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「………ちっ!」
「………ちっ!」
「兄貴…落ち着きなよ」
10秒に一度舌打ちする実弥に玄弥は困った顔でそう言った。睨まれるかと思ったが、実弥はため息をついただけだ。その視線の先には熱をぶり返して寝込む椎名の姿があった。実弥の額に青筋が浮かぶ。
「煉獄の野郎殺すぅ」
「いやいや!姉ちゃんを連れ戻してくれたでしょ!?」
しかも記憶が戻ったかもしれないと言うおまけ付きだ。実弥ももっと喜ぶかと思ったのだが…。
「この前も言ったろぉ。今は受験の大事な時期なんだ。記憶に振り回されて人生棒に振らせるわけいかねぇ」
「そうだけど、戻ったんなら無かったことには出来ないよ」
前世の記憶はあまりに鮮烈で当たり前のように自分の中に染み入ってくる。これを気の所為で否定するのは不可能だ。
「………ちっ!」
「兄貴〜…」
「…ぐすっ、ぅ…」
眠っている椎名が突然泣き出した。実弥と玄弥が顔を覗き込むと、大粒の涙を流しながら椎名が目を覚ます。
「椎名」
「姉ちゃん」
「…し、しな…不死川さぁんっ!玄弥くぅん!!」
椎名は腕を伸ばして二人にしがみついた。
「うえぇぇぇ〜…」
声を上げて泣き始める椎名を実弥と玄弥がしっかり抱きしめた。
「紗雪…テメェは本当にのんびりしてる奴だよぉ」
「ごめ…ごめんなさいぃ……不死川さんの家族に、は、入り込んじゃって…いたいたいたいたいっ」
「兄貴兄貴!」
実弥は椎名の両こめかみにゲンコツを当てるとグリグリの刑に処した。玄弥が慌ててやめさせる。
「何つまんねぇ事言ってやがるぅ。お前は今世、間違いなく俺の妹だろうがぁ」
「…い、良いのかなぁ?だって…だってぇ…」
「前の姉ちゃんの家族仲が悪かったのは俺も炭治郎から聞いてるよ。でも前は前だろ?それで良いじゃん」
それに姉ちゃんに居なくなられるのは俺だって嫌だよ、と言われて椎名はようやく落ち着きを取り戻した。二人の顔を見上げるとヘラッと笑う。
「ただいまぁ、お兄ちゃん、玄弥ぁ」
「おぅ」
「まずは風邪治さないとな!」
玄弥の差し出した薬を大人しく飲むと横になる。椎名は少しもじもじすると切り出した。
「それで、あの…えっとぉ…」
「あぁ、煉獄さんなら…」
「アイツはしばらく出禁だぁ!」
察した玄弥が口を開くのを遮るように実弥が言い切る。予想外の言葉に椎名は目を丸くした。
「どうしてぇ?」
「テメェ自分が受験生なのわかってんのかぁ?ウチには一浪を抱える余裕なんて無いんだよぉ。教師になるのを諦めるってんなら話は別だがなぁ」
「あー……」
それは困る。ただでさえここ数日寝込んでいるのだ。痛すぎる。
「大人しく受験生に戻りまぁす。杏寿郎さんは長期任務にでも行ってると思って我慢する」
「二ヶ月ぐらいの辛抱だぁ。いつ死ぬか分からねえって訳じゃねぇんだからなぁ」
「はぁい」
実弥に頭を撫でられて素直に頷く椎名だった。
「と言うわけでテメェはしばらく出禁だ」
「よもや!」
大学のカフェで実弥から告げられた言葉に杏寿郎は目を見開いた。
「椎名の体調は戻ったのだろう!?」
「テメェ…人の話聞いてなかったのかぁ?」
「うむ!聞いていたとも!!椎名が受験生なのは百も承知だ!!」
「じゃあ黙って出禁にされとけぇ」
実弥はカフェオレにさらに砂糖を加えると一口飲んだ。甘さが沁みる。
「俺が勉強を教えよう!」
「阿呆、図書館で胡蝶に偶然会って1日寝込んだんだぞぉ。今は絶対に駄目だぁ」
「むぅ…」
杏寿郎はブラックコーヒーを飲み干すとため息をついた。
「やむを得ない!椎名は長期任務に行っているものと思って我慢しよう!!」
(おんなじ事言ってやがる。この似た者夫婦がぁ)
「なに!命の危険があるわけでは無し、大丈夫だ!!」
「………」
思わず実弥は杏寿郎の脛を蹴り飛ばした。痛い!と対して痛くない顔で杏寿郎が言う。
「おら、次の講義行くぞぉ」
「うむ!ところでなぜ俺は蹴られたのだろうか!!」
「うるせぇ」
廊下を歩いていた杏寿郎が一枚のポスターに目を留めた。
「不審者情報か!そういえばこの前誰かも言っていたな!」
「あぁ?うちの近くじゃねえか」
実弥は携帯を取り出すと●INEのグループトークに書き込んだ。
『うちの近くに不審者情報あり。早く家に帰れよ』
『はぁい。今日は保育所のお迎えだけだから大丈夫だよぉ』
『俺、部活だけど5時には帰れると思う』
二人の返事を確認すると一つ頷き携帯をしまう。それを杏寿郎がガン見していた。
「俺もグループトークに入れてくれ!!」
「駄目に決まってんだろぉ!阿呆かぁ!」
「では椎名のIDの横流しを頼む!!」
「テメェ、一生出禁にするぞぉ!!」
