本編
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「こんにちはカナヲちゃん」
「………こんにちは」
蝶屋敷を訪れていた紗雪は廊下でばったりカナヲに出会った。にっこり笑って挨拶すればカナヲは暫くの沈黙の後挨拶を返してくれた。
「最終選別通過おめでとうございます」
カナヲが隊服を着ているのを認め紗雪は頭を下げた。大汗をかき出したカナヲはお礼を言おうと言葉を振り絞る。紗雪は床に膝をつくとカナヲより視線を低くしてそれを待った。
「…ありがと、う」
「はい。やっぱりカナヲちゃんには先を越されてしまいましたね。勿論カナヲちゃんの方が継子としても先輩なので当然と言えば当然ですが」
それでも自分より小さな子が隊服を着ていると自分も頑張らなければと思う。と言うよりこの子が隊服を着なくても済む世の中になって欲しい。紗雪はカナヲの手をそっと取った。
「私も師範に最終選別に行く許可を早くもらえるよう頑張ります。勝手ながらカナヲちゃんを目標に頑張らせてください」
「………」
カナヲは自分の手を優しく握る紗雪に耳まで赤くなった。碌に喋らない子供の自分に敬意を持って接してくれるこの人に応えたい。
「あ、の……頑、張って……椎名、も」
「…ありがとうございます!カナヲちゃんに名前を呼んでもらえるなんて!」
「っ!!」
「あっ!」
思いがけないカナヲの言葉に紗雪は興奮して立ち上がった。大きくなった声にカナヲが驚いて逃げていく。紗雪は頭をかいた。
(しまった、つい)
喜び過ぎてしまった。あちゃーと肩を落とす紗雪に胡蝶が声をかけた。
「大丈夫ですよ。少し驚いただけですから」
「胡蝶さん、おはようございます。すいません、気を付けていたんですが」
カナヲのような子に突然の大声はあまり良いものではない。紗雪が益々肩を落とすと胡蝶が笑った。
「あの子ももう鬼殺隊士です。紗雪さんの大声ぐらいで怯んでいては隊士は務まりませんよ」
「はい…」
胡蝶の言葉に紗雪は苦い笑みを浮かべた。今回の選別、本当は紗雪も参加したかったのだが煉獄の許しが出なかったのだ。胡蝶もそれを思い出したのか紗雪に尋ねる。
「煉獄さんから選別への参加を認められなかったと聞きましたが本当ですか?」
「はい。師範からすればまだまだに見えるのは仕方ないんですけど…」
玖ノ型は流石に使えないが他の型は一通り使えるようになった。それでも煉獄が首を縦に振らないと言うことは玖ノ型まで覚えなければいけないのかもしれない。
(先が長い…)
思わずテンションも下がろうと言うものだ。額に手を当て苦悩してしまった紗雪を見ながら胡蝶は内心首を傾げていた。
(今の紗雪さんなら最終選別を十分通過できるでしょうに煉獄さんったら)
無自覚な執着というものは困ったものである。しかし紗雪ぐらいの実力がある者を隊士にしないのは正直勿体無い。本人だってやる気になっているのだ。
「今度お会いした時に私から煉獄さんに口添えしておきますね。紗雪さんなら十分選別への参加資格があると思いますよ」
胡蝶の申し出に紗雪はパッと笑顔になると頭を下げた。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「いえいえ。では今日も翻訳お願いしますね」
一体どんな理屈で説得してやろうかとほくそ笑む胡蝶だった。
「………こんにちは」
蝶屋敷を訪れていた紗雪は廊下でばったりカナヲに出会った。にっこり笑って挨拶すればカナヲは暫くの沈黙の後挨拶を返してくれた。
「最終選別通過おめでとうございます」
カナヲが隊服を着ているのを認め紗雪は頭を下げた。大汗をかき出したカナヲはお礼を言おうと言葉を振り絞る。紗雪は床に膝をつくとカナヲより視線を低くしてそれを待った。
「…ありがと、う」
「はい。やっぱりカナヲちゃんには先を越されてしまいましたね。勿論カナヲちゃんの方が継子としても先輩なので当然と言えば当然ですが」
それでも自分より小さな子が隊服を着ていると自分も頑張らなければと思う。と言うよりこの子が隊服を着なくても済む世の中になって欲しい。紗雪はカナヲの手をそっと取った。
「私も師範に最終選別に行く許可を早くもらえるよう頑張ります。勝手ながらカナヲちゃんを目標に頑張らせてください」
「………」
カナヲは自分の手を優しく握る紗雪に耳まで赤くなった。碌に喋らない子供の自分に敬意を持って接してくれるこの人に応えたい。
「あ、の……頑、張って……椎名、も」
「…ありがとうございます!カナヲちゃんに名前を呼んでもらえるなんて!」
「っ!!」
「あっ!」
思いがけないカナヲの言葉に紗雪は興奮して立ち上がった。大きくなった声にカナヲが驚いて逃げていく。紗雪は頭をかいた。
(しまった、つい)
喜び過ぎてしまった。あちゃーと肩を落とす紗雪に胡蝶が声をかけた。
「大丈夫ですよ。少し驚いただけですから」
「胡蝶さん、おはようございます。すいません、気を付けていたんですが」
カナヲのような子に突然の大声はあまり良いものではない。紗雪が益々肩を落とすと胡蝶が笑った。
「あの子ももう鬼殺隊士です。紗雪さんの大声ぐらいで怯んでいては隊士は務まりませんよ」
「はい…」
胡蝶の言葉に紗雪は苦い笑みを浮かべた。今回の選別、本当は紗雪も参加したかったのだが煉獄の許しが出なかったのだ。胡蝶もそれを思い出したのか紗雪に尋ねる。
「煉獄さんから選別への参加を認められなかったと聞きましたが本当ですか?」
「はい。師範からすればまだまだに見えるのは仕方ないんですけど…」
玖ノ型は流石に使えないが他の型は一通り使えるようになった。それでも煉獄が首を縦に振らないと言うことは玖ノ型まで覚えなければいけないのかもしれない。
(先が長い…)
思わずテンションも下がろうと言うものだ。額に手を当て苦悩してしまった紗雪を見ながら胡蝶は内心首を傾げていた。
(今の紗雪さんなら最終選別を十分通過できるでしょうに煉獄さんったら)
無自覚な執着というものは困ったものである。しかし紗雪ぐらいの実力がある者を隊士にしないのは正直勿体無い。本人だってやる気になっているのだ。
「今度お会いした時に私から煉獄さんに口添えしておきますね。紗雪さんなら十分選別への参加資格があると思いますよ」
胡蝶の申し出に紗雪はパッと笑顔になると頭を下げた。
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「いえいえ。では今日も翻訳お願いしますね」
一体どんな理屈で説得してやろうかとほくそ笑む胡蝶だった。