短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「紗雪、お前これ何かわかるか?」
そう言って宇髄が蝶屋敷に持ってきたものはアコースティックギターだった。
「どうされたんですか?珍しいもの持ってますね」
無惨戦後2ヶ月が過ぎ、多くの隊士が随分落ち着きを取り戻していた。まだ、紗雪も含め不死川や冨岡、炭治郎達は入院生活を送っていたが、蝶屋敷の入院患者自体は大幅に減った。紗雪が少し自分の療養生活に入れるようになったそんな頃のことだ。
宇髄は紗雪の返事に機嫌良い顔でそれを渡してきた。
「藤の家の礼参りを今してるんだけどよ。そのうちの一軒が悲願達成の祝いとしてって派手に寄越したんだ。だけど、こんなハイカラなもん扱いが分からなくてな」
「はぁ」
ギターを受け取った紗雪は弦を弾いてみた。ちゃんと音もあっているようだ。
「お館様にご報告申し上げたら誰か使える者が使えば良いってんでお前の所に持ってきた」
「そこで何故真っ直ぐ私の所に…いや、弾けますけどね」
娯楽が少ない特殊部隊ではギターと歌と踊りがどうしても求められる。紫でも全員がギターに取り組んだが、ものになったのは紗雪とノットだけだ。
ギターの調子を確認する紗雪に宇髄は当然のように言ってのけた。
「何でもいいから派手に歌ってくれ!」
「えぇ?」
「事後処理に走り回ってる身を派手に労れよー」
宇髄らしい言い回しに紗雪は笑ってしまった。
「室内では他の方に迷惑になりますし庭に出ましょうか」
春に差し掛かっているので、日の当たる場所ならば寒くはない。空いているベンチに腰掛けると紗雪が尋ねた。
「どんな曲が良いでしょう?今更ですが私この時代の曲は知りませんが」
「何されてるんですか?宇髄さん、紗雪さん」
ひょっこりと炭治郎が現れた。禰󠄀豆子や善逸、伊之助にカナヲも一緒だ。随分回復した様子に紗雪が微笑んだ。
「なにそれ?」
「ギターですよ。西洋の楽器ですね」
「初めて見た」
「本当だー!紗雪さん弾けるの?」
「えぇ、ただ何を弾けばいいのやら」
現代の歌はこの時代の人には刺激が強すぎる気がする。しかし宇髄はそんな事は気にしていなかった。
「なんか派手な曲頼むぜ!ぱーっと盛り上がるようなやつ!!」
「一番難しいのきましたね」
ギターを爪弾きながら紗雪は考え込んだ。炭治郎達の期待の眼差しが痛い。紗雪は一つため息をつくと宇髄を見た。
「全ての責任は宇髄さんが取られるという事で」
「は?ちょっとま…」
ジャガジャッ!とかき鳴らされ始めたギターに宇髄の声はかき消された。なるべく賑やかで明るくて楽しい曲。
(有名曲しか知りませんよ)
いき●のがかりのじょい●るだ。紗雪は炭治郎達の目が点になっているのに苦笑しながら歌った。
「ーー♪ーー」
ポロロン…と曲の終わりに間が持たずギターを鳴らすと周辺の静寂が逆に目立って紗雪は挫けそうになった。しかし責任は宇髄に押し付けたので開き直ることにする。
「ーーっ!スゲェ!!派手派手じゃねぇか!!お前すごい隠し技持ってたんだな!!」
「流石宇髄さん、許容範囲がお広い」
大喜びで興奮する宇髄に紗雪は感心した。100年後の歌をこうもアッサリ受け入れることができるとは大したものだ。一方炭治郎達はちょっと困った顔をしていた。
「変わった歌ですね…」
「すいません、驚きましたよね。もう少し大人しめの歌にしましょう」
どんなバラードを選べば大人しい部類に入るのか…紗雪は弦を弾きながら少し考えた。
「あまり沢山弾けるわけではないので選択肢が少なくて…」
歩くジュークボックスだったノットならばどんな曲でも弾いたのだが紗雪はそこまでではない。紗雪は曲を決めるとギターを抱え直した。
「ーー♪ーー」
平井●の魔法って●っていいかなを歌う。今度は炭治郎達も落ち着いて聴けたようだ。紗雪が歌い終わると炭治郎がハイッと手を上げた。
「どうかしましたか?」
「あの、オレンジとかハートとかどう言う意味ですか?」
「………」
(しまった)
歌う事に意識がいっていてすっかり忘れていた。ちらりと宇髄を見れば肩をすくめられる。紗雪はギターを横において姿勢を正すと炭治郎達に向き直った。
「炭治郎君達に大事なお話があります」
