本編
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「無惨だ!鬼舞辻無惨だ!!奴は首を切っても死なない!!」
悲鳴嶼の声に紗雪は刀を握りしめた。強く地面を踏み込む。
(初めまして無惨!喰らえ!!)
ーー炎の呼吸 参ノ型 ……
「!!」
踏みしめた筈の足がストンと下に落ちて行く。足元に開いた襖に紗雪は飲み込まれた。炭治郎や不死川達がそれぞれに落ちて行くのが見える。
「これで私を追い詰めたつもりか?貴様らがこれから行くのは地獄だ!!目障りな鬼狩りども!今宵皆殺しにしてやろう!!」
(この野郎!)
崩れた体制を立て直すと下へと落ちて行く。
「地獄に行くのはお前だ無惨!!絶対に逃さない!」
炭治郎の声を聞きながら紗雪は足場を探した。上下左右がバラバラで不規則な並びの部屋が続く。
ーー炎の呼吸 伍ノ型 炎虎ーー
「…っと!」
技の勢いを利用して部屋の一つに転がり込む。
(皆んなバラバラになった?鬼の気配が充満していて無惨の方向が掴めない)
「…まぁ、とにかく鬼のくる方へ行ってみますか」
紗雪の台詞とともに襖を押し倒し鬼が溢れ出てきた。紗雪に向かい突っ込んでくる。
ーー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ーー
真っ直ぐ襖の向こうに密集していた鬼を薙ぎ払うと紗雪は走り出した。
(鬼の気配しかしない。他の皆んなは?せめてどちらに迎えばいいのかだけでも分かれば良いのに)
次から次へと湧いてくる鬼を一刀に斬って捨てる。うんざりする量の鬼を斬っていた紗雪は視界の端を過った黒い影に視線を向けた。
「椎名、見ツケタ!紅、見ツケタ!!」
「紅…!」
紗雪は思わずホッとした。しかし紅の口から出たのは非情な言葉だった。
「胡蝶シノブ、死亡!胡蝶シノブ、死亡!!上弦ノ弐トノ格闘ノ末死亡!!」
「…‥‥‥っ!」
紗雪は一瞬呼吸を忘れて紅を見つめた。医学書の翻訳が終わった時の胡蝶の嬉しそうな顔が蘇る。
(胡蝶さん……!)
紗雪は深呼吸すると気持ちを無理やり静めた。熱くなって得したことは無い。
「紅、連れて行って。私が行かなければいけない所へ」
紅は不思議な札を胸につけており、紗雪を誘導するよう飛ぶ。
「紅、知ッテル!椎名ノ行ク所、知ッテル!」
「OK紅。頼りにしてるよ」
紅に従い紗雪は走る速度を速めた。どんどん人の気配が近づいてくる。
「頑張れ我妻!」
「頑張れ頑張れ!!」
(我妻…善逸君!)
紗雪は声のする方へ足を向けた。廊下の向こうに複数の隊士がいる。黄色い頭を認めて紗雪は高く飛んだ。
「伏せて!」
ーー炎の呼吸 伍ノ型 炎虎ーー
「うおぉっ!?」
「あぁ!紗雪さん!!」
「周囲を警戒!!」
半泣きの隊士達に指示を出すと善逸の傍に屈みこむ。手当をしている隊士を見て紗雪は目を細めた。
「状態は?」
「相手の鬼が自分の力を使いこなせていなかった分マシって程度だ。血気止めを使っているがひび割れが治らない」
「なんとかして下さい。期待してますよ愈史郎さん」
「……」
愈史郎はジロリと横目で紗雪を睨んだ。紗雪がにこりと笑ってみせる。
「胡蝶さんの所で珠世さんとお会いしたことが。炭治郎君からもお話はかねがね。愈史郎さんは口でなんだかんだ言っても結局助けてくれる優しい人だそうです」
「…あのおしゃべりが」
愈史郎は善逸のひび割れにテーピングを施しながら悪態をついた。紗雪が立ち上がる。
「この辺の鬼は粗方斬ったと思うので後をお願いします」
「行っちゃうんですか?紗雪様!そりゃ行っちゃいますよね!?」
「えぇ、行っちゃいます」
「うわぁぁぁ!行ってらっしゃい!!」
号泣しながら周囲を警戒する隊士達と離れて走り出す。紅が大きく道を変えた。
(…強い鬼の気配だ。それに…)
「カナヲちゃん!」
廊下にまで冷気が吹き出している部屋に紗雪が突っ込む。カナヲに向かい無数の氷の破片が襲いかかっていた。
紗雪が踏み込むと同時に天井を突き破って伊之助が降ってくる。
ーー炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねりーー
