本編
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産屋敷家を訪れた紗雪は不死川と冨岡の後ろに座った。不死川の無言の圧力に負け隣に座り直す。輝利哉とくいな、かなたが部屋に入ってくるのに三人は頭を下げた。
「来てくれてありがとう」
輝利哉は炎の羽織を着た紗雪を目に留めると微笑んだ。
「椎名、炎柱としてこの場に来てくれて本当にありがとう。」
「勿体無いお言葉です」
紗雪が畳に手をつき頭を深く下げる。輝利哉は一つ頷くと三人を見渡した。幼いながらに立派な鬼殺隊当主に背筋が伸びる。
「今日が最後の柱合会議だ」
「実弥」
「義勇」
「椎名」
「柱は三人だけになってしまったね。他の子供たちも大勢いなくなってしまった。けれど私たちは鬼を滅ぼすことができた」
「鬼殺隊は今日で解散する」
「「「御意」」」
くいなとかなたが畳に手をつく。
「長きに渡り身命を賭して」
「世の為人の為に戦って戴き尽くして戴いたこと」
そして最後に輝利哉が手をつく。
「産屋敷家一族一同、心より感謝申し上げます」
深々と頭を下げる輝利哉達に紗雪は言葉が出なかった。不死川が声を荒らげ、冨岡が言葉を紡ぐ。泣き出してしまった輝利哉達に紗雪は不死川達と顔を見合わせると静かに微笑んだ。
後日、産屋敷輝利哉を筆頭に蝶屋敷に来られるもの全員が一堂に会していた。お互いを労い、笑いあい、ほんのちょっぴり涙する。依頼を受けてやってきた写真館の主人が声をかけた。
「なるべく寄ってくださーい!画面に納まるように…前の方の間から顔を出していただいて…!」
盛り上がる面々に指示を出すのに苦労している。あはは…と誰かの楽しそうな笑い声が響いた。
「やっぱり師範が着るべきです!」
宇髄や不死川の後ろでも紗雪がカメラには見向きもせず煉獄に主張していた。炎柱の羽織を自分の後ろに立つ煉獄の肩にかける。
「今は君が炎柱だぞ紗雪」
「鬼殺隊は解散しました!もう誰も柱じゃありません」
「すいません、せめてカメラは見てください!」
主人の声に紗雪は慌てて前を向いた。紗雪の後ろ姿をじっと見つめて煉獄が口元を緩める。
(そうだな…全て終わったんだな。ならば君に聞いて欲しい話を伝えることにしよう)
煉獄は紗雪の横に並ぶと羽織を広げて紗雪をすっぽりと包み込んだ。紗雪が目を丸くして煉獄を振り返る
「師範!?」
「俺も君にこの羽織を着て欲しい!ならばこうするしかあるまい?」
「おぉい!イチャついてんじゃねぇぞぉ!!」
こう言う場の苦手な不死川の八つ当たりの矛先にされて煉獄と紗雪は正反対の反応を返した。
「すまんな!不死川!!」
「すまんって何ですか!イチャついてなんてませんよ!?」
「「「どこがだ!!」」」
「えぇっ!?」
周りから一斉に突っ込まれて紗雪は絶句した。ドッと笑いが起こる。
炭治郎や禰󠄀豆子が笑う。
冨岡が笑う。
宇髄は大笑いだ。
輝利哉が笑う。
くいなとかなたも笑う。
不死川だけが苦虫を噛み潰したような顔をしていて、紗雪の方が笑ってしまった。
その紗雪の顔を見て煉獄も笑う。
「良いですかーっ!!ここ!!このレンズを見てくださいね!!」
整然と並んでもらうことを諦めた店主がカメラのレンズを指差し声の限り叫んだ。
「紗雪」
須磨がキャーキャー騒ぐ声に紛れて煉獄が紗雪の耳元で囁いた。
「俺は君の事をーー」
「はい!撮りますよー!!!」
店主の声にかき消され、煉獄の声は紗雪の耳にだけ届いたのだった。
「ねぇ親父、なんか凄い古い写真出てきたんだけど」
「ん?どれ」
特殊部隊所属の後藤は三ヶ月ぶりの我が家に帰ってきていた。寝転がっていたソファから身を起こすと、いつの間にか高校生になってしまった息子の持ってきた写真を手に取る。
「あー、こりゃご先祖さまの写真だな」
「マジ?どれがご先祖?」
息子の目は中央の方に写っている面子を見ているが、残念なことにそこにご先祖さまは写っていない。後藤は端に写っている男性を指差した。
「これ」
「地味っ」
「俺とお前にそっくりだろ」
「えぇ〜?ないわー」
よほどガッカリしたのか息子は首を振りつつ行ってしまった。久方ぶりに見た写真を後藤がじっと見つめる。やがてその顔に呆れたような笑みが浮かんだ。
「紗雪のヤロウ、こんな所にいやがったのか」
後藤の視線の先には、隣の男性の羽織にすっぽり収まって幸せそうに笑う紗雪の姿があった。後藤がよっこらしょっと立ち上がる。
