短編
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「ごめんなさい!不死川さん!!私も伊黒さんも任務が入っちゃったの!!椎名ちゃんをお願い!!」
一連の説明を受けた不死川は戸惑った顔で紗雪を見た。甘露寺に大人しく抱かれた紗雪はじっと不死川を見つめている。
不死川がため息をついて頭をかいた。
「あのなぁ、俺に子守りが向いてると思うのかぁ?」
「無一郎君は昨日から任務に出てて居ないし、悲鳴嶼さんの所は山の中だし遠すぎて…」
紗雪が不死川に向かって手を伸ばした。何をする気かと不死川が見守っていると、紗雪は不死川の傷だらけの腕を撫でた。
「痛いのとんでけよー」
「…痛かねぇよ。見ろぉ、血ぃ出てねぇだろ」
袖を捲って見せる不死川に紗雪はもっと傷を撫でようと前のめりになった。腕の中に転がり込んでくる紗雪を不死川が抱き止める。
「おい、甘露寺…」
「本当にごめんなさい!私もう行かなくちゃ!!椎名ちゃん、また遊びましょうね!」
甘露寺は慌ただしく走り去ってしまった。不死川が腕の中の紗雪を見る。紗雪はぱちくりと目を瞬くと不死川を見つめ返した。
「お前、怖くねぇのかぁ」
「お前じゃないよ?椎名だよ?」
三歳児との正確な意思疎通は難しい。不死川はため息をつくと紗雪を抱いたまま屋敷の中に戻った。靴を脱がして床に下ろしてやると、その場に座り込む紗雪に首を傾げる。
「どうしたぁ?」
話に聞いているよりずっと大人しい紗雪にその顔を覗き込む。紗雪はしゅんとしょげ返っていた。不死川があぐらの上に紗雪を抱えるともう一度尋ねる。
「腹でも減ったかぁ?」
「…椎名、いらない子?」
「……何でそう思う」
不死川はなるべく威圧感を与えないよう気を付けながら聞いた。紗雪の目にみるみるうちに涙が溜まる。
「みんな、椎名がおうちに行くとごめんねしゅるから…」
「あー…」
不死川は頭をガシガシかいた。
(お前、こう言うガキだったのかよ紗雪)
人の感情に聡い子供だったのに、何故今は煉獄に対してあそこまで鈍いのか。いっそ天晴である。不死川は紗雪の頭もガシガシかいた。
「俺も甘露寺…さっきの姉ちゃんも同じ服着てんだろぉ」
「うん」
「俺たちは鬼退治が仕事だぁ」
三歳でもわかるように噛み砕いて話す。
「ももたろしゃん?」
「まぁ、そんなもんだぁ。だが俺たちが退治してる鬼はもっと悪ぃ鬼だ。だから必ず退治しなけりゃならねぇ。分かるかぁ?」
「わかる!からしゅしゃん、だからカァカァ?犬としゃるもいる?」
どうやら紗雪の中で雉の代わりに鴉が仲間入りしたようだ。不死川が思わず吹き出した。
「犬と猿は休みだぁ。だが、猪ならいるぜぇ」
「いのしし!つおそう!」
紗雪の頭の中は鬼退治に行く不死川と鴉と猪で一杯だ。やっと元気になった紗雪に不死川が一安心していると、屋敷の塀に不死川の鎹鴉が舞い降りたのだった。
「………」
「と言うわけで俺は任務だぁ。テメェ今日は休みだよなぁ」
無言の冨岡と睨みつける不死川に挟まれ紗雪はキョロキョロした。冨岡の着ている隊服に目を止めると不死川の袖を引っ張る。
「何だぁ」
「この人も鬼退治?」
「あぁ、そうだぁ。つってもコイツは今日は休みだがな」
「鬼しゃんやっつけて来たの?」
「あ、あぁ…」
キラキラした目で見上げられ冨岡は一歩引いた。自分の知っている紗雪との落差が酷くて事態が飲み込めない。だが、そんな事はお構いなしで不死川は話を進めた。懐から竹蜻蛉を取り出す。
