本編
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「離れろーっ!!」
冨岡の叫びを紗雪は始め理解することが出来なかった。もうそんな声で叫ぶような事は何も無いはずだ。
「ギャアァァァ!!」
「動ける者ーっ!!武器を取って集まれーっ!!」
「!?」
続く悲鳴と冨岡の声に漸く異常な事態を察知する。紗雪は輸血を引き抜くと刀を持って立ち上がった。
「紗雪さん!まだ無理は…」
「動けない者の避難を!急げ!!」
そう叫ぶと冨岡の元へ走り出す。聞こえてきた冨岡の台詞に紗雪は歯を食いしばった。
「炭治郎が鬼にされた!太陽の下に固定して焼き殺す!!人を殺す前に炭治郎を殺せ!!」
(なんで…)
炭治郎の明るい笑顔を紗雪は振り切った。冨岡の言葉通りなら今考えるべきはそれでは無い。
(陽の光で死なない!?)
伊之助に襲いかかる炭治郎を紗雪は鞘で叩き飛ばした。唸り声をあげる炭治郎に泣きたくなる。
「炭治郎君…」
「ウガァァッ!!」
飛びかかって来る炭治郎を迎え撃とうとした紗雪の目が回った。
(こんな時にっ!)
ガッ!と音がして、炭治郎が牙を突き立てていたのは飛び込んできた禰󠄀豆子だった。ギュッと炭治郎を抱き締める。
「お兄ちゃん…ごめんね…!どうしていつもお兄ちゃんばっかり苦しい目にあうのかなあ…」
家に帰ろうと告げる禰󠄀豆子に返ってきたのは炭治郎の絶叫だった。禰󠄀豆子を吹き飛ばそうとするのに善逸や隠達がしがみ付く。
「あんなに優しかったのに…元の炭治郎に戻れよォォォ!!」
泣きながら殴る伊之助にも応える事なく、炭治郎は衝撃波を放った。碌に防御出来ず吹き飛ばされる。咳き込んだ紗雪は肩で息をした。
(禰󠄀豆子ちゃんを守らないと…!)
紗雪は冨岡と共に、炭治郎の背中から伸びた刺々しい鞭や骨から周りを守りながらそれらを観察した。
(まだ成り立てだからか?動きは無惨程じゃない。今なら斬れる。無惨を全て取り込んだ炭治郎に学習されたらもう手立てがない)
一旦後ろに下がった紗雪は思わず立ち尽くした。そう、斬るしかない。透かして見える炭治郎の体の必要な所を。
(斬れるのは私しかいない)
紗雪は刀を握る手に力を込めた。他の者は炭治郎との繋がりが強すぎる。伊之助は斬れなかった。冨岡も炭治郎相手にそこまで思い切れるか…。善逸はもう動けない。
(炭治郎を斬る……私が斬る!)
「椎名」
背中から声をかけられ紗雪は息を飲んだ。カナヲがゆっくり近づいて来る。
「椎名、お願い…力を貸して」
「………」
振り返らない紗雪に構わずカナヲが続ける。胸のポケットから薬を一つ取り出した。
「しのぶ姉さんから鬼を人間に戻す薬を一つ預かっていたの…炭治郎に近づかなきゃいけない」
「………戻る保証がありますか?」
炭治郎は無惨の全てを受け継いでいる。薬一つで元に戻れるものだろうか。紗雪の質問にカナヲは穏やかに微笑んだ。
「戻るよ。炭治郎だもの」
「私は炭治郎君を斬るべきだと思っています」
刀を強く握りしめる紗雪の前に回り込むとカナヲは首を振った。
「椎名は斬らないよ。そんな顔して斬れるはずない」
泣きそうな顔の紗雪の頬に手を添えるとカナヲが頷く。
「行こう椎名。今なら間に合う」
「…カナヲちゃんには敵いませんね」
走り出したカナヲの後ろを紗雪も走る。未だ禰󠄀豆子をしがみ付かせたままの炭治郎の懐に入った。爪を立て振り上げられる腕を鞘で叩き落とすと、刀で背中の棘の鞭を斬り落とす。
