本編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「よく来たな!入ってくれ!」
「邪魔するぜぇ」
半年後、煉獄家に不死川と冨岡が訪ねてきた。何故か一緒にいる宇髄が煉獄に土産を渡す。
「お前らだけで集まるなんて派手に寂しいじゃん。俺も混ぜろよ!」
「定期検査のついでに煉獄の家に泊めてもらうだけだぁ」
「日帰りは大変だからな!」
不死川と冨岡は蝶屋敷での定期検査の帰りだった。日帰りできない事はないが急ぐ理由がないので、煉獄の家に泊まりにきている。
道場を掃除している千寿郎を見つけ冨岡が尋ねた。
「鍛錬しているのか?」
「あぁ!剣術を教えて行こうと思ってな!門下生を募っている所だ!」
「へぇ」
新しい道を模索している煉獄の背中を不死川は穏やかな気持ちで見つめた。将来を見据える友を見るのは良いものだ。
「検査はどうだった?」
「半年しか経ってねぇのにどうもこうもねぇよ」
不死川に言わせれば検査自体が必要とは思えないが、それを言うとカナヲが涙目になるので黙っている。
「紗雪はいないのか?蝶屋敷にも居なかったぜ?」
秋を迎えて色付く庭がよく見える部屋に腰を落ち着けると、宇髄は首を傾げた。
「先程、急患が出たと言われて飛び出して行った!」
「一端の医者だなぁ、アイツ」
「医師免許を持っていないと気にしていなかったか?」
「だから鬼殺隊関係者しか見ないようにしている!」
「その方がいいわな。蝶屋敷の治療方法は鬼殺隊士向けで派手に荒っぽいのも多いしな」
千寿郎が運んできたお茶を飲みながらゆっくりする。鬼殺隊の時には考えられない時間だった。
「ただいま帰りました!」
声と共に紗雪が庭に駆け込んできた。その姿を見て不死川があからさまに呆れる。紗雪は白いシャツの上に短めの丈のジャケットとタイトめのズボンと言う出立ちだった。どう見てもこの時代には合っていない。
「お前よぉ」
「お久しぶりです不死川さん。そんな顔されると思ってました」
「…隊服の生地を使っているのか」
縁側に腰掛け靴を脱ぐ紗雪のジャケットを摘む冨岡は感心した様子だ。紗雪は頑丈そうな鞄を掴むと頷いた。
「汚れも落ちやすいですし丈夫なので、縫製係だった隠に頼んで縫ってもらったんです。荷物置いてきますね」
歩き去る紗雪を見送ると宇髄が煉獄を見た。
「良いのか?あれ」
「別に構うまい!」
煉獄としては紗雪が変わり者と思われていた方が余計な虫がつかなくて良いと思っている。煉獄の考えが透けて見えて宇髄が肩をすくめた。不死川が片肘をついて煉獄を見やる
「お前、鬼殺隊が解散してから変わったんじゃねぇか?」
「それは君たちも同じだろう!」
「いや、お前の場合なんか派手に不死川達とは違うわ」
「よもや!どこがだ!!」
不服そうな煉獄に次々と答えが返される。
「紗雪に対する独占欲が酷ぇ」
「お前記念撮影の時から紗雪のとこ派手に口説きまくってただろ」
「紗雪がさっき持ってた鞄、お前が買ってたのを炭治郎が見たと言っていた」
三人はしばらく沈黙すると揃って首を横に振った。
「やっぱお前変わってねぇわ」
「やってる事一緒じゃねえか」
「少しは紗雪の自由にさせてやれ」
「君たちには遠慮というものがないのか!?」
口ではそういいつつも煉獄は楽しそうだった。調子づいた宇髄が身を乗り出す。
「で、あれからずっと紗雪を口説いてんのか?つーかお前が口説くって派手に想像つかねぇけど、どう口説いてんだ?」
「どうもこうも…かき抱くようにして口説くだけだが?」
しれっと答える煉獄に不死川と冨岡が茶を吹き出した。着替えてきた紗雪が呆れた顔をする。
「なんの話をしてるんですか師は……杏寿郎さん」
言いなおす紗雪に宇髄、不死川、冨岡がおやという顔をした。煉獄が朗らかに笑う。