「ほら、コイツをやるから大人しくここで遊んでろぉ。煉獄には連絡入れておいてやるからなぁ」
「ありあと!髪の毛ピカーのお兄ちゃんも鬼退治?」
「あぁ、そろそろ帰ってくんだろ」
じゃあ任せたぜ!と言い捨てると不死川は言ってしまった。竹蜻蛉を手に紗雪が冨岡を見上げる。
「椎名でしゅ!お兄ちゃんお名前は?」
「…冨岡義勇だ」
それだけ言うと庭に向かって歩き出す。紗雪が困って立ち尽くしていると、冨岡が振り返って手招きした。
「こっちだ…竹蜻蛉を飛ばせる」
「ホント!?」
紗雪はパァッと笑顔になると冨岡に続いた。稽古のために使っていた竹をどかすと場所を広く取る。飛ばし方を冨岡に教わると紗雪は早速竹蜻蛉を回した。
「しょれ!」
へなへな…ぽと。
「しょーれ!!」
へな…ぽと。
「とんぼしゃん元気ないねー」
「ぶふっ」
全く飛ぶ気配のない竹蜻蛉にそう言えば冨岡が吹き出した。キョトンとする紗雪から竹蜻蛉を預かると飛ばして見せる。
「わーあ!」
高く空に舞い上がる竹蜻蛉に紗雪が歓声を上げた。追いかけては拾い、冨岡の元へ戻ってくる。
「もっかい!」
「わかった」
「もっかい!」
「わかったわかった」
「もっかい!!」
「………」
キリのない紗雪のもっかい攻撃に冨岡は心を無にして竹蜻蛉を飛ばした。最早何度目がわからない竹蜻蛉が池の方に飛んでいった。
「あっ」
「椎名っ!」
「危ない!」
冨岡が慌てて立ち上がるのと紗雪がつまづくのと炭治郎が紗雪を抱えるのは同時だった。炭治郎が落ちて来た竹蜻蛉を掴むと紗雪を抱き上げる。
「大丈夫だった?竹蜻蛉を追いかける時は足元に気をつけようね」
「ありあと…鬼退治しゃん、いっぱいねー」
「ん?」
隊服を見て言う紗雪に炭治郎が首を傾げる。冨岡の側に戻ると紗雪が元気よく言った。
「もっかい!」
一連の説明を受けた不死川は戸惑った顔で紗雪を見た。甘露寺に大人しく抱かれた紗雪はじっと不死川を見つめている。
不死川がため息をついて頭をかいた。
「あのなぁ、俺に子守りが向いてると思うのかぁ?」
「無一郎君は昨日から任務に出てて居ないし、悲鳴嶼さんの所は山の中だし遠すぎて…」
紗雪が不死川に向かって手を伸ばした。何をする気かと不死川が見守っていると、紗雪は不死川の傷だらけの腕を撫でた。
「痛いのとんでけよー」
「…痛かねぇよ。見ろぉ、血ぃ出てねぇだろ」
袖を捲って見せる不死川に紗雪はもっと傷を撫でようと前のめりになった。腕の中に転がり込んでくる紗雪を不死川が抱き止める。
「おい、甘露寺…」
「本当にごめんなさい!私もう行かなくちゃ!!椎名ちゃん、また遊びましょうね!」
甘露寺は慌ただしく走り去ってしまった。不死川が腕の中の紗雪を見る。紗雪はぱちくりと目を瞬くと不死川を見つめ返した。
「お前、怖くねぇのかぁ」
「お前じゃないよ?椎名だよ?」
三歳児との正確な意思疎通は難しい。不死川はため息をつくと紗雪を抱いたまま屋敷の中に戻った。靴を脱がして床に下ろしてやると、その場に座り込む紗雪に首を傾げる。
「どうしたぁ?」
話に聞いているよりずっと大人しい紗雪にその顔を覗き込む。紗雪はしゅんとしょげ返っていた。不死川があぐらの上に紗雪を抱えるともう一度尋ねる。
「腹でも減ったかぁ?」
「…椎名、いらない子?」
「……何でそう思う」
不死川はなるべく威圧感を与えないよう気を付けながら聞いた。紗雪の目にみるみるうちに涙が溜まる。
