短編
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「………」
「………」
煉獄と紗雪は向かい合って座っていた。蝶屋敷で検診を受け、1日の休養を申し付けられた後の事だ。先程まで紗雪に説教していた宇髄は言うべきことは言い終えたのか既に帰宅していた。畳に手をつき紗雪が深々と頭を下げる。
「師範、本当に色々と申し訳ありませんでした」
「何もかも一括りだな!」
煉獄の言葉に紗雪は眉を下げた。確かにまとめ過ぎてはいるが紗雪にしたら何もかもが申し訳なくて仕方がない。血気術から守れなかった事も、早く煉獄達と合流できなかった事も、操られた事もその中で呼び捨てにした事も全てあり得ない。紗雪がなんと言ったものかと悩んでいると煉獄が真剣な眼差しを向けた。
「紗雪!俺が君に怒っている理由はただ一つだ!」
「一つ…」
「君の命を軽んじることは俺が許さない!」
「………っ」
紗雪は小さく息を呑むと手を固く握りしめた。以前煉獄に同じことを言われた時はそんなつもりは無いとハッキリ言ったのにいつの間にか自分の命を捨てる前提でいた。先程まで宇髄にコテンパンに叱られていたと言うのにそれでもまだ分かっていなかった。
「申し訳、ございません…」
声が震えそうになるのをなんとか飲み込むと紗雪は再び頭を下げた。自身の不甲斐無さが辛い。
「命を賭ける事と捨て身になることは違う。君なら分かるはずだ」
「はい」
真っ直ぐ見つめ返してくる視線に煉獄は満足気に頷いた。痛みを飲み込んだその先の強さは煉獄自身もよく知っている。その辛さや苦しさと共に。
「君なら大丈夫だ!君なら出来る!!」
「…自信と自負を持て、ですね」
「うむ!」
まだ歪ながらようやく笑った紗雪に煉獄は内心胸を撫で下ろした。目を覚ましてからずっと感情のない目をしていて心配で堪らなかった。
「…あれが君の世界の一旦なのだな」
だからつい気が緩んで言わなくていい事が口をついて出た。出てしまってから慌てる。
(いかん。自分の記憶を見られて愉快な者など居ないだろう)
しかし口から出てしまった言葉は巻き戻せない。煉獄が謝ろうとするより先に紗雪が口を開いた。
「見慣れないものばかりで驚かれたでしょう」
「すまん。不用意だった。気を悪くしたろう」
「ん?」
「うん?」
噛み合わない会話に顔を見合わせると首を傾げる。紗雪が思わず吹き出した。
「血気術の所為です。鬼が悪いです。それに特殊部隊の頃の記憶は懐かしいだけで知られても見られても何ともありません」
「そうか。…君の話を聞くだけよりも不思議なものが沢山あったな」
時折紗雪から聞く令和と言う時代の話。これまでは想像したくとも思い描くことさえ出来なかったが、これからは僅かではあるが理解してやれると思うと嬉しく思う。煉獄は表情を和らげると快活に笑った。
「それに昔の君の砕けた対応もなかなか新鮮で良かった!」
「そこは忘れませんか!?と言うか忘れましょう!?」
「無理だな!」
無理かー。紗雪はガックリと肩を落とすと呟いた。寧ろ率先して忘れて欲しい。落ち込む紗雪に煉獄はニッコリ微笑んだ。
「どうしても忘れて欲しいなら作るのがくっそ面倒くさいビーフシチューとやらをご馳走してくれ!」
「それ絶対忘れる気ないやつ!!」
うわぁぁぁ…と頭を抱える紗雪は後日、煉獄ばかりか宇髄や胡蝶、炭治郎達にまでビーフシチューを振る舞う事になるのだった。
「しっかしアイツら、ホントにさっさとどうにかなんないのかね」
音屋敷に帰った宇髄は妻達と食事をしながらぼやいた。何のことかと目を瞬く雛鶴達を他所に盃を傾ける。
(精神世界で大事なものを仕舞ってある場所の鍵を託すとか…アイツ煉獄の事どんだけ派手に信頼してんだよ)
最早心の内側を明け渡しているのと同じなのでは無いかとさえ思う。
「はー、やだやだ。地味に口出しもできねぇしホントなんとかなりやがれ」
どうやら意味を察したらしい雛鶴とまきをに須磨の問い掛ける声が賑やかに響く。その明るい妻達の声に宇髄のぼやきはかき消され、やがて本人の頭からも消えていった。