「惜しかったな椎名」
「…ソウデスネ」
煉獄が自分の隣の座布団を叩くのにその場所へ座る。宇髄がにやーっとした笑いを浮かべた。
「なんだ上手くやってんじゃねぇか」
「宇髄さん、言い方が完全におっさんです」
「さっきのは何が惜しかったんだ?」
「ええっと…」
冨岡の問いに紗雪が言い淀めばすかさず煉獄が答えた。
「椎名はなかなか俺の師範呼びが抜けないのでな!10回呼び間違えたら俺の願いを何でもひとつ聞いてもらうことにしたのだ!あと一回なんだがな!」
「紗雪…嫌なら断れよぉ」
「……さっき杏寿郎さんがかき抱くようにして口説いたって言ってたじゃないですか。あれ、物の例えじゃなくて物理ですからね」
「「「は?」」」
意味を解しかねる三人の声がハモる。紗雪が横目に煉獄を見ながら話し始めた。
「話したいことがあるからって部屋に呼ばれたら、文机との間に挟まれて延々師範の気持ちを聞かされて…」
「「あ」」
煉獄と宇髄の声が被った。
「言ったな」
「思い切り言ったなぁ」
「………」
紗雪は机に突っ伏すと動かなくなった。煉獄が非常に良い笑顔を浮かべる。
「おいおい願い事は考えておくことにしよう!」
「…ソウデスネ」
「失礼いたします。紗雪さん、ちょっと」
「はい」
紗雪が死んでいると千寿郎が部屋にやってきた。手招かれた紗雪が部屋を出て行く。不死川が煉獄に向き直った。
「お前、物理ってどういう事だぁ。事と次第によっちゃタダじゃすまねぇぞ」
紗雪は無惨との戦いを共に生き残った仲間である。不条理な目に遭っているならば見過ごせない。しかし煉獄は落ち着いて不死川を見つめ返した。
「先程の椎名の説明通りだ!文机と俺との間で囲い込んだ椎名に俺がいかに椎名を愛しているか、それがいつからなのか、どれほどなのかを椎名が理解してくれるまで延々語って聞かせただけだ!」
「どんな拷問だぁ!そりゃ口説いてるんじゃなくて洗脳だろうがぁ!!」
「そんな事はないぞ!その時の椎名の様子を見ればすぐに不死川にも分かっただろう!!耳まで赤くなって大変愛い…いや、あれは誰にも見せん!!」
「あーあー、やめろやめろ!外野が何言ったって紗雪が煉獄の傍に居るんだからそれが答えだろ!!」
「そうだな。本気で嫌なら紗雪ならばいくらでも逃げる方法があるだろう」
蝶屋敷を頼っても良い。宇髄や不死川、冨岡に相談する事だって出来るだろう。最悪は産屋敷に泣きつくことも可能だ。冨岡の言葉に煉獄が僅かに顔色を悪くした。
「よもや本当に嫌だったのか!?」
「たらればだろうが!!お前紗雪の事になると知能指数下がるのなんでだぁ!」
「失礼いたします」
千寿郎がお盆に酒とつまみを持って入ってきた。応接机に置かれるそれらに四人が目を丸くする。
「千寿郎これは?」
「今日は皆さんお泊まりになられるのですよね?少し早い時間ですがたまには良いのではないかと父上が」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「申し訳ない」
「有り難く頂戴します」
下がろうとする千寿郎に煉獄が尋ねた。
「椎名はどうした?」
千寿郎がニッコリ微笑む。
「紗雪さんには蝶屋敷にお泊まりに行って頂きました…兄上」
ヒヤリとした空気を感じ、全員が背筋を正した。
「お戯れは程々になさいませ。紗雪さんがお気の毒です」
「…わかった!肝に銘じておこう」
「どうぞごゆっくり」
千寿郎はニッコリ笑って一礼すると立ち去っていった。宇髄が冷や汗を拭う。
「お前の弟ってあんなんだったっけ?」
もっと弱々しい印象だった気がする。不死川はため息をつくと安心したと言った。
「煉獄の父親と弟がお目付役なら紗雪も一安心だなぁ」
「よもや!俺は信用されてないのか!?」
「どこに信用できる余地があるんだぁ!!」
不死川の渾身のツッコミに大きな笑いが起きる。