「アルバムにぐらい入れといてやるか」
1週間後には再び任務に向かう。後藤はつかの間の平穏を噛み締めるように大きく伸びをしたのだった。
「来てくれてありがとう」
輝利哉は炎の羽織を着た紗雪を目に留めると微笑んだ。
「椎名、炎柱としてこの場に来てくれて本当にありがとう。」
「勿体無いお言葉です」
紗雪が畳に手をつき頭を深く下げる。輝利哉は一つ頷くと三人を見渡した。幼いながらに立派な鬼殺隊当主に背筋が伸びる。
「今日が最後の柱合会議だ」
「実弥」
「義勇」
「椎名」
「柱は三人だけになってしまったね。他の子供たちも大勢いなくなってしまった。けれど私たちは鬼を滅ぼすことができた」
「鬼殺隊は今日で解散する」
「「「御意」」」
くいなとかなたが畳に手をつく。
「長きに渡り身命を賭して」
「世の為人の為に戦って戴き尽くして戴いたこと」
そして最後に輝利哉が手をつく。
「産屋敷家一族一同、心より感謝申し上げます」
深々と頭を下げる輝利哉達に紗雪は言葉が出なかった。不死川が声を荒らげ、冨岡が言葉を紡ぐ。泣き出してしまった輝利哉達に紗雪は不死川達と顔を見合わせると静かに微笑んだ。
後日、産屋敷輝利哉を筆頭に蝶屋敷に来られるもの全員が一堂に会していた。お互いを労い、笑いあい、ほんのちょっぴり涙する。依頼を受けてやってきた写真館の主人が声をかけた。
「なるべく寄ってくださーい!画面に納まるように…前の方の間から顔を出していただいて…!」
盛り上がる面々に指示を出すのに苦労している。あはは…と誰かの楽しそうな笑い声が響いた。
「やっぱり師範が着るべきです!」
宇髄や不死川の後ろでも紗雪がカメラには見向きもせず煉獄に主張していた。炎柱の羽織を自分の後ろに立つ煉獄の肩にかける。
「今は君が炎柱だぞ紗雪」
「鬼殺隊は解散しました!もう誰も柱じゃありません」
「すいません、せめてカメラは見てください!」
主人の声に紗雪は慌てて前を向いた。紗雪の後ろ姿をじっと見つめて煉獄が口元を緩める。
(そうだな…全て終わったんだな。ならば君に聞いて欲しい話を伝えることにしよう)
煉獄は紗雪の横に並ぶと羽織を広げて紗雪をすっぽりと包み込んだ。紗雪が目を丸くして煉獄を振り返る
「師範!?」
「俺も君にこの羽織を着て欲しい!ならばこうするしかあるまい?」
「おぉい!イチャついてんじゃねぇぞぉ!!」
こう言う場の苦手な不死川の八つ当たりの矛先にされて煉獄と紗雪は正反対の反応を返した。
「すまんな!不死川!!」
「すまんって何ですか!イチャついてなんてませんよ!?」
「「「どこがだ!!」」」
「えぇっ!?」
周りから一斉に突っ込まれて紗雪は絶句した。ドッと笑いが起こる。
炭治郎や禰󠄀豆子が笑う。
冨岡が笑う。
宇髄は大笑いだ。
輝利哉が笑う。
くいなとかなたも笑う。
不死川だけが苦虫を噛み潰したような顔をしていて、紗雪の方が笑ってしまった。
その紗雪の顔を見て煉獄も笑う。
「良いですかーっ!!ここ!!このレンズを見てくださいね!!」
整然と並んでもらうことを諦めた店主がカメラのレンズを指差し声の限り叫んだ。
「紗雪」
須磨がキャーキャー騒ぐ声に紛れて煉獄が紗雪の耳元で囁いた。
「俺は君の事をーー」
「はい!撮りますよー!!!」
店主の声にかき消され、煉獄の声は紗雪の耳にだけ届いたのだった。
「ねぇ親父、なんか凄い古い写真出てきたんだけど」
「ん?どれ」
特殊部隊所属の後藤は三ヶ月ぶりの我が家に帰ってきていた。寝転がっていたソファから身を起こすと、いつの間にか高校生になってしまった息子の持ってきた写真を手に取る。
「あー、こりゃご先祖さまの写真だな」
「マジ?どれがご先祖?」
息子の目は中央の方に写っている面子を見ているが、残念なことにそこにご先祖さまは写っていない。後藤は端に写っている男性を指差した。
「これ」
「地味っ」
「俺とお前にそっくりだろ」
「えぇ〜?ないわー」
よほどガッカリしたのか息子は首を振りつつ行ってしまった。久方ぶりに見た写真を後藤がじっと見つめる。やがてその顔に呆れたような笑みが浮かんだ。
「紗雪のヤロウ、こんな所にいやがったのか」
後藤の視線の先には、隣の男性の羽織にすっぽり収まって幸せそうに笑う紗雪の姿があった。後藤がよっこらしょっと立ち上がる。
「アルバムにぐらい入れといてやるか」
1週間後には再び任務に向かう。後藤はつかの間の平穏を噛み締めるように大きく伸びをしたのだった。