カナヲの持っていた薬が深く炭治郎の背中に刺さった。
「炭治郎だめだよ。早く戻ってきて。禰󠄀豆子ちゃん泣かせたらだめだよ…」
紗雪が炭治郎の次の動きを警戒する。だが炭治郎は暫く立ち尽くした後、ゆっくり倒れ込んだ。禰󠄀豆子が覆い被さると大声で呼びかける。
「お兄ちゃん!…お兄ちゃん帰ろう!!」
善逸、伊之助がまろびながら炭治郎に縋り付く。
「炭治郎!戻ってこい!!」
「絶対負けるな!こっちだ炭治郎!!」
冨岡が、隊士が、隠が次々と駆け寄ってきた。
「帰るんだ!炭治郎!!戻ってこい!!」
「帰ろう!」
「家に帰ろう!!」
「頼む!帰ってきてくれ!!」
「炭治郎っ…!」
背中の鞭が崩れ落ち、鬼となって再生された左腕が萎びて行く。ゆっくり目を開けた炭治郎を禰󠄀豆子が呼んだ。
「お兄ちゃん!!」
「………ごめん、怪我…大丈夫…か…」
ボロボロと涙を流す炭治郎に歓声が上がった。
「戻ったぁぁぁぁ!!炭治郎だぁぁぁぁ!!」
泣いて、喜んで、飛んで、跳ねてと大騒ぎの中、紗雪は完璧に力が抜けて座り込んだ。刀を握っていた手が震える。
(良かった…良かった……!)
炭治郎を斬らずに済んだ。その事に紗雪は猛烈に安堵した。結局カナヲの言う通り自分に炭治郎は斬れなかっただろうと思う。ポンと肩を叩かれ横を見れば、冨岡が微笑んでいた。
「良くやったな、紗雪」
「頑張ったのは炭治郎君達ですよ」
そう答えると、地面に仰向けに寝転がる。太陽が眩しく目に差し込んできた。
「今日はいい日和ですね」
「あぁ、人生最高の日和だ」
みんなの歓声を聞きながら…血が足りずそのまま意識を失った紗雪は冨岡を滅茶苦茶ビビらせたのだった。
冨岡の叫びを紗雪は始め理解することが出来なかった。もうそんな声で叫ぶような事は何も無いはずだ。
「ギャアァァァ!!」
「動ける者ーっ!!武器を取って集まれーっ!!」
「!?」
続く悲鳴と冨岡の声に漸く異常な事態を察知する。紗雪は輸血を引き抜くと刀を持って立ち上がった。
「紗雪さん!まだ無理は…」
「動けない者の避難を!急げ!!」
そう叫ぶと冨岡の元へ走り出す。聞こえてきた冨岡の台詞に紗雪は歯を食いしばった。
「炭治郎が鬼にされた!太陽の下に固定して焼き殺す!!人を殺す前に炭治郎を殺せ!!」
(なんで…)
炭治郎の明るい笑顔を紗雪は振り切った。冨岡の言葉通りなら今考えるべきはそれでは無い。
(陽の光で死なない!?)
伊之助に襲いかかる炭治郎を紗雪は鞘で叩き飛ばした。唸り声をあげる炭治郎に泣きたくなる。
「炭治郎君…」
「ウガァァッ!!」
飛びかかって来る炭治郎を迎え撃とうとした紗雪の目が回った。
(こんな時にっ!)
ガッ!と音がして、炭治郎が牙を突き立てていたのは飛び込んできた禰󠄀豆子だった。ギュッと炭治郎を抱き締める。
「お兄ちゃん…ごめんね…!どうしていつもお兄ちゃんばっかり苦しい目にあうのかなあ…」
家に帰ろうと告げる禰󠄀豆子に返ってきたのは炭治郎の絶叫だった。禰󠄀豆子を吹き飛ばそうとするのに善逸や隠達がしがみ付く。
「あんなに優しかったのに…元の炭治郎に戻れよォォォ!!」
泣きながら殴る伊之助にも応える事なく、炭治郎は衝撃波を放った。碌に防御出来ず吹き飛ばされる。咳き込んだ紗雪は肩で息をした。
(禰󠄀豆子ちゃんを守らないと…!)
