その後のお話
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「ん?」
煉獄は部屋に入るなり文机の上に転がっている物に目を止めた。色とりどりの折り紙が兜や鶴、紙飛行機になっている。
(折り鶴など久しぶりに見るな)
懐かしさに煉獄は一つ手に取ってみた。角まで綺麗に折られたそれに感心する。
(几帳面な折り方をしている)
これを折ったであろう紗雪を想い煉獄は表情を緩めた。とたとたと軽い足音がして紗雪が顔を覗かせる。
「あ、それ」
「折り紙とは珍しいな!」
文机の前に座った紗雪の隣に腰掛けるとまだ折られていない折り紙を手に取る。紗雪が折り鶴を手にすると笑った。
「往診に行った先の子供がくれたんです」
「なるほど!良い報酬をもらったな!」
「えぇ、折り紙なんて何年かぶりですけど、意外と覚えているものですね」
何か折れますか?と尋ねられて煉獄は首を捻った。
「さて、折り紙を折ったことなどあったかな」
幼い千寿郎をあやす為に折ったのが最後だった気がする。煉獄は大きな体でウンウン悩みながら折り紙と格闘した。その様子に紗雪がクスリと笑う。
「なぜ笑うんだ」
「小さな折り紙に一生懸命な杏寿郎さんが可愛くて」
「…揶揄うんじゃない」
ふいと視線を逸らした煉獄の頬が僅かに赤くて更に笑いそうになるのをなんとか堪える。
「出来たぞ」
そう言って煉獄が見せてきたのは奴さんだった。所々裏地の白が覗いている。
「椎名のように上手くはいかないな」
「そんな事ありませんよ。確かこれ…袴もありませんでしたっけ?」
尋ねられても煉獄には奴さんの上だけでも覚えていただけ上等だ。紗雪は首を捻りつつも新しい折り紙をこねくり回し何とか袴を折り上げた。
「出来た!これをこう重ねて」
上が赤、下が白の何だかおめでたい色に仕上がった奴さんに紗雪が満足そうに頷く。煉獄は紗雪が弄っていた折り鶴を思い出した。
「先程鶴に何かしていただろう。何をしていたんだ?」
「あぁ、これです!」
ジャン!と紗雪が差し出してきたのは一見ただの折り鶴だった。ただし足が生えている事を除けば。煉獄は折り鶴のあられもない姿に目を丸くした。
「………」
「折り鶴の亜種という所でしょうか」
「何だこの面妖な折り鶴は!?」
「面妖!?」
あんまりな言われように紗雪は笑い出した。がに股な鶴の足の角度を調整すると自立させる。鶴の優美な姿とはかけ離れたそれに煉獄は哀愁さえ覚えた。
「これ、他にも膝を抱えた形や足が複数本の形もあるんですよ」
「もはやそれは鶴とは呼べないだろう」
呆れた煉獄が折り鶴を指でつつけば、それはあっさりと転がった。紗雪が他の折り紙と共に箱の中に片づける。
「まぁ、100年経とうが日本人の遊びに変化はないという事ですね」
手を変え品を変え形を変えて繋がっていく。
「それは大変結構な事だが、その足の生えた折り鶴はどうする気だ?」
「そうですね…近所の子にでもあげましょうか?」
「子が泣くから止めた方が良いな!」
「布教しましょう!」
「君は何の宗教を始める気なんだ!?」
顔を見合わせると少しの沈黙が訪れ…ふはっと二人は笑い合った。
その後、窓際に置かれた足を組む鶴に千寿郎が頭を悩ませる事となった…らしい。
煉獄は部屋に入るなり文机の上に転がっている物に目を止めた。色とりどりの折り紙が兜や鶴、紙飛行機になっている。
(折り鶴など久しぶりに見るな)
懐かしさに煉獄は一つ手に取ってみた。角まで綺麗に折られたそれに感心する。
(几帳面な折り方をしている)
これを折ったであろう紗雪を想い煉獄は表情を緩めた。とたとたと軽い足音がして紗雪が顔を覗かせる。
「あ、それ」
「折り紙とは珍しいな!」
文机の前に座った紗雪の隣に腰掛けるとまだ折られていない折り紙を手に取る。紗雪が折り鶴を手にすると笑った。
「往診に行った先の子供がくれたんです」
「なるほど!良い報酬をもらったな!」
「えぇ、折り紙なんて何年かぶりですけど、意外と覚えているものですね」
何か折れますか?と尋ねられて煉獄は首を捻った。
「さて、折り紙を折ったことなどあったかな」
幼い千寿郎をあやす為に折ったのが最後だった気がする。煉獄は大きな体でウンウン悩みながら折り紙と格闘した。その様子に紗雪がクスリと笑う。
「なぜ笑うんだ」
「小さな折り紙に一生懸命な杏寿郎さんが可愛くて」
「…揶揄うんじゃない」
ふいと視線を逸らした煉獄の頬が僅かに赤くて更に笑いそうになるのをなんとか堪える。
「出来たぞ」
そう言って煉獄が見せてきたのは奴さんだった。所々裏地の白が覗いている。
「椎名のように上手くはいかないな」
「そんな事ありませんよ。確かこれ…袴もありませんでしたっけ?」
尋ねられても煉獄には奴さんの上だけでも覚えていただけ上等だ。紗雪は首を捻りつつも新しい折り紙をこねくり回し何とか袴を折り上げた。
「出来た!これをこう重ねて」
上が赤、下が白の何だかおめでたい色に仕上がった奴さんに紗雪が満足そうに頷く。煉獄は紗雪が弄っていた折り鶴を思い出した。
「先程鶴に何かしていただろう。何をしていたんだ?」
「あぁ、これです!」
ジャン!と紗雪が差し出してきたのは一見ただの折り鶴だった。ただし足が生えている事を除けば。煉獄は折り鶴のあられもない姿に目を丸くした。
「………」
「折り鶴の亜種という所でしょうか」
「何だこの面妖な折り鶴は!?」
「面妖!?」
あんまりな言われように紗雪は笑い出した。がに股な鶴の足の角度を調整すると自立させる。鶴の優美な姿とはかけ離れたそれに煉獄は哀愁さえ覚えた。
「これ、他にも膝を抱えた形や足が複数本の形もあるんですよ」
「もはやそれは鶴とは呼べないだろう」
呆れた煉獄が折り鶴を指でつつけば、それはあっさりと転がった。紗雪が他の折り紙と共に箱の中に片づける。
「まぁ、100年経とうが日本人の遊びに変化はないという事ですね」
手を変え品を変え形を変えて繋がっていく。
「それは大変結構な事だが、その足の生えた折り鶴はどうする気だ?」
「そうですね…近所の子にでもあげましょうか?」
「子が泣くから止めた方が良いな!」
「布教しましょう!」
「君は何の宗教を始める気なんだ!?」
顔を見合わせると少しの沈黙が訪れ…ふはっと二人は笑い合った。
その後、窓際に置かれた足を組む鶴に千寿郎が頭を悩ませる事となった…らしい。