本編
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「んが…っ」
誰かの腕が当たって炭治郎はハッと目を覚ました。大勢の隊士と雑魚寝している道場からそっと抜け出す。クン…と炭治郎は鼻をならした。
(なんだろう?すごく緊張した匂いだ)
朝日が間も無く登るのだろう、うっすらと明るい庭に出るとそこには煉獄と紗雪が向き合っていた。
「行くぞ紗雪!本気で打ち返さなければ怪我では済まんぞ!!」
「はい」
煉獄は両手で握った木刀を肩に担ぐように構えた。一拍置いて紗雪が同じく構える。煉獄が体制を低くすると強く踏み込んだ。
――炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄ーー
煉獄の喰いしばった歯の隙間から炎が噴き出す。激しく渦巻く炎を纏い煉獄が突進した。
(紗雪さん!?動かない!)
煉獄の木刀が振り下ろされる瞬間、紗雪が動いた。強く踏み出し吹き上がる炎と共に煉獄に突っ込む。
ガキィン!!と木刀とは思えない音が響いた。巻き上がる砂塵に目を細めながら炭治郎が身を乗り出す。
(猗窩座の時と同じ技だ!!)
ピシッ。
「!」
「!?」
お互いの木刀にヒビが入った。弾け飛ぶそれに姿勢を崩した紗雪の頭を煉獄が抱え込む。勢いを殺し損ねた二人はそのまま地面に転がった。
「煉獄さん!紗雪さん!!」
炭治郎が慌てて飛び出すと駆け寄る。
「かはっ!」
煉獄は激しく咳き込むと喀血した。紗雪が目を見開いて飛び起きる。
「師範!」
「大丈夫だ!心配ない」
「口から血を吐く人の心配ない程信用出来ないものはありませんよ!?炭治郎君、水を持って来てもらえますか?」
「はい!」
炭治郎が井戸で水を組んで戻ると、紗雪は地面に座る煉獄の背中に耳を押し当てていた。
「呼吸音に雑音は無いですね。玖ノ型を使った反動かもしれません」
「煉獄さん、水です」
「ありがとう竈門少年」
煉獄は口をゆすぐと吐き出した。何故かきっちり正座をして心配そうにしている二人に笑う。
「血を吐いた俺より青い顔をしている!」
「炭治郎君、こういう時の師範ははっ倒していいですからね」
「えぇっ!?」
紗雪が煉獄を指差して言うのに炭治郎が目を白黒させる。煉獄が明るく笑った。
「本当に大丈夫だ。心配をかけたな」
煉獄は背筋を伸ばすと紗雪を真っ直ぐに見た。それに紗雪が姿勢を正す。
「紗雪」
「はい」
「君はもう玖ノ型を充分習得している。あとは実践で掴んでいくしか無い」
腕を伸ばすと紗雪の肩を力強く掴む。
「心を燃やせ。玖ノ型は命と体を燃やし自らの全てで敵を薙ぎ払う技だ」
「ありがとうございます」
紗雪は自分の胸に手を置くと頷いた。
(炎ならば此処にある)
煉獄に灯された炎がいつだって燃えている。煉獄が自分の戦う理由で、その為にならどこまでも走っていける。
「本日より柱稽古に参加することを許可する!」
「ありがとうございます!」
「良かったですね!紗雪さん!!」
我が事のように喜ぶ炭治郎に紗雪の顔にも笑顔が浮かぶ。ふと紗雪が煉獄を振り返った。
「打ち込み稽古はどうするんですか?」
煉獄は立ち上がると紗雪に手を貸した。土埃を綺麗に払う。
「父上が自らの鍛錬も兼ねて参加してくださる」
「「え?愼寿郎さんが?」」
紗雪と炭治郎の声が綺麗にハモった。ただし紗雪は楽しげに、炭治郎は嫌そうに。煉獄が思わず目を丸くする。
「竈門少年、そんなに嫌わないでやってくれ。紗雪は喜びすぎだ」
「すみません!」
「炭治郎君、愼寿郎さんがどんなだったか後で教えてくださいね」
悪びれない紗雪の額を煉獄が小突いた。
「紗雪」
「すいません」
(あぁ、良いなぁ)
二人から流れる穏やかな匂いに自分まで気持ちが落ち着く炭治郎だった。
誰かの腕が当たって炭治郎はハッと目を覚ました。大勢の隊士と雑魚寝している道場からそっと抜け出す。クン…と炭治郎は鼻をならした。
(なんだろう?すごく緊張した匂いだ)
朝日が間も無く登るのだろう、うっすらと明るい庭に出るとそこには煉獄と紗雪が向き合っていた。
「行くぞ紗雪!本気で打ち返さなければ怪我では済まんぞ!!」
「はい」
煉獄は両手で握った木刀を肩に担ぐように構えた。一拍置いて紗雪が同じく構える。煉獄が体制を低くすると強く踏み込んだ。
――炎の呼吸 奥義 玖ノ型 煉獄ーー
煉獄の喰いしばった歯の隙間から炎が噴き出す。激しく渦巻く炎を纏い煉獄が突進した。
(紗雪さん!?動かない!)
