短編
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「潜入捜査ですか…宇髄さんそう言うの多いですね」
正式な合同任務で音屋敷へ呼び出された紗雪は、煉獄、宇髄と向かい合うように座っていた。
まきをがお茶を淹れてくれるのに頭を下げる。紗雪はそれに口をつけると、隣に座っている善逸に視線を向けた。もう既に死にそうな顔をしていて心配になる。
「今回も派手に厄介だぜ?なんせ鬼を匿っているのはデカい商売をしてる有力者って奴だからな」
「うむ!正面切って乗り込める相手ではない!!」
「…では鬼の場所の特定が必要なのですね?」
「んなの柱が二人もいるんだからパーっと行ってパーっと斬って来りゃいいじゃん!!」
無茶な泣き言を言う善逸の額に宇髄の湯呑みが飛ぶ。スコーン!と湯呑みらしからぬいい音がして善逸が額を抑えて悶絶した。
「あ!痛い痛い!!怪我した!俺もう怪我したし任務行けない!!」
「鬼を匿っているのは豪田っつーオヤジだ。こいつの屋敷じゃ派手に常時召使いを募集してる」
「募集項目が変わっていてな!男女共に細身に限るとある!!」
善逸を丸っと無視して話を進める二人に紗雪が苦笑する。床に転がったままの善逸がケッと毒付いた。
「そりゃ筋肉達磨じゃ絶対絶対雇ってもらえませんねー」
「だからお前らの出番なんだろ」
「炭治郎や伊之助だっているじゃん!」
「あいつらは派手に嘘が下手だから無理」
紗雪は差し出された求人紙を手に取ると眉を寄せた。メイドの求人内容は豪田の側仕え一択で、これでは身動きが取れなくなる。
「これ、女性の求人の方は無理ではないでしょうか?」
「うむ!なので紗雪にも男装して男の求人の方に応募してほしい!!」
「はあ?なにそれ?」
ようやく起き上がった善逸が首を傾げるのに紗雪が男性側の求人を声に出して読んだ。
「執事見習い若干名。屋敷内の雑事、来客対応諸々」
「そりゃこっちの方が自由度は高いだろうけど、男装って…」
紗雪は何処からどう見ても立派な女性である。秒でバレるじゃん…と呟く善逸に宇髄が指を鳴らした。
「おーいお前ら!頼むぞ!!」
「「「はーい」」」
雛鶴、まきを、須磨が元気に駆け込んでくると紗雪と善逸を取り囲んだ。とっても嬉しそうな善逸を須磨が、目を丸くした紗雪を雛鶴とまきをが連れて行く。
「俺もお姉さんいっぱいの方がいい〜!」
阿呆な寝言を言う善逸の頭に二個目の湯呑みがヒットした。
「お待たせしました!」
須磨は元気よく襖を開くと良い笑顔で宇髄と煉獄に声をかけた。善逸の背中をグイグイ押し出す。
「なかなか可愛くできましたよ!」
「可愛いって何!?せめて格好いいって言って!!」
白いシャツにサスペンダー付きの八分丈ワイドパンツ、ハイソックスに羽織という出立ちの善逸はたしかに可愛らしい仕上がりだ。宇髄が足から頭まで眺めて、まぁ良いんじゃね?とそっけなく言った。
「はぁ!?メチャクチャ似合ってるだろっつーの!洋装がここまで似合うとか俺ぐらいのもんでしょ!!」
「お前もう一回鏡見てこい。な?」
「むーかーつーくー!!!」
「お待たせしました」
雛鶴、まきをと共に戻ってきた紗雪を見て、善逸は目を丸くした。白いシャツにベスト、丈が長めのジャケットに細めのパンツを履いた紗雪は似合うとか言うよりごく自然に着こなしている。女性らしい体の丸みをどう抑えたのか、何処から見ても優男だ。
「すげー紗雪さん。全然女ってわからないね」
「褒め言葉として受け取っておきますね」
紗雪は苦笑すると煉獄を見た。キチンとなっているかを聞きたくて小さく首を傾げる。ハッとした煉獄がメチャクチャでかい声を出した。
「よく似合っている!これならば潜入しても安心だな!!」
「!?あ、ありがとうございます」
全員が全力で耳を抑える。紗雪もちょっと耳がキーンとなった。