ーー獣の呼吸 伍ノ牙 狂い裂きーー
カナヲを守るように氷が弾け飛ぶ。伊之助が雄叫びを上げた。
「ウヒャー!ドンピシャじゃねぇか!鴉の道案内はよぉ!!勝負勝負ぅ!」
「カナヲちゃん…あー、伊之助君は置いておくとして傷は?」
伊之助の勢いに呆気に取られている童磨はひとまず置いておく。紗雪が尋ねればカナヲはコクリと頷いた。
「傷!?」
伊之助は紗雪の言葉にカナヲを振り返った。大慌てで両手を振り回す。
「おまっ…ボロボロじゃねーか!何してんだ!!怪我したらお前アレだぞ!しのぶが怒るぞ!!すげー怒るからなアイツ!!」
その言葉にカナヲが泣きそうに顔を歪めた。紗雪も言葉を失くす。伊之助が静かになった。
「死んだのか?しのぶ」
「まさか!死んでないよ!彼女は俺の中で永遠に…」
ーー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ーー
童磨の言葉を遮って紗雪が斬り込んだ。腹を斬られた童磨が大きく下がる。
「おおっと!」
「そいつの冷気を吸わないで!!」
「咬み殺してやる塵が!!」
ーー獣の呼吸 肆ノ牙 切細裂きーー
「あっはっは!女の子がもう一人にメチャクチャな技の猪頭が一人!!本当面白い!」
振り下ろされる鉄扇を蹴り飛ばし伊之助がカナヲの刀を取り戻した。二人を庇うように前に出た紗雪に童磨が語りかける。
「さっき途中になっちゃったけど、俺が喰った人は皆んな救われてる。もう苦しくない。辛くもない。俺の体の一部になって幸せだよ」
「テメェ!」
激昂する伊之助に対し紗雪は眉一つ動かさなかった。飛びかかってくる伊之助に腹を蹴られて童磨が下がる。紗雪の刀が童磨の首に迫った。
「!」
童磨が横に飛ぶと離れた場所から伊之助が振りかぶった。
(ん?振り被ってる?間合いの外側でしょ。遠いよ)
ピチッと不快な音がして童磨の両眼が切り裂かれた。
ーー獣の呼吸 玖ノ牙 伸・うねり裂きーー
伊之助の腕の関節を外した攻撃に童磨どころかカナヲまで驚愕する。流石に伊之助の技は予想外だった紗雪が後ろに下がった。流れ弾は喰らいたくない。
「あっはっは!痛いとかないの?君!」
高らかに笑う童磨がそれから語り出したのは胸の悪くなる伊之助の昔話だった。
悲鳴嶼の声に紗雪は刀を握りしめた。強く地面を踏み込む。
(初めまして無惨!喰らえ!!)
ーー炎の呼吸 参ノ型 ……
「!!」
踏みしめた筈の足がストンと下に落ちて行く。足元に開いた襖に紗雪は飲み込まれた。炭治郎や不死川達がそれぞれに落ちて行くのが見える。
「これで私を追い詰めたつもりか?貴様らがこれから行くのは地獄だ!!目障りな鬼狩りども!今宵皆殺しにしてやろう!!」
(この野郎!)
崩れた体制を立て直すと下へと落ちて行く。
「地獄に行くのはお前だ無惨!!絶対に逃さない!」
炭治郎の声を聞きながら紗雪は足場を探した。上下左右がバラバラで不規則な並びの部屋が続く。
ーー炎の呼吸 伍ノ型 炎虎ーー
「…っと!」
技の勢いを利用して部屋の一つに転がり込む。
(皆んなバラバラになった?鬼の気配が充満していて無惨の方向が掴めない)
「…まぁ、とにかく鬼のくる方へ行ってみますか」
紗雪の台詞とともに襖を押し倒し鬼が溢れ出てきた。紗雪に向かい突っ込んでくる。
ーー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ーー
真っ直ぐ襖の向こうに密集していた鬼を薙ぎ払うと紗雪は走り出した。
(鬼の気配しかしない。他の皆んなは?せめてどちらに迎えばいいのかだけでも分かれば良いのに)
次から次へと湧いてくる鬼を一刀に斬って捨てる。うんざりする量の鬼を斬っていた紗雪は視界の端を過った黒い影に視線を向けた。
「椎名、見ツケタ!紅、見ツケタ!!」
「紅…!」
紗雪は思わずホッとした。しかし紅の口から出たのは非情な言葉だった。
「胡蝶シノブ、死亡!胡蝶シノブ、死亡!!上弦ノ弐トノ格闘ノ末死亡!!」
「…‥‥‥っ!」
紗雪は一瞬呼吸を忘れて紅を見つめた。医学書の翻訳が終わった時の胡蝶の嬉しそうな顔が蘇る。
(胡蝶さん……!)