(あぁ、平和だなぁ)
離れた廊下にも響いてきたその笑い声にそう思う千寿郎だった。
「邪魔するぜぇ」
半年後、煉獄家に不死川と冨岡が訪ねてきた。何故か一緒にいる宇髄が煉獄に土産を渡す。
「お前らだけで集まるなんて派手に寂しいじゃん。俺も混ぜろよ!」
「定期検査のついでに煉獄の家に泊めてもらうだけだぁ」
「日帰りは大変だからな!」
不死川と冨岡は蝶屋敷での定期検査の帰りだった。日帰りできない事はないが急ぐ理由がないので、煉獄の家に泊まりにきている。
道場を掃除している千寿郎を見つけ冨岡が尋ねた。
「鍛錬しているのか?」
「あぁ!剣術を教えて行こうと思ってな!門下生を募っている所だ!」
「へぇ」
新しい道を模索している煉獄の背中を不死川は穏やかな気持ちで見つめた。将来を見据える友を見るのは良いものだ。
「検査はどうだった?」
「半年しか経ってねぇのにどうもこうもねぇよ」
不死川に言わせれば検査自体が必要とは思えないが、それを言うとカナヲが涙目になるので黙っている。
「紗雪はいないのか?蝶屋敷にも居なかったぜ?」
秋を迎えて色付く庭がよく見える部屋に腰を落ち着けると、宇髄は首を傾げた。
「先程、急患が出たと言われて飛び出して行った!」
「一端の医者だなぁ、アイツ」
「医師免許を持っていないと気にしていなかったか?」
「だから鬼殺隊関係者しか見ないようにしている!」
「その方がいいわな。蝶屋敷の治療方法は鬼殺隊士向けで派手に荒っぽいのも多いしな」
千寿郎が運んできたお茶を飲みながらゆっくりする。鬼殺隊の時には考えられない時間だった。
「ただいま帰りました!」
声と共に紗雪が庭に駆け込んできた。その姿を見て不死川があからさまに呆れる。紗雪は白いシャツの上に短めの丈のジャケットとタイトめのズボンと言う出立ちだった。どう見てもこの時代には合っていない。
「お前よぉ」
「お久しぶりです不死川さん。そんな顔されると思ってました」
「…隊服の生地を使っているのか」
縁側に腰掛け靴を脱ぐ紗雪のジャケットを摘む冨岡は感心した様子だ。紗雪は頑丈そうな鞄を掴むと頷いた。
「汚れも落ちやすいですし丈夫なので、縫製係だった隠に頼んで縫ってもらったんです。荷物置いてきますね」
歩き去る紗雪を見送ると宇髄が煉獄を見た。
「良いのか?あれ」
「別に構うまい!」
煉獄としては紗雪が変わり者と思われていた方が余計な虫がつかなくて良いと思っている。煉獄の考えが透けて見えて宇髄が肩をすくめた。不死川が片肘をついて煉獄を見やる
「お前、鬼殺隊が解散してから変わったんじゃねぇか?」
「それは君たちも同じだろう!」
「いや、お前の場合なんか派手に不死川達とは違うわ」
「よもや!どこがだ!!」
不服そうな煉獄に次々と答えが返される。
「紗雪に対する独占欲が酷ぇ」
「お前記念撮影の時から紗雪のとこ派手に口説きまくってただろ」
「紗雪がさっき持ってた鞄、お前が買ってたのを炭治郎が見たと言っていた」
三人はしばらく沈黙すると揃って首を横に振った。
「やっぱお前変わってねぇわ」
「やってる事一緒じゃねえか」
「少しは紗雪の自由にさせてやれ」
「君たちには遠慮というものがないのか!?」
口ではそういいつつも煉獄は楽しそうだった。調子づいた宇髄が身を乗り出す。
「で、あれからずっと紗雪を口説いてんのか?つーかお前が口説くって派手に想像つかねぇけど、どう口説いてんだ?」
「どうもこうも…かき抱くようにして口説くだけだが?」
しれっと答える煉獄に不死川と冨岡が茶を吹き出した。着替えてきた紗雪が呆れた顔をする。
「なんの話をしてるんですか師は……杏寿郎さん」
言いなおす紗雪に宇髄、不死川、冨岡がおやという顔をした。煉獄が朗らかに笑う。
「惜しかったな椎名」
「…ソウデスネ」