「みんな、椎名がおうちに行くとごめんねしゅるから…」
「あー…」
不死川は頭をガシガシかいた。
(お前、こう言うガキだったのかよ紗雪)
人の感情に聡い子供だったのに、何故今は煉獄に対してあそこまで鈍いのか。いっそ天晴である。不死川は紗雪の頭もガシガシかいた。
「俺も甘露寺…さっきの姉ちゃんも同じ服着てんだろぉ」
「うん」
「俺たちは鬼退治が仕事だぁ」
三歳でもわかるように噛み砕いて話す。
「ももたろしゃん?」
「まぁ、そんなもんだぁ。だが俺たちが退治してる鬼はもっと悪ぃ鬼だ。だから必ず退治しなけりゃならねぇ。分かるかぁ?」
「わかる!からしゅしゃん、だからカァカァ?犬としゃるもいる?」
どうやら紗雪の中で雉の代わりに鴉が仲間入りしたようだ。不死川が思わず吹き出した。
「犬と猿は休みだぁ。だが、猪ならいるぜぇ」
「いのしし!つおそう!」
紗雪の頭の中は鬼退治に行く不死川と鴉と猪で一杯だ。やっと元気になった紗雪に不死川が一安心していると、屋敷の塀に不死川の鎹鴉が舞い降りたのだった。
「………」
「と言うわけで俺は任務だぁ。テメェ今日は休みだよなぁ」
無言の冨岡と睨みつける不死川に挟まれ紗雪はキョロキョロした。冨岡の着ている隊服に目を止めると不死川の袖を引っ張る。
「何だぁ」
「この人も鬼退治?」
「あぁ、そうだぁ。つってもコイツは今日は休みだがな」
「鬼しゃんやっつけて来たの?」
「あ、あぁ…」
キラキラした目で見上げられ冨岡は一歩引いた。自分の知っている紗雪との落差が酷くて事態が飲み込めない。だが、そんな事はお構いなしで不死川は話を進めた。懐から竹蜻蛉を取り出す。
「ほら、コイツをやるから大人しくここで遊んでろぉ。煉獄には連絡入れておいてやるからなぁ」
「ありあと!髪の毛ピカーのお兄ちゃんも鬼退治?」
「あぁ、そろそろ帰ってくんだろ」
じゃあ任せたぜ!と言い捨てると不死川は言ってしまった。竹蜻蛉を手に紗雪が冨岡を見上げる。
「椎名でしゅ!お兄ちゃんお名前は?」
「…冨岡義勇だ」
それだけ言うと庭に向かって歩き出す。紗雪が困って立ち尽くしていると、冨岡が振り返って手招きした。
「こっちだ…竹蜻蛉を飛ばせる」
「ホント!?」
紗雪はパァッと笑顔になると冨岡に続いた。稽古のために使っていた竹をどかすと場所を広く取る。飛ばし方を冨岡に教わると紗雪は早速竹蜻蛉を回した。
「しょれ!」
へなへな…ぽと。
「しょーれ!!」
へな…ぽと。
「とんぼしゃん元気ないねー」
「ぶふっ」
全く飛ぶ気配のない竹蜻蛉にそう言えば冨岡が吹き出した。キョトンとする紗雪から竹蜻蛉を預かると飛ばして見せる。
「わーあ!」
高く空に舞い上がる竹蜻蛉に紗雪が歓声を上げた。追いかけては拾い、冨岡の元へ戻ってくる。
「もっかい!」
「わかった」
「もっかい!」
「わかったわかった」
「もっかい!!」
「………」
キリのない紗雪のもっかい攻撃に冨岡は心を無にして竹蜻蛉を飛ばした。最早何度目がわからない竹蜻蛉が池の方に飛んでいった。
「あっ」
「椎名っ!」
「危ない!」
冨岡が慌てて立ち上がるのと紗雪がつまづくのと炭治郎が紗雪を抱えるのは同時だった。炭治郎が落ちて来た竹蜻蛉を掴むと紗雪を抱き上げる。
「大丈夫だった?竹蜻蛉を追いかける時は足元に気をつけようね」
「ありあと…鬼退治しゃん、いっぱいねー」
「ん?」
隊服を見て言う紗雪に炭治郎が首を傾げる。冨岡の側に戻ると紗雪が元気よく言った。
「もっかい!」