紗雪は深呼吸すると気持ちを無理やり静めた。熱くなって得したことは無い。
「紅、連れて行って。私が行かなければいけない所へ」
紅は不思議な札を胸につけており、紗雪を誘導するよう飛ぶ。
「紅、知ッテル!椎名ノ行ク所、知ッテル!」
「OK紅。頼りにしてるよ」
紅に従い紗雪は走る速度を速めた。どんどん人の気配が近づいてくる。
「頑張れ我妻!」
「頑張れ頑張れ!!」
(我妻…善逸君!)
紗雪は声のする方へ足を向けた。廊下の向こうに複数の隊士がいる。黄色い頭を認めて紗雪は高く飛んだ。
「伏せて!」
ーー炎の呼吸 伍ノ型 炎虎ーー
「うおぉっ!?」
「あぁ!紗雪さん!!」
「周囲を警戒!!」
半泣きの隊士達に指示を出すと善逸の傍に屈みこむ。手当をしている隊士を見て紗雪は目を細めた。
「状態は?」
「相手の鬼が自分の力を使いこなせていなかった分マシって程度だ。血気止めを使っているがひび割れが治らない」
「なんとかして下さい。期待してますよ愈史郎さん」
「……」
愈史郎はジロリと横目で紗雪を睨んだ。紗雪がにこりと笑ってみせる。
「胡蝶さんの所で珠世さんとお会いしたことが。炭治郎君からもお話はかねがね。愈史郎さんは口でなんだかんだ言っても結局助けてくれる優しい人だそうです」
「…あのおしゃべりが」
愈史郎は善逸のひび割れにテーピングを施しながら悪態をついた。紗雪が立ち上がる。
「この辺の鬼は粗方斬ったと思うので後をお願いします」
「行っちゃうんですか?紗雪様!そりゃ行っちゃいますよね!?」
「えぇ、行っちゃいます」
「うわぁぁぁ!行ってらっしゃい!!」
号泣しながら周囲を警戒する隊士達と離れて走り出す。紅が大きく道を変えた。
(…強い鬼の気配だ。それに…)
「カナヲちゃん!」
廊下にまで冷気が吹き出している部屋に紗雪が突っ込む。カナヲに向かい無数の氷の破片が襲いかかっていた。
紗雪が踏み込むと同時に天井を突き破って伊之助が降ってくる。
ーー炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねりーー
ーー獣の呼吸 伍ノ牙 狂い裂きーー
カナヲを守るように氷が弾け飛ぶ。伊之助が雄叫びを上げた。
「ウヒャー!ドンピシャじゃねぇか!鴉の道案内はよぉ!!勝負勝負ぅ!」
「カナヲちゃん…あー、伊之助君は置いておくとして傷は?」
伊之助の勢いに呆気に取られている童磨はひとまず置いておく。紗雪が尋ねればカナヲはコクリと頷いた。
「傷!?」
伊之助は紗雪の言葉にカナヲを振り返った。大慌てで両手を振り回す。
「おまっ…ボロボロじゃねーか!何してんだ!!怪我したらお前アレだぞ!しのぶが怒るぞ!!すげー怒るからなアイツ!!」
その言葉にカナヲが泣きそうに顔を歪めた。紗雪も言葉を失くす。伊之助が静かになった。
「死んだのか?しのぶ」
「まさか!死んでないよ!彼女は俺の中で永遠に…」
ーー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ーー
童磨の言葉を遮って紗雪が斬り込んだ。腹を斬られた童磨が大きく下がる。
「おおっと!」
「そいつの冷気を吸わないで!!」
「咬み殺してやる塵が!!」
ーー獣の呼吸 肆ノ牙 切細裂きーー
「あっはっは!女の子がもう一人にメチャクチャな技の猪頭が一人!!本当面白い!」
振り下ろされる鉄扇を蹴り飛ばし伊之助がカナヲの刀を取り戻した。二人を庇うように前に出た紗雪に童磨が語りかける。
「さっき途中になっちゃったけど、俺が喰った人は皆んな救われてる。もう苦しくない。辛くもない。俺の体の一部になって幸せだよ」
「テメェ!」
激昂する伊之助に対し紗雪は眉一つ動かさなかった。飛びかかってくる伊之助に腹を蹴られて童磨が下がる。紗雪の刀が童磨の首に迫った。
「!」
童磨が横に飛ぶと離れた場所から伊之助が振りかぶった。
(ん?振り被ってる?間合いの外側でしょ。遠いよ)
ピチッと不快な音がして童磨の両眼が切り裂かれた。
ーー獣の呼吸 玖ノ牙 伸・うねり裂きーー
伊之助の腕の関節を外した攻撃に童磨どころかカナヲまで驚愕する。流石に伊之助の技は予想外だった紗雪が後ろに下がった。流れ弾は喰らいたくない。
「あっはっは!痛いとかないの?君!」
高らかに笑う童磨がそれから語り出したのは胸の悪くなる伊之助の昔話だった。