。それでも紗雪を抱える腕はあくまで優しい。
「卑怯…か」
紗雪の身の回りを自分が選んだもので固め、周りの人間に牽制をする。これは俺のものだと。口では紗雪のやり易いよう気を回して居るふりをして紗雪の退路を絶っている。
「確かにこれ以上ない卑怯者だな俺は」
紗雪が離れて行かないよう、紗雪にそれが気が付かれないよう手を回し続けている。
「すまない、紗雪…」
それでもこの大切な継子を手放せる気がしなくて煉獄は苦い笑みを浮かべるのだった。