本編
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「隊士は全員次へ行ってしまいましたね」
「あぁ」
煉獄と紗雪は縁側に並んで腰掛けていた。数日前まで大勢の隊士がいた庭だが今はがらんと感じる。
「紗雪」
「はい」
「俺に護衛任務が入った。まもなくここを発つ」
煉獄の言葉に紗雪は口を閉ざした。隊士を引退した煉獄に任務が与えられたと言うことは最終決戦が近いと言うことだ。
「わかりました」
「そんな心配そうな顔をするな!俺は大丈夫だ。君は自分の成すべき事だけ考えろ」
煉獄は優しい手つきで紗雪の頭をくしゃりと撫でた。大きな手だと紗雪は思った。この人にこうやって守られてここまで来たのだと。
「ありがとうございます」
「礼を言われるようなことでは無い。俺は君が居てくれて良かった」
「ありがとうございます…私も拾ってくださったのが師範で良かったです」
穏やかに微笑む紗雪に煉獄は静かに頷いた。塀に要と紅が並んで降り立つのを眺める。
「そう言えばご存知でしたか?紅は冨岡さんの鎹鴉の勘三郎の孫鴉だそうですよ」
「よもや!道理で飛ぶのが速いはずだ!!勘三郎は大変優秀な鎹鴉で、隊士になりたての頃は冨岡もずいぶん助けられたと言っていた」
以前の冨岡からそんな話を聞き出していたとは流石煉獄だ。
「昨日稽古の為に水屋敷にお邪魔したのですが、冨岡さん変わられましたね」
「竈門少年が随分色々な事を冨岡と話したそうだからな!何か感じるものがあったのだろう」
「炭治郎君のコミュニケーション能力の高さには驚かされます」
「こみゅ…?」
「えぇと…意思疎通能力、かな?」
ちょっと自信なく首を傾げる紗雪に煉獄が笑う。一瞬間が空き、煉獄が静かに口を開いた。
「全て片付いたら…」
「はい」
キョトンとする紗雪を穏やかな顔で見つめる。これまで一度も見たことのない煉獄の表情に紗雪は魅入った。
「君に聞いて欲しい話がある」
「…はい。なんだか怖い前振りですね」
「はは!別に怖い話をする訳ではない」
笑いあう二人の穏やかな空気を破り紅の声が響いた。
「緊急招集!緊急招集!!産屋敷邸襲撃…産屋敷邸襲撃ィ!!」
「「!!?」」
紗雪は一瞬で塀に足をかけると飛び出した。真っ直ぐ飛んでいく紅を追い屋根を駆け抜け川を飛び越える。
(あんな重病人に…!)
包帯を体中に巻いて自分が一番つらいだろうに、それでも紗雪を気遣ってくれた産屋敷の姿を思い出す。山に分け入った紗雪は他の柱の気配を察知して、これが産屋敷の計画であることに気が付いた。
(お館様…最後の最後で人が悪すぎますよ!)
そうでなければ柱が一斉に集結するなんてありえない。紅も時間を計るかのように塀に止まっていた。ギリ…と紗雪が歯を食いしばった瞬間。
ドン!
「……っ!」
産屋敷邸が爆発した。
「行くぞ、杏寿郎」
「わかりました父上」
煉獄は紗雪が去って行った方を見ていた。愼寿郎に呼ばれ腰を上げる。千寿郎が心配そうに走り寄ってきた。
「兄上…」
「行ってくるぞ、千寿郎」
頭を撫でてやれば千寿郎も腹を括った顔つきをしていた。
「お気をつけて!」
要の先導に従いながら煉獄は刀を強く握りしめた。
(必ず帰ってこい、紗雪)
どこか遠くで大きく空気が揺らいだ。
「あぁ」
煉獄と紗雪は縁側に並んで腰掛けていた。数日前まで大勢の隊士がいた庭だが今はがらんと感じる。
「紗雪」
「はい」
「俺に護衛任務が入った。まもなくここを発つ」
煉獄の言葉に紗雪は口を閉ざした。隊士を引退した煉獄に任務が与えられたと言うことは最終決戦が近いと言うことだ。
「わかりました」
「そんな心配そうな顔をするな!俺は大丈夫だ。君は自分の成すべき事だけ考えろ」
煉獄は優しい手つきで紗雪の頭をくしゃりと撫でた。大きな手だと紗雪は思った。この人にこうやって守られてここまで来たのだと。
「ありがとうございます」
「礼を言われるようなことでは無い。俺は君が居てくれて良かった」
「ありがとうございます…私も拾ってくださったのが師範で良かったです」
穏やかに微笑む紗雪に煉獄は静かに頷いた。塀に要と紅が並んで降り立つのを眺める。
「そう言えばご存知でしたか?紅は冨岡さんの鎹鴉の勘三郎の孫鴉だそうですよ」
「よもや!道理で飛ぶのが速いはずだ!!勘三郎は大変優秀な鎹鴉で、隊士になりたての頃は冨岡もずいぶん助けられたと言っていた」
以前の冨岡からそんな話を聞き出していたとは流石煉獄だ。
「昨日稽古の為に水屋敷にお邪魔したのですが、冨岡さん変わられましたね」
「竈門少年が随分色々な事を冨岡と話したそうだからな!何か感じるものがあったのだろう」
「炭治郎君のコミュニケーション能力の高さには驚かされます」
「こみゅ…?」
「えぇと…意思疎通能力、かな?」
ちょっと自信なく首を傾げる紗雪に煉獄が笑う。一瞬間が空き、煉獄が静かに口を開いた。
「全て片付いたら…」
「はい」
キョトンとする紗雪を穏やかな顔で見つめる。これまで一度も見たことのない煉獄の表情に紗雪は魅入った。
「君に聞いて欲しい話がある」
「…はい。なんだか怖い前振りですね」
「はは!別に怖い話をする訳ではない」
笑いあう二人の穏やかな空気を破り紅の声が響いた。
「緊急招集!緊急招集!!産屋敷邸襲撃…産屋敷邸襲撃ィ!!」
「「!!?」」
紗雪は一瞬で塀に足をかけると飛び出した。真っ直ぐ飛んでいく紅を追い屋根を駆け抜け川を飛び越える。
(あんな重病人に…!)
包帯を体中に巻いて自分が一番つらいだろうに、それでも紗雪を気遣ってくれた産屋敷の姿を思い出す。山に分け入った紗雪は他の柱の気配を察知して、これが産屋敷の計画であることに気が付いた。
(お館様…最後の最後で人が悪すぎますよ!)
そうでなければ柱が一斉に集結するなんてありえない。紅も時間を計るかのように塀に止まっていた。ギリ…と紗雪が歯を食いしばった瞬間。
ドン!
「……っ!」
産屋敷邸が爆発した。
「行くぞ、杏寿郎」
「わかりました父上」
煉獄は紗雪が去って行った方を見ていた。愼寿郎に呼ばれ腰を上げる。千寿郎が心配そうに走り寄ってきた。
「兄上…」
「行ってくるぞ、千寿郎」
頭を撫でてやれば千寿郎も腹を括った顔つきをしていた。
「お気をつけて!」
要の先導に従いながら煉獄は刀を強く握りしめた。
(必ず帰ってこい、紗雪)
どこか遠くで大きく空気が揺らいだ。
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