本編
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「君は恐ろしく流暢に英語を話すのだな!」
折角だからと昼にコロッケを食べた後、もう少しで蝶屋敷と言うところで煉獄が唐突にそう言った。
「そうですね。私の部隊には異人もいましたし、日常的に使ってました」
普段から日本語を使っていると戦闘時に国籍不明でトンズラがしにくいのだ。
「他の国の言葉も?」
「ドイツ語をちょっっっとだけ」
ちょっとに力を込めると煉獄がはっはっは!と声を上げて笑った。
「紗雪は謙虚だな!俺なんぞ日本語しかわからん!!」
大正時代時代ならさもありなん。謙虚なのは煉獄の方だろうと紗雪は思った。
「しかしそれは胡蝶が喜びそうだな!胡蝶!邪魔するぞ!!」
ずかずか屋敷内に入って行く煉獄に紗雪は慌てて靴を脱ぐと続いた。
「ちょ、師範!良いんですか?人の家に勝手に…」
「大丈夫だ!胡蝶!来たぞ!!」
「聞こえてますよー。怪我人がいるのでもう少し小さい声でお願いしますね煉獄さん」
真後ろに立たれて紗雪は思わず煉獄の羽織を掴んだ。柱は皆んな背後を取るのが好きなんだろうか。心臓に悪いので是非やめて欲しい所である。
「む、そうか。すまん」
(あ、ちゃんとボリューム下がった)
胡蝶はニッコリ微笑むと煉獄の羽織を掴む紗雪を見た。
(あらあら)
胡蝶は内心笑みを深めた。どうやら紗雪は随分煉獄に大事にされているようだ。
「突然お呼び立てしてすいません。紗雪さんは医薬品にお詳しい様子でしたので少しお話を伺いたかったんです」
「そういう事でしたか。どこまでお役に立てるか分かりませんが」
自分が連れてこられた理由がはっきりして紗雪は納得すると頷いた。胡蝶が煉獄に告げる。
「お時間いただきますので紗雪さんは今日はこちらでお預かりしますね。明日お帰ししますので」
「あ、では千寿郎さんに連ら…」
「いや!その必要はない!夕方迎えに来る!!用が済まないのならばまた来れば良かろう!!」
(あらあらあら)
胡蝶は今度ははっきりと笑みを深めた。わざわざ迎えに来るなんてちょっと過保護ではないだろうか。
「それに寄り道しながらここまで来たからな!紗雪はまだ道がわからないだろう!!」
「艶に送らせますよ?」
少しからかってみようと胡蝶は言ってみたが、煉獄には通用しなかった。
「急な連絡があった時に困るだろう!そこまでする必要はない!!」
(煉獄さんが迎えに来るのも大概ですけど)
胡蝶は言葉を飲み込むと煉獄と紗雪を書棚に案内した。数冊の本を机の上に置く。
「紗雪さんが持っていた医薬品の成分に関し調べているのですが、まだこのあたりの本は翻訳が済んでいないのです。紗雪さん読む事は出来ませんか?」
「紗雪ならば大丈夫だ!!」
「少し黙りましょうか?煉獄さん」
「うむ!」
胡蝶に秒速で黙らされ煉獄は追い出されてしまった。トボトボ去って行く煉獄の後ろ姿に苦笑すると紗雪は本をめくる。内容が専門的すぎて目眩がした。
「すいません、読めますけど理解できないです」
「読めるだけで充分です。紙とペンをお渡ししますから翻訳をお願いして良いですか?」
「はい」
理解して下さいとか無茶振りされずに済んで紗雪は内心ほっとした。胡蝶から紙を受け取るとペンを走らせる。髪が視界に入ってきて紗雪はそれを耳にかけた。
「髪紐をお貸ししましょうか?」
胡蝶の提案に紗雪はそう言えばと思い出した。
「いえ、先程師範が買ってくださった物があります」
小さな包み紙を開けると中から色とりどりの髪紐が出てくる。紗雪は目を丸くした。
(5本も入ってる!あ、これ今の服でも良さそう)
アイボリーと緑、黒の髪紐を手に取ると髪を一つにまとめる。他の物は大事に包み紙の中に戻した。
(あらあらあらあら)
胡蝶はニヤつく口元を手で隠した。
(髪紐を女性に送るのは周囲と女性本人への自分の存在の主張…でしたかしら?ずっと一緒にいたいなんてものもありましたね)
紗雪は知らないようだが、煉獄の中でこの行動はどう折り合いがついているのだろう。是非とも聞いてみたいところである。
(そんな野暮はしませんけどね)
煉獄自身が無意識の可能性もある。それはそれで面白そうだが胡蝶は口を噤む方を選んだ。
「では私は仕事に戻りますので、宜しくお願いしますね」