思いも寄らない所で自分の素性を白状することになった紗雪だった。
そう言って宇髄が蝶屋敷に持ってきたものはアコースティックギターだった。
「どうされたんですか?珍しいもの持ってますね」
無惨戦後2ヶ月が過ぎ、多くの隊士が随分落ち着きを取り戻していた。まだ、紗雪も含め不死川や冨岡、炭治郎達は入院生活を送っていたが、蝶屋敷の入院患者自体は大幅に減った。紗雪が少し自分の療養生活に入れるようになったそんな頃のことだ。
宇髄は紗雪の返事に機嫌良い顔でそれを渡してきた。
「藤の家の礼参りを今してるんだけどよ。そのうちの一軒が悲願達成の祝いとしてって派手に寄越したんだ。だけど、こんなハイカラなもん扱いが分からなくてな」
「はぁ」
ギターを受け取った紗雪は弦を弾いてみた。ちゃんと音もあっているようだ。
「お館様にご報告申し上げたら誰か使える者が使えば良いってんでお前の所に持ってきた」
「そこで何故真っ直ぐ私の所に…いや、弾けますけどね」
娯楽が少ない特殊部隊ではギターと歌と踊りがどうしても求められる。紫でも全員がギターに取り組んだが、ものになったのは紗雪とノットだけだ。
ギターの調子を確認する紗雪に宇髄は当然のように言ってのけた。
「何でもいいから派手に歌ってくれ!」
「えぇ?」
「事後処理に走り回ってる身を派手に労れよー」
宇髄らしい言い回しに紗雪は笑ってしまった。
「室内では他の方に迷惑になりますし庭に出ましょうか」
春に差し掛かっているので、日の当たる場所ならば寒くはない。空いているベンチに腰掛けると紗雪が尋ねた。
「どんな曲が良いでしょう?今更ですが私この時代の曲は知りませんが」
「何されてるんですか?宇髄さん、紗雪さん」
ひょっこりと炭治郎が現れた。禰󠄀豆子や善逸、伊之助にカナヲも一緒だ。随分回復した様子に紗雪が微笑んだ。
「なにそれ?」
「ギターですよ。西洋の楽器ですね」
「初めて見た」
「本当だー!紗雪さん弾けるの?」
「えぇ、ただ何を弾けばいいのやら」
現代の歌はこの時代の人には刺激が強すぎる気がする。しかし宇髄はそんな事は気にしていなかった。
「なんか派手な曲頼むぜ!ぱーっと盛り上がるようなやつ!!」
「一番難しいのきましたね」
ギターを爪弾きながら紗雪は考え込んだ。炭治郎達の期待の眼差しが痛い。紗雪は一つため息をつくと宇髄を見た。
「全ての責任は宇髄さんが取られるという事で」
「は?ちょっとま…」
ジャガジャッ!とかき鳴らされ始めたギターに宇髄の声はかき消された。なるべく賑やかで明るくて楽しい曲。
(有名曲しか知りませんよ)
いき●のがかりのじょい●るだ。紗雪は炭治郎達の目が点になっているのに苦笑しながら歌った。
「ーー♪ーー」
ポロロン…と曲の終わりに間が持たずギターを鳴らすと周辺の静寂が逆に目立って紗雪は挫けそうになった。しかし責任は宇髄に押し付けたので開き直ることにする。
「ーーっ!スゲェ!!派手派手じゃねぇか!!お前すごい隠し技持ってたんだな!!」
「流石宇髄さん、許容範囲がお広い」
大喜びで興奮する宇髄に紗雪は感心した。100年後の歌をこうもアッサリ受け入れることができるとは大したものだ。一方炭治郎達はちょっと困った顔をしていた。
「変わった歌ですね…」
「すいません、驚きましたよね。もう少し大人しめの歌にしましょう」
どんなバラードを選べば大人しい部類に入るのか…紗雪は弦を弾きながら少し考えた。
「あまり沢山弾けるわけではないので選択肢が少なくて…」
歩くジュークボックスだったノットならばどんな曲でも弾いたのだが紗雪はそこまでではない。紗雪は曲を決めるとギターを抱え直した。
「ーー♪ーー」
平井●の魔法って●っていいかなを歌う。今度は炭治郎達も落ち着いて聴けたようだ。紗雪が歌い終わると炭治郎がハイッと手を上げた。
「どうかしましたか?」
「あの、オレンジとかハートとかどう言う意味ですか?」
「………」
(しまった)
歌う事に意識がいっていてすっかり忘れていた。ちらりと宇髄を見れば肩をすくめられる。紗雪はギターを横において姿勢を正すと炭治郎達に向き直った。
「炭治郎君達に大事なお話があります」
思いも寄らない所で自分の素性を白状することになった紗雪だった。