本編
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「と、言うわけでこれは離れた仲間と連絡を取り合う為の通信機です。」
一通り装備品の説明を終えた紗雪は次に医薬品の鞄に手を伸ばした。
「こちらは応急処置に使う薬とかですね。痛み止めに注射器、消毒ガーゼと傷を抑えるためのテープ、傷の再生を促すシートに包帯…後は個人的な持ち物ですが傷薬です」
「なるほど」
産屋敷は傷薬が入った容器を手に取ると蓋を開けた。縁側から座敷に入ったすぐの場所に控えていた柱達の方から胡蝶を手招くとそれを渡す。胡蝶は薬の匂いに目を丸くした。
「藤の花の匂い」
「曽祖父が作った物と聞いています。どう言う訳か藤の花の粉末を必ず入れるよう言い伝えられていて…よく効くので特別に許可をもらって携帯しているんです」
「派手に鬼殺隊の関係者なんじゃないか?」
煌びやかな飾りをつけた男の言葉に胡蝶が応える。
「宇髄さんのおっしゃる可能性はあります。あるいは藤の家かも」
「椎名、藤の香りは鬼を遠ざけると言われているんだよ」
藤の花に何の意味があるのかと首を傾げる紗雪に産屋敷が優しく応える。
「鬼、ですか…」
「鬼殺隊は1000年もの間、鬼と戦い続けている非公認組織だ」
「…信じたくない所ではありますけど」
紗雪は眉間を指で揉んだ。変わり果てた仲間の姿が瞼の裏をちらつく。腹を括ると紗雪は産屋敷に尋ねた。
「あの、今の元号を教えて頂いて良いですか?」
「大正になったばかりだね」
「……大正?えっ?大正?」
(今が令和で平成が30年、昭和は63年…64年だったっけ?で、その前が大正だから…)
「………」
紗雪は畳に両手をつくと項垂れた。嘘だぁ…とつい言葉が漏れる。いきなり落ち込んでしまった紗雪に煉獄が声をかけた。
「どうした紗雪!お館様は本当の事を申されているぞ!!」
「いや…それを疑ってるんじゃないんですよ……」
(100年以上昔…100年!?そりゃ無線機も黙るしゴーグルも仕事しなくなるはずだよ!!)
通信技術が違いすぎる。落ち込みまくる紗雪を見ていた産屋敷はゆったりとした口調で口を開いた。
「椎名は随分先の時代からここへ来てしまったようだね」
産屋敷の言葉に紗雪以外の全員が驚いて紗雪を見た。ノロノロと顔を上げた紗雪が力無く頷く。
「そのようです。どうしてそうなったのかは分かりませんが」
「血気術としか思えませぬ」
「うん、煉獄さん気がつかなかったの?」
数珠を手にした悲鳴嶼の言葉に時透が頷く。煉獄は胸を張って答えた。
「俺が到着した時には斬った鬼しか居なかったな!!」
「椎名、君はどうしたい?」
産屋敷に尋ねられ紗雪は返事に窮した。大正時代に知り合いなど居る筈がない。
「帰る手段があるわけではないのだろう。暮らしを考えても働き口を見つけるのは難しい。勿論職を選ばなければそんな事はないけれど。でも私は椎名にそれを選んでほしくはない」
「………」
「紗雪!鬼殺隊に入る気はないか!!」
煉獄の唐突な提案に産屋敷以外が驚いて振り返った。煉獄が産屋敷に正面から向き直る。
「お館様!紗雪は良く訓練されており、強い心の持ち主です!!お許しいただけるなら俺が鍛えて最終選別に送り出したいと思います!!」
「よ、宜しくお願いします!!」
紗雪は煉獄の提案に飛びついた。今更他の職業など考えられない。ならば自分を買ってくれている煉獄について行きたい。
「良いんだね?椎名」
「曲がりなりにも軍に所属している身です。戦いで役に立てるならそうしたいです」
産屋敷の最終確認に紗雪は力強く頷くと頭を下げた。
「わかった。あまね」
産屋敷が廊下に声をかけると、あまねがすっと姿を現した。丁寧なお辞儀をされて紗雪が慌てて頭を下げる。
「妻のあまねだよ。椎名、杏寿郎の所に行くにしても身支度は整えた方がいい。行っておいで」
(身支度…?)
戸惑ってあまねを見ればにっこり微笑み付いてくるよう促される。心許なく思いながら紗雪はあまねについて部屋を出て行った。それを見送ると不死川が煉獄に尋ねた。
「得体の知れない娘だぁ。本当に引き受けるつもりなのか煉獄」
「うむ!そのつもりだ!!俺はあの娘は信頼に足ると判断する!!」
「煉獄がそう思ったのならそれで良い。誰を継子にするかは個々の判断に任されている」
けっと毒付く不死川を横目に珍しくきちんと喋った冨岡の言葉に煉獄は満足気に頷いた。
(うむ!継子か!!悪くないな!)
