短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いやぁぁぁ!死なないでぇっ!!」
上弦の鬼の毒で死に行こうとしている宇髄に紗雪は唇を噛んだ。自身も受けた毒が周り目が霞む。
(解毒剤の量が足りない。毒の回りが早すぎる)
「天元様死なせたらあたしもう神様に手を合わせません!!」
「ちょっと黙んなさいよ!天元様が喋ってるでしょうが!!」
「どっちも静かにしてよ………!」
尤もな雛鶴の突っ込みに紗雪は頷きかけてぐらりと傾いだ。慌てて地面に手をつくが目眩が止まらない。
(あぁ、マズイ)
まきをや須磨の怒鳴り声が遠くなる。そこへヒョイと禰󠄀豆子が現れた。ペタリと宇髄と紗雪に手をつくとボッ!と炎がその身を包む。
「っ!!」
紗雪は目を見開いた。確かに自分が燃えているのに熱くない。
「………」
燃え上がったのは一瞬で炎は瞬く間に消えた。唖然とする紗雪に宇髄の声が届く。
「ちょっと待て。こりゃ一体どう言う事だ?毒が消えた」
「!!」
紗雪は自分の両手を広げてみた。目の霞もふらつきも治っている。禰󠄀豆子の血気術の力だと説明すると炭治郎は鬼の首の確認に去っていった。紗雪が慌てて薬を取り出すと宇髄の手当てを始める。宇髄は紗雪の血まみれの肩や二の腕に眉を顰めた。
「俺、煉獄に殺されるかも」
「師範はそんなことしませんよ」
化膿止めを注射すると痛み止めを宇髄の口の中に放り込む。
「お前、自分の手当てもしろよ」
「血は止めましたので大丈夫ですよ。ここで隊服を脱ぐわけにもいきませんしね」
「阿呆、非常時だろ。雛鶴、まきを、須磨、手当してやってくれ」
須磨が布を広げて目隠しにしてくれるのに隊服を脱ぐ。現れた傷に三人が息を飲んだ。
「傷薬を人にあげてしまったもので手持ちが無いんです」
「私が持っているものを使いましょう」
「生理食塩水ってやつ、これ傷を洗い流すんだろ?使うよ」
テキパキと手当てされて紗雪は一息ついた。ボロボロになってしまった羽織に眉を下げる。
(折角師範がくれたものなのに…直るかな)
なんだか今回は煉獄に心配や迷惑ばかりかけている気がする。紗雪は隊服を再び身につけると宇髄を振り返った。
(あ、伊黒さん)
伊黒にネチネチやられている宇髄に笑いそうになるがなんとかそれをかみ殺す。周辺一帯が瓦礫と化してしまっているのをみて紗雪は眉を顰めた。
(隠がみんなを避難させたとはいえ…酷い有様だ)
それでもまた煌びやかに再び動き出すのだろうこの街は。
「椎名!」
瓦礫の中を着物の裾が破れるのも構わず藤吉花魁が走ってくる。足元の悪さによろけた藤吉花魁を紗雪が受け止めた。
「藤吉花魁!まだ建物が崩れるかもしれないのに危ないですよ」
「椎名…こ、この怪我…」
まだ隊服には怪我の血がべったりと張り付いている。顔色を変えた藤吉花魁を安心させるように紗雪は微笑んだ。
「もう手当は済んだので大丈夫です。お約束通り死にませんでした。鬼も倒しました」
「よ…よか、良かった…よ………うわぁぁん!!」
「!?」
絶世の美女に子供のような大泣きをされて紗雪は目を丸くした。慌てて藤吉花魁を抱き締めると背中をポンポンと小さく叩く。藤吉花魁にガバリと抱き付かれ傷に響いた紗雪がよろめいた。
「おっと!」
「師範!」
力強い腕で背中を支えられて紗雪は後ろを振り返った。煉獄が安堵した笑みを浮かべている。煉獄の登場に藤吉花魁が目を瞬いた。
「あら男前ね。椎名のいい人?」
「はっはっは!」
「いや、何で笑うだけなんですか!?師範です!師匠と弟子!!」
そのやり取りだけで察した藤吉花魁の目が楽しそうに輝いた。紗雪の腰に両手を回すと胸に頭を預ける。
「あらそう、良かった。じゃあ椎名わっちのイロになっておくんなし。椎名は顔も良いし頼りになるし初心で可愛いしね」
「へぇ!?」
なんか色々思ってもいなかったことを言われて紗雪の声が裏返った。煉獄の口元がヒクリと震えたのに藤吉花魁がコロコロと笑う。
「なんてねぇ、それも楽しそうだけれどわっちも犬には噛まれたくないからね」
「!」
クイと椎名の顎を掴むとちゅっと音を立てて頬に口付ける。固まった紗雪に宇髄が楽しそうに声をかけた。
「おうおう!遊郭一の美女に口付けてもらうたぁ紗雪も隅に置けないなぁ!!」
「はっはっは!!」
「宇髄さん!?何で師範がそこで笑うんですか!あ、伊黒さんゴミを見るような目をするのは止めてください!!」
「黙れカスが」
「厳しい!!」
傷が痛いやらキスされたのが恥ずかしいやらで、普段交流のない伊黒にまで突っ込みを入れてしまう。軽く頭を抱えた紗雪だったが、藤吉花魁が楽しそうにしているのに表情を緩めるのだった。