紗雪は冨岡と共に、炭治郎の背中から伸びた刺々しい鞭や骨から周りを守りながらそれらを観察した。
(まだ成り立てだからか?動きは無惨程じゃない。今なら斬れる。無惨を全て取り込んだ炭治郎に学習されたらもう手立てがない)
一旦後ろに下がった紗雪は思わず立ち尽くした。そう、斬るしかない。透かして見える炭治郎の体の必要な所を。
(斬れるのは私しかいない)
紗雪は刀を握る手に力を込めた。他の者は炭治郎との繋がりが強すぎる。伊之助は斬れなかった。冨岡も炭治郎相手にそこまで思い切れるか…。善逸はもう動けない。
(炭治郎を斬る……私が斬る!)
「椎名」
背中から声をかけられ紗雪は息を飲んだ。カナヲがゆっくり近づいて来る。
「椎名、お願い…力を貸して」
「………」
振り返らない紗雪に構わずカナヲが続ける。胸のポケットから薬を一つ取り出した。
「しのぶ姉さんから鬼を人間に戻す薬を一つ預かっていたの…炭治郎に近づかなきゃいけない」
「………戻る保証がありますか?」
炭治郎は無惨の全てを受け継いでいる。薬一つで元に戻れるものだろうか。紗雪の質問にカナヲは穏やかに微笑んだ。
「戻るよ。炭治郎だもの」
「私は炭治郎君を斬るべきだと思っています」
刀を強く握りしめる紗雪の前に回り込むとカナヲは首を振った。
「椎名は斬らないよ。そんな顔して斬れるはずない」
泣きそうな顔の紗雪の頬に手を添えるとカナヲが頷く。
「行こう椎名。今なら間に合う」
「…カナヲちゃんには敵いませんね」
走り出したカナヲの後ろを紗雪も走る。未だ禰󠄀豆子をしがみ付かせたままの炭治郎の懐に入った。爪を立て振り上げられる腕を鞘で叩き落とすと、刀で背中の棘の鞭を斬り落とす。
カナヲの持っていた薬が深く炭治郎の背中に刺さった。
「炭治郎だめだよ。早く戻ってきて。禰󠄀豆子ちゃん泣かせたらだめだよ…」
紗雪が炭治郎の次の動きを警戒する。だが炭治郎は暫く立ち尽くした後、ゆっくり倒れ込んだ。禰󠄀豆子が覆い被さると大声で呼びかける。
「お兄ちゃん!…お兄ちゃん帰ろう!!」
善逸、伊之助がまろびながら炭治郎に縋り付く。
「炭治郎!戻ってこい!!」
「絶対負けるな!こっちだ炭治郎!!」
冨岡が、隊士が、隠が次々と駆け寄ってきた。
「帰るんだ!炭治郎!!戻ってこい!!」
「帰ろう!」
「家に帰ろう!!」
「頼む!帰ってきてくれ!!」
「炭治郎っ…!」
背中の鞭が崩れ落ち、鬼となって再生された左腕が萎びて行く。ゆっくり目を開けた炭治郎を禰󠄀豆子が呼んだ。
「お兄ちゃん!!」
「………ごめん、怪我…大丈夫…か…」
ボロボロと涙を流す炭治郎に歓声が上がった。
「戻ったぁぁぁぁ!!炭治郎だぁぁぁぁ!!」
泣いて、喜んで、飛んで、跳ねてと大騒ぎの中、紗雪は完璧に力が抜けて座り込んだ。刀を握っていた手が震える。
(良かった…良かった……!)
炭治郎を斬らずに済んだ。その事に紗雪は猛烈に安堵した。結局カナヲの言う通り自分に炭治郎は斬れなかっただろうと思う。ポンと肩を叩かれ横を見れば、冨岡が微笑んでいた。
「良くやったな、紗雪」
「頑張ったのは炭治郎君達ですよ」
そう答えると、地面に仰向けに寝転がる。太陽が眩しく目に差し込んできた。
「今日はいい日和ですね」
「あぁ、人生最高の日和だ」
みんなの歓声を聞きながら…血が足りずそのまま意識を失った紗雪は冨岡を滅茶苦茶ビビらせたのだった。