本編
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「最終選別通過おめでとう紗雪!」
「おめでとうございます紗雪さん」
「ありがとうございます師範、千寿郎さん」
藤襲山から無事に戻ってきた紗雪は二人に出迎えられ照れ笑いをした。所々に細かな傷は作ってしまったが、無事に帰ってこられてホッとする。
「鎹鴉がついただろう?見せてくれるか!」
「はい。紅 おいで」
紗雪が呼ぶと一羽の鴉がその肩に止まった。人懐こい鴉のようで紗雪の頬に擦り寄る。
「椎名、紅ヨンダ。呼ンダ?」
「呼んだよ。紅、こちらが私の師範で煉獄さんと弟の千寿郎さん」
紗雪の紹介に紅はペコリペコリと頭を二つ下げた。
「ほう!紗雪の鎹鴉は賢いな!!」
「はい。とても大人しいですね兄上」
「そうなんですか?」
鎹鴉と言えば要か艶しか見たことのない紗雪にはピンとこない。紗雪が紅の喉をかいてやると、紅は機嫌良く喋り出した。
「椎名言ッテタ。炎柱サマ、スゴイ、ツヨイ、インテリ、物知リ、優シイ」
「っ!」
とんだ大暴露である。紗雪は耳まで赤くなると紅の嘴を掴もうとしたが、タッチの差で空へと逃げられてしまった。
「千寿郎、優シイ、ツヨイ、賢イ、頑張リ屋、気配リ上手」
「紅!ちょ、ストップ!!お願いだから黙って」
「二人、待ッテル、会イタイ、早ク帰ル」
「わー!わー!わー!」
選別に通り浮かれていた紗雪は紅相手に煉獄達の良さを語り倒していたのだ。これ以上何か言われてはたまらない。紗雪は両手を振って紅を遠くへやった。
「あの!いや、その…ですね!今のはつまり…」
しどろもどろで言い訳を試みるが、煉獄と千寿郎は優しく微笑んでいた。
「君なら大丈夫だと思ってはいても生きた心地がしなかった」
「毎日母上のお仏壇にお祈りしていました」
煉獄と千寿郎はしっかり紗雪を抱きしめた。
「おかえり紗雪」
「おかえりなさい紗雪さん」
「…ただいま帰りました」
あぁ、暖かいなと紗雪は思った。ここが今の自分が帰る場所なのだ。
(だからこそ、確認したいと思うのは情けないのかな)
食事と風呂を済ませると紗雪は煉獄の部屋を訪ねた。報告書を書いていた煉獄が顔を上げる。
「どうした紗雪!」
「すいません師範。少しお時間宜しいですか?」
「?あぁ」
煉獄は紗雪と向き合って座り直した。
「今日はありがとうございました。待っていていただいて嬉しかったです」
「気にするな!」
どうせ巡回に集中出来ないのは分かりきっていたので、今日ぐらいは待っていたかったのだ。紗雪を一番に迎えたかった。
「あの、それで今後のことなんですが」
「今後?」
予想外の言葉に煉獄は目を瞬いた。紗雪が言いにくそうに続ける。
「私も鬼殺隊士となったので、今後の拠点といいますか…その、つまり…」
言いにくそうにする紗雪の様子に煉獄は眉を顰めた。嫌な予想が先走る。
「…ここを出て行きたいということか?」
自分で言っておきながらその言葉に額に青筋が浮かぶ。煉獄はきつく拳を握った。急に変わった煉獄の様子に紗雪が慌てる。
「ち、違います!と言うか逆にここに居ても良いですか!?胡蝶さんの所で色んな隊士を見たんですけど、だいたいの人は蝶屋敷や藤の家を根城にしてるみたいで、何かそう言う決まりとかあるのかなって!」
「胡蝶の所の継子は隊士になった後も蝶屋敷にいるだろう!君は俺の継子だ!!」
煉獄に言われて紗雪ははたと気が付いた。
「…ホントだ。す、すいません!カナヲちゃんは小さいから保護者が必要とかそう言う理由なのかと思ってました!いやでも蜜璃さんは通いだったんですよね!?」
「甘露寺は実家に住んでいるからな!住み込む必要がない!!」
(そっかぁ〜!)
