短編
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辺りに広がった鬼の気配に宇髄は男子更衣室に走った。不思議と暗闇なのに目が効く。
「奥から三列目!左から六!!」
目当てのロッカーを開ければ煉獄と自分の隊服がかかっていた。
「んだよそりゃ!紗雪のやつマジでド派手に大説教だからな!」
隊服を引っ掴んで踵を返せば迷彩柄のつなぎは消えていて宇髄はいつもの姿になっていた。
(お前の隊服がないってのはどういう意味だ!)
ここは紗雪の記憶の中、言い換えれば紗雪の心の中だ。隊服も日輪刀もいわば戦う気概を示している。
(頼むぜ煉獄。お前の継子を守ってやってくれよ)
一方煉獄は何故か厨房の片隅に置かれたロッカーに鍵を差し込んだ。ガチン!と鍵の外れる音がして中から日輪刀を取り出す。気付けばメイファは消えていて紗雪が背を向けただ立ち尽くしていた。
「紗雪!鬼がくるぞ!!」
刀を抜いて周囲を警戒しながら声をかけるが紗雪は動かない。ふひっ…と人を不快にさせる笑い声が聞こえて紗雪の肩が大きく震えた。ぺたりぺたりと湿った足音が近づいてくる。
「時間はかかったが…その鬼狩りはもう俺に刀はむけられねぇ」
現れたのは腹周りのでっぷりとした汚らしい男だった。紗雪を庇うように立ちはだかった煉獄が眉をひそめる。
「解せないって顔だなぁ柱!本人に聞いてみろよ!こんな汚い男を心の奥深くに厳重に仕舞いこんでた理由ってのをさぁ!!」
見た目に反し素早い動きで攻撃してきた鬼に煉獄は紗雪の横まで飛び退った。ちらりと紗雪を見やれば顔色を失っていて煉獄は目を見開いた。
「どうした紗雪!しっかりしろ!君の日輪刀はどうした!!」
「も…しわけ、あり、ません……」
カタカタと震える手を握りこんで紗雪は何とか言葉を絞り出した。鬼が後ろにいるのは分かっているが振り返る事さえ出来ない。そのあまりの様子に煉獄が驚いた隙を突き鬼の爪が襲い掛かる。
「させるかよ!!」
飛び出してきた宇髄がロッカーから取り出した日輪刀で鬼の腕を切り落とした。煉獄に隊服を押し付けると鬼に切りかかる。
「そっちは任せたぜ!テメェの相手は俺だ!」
「ふへへへ!無理無駄無能ぅぅぅー!」
「なんか腹立つなコイツ!」
鬼と戦う宇髄を背に隊服姿となった煉獄は紗雪を見つめた。青ざめたまま呼吸も乱れてままならなくなっている。煉獄がじっと紗雪を見ていると、視線を合わせないままで紗雪が口を開いた。
「申し訳、ありません…なんとか、内側に、入れないようにと…したのですが…」
防ぎきれなかった。事もあろうに鬼は紗雪の恐怖の根源である誘拐犯の記憶と混じり合ったのだ。
紗雪は苦しそうに眉を寄せると非常口の表示があるドアを指差した。暗い中で仄かな緑の光を放っている。
「あそこから外に、出られます…お二人はあそこから…」
「紗雪!」
二人だけで逃げろという紗雪の言葉を煉獄は遮った。責めるでもなく淡々と言葉を紡ぐ。
「宇髄が鬼と戦っている!」
「俺達は鬼殺隊だ!敵前逃亡するつもりはない!!」
「そして君も鬼殺隊士だ!」
煉獄がゆっくりと腕を上げる。手の中に生まれた炎が瞬く間に燃え上がり中から紗雪の日輪刀が現れる。
「日輪刀を待て!敵と戦え!!」
「………」
紗雪の目が漸く煉獄を捕らえた。弱々しく揺らぐそれに煉獄は紗雪を力強く抱き締めた。抱きしめる腕に想いを込める。
「君なら大丈夫だ!君は強い!!」
目を見開く紗雪の両腕を掴むと正面から視線を合わせる。その真っ直ぐで力強い目に紗雪の心は震えた。
「自信と自負を持て!君はこの煉獄杏寿郎が選んだ継子だ!!」
いつだって自分を奮い立たせるのはこの声だと紗雪は思った。恐怖を吹き飛ばし安心と戦う心をくれる。
