本編
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隊服が完成してから10日後、煉獄家に刀鍛冶の里から河原鉄砂鉄(かわらがねさてつ)と言う人物が訪ねてきた。ひょっとこのお面にギョッとした紗雪だったが、これが刀鍛冶の者の掟なのだと煉獄に教えられる。客間に通された河原鉄が風呂敷から木箱を取り出した。
「これが紗雪殿の選んだ玉鋼で打った刀です」
「手に取って鞘から抜いてみると良い」
煉獄に促され、紗雪は日輪刀を手にした。ずっしりとした重さを感じながら鞘に手をかける。
「日輪刀は別名色変わりの刀と言われてまして、呼吸の系統により刃の色が変わります。水の呼吸なら青く、炎の呼吸は赤く、風の呼吸は緑にと言った具合です」
河原鉄の説明に紗雪はピタリと動きを止めた。
(ん?つまり鞘から抜いて青くなったら水の呼吸をやり直し?炎の呼吸を止めて?)
それは一大事なのでは無いだろうか。動かなくなってしまった紗雪に河原鉄が首を傾げた。
「どうかされましたか?」
(いや、気軽だなぁ!人生の岐路だわ!!)
「紗雪」
固まったままの紗雪の手に煉獄の手が重ねられた。顔を上げれば煉獄が力強く頷く。
「大丈夫だ。安心して抜くといい」
「はい」
(お見通しか)
煉獄の手が温かくて紗雪は酷く安心した。一つ深呼吸するとゆっくり刀を抜く。
「……」
じわり…と柄から切先へと刀身が赤く染まった。
「おぉ、美しいですね。素晴らしい炎の色です」
「ありがとうございます」
紗雪は凄まじく安堵するとホッと息を吐き出した。煉獄が思わず吹き出す。
「師範!?」
「すまん!紗雪があまりあからさまにホッとしたものだからな!」
「師範の性根が曲がった」
「それは聞き捨てなら無いな!?」
「だってそうじゃないですか!そこで笑うって事は師範、確証があったって事でしょう!?」
(仲良いなー)
河原鉄はポンポンとやりあう二人にそう思った。師弟の間柄でここまで気安い所はなかなか無い。
「そうかも知れませんね。炎柱様よりこのような品の注文を受けておりましたから」
河原鉄は懐から小さな木箱を取り出した。中に炎を模した鍔が納められている。河原鉄はそれを煉獄に見せた。
「言付かっておりました鍔にございます。ここで取り替えて宜しいでしょうか」
「頼む」
河原鉄は紗雪から刀を預かると風呂敷を広げ手早く鍔を交換した。その一連のやり取りに紗雪が煉獄を見る。
「胡蝶の所の継子も鍔に花をあしらっていると聞く。君の刀にも炎が必要だと思ってな」
(この人は…)
一体どこまで細やかな人なのだろうと紗雪は思った。その明るさと力強さで人の心を開き、その細やかさで掴んで離さない。
「こちらで出来上がりです」
「ありがとうございます」
河原鉄の差し出した刀を紗雪はそっと受け取った。煉獄の鍔とはまた意匠の違う少し細やかな炎が紗雪の刀を彩る。紗雪は煉獄に深く頭を下げた。
「ありがとうございます師範」
「この前隊服が出来たろう。着て見せてくれるか」
「はい」
「では私はこれで」
河原鉄は早々に煉獄家を後にした。これ以上長居したらイチャついてんなよこのリア充がと、よくわからない単語を叫んでしまいそうだ。
(にしてもあれは炎柱様の気遣いなんですかねー)
煉獄は隊服の受け取りに付き添ったと聞いている。一度目の隊服には問題があって煉獄がそれをなますに切ったとか言う噂も。
(隊服に鍔に…これで羽織やら剣帯まで揃えてやってたら炎柱様の見立てに身を包むことになるのか)
それは凄い執着なのでは無いだろうか?河原鉄は背筋が冷えた気がしてブルリと震えた。
(くわばらくわばら、好奇心は猫をも殺す。障らぬ神に祟りなし)
河原鉄は肩をすくめると里へと帰って行った。
「これが紗雪殿の選んだ玉鋼で打った刀です」
「手に取って鞘から抜いてみると良い」
煉獄に促され、紗雪は日輪刀を手にした。ずっしりとした重さを感じながら鞘に手をかける。
「日輪刀は別名色変わりの刀と言われてまして、呼吸の系統により刃の色が変わります。水の呼吸なら青く、炎の呼吸は赤く、風の呼吸は緑にと言った具合です」
河原鉄の説明に紗雪はピタリと動きを止めた。
(ん?つまり鞘から抜いて青くなったら水の呼吸をやり直し?炎の呼吸を止めて?)