紗雪は両手で顔を覆うと体をくの字に曲げてしまった。なんて勘違いをしていたのか、恥ずかしい。
「隊士になったとは言えまだ玖ノ型を会得していないだろう!教えたいことも沢山ある!!」
煉獄は内心胸を撫で下ろした。紗雪がここに居たいと思ってくれていることに心底安堵する。紗雪はヨロヨロしながら何とか顔を上げた。
「そう言えばそうですよね。玖ノ型…まだまだ出来そうにないですけど」
「出来てくれなければ困るぞ!君は次期炎柱なのだからな!!」
「何かハードル上がった!?」
煉獄のビックリするような発言に紗雪は声を上げた。煉獄が明るく笑う。
「柱たり得ると思えるからこその継子だ!俺は君が炎柱になるのを見届けたい!!」
「あー、それはまだまだ暫くずーっと…なんなら延々と師範と一緒にいること確定ですね」
自分が煉獄の実力に届くイメージがまるで湧かない。紗雪が苦笑しながらそう言えば煉獄の優しい笑みが返ってきた。
「そうか、それも良いな」
「………」
(ストップストップ、直視したらダメなやつ)
紗雪はそれとなく視線を逸らせた。見てしまえば気づかなくて良いことに気づいてしまいそうだ。
「隊服は数日後には仕上がるはずだったな!」
「そうですね。何故か胡蝶さんに油とマッチを渡されたんですけど…」
「受け取りの時には俺も同道しよう!なに、油とマッチなど使わずとも俺の刀があれば十分だ!!」
「あれ!?隊服を受け取りに行くんですよね!?」
一体隊服に何があると言うのか。紗雪が戦々恐々としていると煉獄がたとう紙に包まれた衣服を取り出した。
「隊服が仕上がった時に渡そうと思っていたのだが、どうせ作り直しになるだろうし今渡しておこう!鬼殺隊士になったお祝いだ」
作り直しの一語が大変気になる所だが、紗雪はそれには触れずにたとう紙を受け取った。中から淡い薄青の羽織が出てくる。
「これ…」
「お館様の所から帰ってきた時に君が着ていた着物があまりに似合っていたのでな」
(覚えていてくれたんですね)
紗雪は胸がいっぱいになった。この人についてきて良かったと心から思う。羽織を抱きしめると紗雪は煉獄に微笑んだ。
「ありがとうございます。本当に嬉しいです」
「改めておめでとう紗雪。これからは同じ鬼殺隊士として共に頑張ろう」
「はい。師範の名を汚さぬよう全力を尽くします」
力強く返事する紗雪に満足気に頷く煉獄だった。
「おめでとうございます紗雪さん」
「ありがとうございます師範、千寿郎さん」
藤襲山から無事に戻ってきた紗雪は二人に出迎えられ照れ笑いをした。所々に細かな傷は作ってしまったが、無事に帰ってこられてホッとする。
「鎹鴉がついただろう?見せてくれるか!」
「はい。
紗雪が呼ぶと一羽の鴉がその肩に止まった。人懐こい鴉のようで紗雪の頬に擦り寄る。
「椎名、紅ヨンダ。呼ンダ?」
「呼んだよ。紅、こちらが私の師範で煉獄さんと弟の千寿郎さん」
紗雪の紹介に紅はペコリペコリと頭を二つ下げた。
「ほう!紗雪の鎹鴉は賢いな!!」
「はい。とても大人しいですね兄上」
「そうなんですか?」
鎹鴉と言えば要か艶しか見たことのない紗雪にはピンとこない。紗雪が紅の喉をかいてやると、紅は機嫌良く喋り出した。
「椎名言ッテタ。炎柱サマ、スゴイ、ツヨイ、インテリ、物知リ、優シイ」
「っ!」
とんだ大暴露である。紗雪は耳まで赤くなると紅の嘴を掴もうとしたが、タッチの差で空へと逃げられてしまった。
「千寿郎、優シイ、ツヨイ、賢イ、頑張リ屋、気配リ上手」
「紅!ちょ、ストップ!!お願いだから黙って」
「二人、待ッテル、会イタイ、早ク帰ル」
「わー!わー!わー!」
選別に通り浮かれていた紗雪は紅相手に煉獄達の良さを語り倒していたのだ。これ以上何か言われてはたまらない。紗雪は両手を振って紅を遠くへやった。
「あの!いや、その…ですね!今のはつまり…」
しどろもどろで言い訳を試みるが、煉獄と千寿郎は優しく微笑んでいた。
「君なら大丈夫だと思ってはいても生きた心地がしなかった」
「毎日母上のお仏壇にお祈りしていました」
煉獄と千寿郎はしっかり紗雪を抱きしめた。
「おかえり紗雪」
「おかえりなさい紗雪さん」