「はい。わかりました」
立ち去る胡蝶を見送ると紗雪は気合を入れて作業を始めたのだった。
折角だからと昼にコロッケを食べた後、もう少しで蝶屋敷と言うところで煉獄が唐突にそう言った。
「そうですね。私の部隊には異人もいましたし、日常的に使ってました」
普段から日本語を使っていると戦闘時に国籍不明でトンズラがしにくいのだ。
「他の国の言葉も?」
「ドイツ語をちょっっっとだけ」
ちょっとに力を込めると煉獄がはっはっは!と声を上げて笑った。
「紗雪は謙虚だな!俺なんぞ日本語しかわからん!!」
大正時代時代ならさもありなん。謙虚なのは煉獄の方だろうと紗雪は思った。
「しかしそれは胡蝶が喜びそうだな!胡蝶!邪魔するぞ!!」
ずかずか屋敷内に入って行く煉獄に紗雪は慌てて靴を脱ぐと続いた。
「ちょ、師範!良いんですか?人の家に勝手に…」
「大丈夫だ!胡蝶!来たぞ!!」
「聞こえてますよー。怪我人がいるのでもう少し小さい声でお願いしますね煉獄さん」
真後ろに立たれて紗雪は思わず煉獄の羽織を掴んだ。柱は皆んな背後を取るのが好きなんだろうか。心臓に悪いので是非やめて欲しい所である。
「む、そうか。すまん」
(あ、ちゃんとボリューム下がった)
胡蝶はニッコリ微笑むと煉獄の羽織を掴む紗雪を見た。
(あらあら)
胡蝶は内心笑みを深めた。どうやら紗雪は随分煉獄に大事にされているようだ。
「突然お呼び立てしてすいません。紗雪さんは医薬品にお詳しい様子でしたので少しお話を伺いたかったんです」
「そういう事でしたか。どこまでお役に立てるか分かりませんが」
自分が連れてこられた理由がはっきりして紗雪は納得すると頷いた。胡蝶が煉獄に告げる。
「お時間いただきますので紗雪さんは今日はこちらでお預かりしますね。明日お帰ししますので」
「あ、では千寿郎さんに連ら…」
「いや!その必要はない!夕方迎えに来る!!用が済まないのならばまた来れば良かろう!!」
(あらあらあら)
胡蝶は今度ははっきりと笑みを深めた。わざわざ迎えに来るなんてちょっと過保護ではないだろうか。
「それに寄り道しながらここまで来たからな!紗雪はまだ道がわからないだろう!!」
「艶に送らせますよ?」
少しからかってみようと胡蝶は言ってみたが、煉獄には通用しなかった。
「急な連絡があった時に困るだろう!そこまでする必要はない!!」
(煉獄さんが迎えに来るのも大概ですけど)
胡蝶は言葉を飲み込むと煉獄と紗雪を書棚に案内した。数冊の本を机の上に置く。
「紗雪さんが持っていた医薬品の成分に関し調べているのですが、まだこのあたりの本は翻訳が済んでいないのです。紗雪さん読む事は出来ませんか?」
「紗雪ならば大丈夫だ!!」
「少し黙りましょうか?煉獄さん」
「うむ!」
胡蝶に秒速で黙らされ煉獄は追い出されてしまった。トボトボ去って行く煉獄の後ろ姿に苦笑すると紗雪は本をめくる。内容が専門的すぎて目眩がした。
「すいません、読めますけど理解できないです」
「読めるだけで充分です。紙とペンをお渡ししますから翻訳をお願いして良いですか?」
「はい」
理解して下さいとか無茶振りされずに済んで紗雪は内心ほっとした。胡蝶から紙を受け取るとペンを走らせる。髪が視界に入ってきて紗雪はそれを耳にかけた。
「髪紐をお貸ししましょうか?」
胡蝶の提案に紗雪はそう言えばと思い出した。
「いえ、先程師範が買ってくださった物があります」
小さな包み紙を開けると中から色とりどりの髪紐が出てくる。紗雪は目を丸くした。
(5本も入ってる!あ、これ今の服でも良さそう)
アイボリーと緑、黒の髪紐を手に取ると髪を一つにまとめる。他の物は大事に包み紙の中に戻した。
(あらあらあらあら)
胡蝶はニヤつく口元を手で隠した。
(髪紐を女性に送るのは周囲と女性本人への自分の存在の主張…でしたかしら?ずっと一緒にいたいなんてものもありましたね)
紗雪は知らないようだが、煉獄の中でこの行動はどう折り合いがついているのだろう。是非とも聞いてみたいところである。
(そんな野暮はしませんけどね)
煉獄自身が無意識の可能性もある。それはそれで面白そうだが胡蝶は口を噤む方を選んだ。
「では私は仕事に戻りますので、宜しくお願いしますね」
「はい。わかりました」
立ち去る胡蝶を見送ると紗雪は気合を入れて作業を始めたのだった。