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「………」
「…………」
「……………」
「落ち着けぇ」
ズビシッと実弥のチョップが椎名の脳天にクリーンヒットした。涙目になって頭をさする椎名にため息をつく。ファミレスの店員が実弥の前に善哉抹茶セット、椎名の前にチーズケーキと紅茶のセットを置いていった。
「ったく、自分で見に行くのが怖いからって玄弥に頼んだのはお前だろうがぁ」
「そうだけどぉ、やっぱり不安しかないよぉ」
「ま、皆んなそんなもんだぁ」
食って待つしかねぇよと実弥は善哉に手をつける。椎名はチーズケーキを突いてみたが、とても喉を通るとは思えなかった。
「それで?」
「?」
「合格してたら煉獄に連絡取るんだろぉ?」
「うん、もちろん」
もはや終盤の追い込みはそれが心の支えだったと言っても過言ではない。頷く椎名に実弥は思いがけないことを言った。
「…別に前世に囚われる事はないんだぞぉ。お前が今世やりたい事をやる事が一番大事なんだぁ。それで煉獄から離れる事になったとしてもなぁ」
椎名はピタリと動きを止めると実弥を見た。後ろの座席でコップをひっくり返した音がやけに響く。
少しの沈黙の後、ふはっと椎名は力の抜けた笑いを漏らした。
「不死川さんは今も昔も変わらず優しいですねぇ。私は助けられてばかりですぅ」
椎名は紅茶を一口飲むと、でも…と続けた。
「杏寿郎さんは私の炎なんですぅ。眩くて目が眩んでしまいそうになるけど…暖かくて離れたくない」
「あの人の傍に居たいんです」
「今も昔も変わりません」
ピロンと通知が届いて話が途切れた。実弥と椎名が競い合うように携帯を覗き込む。
「「………」」
そこには合格発表者名簿の前で泣きながらブイサインを出している玄弥の姿があった。
「えっ?えっ?どゆこと!?って言うかこの写真どうやって?」
ピロンと続いて実弥の携帯がなる。画面に出て来たのは蛇のアイコンと…。
『甘露寺の合格発表を見にきただけなのに手を煩わせるな』
「伊黒だぁ。つーかお前甘露寺と同級生になんのかよぉ」
「…と言う事はぁ」
「合格だぁ!このヤロぉ!!」
実弥は満面の笑みを浮かべると椎名の頭をかき混ぜた。ひゃあ!と椎名が悲鳴を上げる。
「良くやったぞぉ!椎名!!」
「お、お兄ちゃん!首がもげる〜!でもありがとぉ!!」
椎名は玄弥にお礼のメッセージを送ると紅茶を飲み、はぁと息を吐き出した。その頬に上から伸びて来た手が触れる。
「おめでとう、と俺からも言わせてくれ椎名」
「!!」
上を見た椎名は言葉を失った。背もたれに片肘を乗せて杏寿郎が優しく微笑んでいる。記憶を取り戻してからずっとずっと会いたかった最愛の人。椎名は自分の頬に触れる手を両手でギュッと掴んだ。
「会いたかったですぅ、杏寿郎さぁん」
「俺もだ!椎名!!」
太陽のような明るさで笑った杏寿郎は椎名の隣に腰掛けると実弥をその眼力で見た。
「前世に囚われるなと言い出した時は肝が冷えたぞ不死川!」
「まぁ、お前は前から椎名、椎名って煩かったから心配はしてなかったけどよぉ。椎名の方は確認しておかねぇと分かんねぇだろぉ」
「…そこそこ煉獄さん、煉獄さんって言ってた自覚はあるんですけどぉ」
椎名は杏寿郎の腕に両手でしがみついた。杏寿郎が椎名の顎をとると自分の方を向かせる。
「心配ないぞ。それならそれでもう一度振り向かせるだけだ」
「えへへ…杏寿郎さんが言うと説得力有りますねぇ」
二人の世界に入ろうとする杏寿郎と椎名に実弥の血管がブチブチと音を立てた。
「兄貴の前でイチャつくんじゃねぇ!!椎名お前門限制だからなぁ!!」
「横暴ぅ!」
「大丈夫だ不死川!遅くなった時には俺の家に泊める!!」
「余計悪いわぁ!!!」
杏寿郎と椎名の前途はなかなか多難のようである。
「…なんだコイツ」