「………」
煉獄と紗雪は向かい合って座っていた。蝶屋敷で検診を受け、1日の休養を申し付けられた後の事だ。先程まで紗雪に説教していた宇髄は言うべきことは言い終えたのか既に帰宅していた。畳に手をつき紗雪が深々と頭を下げる。
「師範、本当に色々と申し訳ありませんでした」
「何もかも一括りだな!」
煉獄の言葉に紗雪は眉を下げた。確かにまとめ過ぎてはいるが紗雪にしたら何もかもが申し訳なくて仕方がない。血気術から守れなかった事も、早く煉獄達と合流できなかった事も、操られた事もその中で呼び捨てにした事も全てあり得ない。紗雪がなんと言ったものかと悩んでいると煉獄が真剣な眼差しを向けた。
「紗雪!俺が君に怒っている理由はただ一つだ!」
「一つ…」
「君の命を軽んじることは俺が許さない!」
「………っ」
紗雪は小さく息を呑むと手を固く握りしめた。以前煉獄に同じことを言われた時はそんなつもりは無いとハッキリ言ったのにいつの間にか自分の命を捨てる前提でいた。先程まで宇髄にコテンパンに叱られていたと言うのにそれでもまだ分かっていなかった。
「申し訳、ございません…」
声が震えそうになるのをなんとか飲み込むと紗雪は再び頭を下げた。自身の不甲斐無さが辛い。
「命を賭ける事と捨て身になることは違う。君なら分かるはずだ」
「はい」
真っ直ぐ見つめ返してくる視線に煉獄は満足気に頷いた。痛みを飲み込んだその先の強さは煉獄自身もよく知っている。その辛さや苦しさと共に。
「君なら大丈夫だ!君なら出来る!!」
「…自信と自負を持て、ですね」
「うむ!」
まだ歪ながらようやく笑った紗雪に煉獄は内心胸を撫で下ろした。目を覚ましてからずっと感情のない目をしていて心配で堪らなかった。
「…あれが君の世界の一旦なのだな」
だからつい気が緩んで言わなくていい事が口をついて出た。出てしまってから慌てる。
(いかん。自分の記憶を見られて愉快な者など居ないだろう)
しかし口から出てしまった言葉は巻き戻せない。煉獄が謝ろうとするより先に紗雪が口を開いた。
「見慣れないものばかりで驚かれたでしょう」
「すまん。不用意だった。気を悪くしたろう」
「ん?」
「うん?」
噛み合わない会話に顔を見合わせると首を傾げる。紗雪が思わず吹き出した。
「血気術の所為です。鬼が悪いです。それに特殊部隊の頃の記憶は懐かしいだけで知られても見られても何ともありません」
「そうか。…君の話を聞くだけよりも不思議なものが沢山あったな」
時折紗雪から聞く令和と言う時代の話。これまでは想像したくとも思い描くことさえ出来なかったが、これからは僅かではあるが理解してやれると思うと嬉しく思う。煉獄は表情を和らげると快活に笑った。
「それに昔の君の砕けた対応もなかなか新鮮で良かった!」
「そこは忘れませんか!?と言うか忘れましょう!?」
「無理だな!」
無理かー。紗雪はガックリと肩を落とすと呟いた。寧ろ率先して忘れて欲しい。落ち込む紗雪に煉獄はニッコリ微笑んだ。
「どうしても忘れて欲しいなら作るのがくっそ面倒くさいビーフシチューとやらをご馳走してくれ!」
「それ絶対忘れる気ないやつ!!」
うわぁぁぁ…と頭を抱える紗雪は後日、煉獄ばかりか宇髄や胡蝶、炭治郎達にまでビーフシチューを振る舞う事になるのだった。
「しっかしアイツら、ホントにさっさとどうにかなんないのかね」
音屋敷に帰った宇髄は妻達と食事をしながらぼやいた。何のことかと目を瞬く雛鶴達を他所に盃を傾ける。
(精神世界で大事なものを仕舞ってある場所の鍵を託すとか…アイツ煉獄の事どんだけ派手に信頼してんだよ)
最早心の内側を明け渡しているのと同じなのでは無いかとさえ思う。
「はー、やだやだ。地味に口出しもできねぇしホントなんとかなりやがれ」
どうやら意味を察したらしい雛鶴とまきをに須磨の問い掛ける声が賑やかに響く。その明るい妻達の声に宇髄のぼやきはかき消され、やがて本人の頭からも消えていった。