短編
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バキッ!
「っ!」
福地に頬を殴られて紗雪は数歩後ろに下がった。肩で息をする福地が睨んでくるのに困った顔をする。
「福地さん、お願いですから話を…」
「五月蝿い人殺し!!カナを…見捨てておいて、お前!よくも、そんな…」
杵島に前もって何か吹き込まれていたようで、福地は襲ってきた小鬼を斬った紗雪に問答無用で殴りかかった。流石に何発も食らうわけにはいかなくて後ろに下がる。紗雪はため息をつくと唇から流れた血を拭った。
「カナさんなら保護しましたから無事ですよ。福地さんはカナさんの姿を確認もせずに諦めるんですか?」
「お前この…は?保護?はっ!?なに…!?」
福地が予想外の紗雪の言葉に混乱して後ずさる。暗がりから福地の背中に向かって飛び出してきた小鬼の首を紗雪が斬り飛ばした。
「難しい話は後にしましょう。カナさんは無事です。屋敷に人を食う鬼がいます。明りを嫌うので配電遮断機を復旧させたいです。場所をご存知ですか?」
混乱している人間には文節を区切って話すと良いと聞く。混乱しつつも福地は馴染みのある単語に食いついた。
「配電遮断機…こっちだ!」
走り出した福地について行く。福地はリネン室の角を指し示した。
「俺は触ったことないぜ」
「場所さえ分かれば充分です」
紗雪は適当な椅子の上に登るとブレーカーを覗き込んだ。配線をあーでもない、こーでもないと確認するとスイッチに手を伸ばす。
ドォォォ…ン!!
「「!!」」
低くくぐもったような音がして庭に煙が巻き上がった。福地が廊下の窓から外を見て声を上げる。
「何だありゃ!?蔵の方のアレ…化け物かよ!!」
(本体の鬼だ!)
紗雪は急いで全てのスイッチをオンにした。バババッとあらゆる電気がついて屋敷と庭を明るく照らす。ギィアァァァアァァ!!と不快な悲鳴が響いた。
「スゲェ!効いてる!?」
「福地さん!皆んなを応接間に集めて!善逸君が守ってくれます!!」
そう言い捨てると紗雪は窓から外へ飛び出した。土煙から煉獄と宇髄が、そして蔵の高さいっぱいはありそうな真っ黒な体の巨大な鬼が飛び出してくる。宙に浮いている煉獄目掛けて鬼の腕が横薙ぎにしなった。煉獄が刀を振るいそれを切り落とす。瞬く間に腕が再生した。
巨躯に似合わぬ素早い動きに紗雪は立ち止まった。無闇に近づけない。その横に宇髄が着地した。
「報告!」
「屋敷内にはもう鬼の気配はありません。応接間に集まるよう声がけをしました。善逸君が残ってくれています」
「そっちはもう派手に隠の仕事だ!善逸がいるなら足りてるだろ」
宇髄は鬼を見上げると舌打ちした。
「派手にでかい図体なだけあって首までが遠い。お前、煉獄と一緒に揺動に回ってくれ」
確かに速さと力の両方を備えている宇髄が首を落とすのが一番可能性が高い。紗雪は頷くと鬼の腕を縦に割っている煉獄に続いた。肩と肘、手首の腱を斬る。鬼の体制を崩し高さを削ごうと紗雪は腰の筋肉を切り裂いた。
「ギィィィィィ!!」
「!!」
バランスを崩し地面に手をついた鬼が不快な声を上げた。衝撃波と共に体の表面の黒いものが四散する。鬼に近い場所にいた紗雪は避けきれない。
(しまっ…!)
「紗雪!!」
飛び込んで来た煉獄に抱えられ紗雪は地面を転がった。べちょり!と不快な音に慌てて顔を上げると、煉獄の背中から肩、頬に鬼の放った黒いものが貼り付いていた。
「師範!!」
「大丈夫だ!宇髄!黒いのに当たるなよ!!体が重くなる!」
紗雪の無事を確認すると煉獄は立ち上がろうとした。鉛の塊を背負ったような重さに膝をつく。
「師範!」
「紗雪」
泣きそうな顔の紗雪の額に人差し指を当てると、笑ってみせる。
「鬼に集中するんだ」
「…はい!」
紗雪はぐっと表情を引き締めると一回り小さくなった鬼を見据えた。はち切れそうな着物に身を包み蔵を守るようにこちらを睨んでいる鬼に既視感を生む。
(この着物の柄何処かで…)
体が小さくなった事で攻撃が通りやすくなる。両腕を斬り落としたとき鬼の耳についたイヤリングを見て紗雪はハッと息を飲んだ。
(豪田の奥さん!)