ちなみに思わせぶりに登場していた不審者は、通りすがりの義勇が撃退していた。
「…………」
「……………」
「落ち着けぇ」
ズビシッと実弥のチョップが椎名の脳天にクリーンヒットした。涙目になって頭をさする椎名にため息をつく。ファミレスの店員が実弥の前に善哉抹茶セット、椎名の前にチーズケーキと紅茶のセットを置いていった。
「ったく、自分で見に行くのが怖いからって玄弥に頼んだのはお前だろうがぁ」
「そうだけどぉ、やっぱり不安しかないよぉ」
「ま、皆んなそんなもんだぁ」
食って待つしかねぇよと実弥は善哉に手をつける。椎名はチーズケーキを突いてみたが、とても喉を通るとは思えなかった。
「それで?」
「?」
「合格してたら煉獄に連絡取るんだろぉ?」
「うん、もちろん」
もはや終盤の追い込みはそれが心の支えだったと言っても過言ではない。頷く椎名に実弥は思いがけないことを言った。
「…別に前世に囚われる事はないんだぞぉ。お前が今世やりたい事をやる事が一番大事なんだぁ。それで煉獄から離れる事になったとしてもなぁ」
椎名はピタリと動きを止めると実弥を見た。後ろの座席でコップをひっくり返した音がやけに響く。
少しの沈黙の後、ふはっと椎名は力の抜けた笑いを漏らした。
「不死川さんは今も昔も変わらず優しいですねぇ。私は助けられてばかりですぅ」
椎名は紅茶を一口飲むと、でも…と続けた。
「杏寿郎さんは私の炎なんですぅ。眩くて目が眩んでしまいそうになるけど…暖かくて離れたくない」
「あの人の傍に居たいんです」
「今も昔も変わりません」
ピロンと通知が届いて話が途切れた。実弥と椎名が競い合うように携帯を覗き込む。
「「………」」
そこには合格発表者名簿の前で泣きながらブイサインを出している玄弥の姿があった。
「えっ?えっ?どゆこと!?って言うかこの写真どうやって?」
ピロンと続いて実弥の携帯がなる。画面に出て来たのは蛇のアイコンと…。
『甘露寺の合格発表を見にきただけなのに手を煩わせるな』
「伊黒だぁ。つーかお前甘露寺と同級生になんのかよぉ」
「…と言う事はぁ」
「合格だぁ!このヤロぉ!!」
実弥は満面の笑みを浮かべると椎名の頭をかき混ぜた。ひゃあ!と椎名が悲鳴を上げる。
「良くやったぞぉ!椎名!!」
「お、お兄ちゃん!首がもげる〜!でもありがとぉ!!」
椎名は玄弥にお礼のメッセージを送ると紅茶を飲み、はぁと息を吐き出した。その頬に上から伸びて来た手が触れる。
「おめでとう、と俺からも言わせてくれ椎名」
「!!」
上を見た椎名は言葉を失った。背もたれに片肘を乗せて杏寿郎が優しく微笑んでいる。記憶を取り戻してからずっとずっと会いたかった最愛の人。椎名は自分の頬に触れる手を両手でギュッと掴んだ。
「会いたかったですぅ、杏寿郎さぁん」
「俺もだ!椎名!!」
太陽のような明るさで笑った杏寿郎は椎名の隣に腰掛けると実弥をその眼力で見た。
「前世に囚われるなと言い出した時は肝が冷えたぞ不死川!」
「まぁ、お前は前から椎名、椎名って煩かったから心配はしてなかったけどよぉ。椎名の方は確認しておかねぇと分かんねぇだろぉ」
「…そこそこ煉獄さん、煉獄さんって言ってた自覚はあるんですけどぉ」
椎名は杏寿郎の腕に両手でしがみついた。杏寿郎が椎名の顎をとると自分の方を向かせる。
「心配ないぞ。それならそれでもう一度振り向かせるだけだ」
「えへへ…杏寿郎さんが言うと説得力有りますねぇ」
二人の世界に入ろうとする杏寿郎と椎名に実弥の血管がブチブチと音を立てた。
「兄貴の前でイチャつくんじゃねぇ!!椎名お前門限制だからなぁ!!」
「横暴ぅ!」
「大丈夫だ不死川!遅くなった時には俺の家に泊める!!」
「余計悪いわぁ!!!」
杏寿郎と椎名の前途はなかなか多難のようである。
「…なんだコイツ」
ちなみに思わせぶりに登場していた不審者は、通りすがりの義勇が撃退していた。