短編
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「煉獄さん!お誕生日おめでとうございます!!」
今日のこのよき日に推しの誕生日を祝える幸せよ!煉獄家を訪れた私は満面の笑みで両手 を挙げた。痣の問題は莉奈ちゃん(作者様)の万能薬で解決し、柱はそれぞれの幸せを見つけた平和な毎日。この上、推しの誕生日を直接祝えるとかどんなご褒美なの!?
「誕生日おめでとう…とは?」
しかしそんな浮かれた私とは真逆に煉獄さんは戸惑いを前面に押し出していた。隣の千寿郎君も。それもそうよね。この時代は自分の誕生日にお祝いする習慣はまだ無いものね。
「今日は煉獄さんが生まれた日ですよね?」
「あぁ、確かにそうだな!」
そんな、そう言えばそうだったなみたいな…煉獄さんの誕生日は前世では一大イベントだったんですよ!?もっと自覚を持って!!…って流石に無理よね。
「もう少し先の話になりますが、日本でも本人の生まれた日をお祝いするようになるんです!ですからこれをどうぞ!」
差し出したのはコロンとしたダルマの根付。無病息災の縁起物である。
「ありがとう。いい品だな」
「えぇ、出入りの職人にお願いしましたの」
煉獄さんはダルマを一撫ですると、帯に差し込んで見せてくれた。千寿郎君が楽しそうにダルマを見つめる。
「よくお似合いです兄上」
「ありがとう!千寿郎!!」
兄弟がほのぼのとしているのを見るのは本当に眼福!私が悦に入っていると…あら?千寿郎君がどこかへ行ってしまったわ。どうしたのかしら?
「千寿郎ならば茶を入れに行っただけだ!」
「まぁ、お構いなく。今日はこれをお渡ししたかっただけですから」
長居をするつもりは毛頭ない。お暇しようと腰を上げかけた私の手を煉獄さんが掴んだ。
「!?」
な、な、な…何事!?え?待って待って、推しのサービスが今日も過剰だわ!
「何を考えているかは…まぁ、なんとなく分かるがそれは置いておくとしよう。椎名、誕生日には贈り物をするものなのか?」
「は、はい。煉獄さんに欲しいものを聞くのもありかなとは思ったんですけど…」
ちょっとだけサプライズで煉獄さんを驚かせてみたかったのだ。私がそう告げると煉獄さんはとても嬉しそうに微笑んだ。うっ!心臓に悪いわ!!
「あ、あの…煉獄さん、手を…」
離して欲しい。そう言おうとした私の手を引くと煉獄さんはぐっと距離を縮めてきた。
「…っ!」
「ならば一つ俺の欲しいものをくれないか?」
ちょっと待って。近い!近いわ!!何かしら。今日は私の命日なのかしら?おそらく目の前にあるだろう煉獄さんの顔を見上げる勇気が無くて、私はその形の良い顎とふわふわした髪を見つめた。顔が熱くて心臓の音も酷くてどうしたらいいか分からない。
「聞いてくれるか?椎名」
「あ…わ、たしに出来る事、でしたら…」
この状況でNOと言える猛者がいるなら教えて欲しい。煉獄さんの囁き声って反則っ!身を固くする私に煉獄さんがふっと微笑んだのが分かった。
「そう難しい事ではない。ただこれからは俺の事を名前で呼んで欲しい」
「…名前」
煉獄さんの名前…名前?え?名前で呼ぶの?き、杏寿郎?いやいやいや、呼び捨てはないでしょ。じゃあ杏寿郎さん?杏寿郎さん………杏寿郎さん!?
「そ、そ、そ、そんな畏れ多い!!」
「君は千寿郎の事は名前で呼ぶだろう?」
「それは煉獄さんとお呼びしたら二人とも振り返るからですが!?」
「それでも千寿郎を名で呼ぶならば俺も名で呼んでくれ」
「煉獄さんを名前呼びできるのは奥様になる方の特権で…!」
ハッとして顔を上げるとキョトンとした煉獄さんと目が合った。思わず両手で顔を覆う。
「そうでした!私、婚約者でしたね!」
「ふはっ!」
耐えきれず吹き出す煉獄さんがますます距離を詰めてきてくっ付いてしまいそう。
「漸く自覚してくれて嬉しい。さあ、呼んでくれ椎名」
「うっ…」
やめて耳元で囁かないで。そんなキラキラした期待の目を向けないで。私がそれに弱いの分かっててやってますよね!?
