その後のお話
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「わぁ!」
神社前の街道に連なる夜店に紗雪は感嘆の声を上げた。暗い中明かりに照らされた店の前を大勢が行き交い、賑やかな声が交差する。
「祭りに来るのは初めてか?椎名」
紗雪の反応に煉獄は微笑んだ。赤銅色の浴衣に黒い帯がよく似合う。白地に赤い紅葉葵の柄が入った浴衣にえんじ色の帯という出立ちの紗雪は煉獄の問いかけに手にしていた丸竹団扇で口元を隠した。
「すいません、子供みたいにはしゃいじゃって…」
わずかに目元を赤くして俯く紗雪に煉獄はその手を取ると指を絡めた。
「縁日は独特の雰囲気があるからな!俺も来るのは久々だ」
任務任務で縁日の事などすっかり忘れていた。今回も近所の長老に言われて思い出したぐらいだ。
「だから共に楽しむこととしよう!」
「はい!」
にっこり笑う紗雪と共に人混みの中に足を進める。焼き鳥やおでん等の食べ物屋の他に着物や下駄を売っているお店まである。ひとしきり煉獄と共に店を冷やかしていた紗雪だったが、飴細工の店でふと足を止めた。透明な鳥や金魚が美しい。
「一つ買おうか?」
「え!?いや、良いです!こんな綺麗なのに飴なんですよ!?食べたらなくなっちゃう」
煉獄の申し出に紗雪は慌てて首を振った。当たり前のことを言う紗雪に煉獄は笑い声を上げた。
「飴だからな!どれでも好きなのを選ぶと良い」
そう言ってさっさと金を払ってしまう。まいど!との店主の声に紗雪はじっと飴細工を見つめると一つ手に取った。尾鰭が長くたなびく金魚だ。
「ありがとうございます」
煉獄は紗雪から団扇を受け取るとそれを自分の帯の後ろに刺した。わー…と飴細工をくるくる回転させている紗雪の空いた手を握りなおす。
「前を見て歩かなければ転ぶぞ」
「…杏寿郎さん。それは子供扱いですか?甘やかしですか?」
いくら戦いが終わったからと言ってそこまで間抜けではない。紗雪が横目に睨みを効かせると、煉獄は握った手の指先に口付けた。
「………」
「これが子供扱いか?」
「…っ、いえ」
紗雪は耳まで赤くなると飴細工の胸ビレに齧り付いた。煉獄が満足気に微笑む。
「継子の頃は思う様甘やかす事が出来なかったからな!これからは椎名の事を目一杯甘やかすぞ!!」
「!?あれで甘やかしてないって本気で言ってます!?」
「無論だ!」
宣言した上であれ以上どうやって甘やかす気なのか。ある意味空恐ろしい事を言われて紗雪は絶句した。煉獄が心底楽しそうに紗雪に囁く。
「だから椎名も俺の事を甘やかして、俺の望みを叶えてくれ」
「………考えておきます」
首まで赤くなった紗雪の口の中で、溶けた飴細工が只ひたすらに甘さを主張するのだった。
神社前の街道に連なる夜店に紗雪は感嘆の声を上げた。暗い中明かりに照らされた店の前を大勢が行き交い、賑やかな声が交差する。
「祭りに来るのは初めてか?椎名」
紗雪の反応に煉獄は微笑んだ。赤銅色の浴衣に黒い帯がよく似合う。白地に赤い紅葉葵の柄が入った浴衣にえんじ色の帯という出立ちの紗雪は煉獄の問いかけに手にしていた丸竹団扇で口元を隠した。
「すいません、子供みたいにはしゃいじゃって…」
わずかに目元を赤くして俯く紗雪に煉獄はその手を取ると指を絡めた。
「縁日は独特の雰囲気があるからな!俺も来るのは久々だ」
任務任務で縁日の事などすっかり忘れていた。今回も近所の長老に言われて思い出したぐらいだ。
「だから共に楽しむこととしよう!」
「はい!」
にっこり笑う紗雪と共に人混みの中に足を進める。焼き鳥やおでん等の食べ物屋の他に着物や下駄を売っているお店まである。ひとしきり煉獄と共に店を冷やかしていた紗雪だったが、飴細工の店でふと足を止めた。透明な鳥や金魚が美しい。
「一つ買おうか?」
「え!?いや、良いです!こんな綺麗なのに飴なんですよ!?食べたらなくなっちゃう」
煉獄の申し出に紗雪は慌てて首を振った。当たり前のことを言う紗雪に煉獄は笑い声を上げた。
「飴だからな!どれでも好きなのを選ぶと良い」
そう言ってさっさと金を払ってしまう。まいど!との店主の声に紗雪はじっと飴細工を見つめると一つ手に取った。尾鰭が長くたなびく金魚だ。
「ありがとうございます」
煉獄は紗雪から団扇を受け取るとそれを自分の帯の後ろに刺した。わー…と飴細工をくるくる回転させている紗雪の空いた手を握りなおす。
「前を見て歩かなければ転ぶぞ」
「…杏寿郎さん。それは子供扱いですか?甘やかしですか?」
いくら戦いが終わったからと言ってそこまで間抜けではない。紗雪が横目に睨みを効かせると、煉獄は握った手の指先に口付けた。
「………」
「これが子供扱いか?」
「…っ、いえ」
紗雪は耳まで赤くなると飴細工の胸ビレに齧り付いた。煉獄が満足気に微笑む。
「継子の頃は思う様甘やかす事が出来なかったからな!これからは椎名の事を目一杯甘やかすぞ!!」
「!?あれで甘やかしてないって本気で言ってます!?」
「無論だ!」
宣言した上であれ以上どうやって甘やかす気なのか。ある意味空恐ろしい事を言われて紗雪は絶句した。煉獄が心底楽しそうに紗雪に囁く。
「だから椎名も俺の事を甘やかして、俺の望みを叶えてくれ」
「………考えておきます」
首まで赤くなった紗雪の口の中で、溶けた飴細工が只ひたすらに甘さを主張するのだった。