わーわーと騒ぎながら二人が講義室へ向かっていく。
瞬く間にふた月が過ぎて行った。
「………ちっ!」
「兄貴…落ち着きなよ」
10秒に一度舌打ちする実弥に玄弥は困った顔でそう言った。睨まれるかと思ったが、実弥はため息をついただけだ。その視線の先には熱をぶり返して寝込む椎名の姿があった。実弥の額に青筋が浮かぶ。
「煉獄の野郎殺すぅ」
「いやいや!姉ちゃんを連れ戻してくれたでしょ!?」
しかも記憶が戻ったかもしれないと言うおまけ付きだ。実弥ももっと喜ぶかと思ったのだが…。
「この前も言ったろぉ。今は受験の大事な時期なんだ。記憶に振り回されて人生棒に振らせるわけいかねぇ」
「そうだけど、戻ったんなら無かったことには出来ないよ」
前世の記憶はあまりに鮮烈で当たり前のように自分の中に染み入ってくる。これを気の所為で否定するのは不可能だ。
「………ちっ!」
「兄貴〜…」
「…ぐすっ、ぅ…」
眠っている椎名が突然泣き出した。実弥と玄弥が顔を覗き込むと、大粒の涙を流しながら椎名が目を覚ます。
「椎名」
「姉ちゃん」
「…し、しな…不死川さぁんっ!玄弥くぅん!!」
椎名は腕を伸ばして二人にしがみついた。
「うえぇぇぇ〜…」
声を上げて泣き始める椎名を実弥と玄弥がしっかり抱きしめた。
「紗雪…テメェは本当にのんびりしてる奴だよぉ」
「ごめ…ごめんなさいぃ……不死川さんの家族に、は、入り込んじゃって…いたいたいたいたいっ」
「兄貴兄貴!」
実弥は椎名の両こめかみにゲンコツを当てるとグリグリの刑に処した。玄弥が慌ててやめさせる。
「何つまんねぇ事言ってやがるぅ。お前は今世、間違いなく俺の妹だろうがぁ」
「…い、良いのかなぁ?だって…だってぇ…」
「前の姉ちゃんの家族仲が悪かったのは俺も炭治郎から聞いてるよ。でも前は前だろ?それで良いじゃん」
それに姉ちゃんに居なくなられるのは俺だって嫌だよ、と言われて椎名はようやく落ち着きを取り戻した。二人の顔を見上げるとヘラッと笑う。
「ただいまぁ、お兄ちゃん、玄弥ぁ」
「おぅ」
「まずは風邪治さないとな!」
玄弥の差し出した薬を大人しく飲むと横になる。椎名は少しもじもじすると切り出した。
「それで、あの…えっとぉ…」
「あぁ、煉獄さんなら…」
「アイツはしばらく出禁だぁ!」
察した玄弥が口を開くのを遮るように実弥が言い切る。予想外の言葉に椎名は目を丸くした。
「どうしてぇ?」
「テメェ自分が受験生なのわかってんのかぁ?ウチには一浪を抱える余裕なんて無いんだよぉ。教師になるのを諦めるってんなら話は別だがなぁ」
「あー……」
それは困る。ただでさえここ数日寝込んでいるのだ。痛すぎる。
「大人しく受験生に戻りまぁす。杏寿郎さんは長期任務にでも行ってると思って我慢する」
「二ヶ月ぐらいの辛抱だぁ。いつ死ぬか分からねえって訳じゃねぇんだからなぁ」
「はぁい」
実弥に頭を撫でられて素直に頷く椎名だった。
「と言うわけでテメェはしばらく出禁だ」
「よもや!」
大学のカフェで実弥から告げられた言葉に杏寿郎は目を見開いた。
「椎名の体調は戻ったのだろう!?」
「テメェ…人の話聞いてなかったのかぁ?」
「うむ!聞いていたとも!!椎名が受験生なのは百も承知だ!!」
「じゃあ黙って出禁にされとけぇ」
実弥はカフェオレにさらに砂糖を加えると一口飲んだ。甘さが沁みる。
「俺が勉強を教えよう!」
「阿呆、図書館で胡蝶に偶然会って1日寝込んだんだぞぉ。今は絶対に駄目だぁ」
「むぅ…」
杏寿郎はブラックコーヒーを飲み干すとため息をついた。
「やむを得ない!椎名は長期任務に行っているものと思って我慢しよう!!」
(おんなじ事言ってやがる。この似た者夫婦がぁ)
「なに!命の危険があるわけでは無し、大丈夫だ!!」
「………」
思わず実弥は杏寿郎の脛を蹴り飛ばした。痛い!と対して痛くない顔で杏寿郎が言う。
「おら、次の講義行くぞぉ」
「うむ!ところでなぜ俺は蹴られたのだろうか!!」
「うるせぇ」
廊下を歩いていた杏寿郎が一枚のポスターに目を留めた。
「不審者情報か!そういえばこの前誰かも言っていたな!」
「あぁ?うちの近くじゃねえか」
実弥は携帯を取り出すと●INEのグループトークに書き込んだ。
『うちの近くに不審者情報あり。早く家に帰れよ』
『はぁい。今日は保育所のお迎えだけだから大丈夫だよぉ』
『俺、部活だけど5時には帰れると思う』
二人の返事を確認すると一つ頷き携帯をしまう。それを杏寿郎がガン見していた。
「俺もグループトークに入れてくれ!!」
「駄目に決まってんだろぉ!阿呆かぁ!」
「では椎名のIDの横流しを頼む!!」
「テメェ、一生出禁にするぞぉ!!」
わーわーと騒ぎながら二人が講義室へ向かっていく。
瞬く間にふた月が過ぎて行った。