短編
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「なるほど!それで紗雪さんがここに」
「あぁ…」
夕方の庭でため息をつく冨岡に疲れの匂いを感じて炭治郎が自分の胸を力強く叩いた。
「そう言う事なら俺に任せて下さい!下に妹が二人、弟が三人いる長男ですから!」
言うが早いか炭治郎は陽が落ちたのを確認すると背負箱から禰󠄀豆子を出してやった。箱から出てきた禰󠄀豆子に興味津々の紗雪にニッコリ話しかける。
「こんにちは椎名ちゃん。俺は竈門炭治郎、こっちは妹の禰󠄀豆子だ。一緒に遊ぼう!」
「こにちは!椎名でしゅ!」
大きな声で挨拶する紗雪にますますニッコリする。
「うわぁ!大きな声で挨拶できてえらいね!じゃあ竹蜻蛉を飛ばして遊ぼうか!」
「遊ぶー!」
「むー!」
炭治郎が飛ばす竹蜻蛉を紗雪と禰󠄀豆子が追いかける。高く飛んだ竹蜻蛉に必死で手を伸ばす紗雪を禰󠄀豆子がひょいと持ち上げた。
「わぁ!?」
ペチンと紗雪の額に竹蜻蛉が命中する。炭治郎が慌てて駆け寄ってきた。
「大丈夫?椎名ちゃん!」
しかし紗雪は痛みより自分を抱っこしている禰󠄀豆子の方が気になるようだった。
「お姉ちゃん力持ちねー。どうしてお口に竹食べてるの?」
「食べてるわけじゃないんだけど…」
どう説明したらいいか分からず炭治郎は言葉を濁した。しかし一度気になった紗雪は止まらない。
「お姉ちゃんかぐやひめしゃん?これ自分のおうち?」
しゅごいね!と目を輝かせる紗雪に炭治郎が笑った。途端に紗雪が大きな欠伸をする。
「疲れちゃったのかな?椎名ちゃん。ねんねしようか」
「やー、もっと遊、ぶ…」
こてんと禰󠄀豆子の胸にもたれ掛かると、紗雪はあっという間に寝入ってしまった。あまりの早技に炭治郎も禰󠄀豆子も目を丸くする。
「布団を敷くから寝かせてやると良い」
「あ、俺やりますよ!」
冨岡の運んできた布団を炭治郎が敷く。しっかり寝入ってしまった紗雪を禰󠄀豆子が覗き込んでいた。
「紗雪さん、血気術にかかってからどのぐらい経つんですか?」
「…確か七日ほどと聞いている」
「そんなに…」
炭治郎は心配そうに紗雪を振り返った。三歳の子供が両親と離れて七日も過ごしているのだ。きっと物凄く不安だろう。
「可哀想に…早く戻れると良いですね」
「…そういえば炭治郎は何をしに来たんだ?」
「あ!そうでした!冨岡さんがお屋敷にいると伺ったので稽古をつけてもらえればと思って!」
炭治郎は自分のおでこをピシャリと叩いた。来た途端に紗雪がいてすっかり忘れていた。冨岡が木刀を手にすると立ち上がった。
「ちょうど庭が広く開いている」
「はい!宜しくお願いします!!」
カン!カカン!!