「椎名」
「………き、」
そしてまんまとそれに負けてしまう私は必死に声を振り絞るのだ。
「杏寿郎さ、ん」
「…もう一度」
「杏寿郎さん」
何度も何度も繰り返し名前を呼ぶ私に煉獄さ…杏寿郎さんは嬉しそうに笑ってくれるのだった。
ちなみに、千寿郎君の持ってきてくれたお茶はすっかり冷め切っていて、私の背筋も一緒に冷えた。
今日のこのよき日に推しの誕生日を祝える幸せよ!煉獄家を訪れた私は満面の笑みで
「誕生日おめでとう…とは?」
しかしそんな浮かれた私とは真逆に煉獄さんは戸惑いを前面に押し出していた。隣の千寿郎君も。それもそうよね。この時代は自分の誕生日にお祝いする習慣はまだ無いものね。
「今日は煉獄さんが生まれた日ですよね?」
「あぁ、確かにそうだな!」
そんな、そう言えばそうだったなみたいな…煉獄さんの誕生日は前世では一大イベントだったんですよ!?もっと自覚を持って!!…って流石に無理よね。
「もう少し先の話になりますが、日本でも本人の生まれた日をお祝いするようになるんです!ですからこれをどうぞ!」
差し出したのはコロンとしたダルマの根付。無病息災の縁起物である。
「ありがとう。いい品だな」
「えぇ、出入りの職人にお願いしましたの」
煉獄さんはダルマを一撫ですると、帯に差し込んで見せてくれた。千寿郎君が楽しそうにダルマを見つめる。
「よくお似合いです兄上」
「ありがとう!千寿郎!!」
兄弟がほのぼのとしているのを見るのは本当に眼福!私が悦に入っていると…あら?千寿郎君がどこかへ行ってしまったわ。どうしたのかしら?
「千寿郎ならば茶を入れに行っただけだ!」
「まぁ、お構いなく。今日はこれをお渡ししたかっただけですから」
長居をするつもりは毛頭ない。お暇しようと腰を上げかけた私の手を煉獄さんが掴んだ。
「!?」
な、な、な…何事!?え?待って待って、推しのサービスが今日も過剰だわ!
「何を考えているかは…まぁ、なんとなく分かるがそれは置いておくとしよう。椎名、誕生日には贈り物をするものなのか?」
「は、はい。煉獄さんに欲しいものを聞くのもありかなとは思ったんですけど…」
ちょっとだけサプライズで煉獄さんを驚かせてみたかったのだ。私がそう告げると煉獄さんはとても嬉しそうに微笑んだ。うっ!心臓に悪いわ!!
「あ、あの…煉獄さん、手を…」
離して欲しい。そう言おうとした私の手を引くと煉獄さんはぐっと距離を縮めてきた。
「…っ!」
「ならば一つ俺の欲しいものをくれないか?」
ちょっと待って。近い!近いわ!!何かしら。今日は私の命日なのかしら?おそらく目の前にあるだろう煉獄さんの顔を見上げる勇気が無くて、私はその形の良い顎とふわふわした髪を見つめた。顔が熱くて心臓の音も酷くてどうしたらいいか分からない。
「聞いてくれるか?椎名」
「あ…わ、たしに出来る事、でしたら…」
この状況でNOと言える猛者がいるなら教えて欲しい。煉獄さんの囁き声って反則っ!身を固くする私に煉獄さんがふっと微笑んだのが分かった。
「そう難しい事ではない。ただこれからは俺の事を名前で呼んで欲しい」
「…名前」
煉獄さんの名前…名前?え?名前で呼ぶの?き、杏寿郎?いやいやいや、呼び捨てはないでしょ。じゃあ杏寿郎さん?杏寿郎さん………杏寿郎さん!?
「そ、そ、そ、そんな畏れ多い!!」
「君は千寿郎の事は名前で呼ぶだろう?」
「それは煉獄さんとお呼びしたら二人とも振り返るからですが!?」
「それでも千寿郎を名で呼ぶならば俺も名で呼んでくれ」
「煉獄さんを名前呼びできるのは奥様になる方の特権で…!」
ハッとして顔を上げるとキョトンとした煉獄さんと目が合った。思わず両手で顔を覆う。
「そうでした!私、婚約者でしたね!」
「ふはっ!」
耐えきれず吹き出す煉獄さんがますます距離を詰めてきてくっ付いてしまいそう。
「漸く自覚してくれて嬉しい。さあ、呼んでくれ椎名」
「うっ…」
やめて耳元で囁かないで。そんなキラキラした期待の目を向けないで。私がそれに弱いの分かっててやってますよね!?
「椎名」
「………き、」
そしてまんまとそれに負けてしまう私は必死に声を振り絞るのだ。
「杏寿郎さ、ん」
「…もう一度」
「杏寿郎さん」
何度も何度も繰り返し名前を呼ぶ私に煉獄さ…杏寿郎さんは嬉しそうに笑ってくれるのだった。
ちなみに、千寿郎君の持ってきてくれたお茶はすっかり冷め切っていて、私の背筋も一緒に冷えた。