「心を燃やせ!紗雪!!」
「!」
紗雪は煉獄の差し出した日輪刀を掴んだ。途端に上がった炎が隊服へと姿を変える。腰に刀を挿す紗雪の横に宇髄が降って来た。
「派手に待たせすぎだぞ!」
「申し訳ありません」
「つーかアイツなんだよ!派手に気色悪いな!!」
「そうですね。一年間私を誘拐していた相手なので良い印象もありませんしその所為だと思います」
さらりと言ってのけた紗雪に宇髄はしばらく固まった後、勢いよく振り返った。
「なんっじゃそりゃ!!」
「思い出したくない相手なので普段は間違っても思い出さないようしていたのですが…」
暴かれてしまいこのザマだ。ため息をつく紗雪の背中を煉獄が力強く叩いた。
「では良い機会だ!綺麗さっぱり切り捨てる事としよう!!」
「露払いは俺らに任せろ!お前はあの鬼の首を派手に切り飛ばせ!」
言うなり煉獄と宇髄が鬼に斬りかかる。鬼の口元に嫌な笑みが浮かんだ。
「馬鹿め!!」
地面に腕を突き刺すと、空間のあらゆる場所から無数の腕が突き出す。襲いくる腕を煉獄と宇髄は容赦なく斬り捨てた。
「紗雪!」
「派手にぶちかませっ!」
ーー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ーー
パァンッ!と軽い音がして鬼の首が宙に舞う。瞬間鬼の体から溢れ出したのは監禁されていた頃の記憶で、見たくもないそれらに身を固くする紗雪の前で記憶達は粉々に爆散し燃え上がった。
「………は?」
「最後まで不快な血気術だったな!」
「ったく!やる事が地味にウゼェわ」
(対応が速すぎやしませんかね!?)
これが柱かと思うと畏敬の念が湧く。周囲を覆っていた闇が明るくなっていく。眩しすぎて目が開けられないほどだ。
「どうやら目覚めの時間のようだ!」
「一件落着って事だな」
白く霞んでいく視界の中で懐かしい仲間達が笑っている気がした。
「奥から三列目!左から六!!」
目当てのロッカーを開ければ煉獄と自分の隊服がかかっていた。
「んだよそりゃ!紗雪のやつマジでド派手に大説教だからな!」
隊服を引っ掴んで踵を返せば迷彩柄のつなぎは消えていて宇髄はいつもの姿になっていた。
(お前の隊服がないってのはどういう意味だ!)
ここは紗雪の記憶の中、言い換えれば紗雪の心の中だ。隊服も日輪刀もいわば戦う気概を示している。
(頼むぜ煉獄。お前の継子を守ってやってくれよ)
一方煉獄は何故か厨房の片隅に置かれたロッカーに鍵を差し込んだ。ガチン!と鍵の外れる音がして中から日輪刀を取り出す。気付けばメイファは消えていて紗雪が背を向けただ立ち尽くしていた。
「紗雪!鬼がくるぞ!!」
刀を抜いて周囲を警戒しながら声をかけるが紗雪は動かない。ふひっ…と人を不快にさせる笑い声が聞こえて紗雪の肩が大きく震えた。ぺたりぺたりと湿った足音が近づいてくる。
「時間はかかったが…その鬼狩りはもう俺に刀はむけられねぇ」
現れたのは腹周りのでっぷりとした汚らしい男だった。紗雪を庇うように立ちはだかった煉獄が眉をひそめる。
「解せないって顔だなぁ柱!本人に聞いてみろよ!こんな汚い男を心の奥深くに厳重に仕舞いこんでた理由ってのをさぁ!!」
見た目に反し素早い動きで攻撃してきた鬼に煉獄は紗雪の横まで飛び退った。ちらりと紗雪を見やれば顔色を失っていて煉獄は目を見開いた。
「どうした紗雪!しっかりしろ!君の日輪刀はどうした!!」
「も…しわけ、あり、ません……」
カタカタと震える手を握りこんで紗雪は何とか言葉を絞り出した。鬼が後ろにいるのは分かっているが振り返る事さえ出来ない。そのあまりの様子に煉獄が驚いた隙を突き鬼の爪が襲い掛かる。