「あ、そうだ、紗雪お前派手に女ってバレるなよ?豪田は無類の女好きだからな」
「待て宇髄!それは俺も初耳だ!!」
「言ったらお前紗雪貸し出さないだろうが!!」
召使の業務もこなせて腕も立つ人間が潜入する側にどうしても必要なのだ。青筋立てた宇髄に煉獄が押し黙った。あまり長引かせて良い案件ではないのがわかるので反論しにくい。
「お前らが潜入したら三週間後に俺達が客を装って屋敷を訪ねる。それまでに屋敷の中の調査と間取りの把握、派手にしておけよ」
「それとこっちはお館様が手を回してくださったお前らの紹介状な!あんま使えねーと鬼の餌になるかも知れないから、派手に執事見習い頑張れよ!」
「他人事だと思って!」
ぎゃー!と叫ぶ善逸が宇髄に食ってかかるのを他所に、煉獄は立ち上がると紗雪の首にループタイをかけた。ワイシャツの襟に通すとキチンと締める。紐を止める金具の装飾がなかなかに凝っている。
「折角の洋装だ!これをしていくと良い!!」
「…あの、お言葉ですが師範。職を求めている人間がこれをしていくのは悪目立ちかと」
「親の形見とでも言えば良いだろう!」
いや、どこのお坊ちゃんだ。紗雪はその言葉を飲み込んだ。折角の煉獄の心遣いなのだからとありがたく受け取る。
「ところでこの鬼は何故商家に匿われているのでしょう?」
「それが調べても出てこねぇんだよな!20年ぐらい前に豪田の嫁が行方不明になった頃から使用人が時折消えてるってんだから、その辺りからなんだろうけどな」
紗雪と善逸は宇髄が手に入れてきた豪田の家族写真の写しを見た。寄り添い合っているそれは平穏な夫婦写真だ。
「日輪刀持ち込めないんじゃないの?俺達」
「それは三週間後に俺達が持ち込む!」
「客の荷物は改めねぇからな。それまでは何があっても鬼に接触すんなよ」
「日輪刀も無しに鬼と戦うわけないでしょ!アンタ俺達を殺す気か!!」
いー!やー!と叫び声を上げる善逸の横で紗雪はジッと写真を見つめるのだった。
正式な合同任務で音屋敷へ呼び出された紗雪は、煉獄、宇髄と向かい合うように座っていた。
まきをがお茶を淹れてくれるのに頭を下げる。紗雪はそれに口をつけると、隣に座っている善逸に視線を向けた。もう既に死にそうな顔をしていて心配になる。
「今回も派手に厄介だぜ?なんせ鬼を匿っているのはデカい商売をしてる有力者って奴だからな」
「うむ!正面切って乗り込める相手ではない!!」
「…では鬼の場所の特定が必要なのですね?」
「んなの柱が二人もいるんだからパーっと行ってパーっと斬って来りゃいいじゃん!!」
無茶な泣き言を言う善逸の額に宇髄の湯呑みが飛ぶ。スコーン!と湯呑みらしからぬいい音がして善逸が額を抑えて悶絶した。
「あ!痛い痛い!!怪我した!俺もう怪我したし任務行けない!!」
「鬼を匿っているのは豪田っつーオヤジだ。こいつの屋敷じゃ派手に常時召使いを募集してる」
「募集項目が変わっていてな!男女共に細身に限るとある!!」
善逸を丸っと無視して話を進める二人に紗雪が苦笑する。床に転がったままの善逸がケッと毒付いた。
「そりゃ筋肉達磨じゃ絶対絶対雇ってもらえませんねー」
「だからお前らの出番なんだろ」
「炭治郎や伊之助だっているじゃん!」
「あいつらは派手に嘘が下手だから無理」
紗雪は差し出された求人紙を手に取ると眉を寄せた。メイドの求人内容は豪田の側仕え一択で、これでは身動きが取れなくなる。
「これ、女性の求人の方は無理ではないでしょうか?」
「うむ!なので紗雪にも男装して男の求人の方に応募してほしい!!」
「はあ?なにそれ?」
ようやく起き上がった善逸が首を傾げるのに紗雪が男性側の求人を声に出して読んだ。
「執事見習い若干名。屋敷内の雑事、来客対応諸々」
「そりゃこっちの方が自由度は高いだろうけど、男装って…」
