短編
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紗雪は屋敷を出ると街へと向かっていた。言いつかったお使いの荷物を大事に抱え直す。その肩に鴉が止まると甲高い声が響いた。
「椎名待ツ、茶屋デ待ツ。紅ト行ク」
「分かったよ紅。ありがとう」
抱えていた用事を済ませると、先導して飛んでいく紅についていく。茶屋の縁台に腰掛け注文をすませると斜め後ろの背中合わせに煉獄が腰掛けてきた。
「進捗は?」
「屋敷内はほぼ把握しました。ですがどこかに地下が隠されているようでその入り口が分かっていません。今は善逸君が音で探しています」
注文していない団子が出てきて紗雪が視線を煉獄に向けると、煉獄は同じ物を食べて美味い!と叫んでいた。
「いただきます」
「ここの団子は焼き加減が絶妙だ!!」
街に数ある茶屋の中からわざわざ選んだだけの事はある。煉獄は満足して頷いた。
「使用人達はおかしいと思っている者もいるようではありますが、殆どの者は何も知らないようです」
「知っていそうなのは?」
「長く旦那様にお仕えしている執事長の杵島がおそらく」
「…旦那様?」
煉獄の湯飲みを持つ手がピクリと震えた。モヤリとしたものが胸に広がり手で押さえる。紗雪はお団子を食べ終えると手を合わせた。
「美味しかったです。ご馳走様でした。一応私も使用人ですからね。そう呼ばなければおかしいでしょう」
正論に煉獄が何とか感情をお茶と共に流し込む。
「…一週間後までに隠し通路を調べられるか?」
「努力します。それと…」
紗雪は注文していたお土産を受け取ると店員にお金を払おうとした。既に受け取っていると言われて目を丸くする。
「少し痩せたのではないか?任務が終わったら千寿郎の飯を腹がくちくなるまで食べよう!」
「師範は継子を甘やかしてどうしたいのでしょうね。でもありがとうございます。それと確認なのですが、師範たちが来られるまでに使用人が鬼に食われるような事態が起きた時、動いても宜しいでしょうか」
この二週間でカナのやらかしが酷い。もしかすると今日明日にでも首を言い渡されるかもしれない。ただの解雇であればいいが福地の言う通りなら…。ぎゅっと手を握りしめた紗雪に煉獄は静かに尋ねた
「君は日輪刀を持っていないのだぞ?」
「鬼とは遭遇しないようします。師範や宇髄さんとの合同任務をお釈迦にするつもりはありません。ですが…」
煉獄は紗雪の手の中に小さな匂い袋を押し込んだ。
「藤の花を粉末にしたものが入っている。上手く使うと良い」
「ありがとうございます」
立ち上がろうとする紗雪の耳に煉獄の凛とした声が響く。
「一週間後に会おう」
「お待ちしています」
潜入してからの緊張が解れた気のする紗雪だった。
「もう勘弁ならん!首だ首!!」
「申し訳ございません!申し訳…」
「さっさと下がれ!!」
「……っ!」
ガシャン!と大きな音がして使用人が数人部屋の中に駆け込んでいった。遠巻きに見ていた善逸がうんざりとため息をつく。
「今叩き割った食器、スゲー高い奴。また後でブツブツ文句言うんだぜ。やんなっちゃうよ」
「………」
紗雪が見ていると部屋から出てきたカナが走り去るのに福地が追っていく。
「善逸君、今夜はこれの出番がありそうです」
煉獄に渡された袋を見せれば善逸が分かりやすく顔色を青くした。
「オレタチ、ニチリントウモッテナイ…」
「伊之助君みたいにならないで下さいよ。善逸君は見張りをお願いします」
カナを丸め込んで逃すなら自分の方が向いている。肩を落として戻ってくる福地に二人は口を慎むのだった。
「椎名待ツ、茶屋デ待ツ。紅ト行ク」
「分かったよ紅。ありがとう」
抱えていた用事を済ませると、先導して飛んでいく紅についていく。茶屋の縁台に腰掛け注文をすませると斜め後ろの背中合わせに煉獄が腰掛けてきた。
「進捗は?」
「屋敷内はほぼ把握しました。ですがどこかに地下が隠されているようでその入り口が分かっていません。今は善逸君が音で探しています」
注文していない団子が出てきて紗雪が視線を煉獄に向けると、煉獄は同じ物を食べて美味い!と叫んでいた。
「いただきます」
「ここの団子は焼き加減が絶妙だ!!」
街に数ある茶屋の中からわざわざ選んだだけの事はある。煉獄は満足して頷いた。
「使用人達はおかしいと思っている者もいるようではありますが、殆どの者は何も知らないようです」
「知っていそうなのは?」
「長く旦那様にお仕えしている執事長の杵島がおそらく」
「…旦那様?」
煉獄の湯飲みを持つ手がピクリと震えた。モヤリとしたものが胸に広がり手で押さえる。紗雪はお団子を食べ終えると手を合わせた。
「美味しかったです。ご馳走様でした。一応私も使用人ですからね。そう呼ばなければおかしいでしょう」
正論に煉獄が何とか感情をお茶と共に流し込む。
「…一週間後までに隠し通路を調べられるか?」
「努力します。それと…」
紗雪は注文していたお土産を受け取ると店員にお金を払おうとした。既に受け取っていると言われて目を丸くする。
「少し痩せたのではないか?任務が終わったら千寿郎の飯を腹がくちくなるまで食べよう!」
「師範は継子を甘やかしてどうしたいのでしょうね。でもありがとうございます。それと確認なのですが、師範たちが来られるまでに使用人が鬼に食われるような事態が起きた時、動いても宜しいでしょうか」
この二週間でカナのやらかしが酷い。もしかすると今日明日にでも首を言い渡されるかもしれない。ただの解雇であればいいが福地の言う通りなら…。ぎゅっと手を握りしめた紗雪に煉獄は静かに尋ねた
「君は日輪刀を持っていないのだぞ?」
「鬼とは遭遇しないようします。師範や宇髄さんとの合同任務をお釈迦にするつもりはありません。ですが…」
煉獄は紗雪の手の中に小さな匂い袋を押し込んだ。
「藤の花を粉末にしたものが入っている。上手く使うと良い」
「ありがとうございます」
立ち上がろうとする紗雪の耳に煉獄の凛とした声が響く。
「一週間後に会おう」
「お待ちしています」
潜入してからの緊張が解れた気のする紗雪だった。
「もう勘弁ならん!首だ首!!」
「申し訳ございません!申し訳…」
「さっさと下がれ!!」
「……っ!」
ガシャン!と大きな音がして使用人が数人部屋の中に駆け込んでいった。遠巻きに見ていた善逸がうんざりとため息をつく。
「今叩き割った食器、スゲー高い奴。また後でブツブツ文句言うんだぜ。やんなっちゃうよ」
「………」
紗雪が見ていると部屋から出てきたカナが走り去るのに福地が追っていく。
「善逸君、今夜はこれの出番がありそうです」
煉獄に渡された袋を見せれば善逸が分かりやすく顔色を青くした。
「オレタチ、ニチリントウモッテナイ…」
「伊之助君みたいにならないで下さいよ。善逸君は見張りをお願いします」
カナを丸め込んで逃すなら自分の方が向いている。肩を落として戻ってくる福地に二人は口を慎むのだった。