宇髄に見せられた資料写真を思い出す。一瞬で生えた腕が振り回されて、煉獄が食らった黒い塊が飛んできた。身を捩ってギリギリを回避し更に斬り込む。
「くっそ!一瞬で良いから隙がありゃ…!」
そう言って見上げた鬼の上に善逸の姿。
ーー雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 八連ーー
ガガガ!!と一瞬で八連撃。目を閉じたままの善逸が鬼を斬りつけた。動きを止めた鬼に宇髄が飛び込む。
「良くやったぜ!善逸!!」
宇髄が刀を振り下ろす。鬼の首が高く夜空に舞った。
「っ!」
福地に頬を殴られて紗雪は数歩後ろに下がった。肩で息をする福地が睨んでくるのに困った顔をする。
「福地さん、お願いですから話を…」
「五月蝿い人殺し!!カナを…見捨てておいて、お前!よくも、そんな…」
杵島に前もって何か吹き込まれていたようで、福地は襲ってきた小鬼を斬った紗雪に問答無用で殴りかかった。流石に何発も食らうわけにはいかなくて後ろに下がる。紗雪はため息をつくと唇から流れた血を拭った。
「カナさんなら保護しましたから無事ですよ。福地さんはカナさんの姿を確認もせずに諦めるんですか?」
「お前この…は?保護?はっ!?なに…!?」
福地が予想外の紗雪の言葉に混乱して後ずさる。暗がりから福地の背中に向かって飛び出してきた小鬼の首を紗雪が斬り飛ばした。
「難しい話は後にしましょう。カナさんは無事です。屋敷に人を食う鬼がいます。明りを嫌うので配電遮断機を復旧させたいです。場所をご存知ですか?」
混乱している人間には文節を区切って話すと良いと聞く。混乱しつつも福地は馴染みのある単語に食いついた。
「配電遮断機…こっちだ!」
走り出した福地について行く。福地はリネン室の角を指し示した。
「俺は触ったことないぜ」
「場所さえ分かれば充分です」
紗雪は適当な椅子の上に登るとブレーカーを覗き込んだ。配線をあーでもない、こーでもないと確認するとスイッチに手を伸ばす。
ドォォォ…ン!!
「「!!」」
低くくぐもったような音がして庭に煙が巻き上がった。福地が廊下の窓から外を見て声を上げる。
「何だありゃ!?蔵の方のアレ…化け物かよ!!」
(本体の鬼だ!)
紗雪は急いで全てのスイッチをオンにした。バババッとあらゆる電気がついて屋敷と庭を明るく照らす。ギィアァァァアァァ!!と不快な悲鳴が響いた。
「スゲェ!効いてる!?」
「福地さん!皆んなを応接間に集めて!善逸君が守ってくれます!!」
そう言い捨てると紗雪は窓から外へ飛び出した。土煙から煉獄と宇髄が、そして蔵の高さいっぱいはありそうな真っ黒な体の巨大な鬼が飛び出してくる。宙に浮いている煉獄目掛けて鬼の腕が横薙ぎにしなった。煉獄が刀を振るいそれを切り落とす。瞬く間に腕が再生した。
巨躯に似合わぬ素早い動きに紗雪は立ち止まった。無闇に近づけない。その横に宇髄が着地した。
「報告!」
「屋敷内にはもう鬼の気配はありません。応接間に集まるよう声がけをしました。善逸君が残ってくれています」
「そっちはもう派手に隠の仕事だ!善逸がいるなら足りてるだろ」
宇髄は鬼を見上げると舌打ちした。
「派手にでかい図体なだけあって首までが遠い。お前、煉獄と一緒に揺動に回ってくれ」
確かに速さと力の両方を備えている宇髄が首を落とすのが一番可能性が高い。紗雪は頷くと鬼の腕を縦に割っている煉獄に続いた。肩と肘、手首の腱を斬る。鬼の体制を崩し高さを削ごうと紗雪は腰の筋肉を切り裂いた。
「ギィィィィィ!!」
「!!」
バランスを崩し地面に手をついた鬼が不快な声を上げた。衝撃波と共に体の表面の黒いものが四散する。鬼に近い場所にいた紗雪は避けきれない。
(しまっ…!)
「紗雪!!」
飛び込んで来た煉獄に抱えられ紗雪は地面を転がった。べちょり!と不快な音に慌てて顔を上げると、煉獄の背中から肩、頬に鬼の放った黒いものが貼り付いていた。
「師範!!」
「大丈夫だ!宇髄!黒いのに当たるなよ!!体が重くなる!」
紗雪の無事を確認すると煉獄は立ち上がろうとした。鉛の塊を背負ったような重さに膝をつく。
「師範!」
「紗雪」
泣きそうな顔の紗雪の額に人差し指を当てると、笑ってみせる。
「鬼に集中するんだ」
「…はい!」
紗雪はぐっと表情を引き締めると一回り小さくなった鬼を見据えた。はち切れそうな着物に身を包み蔵を守るようにこちらを睨んでいる鬼に既視感を生む。
(この着物の柄何処かで…)
体が小さくなった事で攻撃が通りやすくなる。両腕を斬り落としたとき鬼の耳についたイヤリングを見て紗雪はハッと息を飲んだ。
(豪田の奥さん!)
宇髄に見せられた資料写真を思い出す。一瞬で生えた腕が振り回されて、煉獄が食らった黒い塊が飛んできた。身を捩ってギリギリを回避し更に斬り込む。
「くっそ!一瞬で良いから隙がありゃ…!」
そう言って見上げた鬼の上に善逸の姿。
ーー雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃 八連ーー
ガガガ!!と一瞬で八連撃。目を閉じたままの善逸が鬼を斬りつけた。動きを止めた鬼に宇髄が飛び込む。
「良くやったぜ!善逸!!」
宇髄が刀を振り下ろす。鬼の首が高く夜空に舞った。