煉獄の木刀が振り下ろされる瞬間、紗雪が動いた。強く踏み出し吹き上がる炎と共に煉獄に突っ込む。
ガキィン!!と木刀とは思えない音が響いた。巻き上がる砂塵に目を細めながら炭治郎が身を乗り出す。
(猗窩座の時と同じ技だ!!)
ピシッ。
「!」
「!?」
お互いの木刀にヒビが入った。弾け飛ぶそれに姿勢を崩した紗雪の頭を煉獄が抱え込む。勢いを殺し損ねた二人はそのまま地面に転がった。
「煉獄さん!紗雪さん!!」
炭治郎が慌てて飛び出すと駆け寄る。
「かはっ!」
煉獄は激しく咳き込むと喀血した。紗雪が目を見開いて飛び起きる。
「師範!」
「大丈夫だ!心配ない」
「口から血を吐く人の心配ない程信用出来ないものはありませんよ!?炭治郎君、水を持って来てもらえますか?」
「はい!」
炭治郎が井戸で水を組んで戻ると、紗雪は地面に座る煉獄の背中に耳を押し当てていた。
「呼吸音に雑音は無いですね。玖ノ型を使った反動かもしれません」
「煉獄さん、水です」
「ありがとう竈門少年」
煉獄は口をゆすぐと吐き出した。何故かきっちり正座をして心配そうにしている二人に笑う。
「血を吐いた俺より青い顔をしている!」
「炭治郎君、こういう時の師範ははっ倒していいですからね」
「えぇっ!?」
紗雪が煉獄を指差して言うのに炭治郎が目を白黒させる。煉獄が明るく笑った。
「本当に大丈夫だ。心配をかけたな」
煉獄は背筋を伸ばすと紗雪を真っ直ぐに見た。それに紗雪が姿勢を正す。
「紗雪」
「はい」
「君はもう玖ノ型を充分習得している。あとは実践で掴んでいくしか無い」
腕を伸ばすと紗雪の肩を力強く掴む。
「心を燃やせ。玖ノ型は命と体を燃やし自らの全てで敵を薙ぎ払う技だ」
「ありがとうございます」
紗雪は自分の胸に手を置くと頷いた。
(炎ならば此処にある)
煉獄に灯された炎がいつだって燃えている。煉獄が自分の戦う理由で、その為にならどこまでも走っていける。
「本日より柱稽古に参加することを許可する!」
「ありがとうございます!」
「良かったですね!紗雪さん!!」
我が事のように喜ぶ炭治郎に紗雪の顔にも笑顔が浮かぶ。ふと紗雪が煉獄を振り返った。
「打ち込み稽古はどうするんですか?」
煉獄は立ち上がると紗雪に手を貸した。土埃を綺麗に払う。
「父上が自らの鍛錬も兼ねて参加してくださる」
「「え?愼寿郎さんが?」」
紗雪と炭治郎の声が綺麗にハモった。ただし紗雪は楽しげに、炭治郎は嫌そうに。煉獄が思わず目を丸くする。
「竈門少年、そんなに嫌わないでやってくれ。紗雪は喜びすぎだ」
「すみません!」
「炭治郎君、愼寿郎さんがどんなだったか後で教えてくださいね」
悪びれない紗雪の額を煉獄が小突いた。
「紗雪」
「すいません」
(あぁ、良いなぁ)
二人から流れる穏やかな匂いに自分まで気持ちが落ち着く炭治郎だった。