煉獄が自分の隣の座布団を叩くのにその場所へ座る。宇髄がにやーっとした笑いを浮かべた。
「なんだ上手くやってんじゃねぇか」
「宇髄さん、言い方が完全におっさんです」
「さっきのは何が惜しかったんだ?」
「ええっと…」
冨岡の問いに紗雪が言い淀めばすかさず煉獄が答えた。
「椎名はなかなか俺の師範呼びが抜けないのでな!10回呼び間違えたら俺の願いを何でもひとつ聞いてもらうことにしたのだ!あと一回なんだがな!」
「紗雪…嫌なら断れよぉ」
「……さっき杏寿郎さんがかき抱くようにして口説いたって言ってたじゃないですか。あれ、物の例えじゃなくて物理ですからね」
「「「は?」」」
意味を解しかねる三人の声がハモる。紗雪が横目に煉獄を見ながら話し始めた。
「話したいことがあるからって部屋に呼ばれたら、文机との間に挟まれて延々師範の気持ちを聞かされて…」
「「あ」」
煉獄と宇髄の声が被った。
「言ったな」
「思い切り言ったなぁ」
「………」
紗雪は机に突っ伏すと動かなくなった。煉獄が非常に良い笑顔を浮かべる。
「おいおい願い事は考えておくことにしよう!」
「…ソウデスネ」
「失礼いたします。紗雪さん、ちょっと」
「はい」
紗雪が死んでいると千寿郎が部屋にやってきた。手招かれた紗雪が部屋を出て行く。不死川が煉獄に向き直った。
「お前、物理ってどういう事だぁ。事と次第によっちゃタダじゃすまねぇぞ」
紗雪は無惨との戦いを共に生き残った仲間である。不条理な目に遭っているならば見過ごせない。しかし煉獄は落ち着いて不死川を見つめ返した。
「先程の椎名の説明通りだ!文机と俺との間で囲い込んだ椎名に俺がいかに椎名を愛しているか、それがいつからなのか、どれほどなのかを椎名が理解してくれるまで延々語って聞かせただけだ!」
「どんな拷問だぁ!そりゃ口説いてるんじゃなくて洗脳だろうがぁ!!」
「そんな事はないぞ!その時の椎名の様子を見ればすぐに不死川にも分かっただろう!!耳まで赤くなって大変愛い…いや、あれは誰にも見せん!!」
「あーあー、やめろやめろ!外野が何言ったって紗雪が煉獄の傍に居るんだからそれが答えだろ!!」
「そうだな。本気で嫌なら紗雪ならばいくらでも逃げる方法があるだろう」
蝶屋敷を頼っても良い。宇髄や不死川、冨岡に相談する事だって出来るだろう。最悪は産屋敷に泣きつくことも可能だ。冨岡の言葉に煉獄が僅かに顔色を悪くした。
「よもや本当に嫌だったのか!?」
「たらればだろうが!!お前紗雪の事になると知能指数下がるのなんでだぁ!」
「失礼いたします」
千寿郎がお盆に酒とつまみを持って入ってきた。応接机に置かれるそれらに四人が目を丸くする。
「千寿郎これは?」
「今日は皆さんお泊まりになられるのですよね?少し早い時間ですがたまには良いのではないかと父上が」
「お気遣いいただきありがとうございます」
「申し訳ない」
「有り難く頂戴します」
下がろうとする千寿郎に煉獄が尋ねた。
「椎名はどうした?」
千寿郎がニッコリ微笑む。
「紗雪さんには蝶屋敷にお泊まりに行って頂きました…兄上」
ヒヤリとした空気を感じ、全員が背筋を正した。
「お戯れは程々になさいませ。紗雪さんがお気の毒です」
「…わかった!肝に銘じておこう」
「どうぞごゆっくり」
千寿郎はニッコリ笑って一礼すると立ち去っていった。宇髄が冷や汗を拭う。
「お前の弟ってあんなんだったっけ?」
もっと弱々しい印象だった気がする。不死川はため息をつくと安心したと言った。
「煉獄の父親と弟がお目付役なら紗雪も一安心だなぁ」
「よもや!俺は信用されてないのか!?」
「どこに信用できる余地があるんだぁ!!」
不死川の渾身のツッコミに大きな笑いが起きる。
(あぁ、平和だなぁ)
離れた廊下にも響いてきたその笑い声にそう思う千寿郎だった。