紗雪は何処からどう見ても立派な女性である。秒でバレるじゃん…と呟く善逸に宇髄が指を鳴らした。
「おーいお前ら!頼むぞ!!」
「「「はーい」」」
雛鶴、まきを、須磨が元気に駆け込んでくると紗雪と善逸を取り囲んだ。とっても嬉しそうな善逸を須磨が、目を丸くした紗雪を雛鶴とまきをが連れて行く。
「俺もお姉さんいっぱいの方がいい〜!」
阿呆な寝言を言う善逸の頭に二個目の湯呑みがヒットした。
「お待たせしました!」
須磨は元気よく襖を開くと良い笑顔で宇髄と煉獄に声をかけた。善逸の背中をグイグイ押し出す。
「なかなか可愛くできましたよ!」
「可愛いって何!?せめて格好いいって言って!!」
白いシャツにサスペンダー付きの八分丈ワイドパンツ、ハイソックスに羽織という出立ちの善逸はたしかに可愛らしい仕上がりだ。宇髄が足から頭まで眺めて、まぁ良いんじゃね?とそっけなく言った。
「はぁ!?メチャクチャ似合ってるだろっつーの!洋装がここまで似合うとか俺ぐらいのもんでしょ!!」
「お前もう一回鏡見てこい。な?」
「むーかーつーくー!!!」
「お待たせしました」
雛鶴、まきをと共に戻ってきた紗雪を見て、善逸は目を丸くした。白いシャツにベスト、丈が長めのジャケットに細めのパンツを履いた紗雪は似合うとか言うよりごく自然に着こなしている。女性らしい体の丸みをどう抑えたのか、何処から見ても優男だ。
「すげー紗雪さん。全然女ってわからないね」
「褒め言葉として受け取っておきますね」
紗雪は苦笑すると煉獄を見た。キチンとなっているかを聞きたくて小さく首を傾げる。ハッとした煉獄がメチャクチャでかい声を出した。
「よく似合っている!これならば潜入しても安心だな!!」
「!?あ、ありがとうございます」
全員が全力で耳を抑える。紗雪もちょっと耳がキーンとなった。
「あ、そうだ、紗雪お前派手に女ってバレるなよ?豪田は無類の女好きだからな」
「待て宇髄!それは俺も初耳だ!!」
「言ったらお前紗雪貸し出さないだろうが!!」
召使の業務もこなせて腕も立つ人間が潜入する側にどうしても必要なのだ。青筋立てた宇髄に煉獄が押し黙った。あまり長引かせて良い案件ではないのがわかるので反論しにくい。
「お前らが潜入したら三週間後に俺達が客を装って屋敷を訪ねる。それまでに屋敷の中の調査と間取りの把握、派手にしておけよ」
「それとこっちはお館様が手を回してくださったお前らの紹介状な!あんま使えねーと鬼の餌になるかも知れないから、派手に執事見習い頑張れよ!」
「他人事だと思って!」
ぎゃー!と叫ぶ善逸が宇髄に食ってかかるのを他所に、煉獄は立ち上がると紗雪の首にループタイをかけた。ワイシャツの襟に通すとキチンと締める。紐を止める金具の装飾がなかなかに凝っている。
「折角の洋装だ!これをしていくと良い!!」
「…あの、お言葉ですが師範。職を求めている人間がこれをしていくのは悪目立ちかと」
「親の形見とでも言えば良いだろう!」
いや、どこのお坊ちゃんだ。紗雪はその言葉を飲み込んだ。折角の煉獄の心遣いなのだからとありがたく受け取る。
「ところでこの鬼は何故商家に匿われているのでしょう?」
「それが調べても出てこねぇんだよな!20年ぐらい前に豪田の嫁が行方不明になった頃から使用人が時折消えてるってんだから、その辺りからなんだろうけどな」
紗雪と善逸は宇髄が手に入れてきた豪田の家族写真の写しを見た。寄り添い合っているそれは平穏な夫婦写真だ。
「日輪刀持ち込めないんじゃないの?俺達」
「それは三週間後に俺達が持ち込む!」
「客の荷物は改めねぇからな。それまでは何があっても鬼に接触すんなよ」
「日輪刀も無しに鬼と戦うわけないでしょ!アンタ俺達を殺す気か!!」
いー!やー!と叫び声を上げる善逸の横で紗雪はジッと写真を見つめるのだった。