「させるかよ!!」
飛び出してきた宇髄がロッカーから取り出した日輪刀で鬼の腕を切り落とした。煉獄に隊服を押し付けると鬼に切りかかる。
「そっちは任せたぜ!テメェの相手は俺だ!」
「ふへへへ!無理無駄無能ぅぅぅー!」
「なんか腹立つなコイツ!」
鬼と戦う宇髄を背に隊服姿となった煉獄は紗雪を見つめた。青ざめたまま呼吸も乱れてままならなくなっている。煉獄がじっと紗雪を見ていると、視線を合わせないままで紗雪が口を開いた。
「申し訳、ありません…なんとか、内側に、入れないようにと…したのですが…」
防ぎきれなかった。事もあろうに鬼は紗雪の恐怖の根源である誘拐犯の記憶と混じり合ったのだ。
紗雪は苦しそうに眉を寄せると非常口の表示があるドアを指差した。暗い中で仄かな緑の光を放っている。
「あそこから外に、出られます…お二人はあそこから…」
「紗雪!」
二人だけで逃げろという紗雪の言葉を煉獄は遮った。責めるでもなく淡々と言葉を紡ぐ。
「宇髄が鬼と戦っている!」
「俺達は鬼殺隊だ!敵前逃亡するつもりはない!!」
「そして君も鬼殺隊士だ!」
煉獄がゆっくりと腕を上げる。手の中に生まれた炎が瞬く間に燃え上がり中から紗雪の日輪刀が現れる。
「日輪刀を待て!敵と戦え!!」
「………」
紗雪の目が漸く煉獄を捕らえた。弱々しく揺らぐそれに煉獄は紗雪を力強く抱き締めた。抱きしめる腕に想いを込める。
「君なら大丈夫だ!君は強い!!」
目を見開く紗雪の両腕を掴むと正面から視線を合わせる。その真っ直ぐで力強い目に紗雪の心は震えた。
「自信と自負を持て!君はこの煉獄杏寿郎が選んだ継子だ!!」
いつだって自分を奮い立たせるのはこの声だと紗雪は思った。恐怖を吹き飛ばし安心と戦う心をくれる。
「心を燃やせ!紗雪!!」
「!」
紗雪は煉獄の差し出した日輪刀を掴んだ。途端に上がった炎が隊服へと姿を変える。腰に刀を挿す紗雪の横に宇髄が降って来た。
「派手に待たせすぎだぞ!」
「申し訳ありません」
「つーかアイツなんだよ!派手に気色悪いな!!」
「そうですね。一年間私を誘拐していた相手なので良い印象もありませんしその所為だと思います」
さらりと言ってのけた紗雪に宇髄はしばらく固まった後、勢いよく振り返った。
「なんっじゃそりゃ!!」
「思い出したくない相手なので普段は間違っても思い出さないようしていたのですが…」
暴かれてしまいこのザマだ。ため息をつく紗雪の背中を煉獄が力強く叩いた。
「では良い機会だ!綺麗さっぱり切り捨てる事としよう!!」
「露払いは俺らに任せろ!お前はあの鬼の首を派手に切り飛ばせ!」
言うなり煉獄と宇髄が鬼に斬りかかる。鬼の口元に嫌な笑みが浮かんだ。
「馬鹿め!!」
地面に腕を突き刺すと、空間のあらゆる場所から無数の腕が突き出す。襲いくる腕を煉獄と宇髄は容赦なく斬り捨てた。
「紗雪!」
「派手にぶちかませっ!」
ーー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ーー
パァンッ!と軽い音がして鬼の首が宙に舞う。瞬間鬼の体から溢れ出したのは監禁されていた頃の記憶で、見たくもないそれらに身を固くする紗雪の前で記憶達は粉々に爆散し燃え上がった。
「………は?」
「最後まで不快な血気術だったな!」
「ったく!やる事が地味にウゼェわ」
(対応が速すぎやしませんかね!?)
これが柱かと思うと畏敬の念が湧く。周囲を覆っていた闇が明るくなっていく。眩しすぎて目が開けられないほどだ。
「どうやら目覚めの時間のようだ!」
「一件落着って事だな」
白く霞んでいく視界の中で懐かしい仲間達が笑っている気がした。