それは一大事なのでは無いだろうか。動かなくなってしまった紗雪に河原鉄が首を傾げた。
「どうかされましたか?」
(いや、気軽だなぁ!人生の岐路だわ!!)
「紗雪」
固まったままの紗雪の手に煉獄の手が重ねられた。顔を上げれば煉獄が力強く頷く。
「大丈夫だ。安心して抜くといい」
「はい」
(お見通しか)
煉獄の手が温かくて紗雪は酷く安心した。一つ深呼吸するとゆっくり刀を抜く。
「……」
じわり…と柄から切先へと刀身が赤く染まった。
「おぉ、美しいですね。素晴らしい炎の色です」
「ありがとうございます」
紗雪は凄まじく安堵するとホッと息を吐き出した。煉獄が思わず吹き出す。
「師範!?」
「すまん!紗雪があまりあからさまにホッとしたものだからな!」
「師範の性根が曲がった」
「それは聞き捨てなら無いな!?」
「だってそうじゃないですか!そこで笑うって事は師範、確証があったって事でしょう!?」
(仲良いなー)
河原鉄はポンポンとやりあう二人にそう思った。師弟の間柄でここまで気安い所はなかなか無い。
「そうかも知れませんね。炎柱様よりこのような品の注文を受けておりましたから」
河原鉄は懐から小さな木箱を取り出した。中に炎を模した鍔が納められている。河原鉄はそれを煉獄に見せた。
「言付かっておりました鍔にございます。ここで取り替えて宜しいでしょうか」
「頼む」
河原鉄は紗雪から刀を預かると風呂敷を広げ手早く鍔を交換した。その一連のやり取りに紗雪が煉獄を見る。
「胡蝶の所の継子も鍔に花をあしらっていると聞く。君の刀にも炎が必要だと思ってな」
(この人は…)
一体どこまで細やかな人なのだろうと紗雪は思った。その明るさと力強さで人の心を開き、その細やかさで掴んで離さない。
「こちらで出来上がりです」
「ありがとうございます」
河原鉄の差し出した刀を紗雪はそっと受け取った。煉獄の鍔とはまた意匠の違う少し細やかな炎が紗雪の刀を彩る。紗雪は煉獄に深く頭を下げた。
「ありがとうございます師範」
「この前隊服が出来たろう。着て見せてくれるか」
「はい」
「では私はこれで」
河原鉄は早々に煉獄家を後にした。これ以上長居したらイチャついてんなよこのリア充がと、よくわからない単語を叫んでしまいそうだ。
(にしてもあれは炎柱様の気遣いなんですかねー)
煉獄は隊服の受け取りに付き添ったと聞いている。一度目の隊服には問題があって煉獄がそれをなますに切ったとか言う噂も。
(隊服に鍔に…これで羽織やら剣帯まで揃えてやってたら炎柱様の見立てに身を包むことになるのか)
それは凄い執着なのでは無いだろうか?河原鉄は背筋が冷えた気がしてブルリと震えた。
(くわばらくわばら、好奇心は猫をも殺す。障らぬ神に祟りなし)
河原鉄は肩をすくめると里へと帰って行った。