「ん、に…」
木刀の打ち合さる高い音に紗雪は目を覚ました。縁側に腰掛けている禰󠄀豆子が見える。その向こうには冨岡と炭治郎が。
ーー水の呼吸 参ノ型 流流舞いーー
ーー水の呼吸 捌ノ型 滝壺ーー
「………」
寝惚けた視界に二人の技から放たれる水飛沫が舞ってキラキラ輝く。
「きえぃ…」
夢のような光景にきっと自分は寝ているのだろうと紗雪は再び目を閉じるのだった。
「椎名が世話になった!」
翌早朝、煉獄は水屋敷に紗雪を迎えに来ていた。まだ寝ぼけ眼の紗雪を抱き抱えると冨岡と炭治郎に礼を言う。炭治郎が紗雪の頭を撫でた。
「また遊ぼうね椎名ちゃん」
「ありあと…ばいばい」
手を振る紗雪ににっこり微笑む。歩き出した煉獄の肩越しに紗雪はもう一度手を振った。煉獄を見上げる。
「鬼退治終わり?」
「む?そうか、不死川が話したと言っていたな!そうだ!待たせてすまなかったな!」
「鬼、怖い?」
「怖くはないぞ!鬼は退治するべきものだからな!!」
紗雪は煉獄をじっと見ていたが、突然暴れ出すと煉獄をよじ登りだした。
「危ないぞ椎名」
煉獄が落ちないように紗雪の背中に手を添える。紗雪はギュッと煉獄の頭に抱きついた。
「椎名?」
「お利口しゃんね。よしよし」
「………」
煉獄は目を丸くして紗雪を見た。三歳児のする事だ。そこに深い意味があるとは思わない。だがそれでも紗雪の行動が心に沁みて煉獄は穏やかに微笑んだ。
「ありがとう椎名。まだ朝早い。帰ったらもう少し寝ようか」
「椎名お目目しゃめたよ?」
「俺が眠い!」
煉獄は快活に笑うと帰宅した。千寿郎を起こさないよう静かに部屋に戻ると夜着に着替え布団を敷く。紗雪は竹蜻蛉を回そうとしていた。
「竹蜻蛉とは久しぶりに見た」
「んとね…怪我いっぱいのお兄ちゃんがくれたの」
「不死川か」
煉獄は小さく笑うと布団に入り紗雪を呼んだ。渋る紗雪に竹蜻蛉を指差す。
「目が覚めたらそれで俺と遊ぼう」
「やくしょくよ?」
指切りすると布団に潜り込んでくる紗雪を抱き締める。高めの体温に煉獄は静かに目を閉じた。
「お休み椎名」
「おやしゅみー」
「あぁ…」
夕方の庭でため息をつく冨岡に疲れの匂いを感じて炭治郎が自分の胸を力強く叩いた。
「そう言う事なら俺に任せて下さい!下に妹が二人、弟が三人いる長男ですから!」
言うが早いか炭治郎は陽が落ちたのを確認すると背負箱から禰󠄀豆子を出してやった。箱から出てきた禰󠄀豆子に興味津々の紗雪にニッコリ話しかける。
「こんにちは椎名ちゃん。俺は竈門炭治郎、こっちは妹の禰󠄀豆子だ。一緒に遊ぼう!」
「こにちは!椎名でしゅ!」
大きな声で挨拶する紗雪にますますニッコリする。
「うわぁ!大きな声で挨拶できてえらいね!じゃあ竹蜻蛉を飛ばして遊ぼうか!」
「遊ぶー!」
「むー!」
炭治郎が飛ばす竹蜻蛉を紗雪と禰󠄀豆子が追いかける。高く飛んだ竹蜻蛉に必死で手を伸ばす紗雪を禰󠄀豆子がひょいと持ち上げた。
「わぁ!?」
ペチンと紗雪の額に竹蜻蛉が命中する。炭治郎が慌てて駆け寄ってきた。
「大丈夫?椎名ちゃん!」
しかし紗雪は痛みより自分を抱っこしている禰󠄀豆子の方が気になるようだった。
「お姉ちゃん力持ちねー。どうしてお口に竹食べてるの?」
「食べてるわけじゃないんだけど…」
どう説明したらいいか分からず炭治郎は言葉を濁した。しかし一度気になった紗雪は止まらない。