「…ただいま帰りました」
あぁ、暖かいなと紗雪は思った。ここが今の自分が帰る場所なのだ。
(だからこそ、確認したいと思うのは情けないのかな)
食事と風呂を済ませると紗雪は煉獄の部屋を訪ねた。報告書を書いていた煉獄が顔を上げる。
「どうした紗雪!」
「すいません師範。少しお時間宜しいですか?」
「?あぁ」
煉獄は紗雪と向き合って座り直した。
「今日はありがとうございました。待っていていただいて嬉しかったです」
「気にするな!」
どうせ巡回に集中出来ないのは分かりきっていたので、今日ぐらいは待っていたかったのだ。紗雪を一番に迎えたかった。
「あの、それで今後のことなんですが」
「今後?」
予想外の言葉に煉獄は目を瞬いた。紗雪が言いにくそうに続ける。
「私も鬼殺隊士となったので、今後の拠点といいますか…その、つまり…」
言いにくそうにする紗雪の様子に煉獄は眉を顰めた。嫌な予想が先走る。
「…ここを出て行きたいということか?」
自分で言っておきながらその言葉に額に青筋が浮かぶ。煉獄はきつく拳を握った。急に変わった煉獄の様子に紗雪が慌てる。
「ち、違います!と言うか逆にここに居ても良いですか!?胡蝶さんの所で色んな隊士を見たんですけど、だいたいの人は蝶屋敷や藤の家を根城にしてるみたいで、何かそう言う決まりとかあるのかなって!」
「胡蝶の所の継子は隊士になった後も蝶屋敷にいるだろう!君は俺の継子だ!!」
煉獄に言われて紗雪ははたと気が付いた。
「…ホントだ。す、すいません!カナヲちゃんは小さいから保護者が必要とかそう言う理由なのかと思ってました!いやでも蜜璃さんは通いだったんですよね!?」
「甘露寺は実家に住んでいるからな!住み込む必要がない!!」
(そっかぁ〜!)
紗雪は両手で顔を覆うと体をくの字に曲げてしまった。なんて勘違いをしていたのか、恥ずかしい。
「隊士になったとは言えまだ玖ノ型を会得していないだろう!教えたいことも沢山ある!!」
煉獄は内心胸を撫で下ろした。紗雪がここに居たいと思ってくれていることに心底安堵する。紗雪はヨロヨロしながら何とか顔を上げた。
「そう言えばそうですよね。玖ノ型…まだまだ出来そうにないですけど」
「出来てくれなければ困るぞ!君は次期炎柱なのだからな!!」
「何かハードル上がった!?」
煉獄のビックリするような発言に紗雪は声を上げた。煉獄が明るく笑う。
「柱たり得ると思えるからこその継子だ!俺は君が炎柱になるのを見届けたい!!」
「あー、それはまだまだ暫くずーっと…なんなら延々と師範と一緒にいること確定ですね」
自分が煉獄の実力に届くイメージがまるで湧かない。紗雪が苦笑しながらそう言えば煉獄の優しい笑みが返ってきた。
「そうか、それも良いな」
「………」
(ストップストップ、直視したらダメなやつ)
紗雪はそれとなく視線を逸らせた。見てしまえば気づかなくて良いことに気づいてしまいそうだ。
「隊服は数日後には仕上がるはずだったな!」
「そうですね。何故か胡蝶さんに油とマッチを渡されたんですけど…」
「受け取りの時には俺も同道しよう!なに、油とマッチなど使わずとも俺の刀があれば十分だ!!」
「あれ!?隊服を受け取りに行くんですよね!?」
一体隊服に何があると言うのか。紗雪が戦々恐々としていると煉獄がたとう紙に包まれた衣服を取り出した。
「隊服が仕上がった時に渡そうと思っていたのだが、どうせ作り直しになるだろうし今渡しておこう!鬼殺隊士になったお祝いだ」
作り直しの一語が大変気になる所だが、紗雪はそれには触れずにたとう紙を受け取った。中から淡い薄青の羽織が出てくる。
「これ…」
「お館様の所から帰ってきた時に君が着ていた着物があまりに似合っていたのでな」
(覚えていてくれたんですね)
紗雪は胸がいっぱいになった。この人についてきて良かったと心から思う。羽織を抱きしめると紗雪は煉獄に微笑んだ。
「ありがとうございます。本当に嬉しいです」
「改めておめでとう紗雪。これからは同じ鬼殺隊士として共に頑張ろう」
「はい。師範の名を汚さぬよう全力を尽くします」
力強く返事する紗雪に満足気に頷く煉獄だった。