「それではせっかく集まったのだし柱合会議をする事としよう」
「「「はっ!」」」
一通り装備品の説明を終えた紗雪は次に医薬品の鞄に手を伸ばした。
「こちらは応急処置に使う薬とかですね。痛み止めに注射器、消毒ガーゼと傷を抑えるためのテープ、傷の再生を促すシートに包帯…後は個人的な持ち物ですが傷薬です」
「なるほど」
産屋敷は傷薬が入った容器を手に取ると蓋を開けた。縁側から座敷に入ったすぐの場所に控えていた柱達の方から胡蝶を手招くとそれを渡す。胡蝶は薬の匂いに目を丸くした。
「藤の花の匂い」
「曽祖父が作った物と聞いています。どう言う訳か藤の花の粉末を必ず入れるよう言い伝えられていて…よく効くので特別に許可をもらって携帯しているんです」
「派手に鬼殺隊の関係者なんじゃないか?」
煌びやかな飾りをつけた男の言葉に胡蝶が応える。
「宇髄さんのおっしゃる可能性はあります。あるいは藤の家かも」
「椎名、藤の香りは鬼を遠ざけると言われているんだよ」
藤の花に何の意味があるのかと首を傾げる紗雪に産屋敷が優しく応える。
「鬼、ですか…」
「鬼殺隊は1000年もの間、鬼と戦い続けている非公認組織だ」
「…信じたくない所ではありますけど」
紗雪は眉間を指で揉んだ。変わり果てた仲間の姿が瞼の裏をちらつく。腹を括ると紗雪は産屋敷に尋ねた。
「あの、今の元号を教えて頂いて良いですか?」
「大正になったばかりだね」
「……大正?えっ?大正?」
(今が令和で平成が30年、昭和は63年…64年だったっけ?で、その前が大正だから…)
「………」
紗雪は畳に両手をつくと項垂れた。嘘だぁ…とつい言葉が漏れる。いきなり落ち込んでしまった紗雪に煉獄が声をかけた。
「どうした紗雪!お館様は本当の事を申されているぞ!!」
「いや…それを疑ってるんじゃないんですよ……」
(100年以上昔…100年!?そりゃ無線機も黙るしゴーグルも仕事しなくなるはずだよ!!)
通信技術が違いすぎる。落ち込みまくる紗雪を見ていた産屋敷はゆったりとした口調で口を開いた。
「椎名は随分先の時代からここへ来てしまったようだね」
産屋敷の言葉に紗雪以外の全員が驚いて紗雪を見た。ノロノロと顔を上げた紗雪が力無く頷く。
「そのようです。どうしてそうなったのかは分かりませんが」
「血気術としか思えませぬ」
「うん、煉獄さん気がつかなかったの?」
数珠を手にした悲鳴嶼の言葉に時透が頷く。煉獄は胸を張って答えた。
「俺が到着した時には斬った鬼しか居なかったな!!」
「椎名、君はどうしたい?」
産屋敷に尋ねられ紗雪は返事に窮した。大正時代に知り合いなど居る筈がない。
「帰る手段があるわけではないのだろう。暮らしを考えても働き口を見つけるのは難しい。勿論職を選ばなければそんな事はないけれど。でも私は椎名にそれを選んでほしくはない」
「………」
「紗雪!鬼殺隊に入る気はないか!!」
煉獄の唐突な提案に産屋敷以外が驚いて振り返った。煉獄が産屋敷に正面から向き直る。
「お館様!紗雪は良く訓練されており、強い心の持ち主です!!お許しいただけるなら俺が鍛えて最終選別に送り出したいと思います!!」
「よ、宜しくお願いします!!」
紗雪は煉獄の提案に飛びついた。今更他の職業など考えられない。ならば自分を買ってくれている煉獄について行きたい。
「良いんだね?椎名」
「曲がりなりにも軍に所属している身です。戦いで役に立てるならそうしたいです」
産屋敷の最終確認に紗雪は力強く頷くと頭を下げた。
「わかった。あまね」
産屋敷が廊下に声をかけると、あまねがすっと姿を現した。丁寧なお辞儀をされて紗雪が慌てて頭を下げる。
「妻のあまねだよ。椎名、杏寿郎の所に行くにしても身支度は整えた方がいい。行っておいで」
(身支度…?)
戸惑ってあまねを見ればにっこり微笑み付いてくるよう促される。心許なく思いながら紗雪はあまねについて部屋を出て行った。それを見送ると不死川が煉獄に尋ねた。
「得体の知れない娘だぁ。本当に引き受けるつもりなのか煉獄」
「うむ!そのつもりだ!!俺はあの娘は信頼に足ると判断する!!」
「煉獄がそう思ったのならそれで良い。誰を継子にするかは個々の判断に任されている」
けっと毒付く不死川を横目に珍しくきちんと喋った冨岡の言葉に煉獄は満足気に頷いた。
(うむ!継子か!!悪くないな!)
「それではせっかく集まったのだし柱合会議をする事としよう」
「「「はっ!」」」