短編
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「ここが俺達下っ端の部屋。四人部屋だから空いてるベッド使えよ」
無事に豪田の屋敷に雇われた紗雪と善逸は使用人用の部屋を案内されていた。8畳ほどの板間に二段ベットが二つだけの至って簡素なものだ。空いているベッドに荷物を置いた二人に、案内してくれた男がニカっと笑った。
「俺は福地。お前らの半年先輩だ!宜しくな!」
「どうも我妻です」
「紗雪です。宜しく」
頭を下げる紗雪の首にあるループタイが揺れて福地がそれを指差した。
「紗雪、それ隠しておいた方がいいぜ。旦那様に目をつけられたら面倒なことになるから」
「ありがとうございます。祖父の形見なので…そうします」
案の定な指摘を受けて紗雪はさっさとループタイを外した。どこか人目のつかない場所に隠しておこうと心に決める。
「目を付けられると面倒って…何かあんの?」
支給されたベストとパンツ、クロスタイに着替えながら尋ねる善逸に福地は周りをキョロキョロすると声を潜めた。
「他に言うなよ?ここ使用人が結構な頻度で辞めていくんだけど…辞めてった奴らのその後を誰もしらねぇって話なんだ」
「えっ!なにそれ…怖すぎない?」
顔色を悪くする善逸に福地がしーっと人差し指を立てた。
「ただの噂だよ!多分旦那様のお怒りを買って辞めさせられてるからこの辺に就職先が見つからなくて、田舎に帰ってんだよ」
「おい福地、早くそいつら連れてって仕事の説明しろよ」
「おー!んじゃ行こうぜ」
紗雪と善逸は顔を見合わせると頷き合った。
「しんっど!」
二日目の夜、ベッドに倒れ込むと善逸がうめいた。屋敷の備品の手入れにお茶の入れ方から運び方に置き方。受け答えの言葉遣いに身のこなしまでとにかく覚えなければいけない事が多い。しかも豪田は大変な気分屋で使用人には高圧的だ。
「頭爆発しそう…」
「善逸君しっかり。せめて屋敷の間取りだけでも把握してしまいましょう」
この二日、様々な用事をこなしながら敷地内を回ったがとにかく広い。屋敷も大きいが庭が広くてしかも蔵が四つもある。紙を広げる紗雪に善逸がヨロヨロと顔を上げた。
「あ、ここにシーツとかしまう納戸があった」
「二階は庭に面した方は客間が殆どでしたね。あとは談話室」
「何してんだ?」
福地がひょっこりと顔を出した。紗雪が持っている紙を見ると隣に座る。
「お、真面目じゃん!こっちは使用人の専用通路な。三階は旦那様の部屋と書庫、執務室だぞ」
「蔵の方には何が入っているのでしょう」
「さぁ、俺も入った事ない。多分美術品とかじゃねーの?」
ベッドに転がった福地の腹が盛大な音を立てた。善逸も自分のお腹を抑える。
「腹減ったなぁ。夕飯はおにぎり二個に薄い味噌汁だけだもんな」
「そうだ」
紗雪はベッドの脇の小机に置いてあった荷物を手に取った。布に包まれたそれを解くと中から大きなパンが出てくる。
「昼間に厨房で頂きました。みんなで食べましょう」
「マジで!?いつの間に厨房の連中と仲良くなったの!?」
善逸と福地は目を輝かせた。紗雪が入口の方を見て手を招く。入り口に善逸や福地と同じぐらいの年の少女が立っていた。
「カナ」
「カナさんも食べましょう。こちらへどうぞ」
紗雪が声をかけるとカナは嬉しそうに福地の横に座った。福地が呆れた顔をする。
「ちゃっかりしてらぁ」
「良いじゃない!お腹空くもん!」
「あれ、二人は知り合い?」
三人が揃って紗雪から切り分けられたパンを受け取ると大口でかぶりつく。善逸は首を傾げると福地とカナを見た。福地がカナの肩を小突く。
「幼馴染だよ。俺にくっついて奉公に出てきたんだけどけど、すんげぇドジで何で首になってないか謎」
「酷い!頑張ってやってるもん!!」
「仲が良いんですね」
紗雪は微笑ましく二人を見つめた。善逸がすごい顔をしている気がするが気にしたら負けである。
「さ、これ以上お腹が空かないうちに寝ましょうか」