「お姉ちゃんかぐやひめしゃん?これ自分のおうち?」
しゅごいね!と目を輝かせる紗雪に炭治郎が笑った。途端に紗雪が大きな欠伸をする。
「疲れちゃったのかな?椎名ちゃん。ねんねしようか」
「やー、もっと遊、ぶ…」
こてんと禰󠄀豆子の胸にもたれ掛かると、紗雪はあっという間に寝入ってしまった。あまりの早技に炭治郎も禰󠄀豆子も目を丸くする。
「布団を敷くから寝かせてやると良い」
「あ、俺やりますよ!」
冨岡の運んできた布団を炭治郎が敷く。しっかり寝入ってしまった紗雪を禰󠄀豆子が覗き込んでいた。
「紗雪さん、血気術にかかってからどのぐらい経つんですか?」
「…確か七日ほどと聞いている」
「そんなに…」
炭治郎は心配そうに紗雪を振り返った。三歳の子供が両親と離れて七日も過ごしているのだ。きっと物凄く不安だろう。
「可哀想に…早く戻れると良いですね」
「…そういえば炭治郎は何をしに来たんだ?」
「あ!そうでした!冨岡さんがお屋敷にいると伺ったので稽古をつけてもらえればと思って!」
炭治郎は自分のおでこをピシャリと叩いた。来た途端に紗雪がいてすっかり忘れていた。冨岡が木刀を手にすると立ち上がった。
「ちょうど庭が広く開いている」
「はい!宜しくお願いします!!」
カン!カカン!!
「ん、に…」
木刀の打ち合さる高い音に紗雪は目を覚ました。縁側に腰掛けている禰󠄀豆子が見える。その向こうには冨岡と炭治郎が。
ーー水の呼吸 参ノ型 流流舞いーー
ーー水の呼吸 捌ノ型 滝壺ーー
「………」
寝惚けた視界に二人の技から放たれる水飛沫が舞ってキラキラ輝く。
「きえぃ…」
夢のような光景にきっと自分は寝ているのだろうと紗雪は再び目を閉じるのだった。
「椎名が世話になった!」
翌早朝、煉獄は水屋敷に紗雪を迎えに来ていた。まだ寝ぼけ眼の紗雪を抱き抱えると冨岡と炭治郎に礼を言う。炭治郎が紗雪の頭を撫でた。
「また遊ぼうね椎名ちゃん」
「ありあと…ばいばい」
手を振る紗雪ににっこり微笑む。歩き出した煉獄の肩越しに紗雪はもう一度手を振った。煉獄を見上げる。
「鬼退治終わり?」
「む?そうか、不死川が話したと言っていたな!そうだ!待たせてすまなかったな!」
「鬼、怖い?」
「怖くはないぞ!鬼は退治するべきものだからな!!」
紗雪は煉獄をじっと見ていたが、突然暴れ出すと煉獄をよじ登りだした。
「危ないぞ椎名」
煉獄が落ちないように紗雪の背中に手を添える。紗雪はギュッと煉獄の頭に抱きついた。
「椎名?」
「お利口しゃんね。よしよし」
「………」
煉獄は目を丸くして紗雪を見た。三歳児のする事だ。そこに深い意味があるとは思わない。だがそれでも紗雪の行動が心に沁みて煉獄は穏やかに微笑んだ。
「ありがとう椎名。まだ朝早い。帰ったらもう少し寝ようか」
「椎名お目目しゃめたよ?」
「俺が眠い!」
煉獄は快活に笑うと帰宅した。千寿郎を起こさないよう静かに部屋に戻ると夜着に着替え布団を敷く。紗雪は竹蜻蛉を回そうとしていた。
「竹蜻蛉とは久しぶりに見た」
「んとね…怪我いっぱいのお兄ちゃんがくれたの」
「不死川か」
煉獄は小さく笑うと布団に入り紗雪を呼んだ。渋る紗雪に竹蜻蛉を指差す。
「目が覚めたらそれで俺と遊ぼう」
「やくしょくよ?」
指切りすると布団に潜り込んでくる紗雪を抱き締める。高めの体温に煉獄は静かに目を閉じた。
「お休み椎名」
「おやしゅみー」