上弦の鬼の毒で死に行こうとしている宇髄に紗雪は唇を噛んだ。自身も受けた毒が周り目が霞む。
(解毒剤の量が足りない。毒の回りが早すぎる)
「天元様死なせたらあたしもう神様に手を合わせません!!」
「ちょっと黙んなさいよ!天元様が喋ってるでしょうが!!」
「どっちも静かにしてよ………!」
尤もな雛鶴の突っ込みに紗雪は頷きかけてぐらりと傾いだ。慌てて地面に手をつくが目眩が止まらない。
(あぁ、マズイ)
まきをや須磨の怒鳴り声が遠くなる。そこへヒョイと禰󠄀豆子が現れた。ペタリと宇髄と紗雪に手をつくとボッ!と炎がその身を包む。
「っ!!」
紗雪は目を見開いた。確かに自分が燃えているのに熱くない。
「………」
燃え上がったのは一瞬で炎は瞬く間に消えた。唖然とする紗雪に宇髄の声が届く。
「ちょっと待て。こりゃ一体どう言う事だ?毒が消えた」
「!!」
紗雪は自分の両手を広げてみた。目の霞もふらつきも治っている。禰󠄀豆子の血気術の力だと説明すると炭治郎は鬼の首の確認に去っていった。紗雪が慌てて薬を取り出すと宇髄の手当てを始める。宇髄は紗雪の血まみれの肩や二の腕に眉を顰めた。
「俺、煉獄に殺されるかも」
「師範はそんなことしませんよ」
化膿止めを注射すると痛み止めを宇髄の口の中に放り込む。
「お前、自分の手当てもしろよ」
「血は止めましたので大丈夫ですよ。ここで隊服を脱ぐわけにもいきませんしね」
「阿呆、非常時だろ。雛鶴、まきを、須磨、手当してやってくれ」
須磨が布を広げて目隠しにしてくれるのに隊服を脱ぐ。現れた傷に三人が息を飲んだ。
「傷薬を人にあげてしまったもので手持ちが無いんです」
「私が持っているものを使いましょう」
「生理食塩水ってやつ、これ傷を洗い流すんだろ?使うよ」
テキパキと手当てされて紗雪は一息ついた。ボロボロになってしまった羽織に眉を下げる。
(折角師範がくれたものなのに…直るかな)
なんだか今回は煉獄に心配や迷惑ばかりかけている気がする。紗雪は隊服を再び身につけると宇髄を振り返った。
(あ、伊黒さん)
伊黒にネチネチやられている宇髄に笑いそうになるがなんとかそれをかみ殺す。周辺一帯が瓦礫と化してしまっているのをみて紗雪は眉を顰めた。
(隠がみんなを避難させたとはいえ…酷い有様だ)
それでもまた煌びやかに再び動き出すのだろうこの街は。
「椎名!」
瓦礫の中を着物の裾が破れるのも構わず藤吉花魁が走ってくる。足元の悪さによろけた藤吉花魁を紗雪が受け止めた。
「藤吉花魁!まだ建物が崩れるかもしれないのに危ないですよ」
「椎名…こ、この怪我…」
まだ隊服には怪我の血がべったりと張り付いている。顔色を変えた藤吉花魁を安心させるように紗雪は微笑んだ。
「もう手当は済んだので大丈夫です。お約束通り死にませんでした。鬼も倒しました」
「よ…よか、良かった…よ………うわぁぁん!!」
「!?」
絶世の美女に子供のような大泣きをされて紗雪は目を丸くした。慌てて藤吉花魁を抱き締めると背中をポンポンと小さく叩く。藤吉花魁にガバリと抱き付かれ傷に響いた紗雪がよろめいた。
「おっと!」
「師範!」
力強い腕で背中を支えられて紗雪は後ろを振り返った。煉獄が安堵した笑みを浮かべている。煉獄の登場に藤吉花魁が目を瞬いた。
「あら男前ね。椎名のいい人?」
「はっはっは!」
「いや、何で笑うだけなんですか!?師範です!師匠と弟子!!」
そのやり取りだけで察した藤吉花魁の目が楽しそうに輝いた。紗雪の腰に両手を回すと胸に頭を預ける。
「あらそう、良かった。じゃあ椎名わっちのイロになっておくんなし。椎名は顔も良いし頼りになるし初心で可愛いしね」
「へぇ!?」
なんか色々思ってもいなかったことを言われて紗雪の声が裏返った。煉獄の口元がヒクリと震えたのに藤吉花魁がコロコロと笑う。
「なんてねぇ、それも楽しそうだけれどわっちも犬には噛まれたくないからね」
「!」
クイと椎名の顎を掴むとちゅっと音を立てて頬に口付ける。固まった紗雪に宇髄が楽しそうに声をかけた。
「おうおう!遊郭一の美女に口付けてもらうたぁ紗雪も隅に置けないなぁ!!」
「はっはっは!!」
「宇髄さん!?何で師範がそこで笑うんですか!あ、伊黒さんゴミを見るような目をするのは止めてください!!」
「黙れカスが」
「厳しい!!」
傷が痛いやらキスされたのが恥ずかしいやらで、普段交流のない伊黒にまで突っ込みを入れてしまう。軽く頭を抱えた紗雪だったが、藤吉花魁が楽しそうにしているのに表情を緩めるのだった。