パンが三人の腹に綺麗に消えたのを確認すると、紗雪はそう締めくくるのだった。
無事に豪田の屋敷に雇われた紗雪と善逸は使用人用の部屋を案内されていた。8畳ほどの板間に二段ベットが二つだけの至って簡素なものだ。空いているベッドに荷物を置いた二人に、案内してくれた男がニカっと笑った。
「俺は福地。お前らの半年先輩だ!宜しくな!」
「どうも我妻です」
「紗雪です。宜しく」
頭を下げる紗雪の首にあるループタイが揺れて福地がそれを指差した。
「紗雪、それ隠しておいた方がいいぜ。旦那様に目をつけられたら面倒なことになるから」
「ありがとうございます。祖父の形見なので…そうします」
案の定な指摘を受けて紗雪はさっさとループタイを外した。どこか人目のつかない場所に隠しておこうと心に決める。
「目を付けられると面倒って…何かあんの?」
支給されたベストとパンツ、クロスタイに着替えながら尋ねる善逸に福地は周りをキョロキョロすると声を潜めた。
「他に言うなよ?ここ使用人が結構な頻度で辞めていくんだけど…辞めてった奴らのその後を誰もしらねぇって話なんだ」
「えっ!なにそれ…怖すぎない?」
顔色を悪くする善逸に福地がしーっと人差し指を立てた。
「ただの噂だよ!多分旦那様のお怒りを買って辞めさせられてるからこの辺に就職先が見つからなくて、田舎に帰ってんだよ」
「おい福地、早くそいつら連れてって仕事の説明しろよ」
「おー!んじゃ行こうぜ」
紗雪と善逸は顔を見合わせると頷き合った。
「しんっど!」
二日目の夜、ベッドに倒れ込むと善逸がうめいた。屋敷の備品の手入れにお茶の入れ方から運び方に置き方。受け答えの言葉遣いに身のこなしまでとにかく覚えなければいけない事が多い。しかも豪田は大変な気分屋で使用人には高圧的だ。
「頭爆発しそう…」
「善逸君しっかり。せめて屋敷の間取りだけでも把握してしまいましょう」
この二日、様々な用事をこなしながら敷地内を回ったがとにかく広い。屋敷も大きいが庭が広くてしかも蔵が四つもある。紙を広げる紗雪に善逸がヨロヨロと顔を上げた。
「あ、ここにシーツとかしまう納戸があった」
「二階は庭に面した方は客間が殆どでしたね。あとは談話室」
「何してんだ?」
福地がひょっこりと顔を出した。紗雪が持っている紙を見ると隣に座る。
「お、真面目じゃん!こっちは使用人の専用通路な。三階は旦那様の部屋と書庫、執務室だぞ」
「蔵の方には何が入っているのでしょう」
「さぁ、俺も入った事ない。多分美術品とかじゃねーの?」
ベッドに転がった福地の腹が盛大な音を立てた。善逸も自分のお腹を抑える。
「腹減ったなぁ。夕飯はおにぎり二個に薄い味噌汁だけだもんな」
「そうだ」
紗雪はベッドの脇の小机に置いてあった荷物を手に取った。布に包まれたそれを解くと中から大きなパンが出てくる。
「昼間に厨房で頂きました。みんなで食べましょう」
「マジで!?いつの間に厨房の連中と仲良くなったの!?」
善逸と福地は目を輝かせた。紗雪が入口の方を見て手を招く。入り口に善逸や福地と同じぐらいの年の少女が立っていた。
「カナ」
「カナさんも食べましょう。こちらへどうぞ」
紗雪が声をかけるとカナは嬉しそうに福地の横に座った。福地が呆れた顔をする。
「ちゃっかりしてらぁ」
「良いじゃない!お腹空くもん!」
「あれ、二人は知り合い?」
三人が揃って紗雪から切り分けられたパンを受け取ると大口でかぶりつく。善逸は首を傾げると福地とカナを見た。福地がカナの肩を小突く。
「幼馴染だよ。俺にくっついて奉公に出てきたんだけどけど、すんげぇドジで何で首になってないか謎」
「酷い!頑張ってやってるもん!!」
「仲が良いんですね」
紗雪は微笑ましく二人を見つめた。善逸がすごい顔をしている気がするが気にしたら負けである。
「さ、これ以上お腹が空かないうちに寝ましょうか」
パンが三人の腹に綺麗に消えたのを確認すると、紗雪はそう締めくくるのだった。