短編
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「…は」
空気の抜けるような間抜けな声に椎名は顔を上げた。部屋の入り口で煉獄が驚いた顔で立ち尽くしている。整理の為にアイテムを部屋一杯に広げている所為かなと思いつつも椎名は首を傾げた。
「杏寿郎?どうかし…」
「何だその布切れは!?」
「布…布切れ!?」
煉獄の指し示しているのが自分の持っている衣装なのに気がついて椎名は声を上げて笑った。
「布…確かに布だけど!これは踊り子の着る衣装よ」
「服なのか?どう見ても体を覆うだけの分はないだろう」
様々な装飾のついた布は上はブラのみ。下も大きくスリットの入ったヒラヒラしたスカートで、布の一枚一枚はうっすらと透けている。煉獄は荷を踏まないよう近付くと椎名の顔を覗き込んだ。
「まさか君が着ていたんじゃないだろうな」
「着てたわよ」
そうでなければ持っている理由がない。事もなげに答えた椎名に煉獄はクワっと目を見開くとその両肩を掴んだ。
「着たのか!?いつ!何の為に!?」
「300年以上前に潜入捜査でね」
富豪の目を他の潜入者から逸らす為に旅の踊り子を演じたのだ。騒ぎが起きた段階で逃げ出せば良いだけの簡単なお仕事だったのを覚えている。それよりも大変だったのは踊りを覚える事と女好きの富豪をのらりくらりとかわす事だった。椎名が簡単に説明すれば煉獄の顔が渋いものに変わった。
「君のそんな姿を他の者が見たと思うと腑に落ちない!」
「もう一度言うけど300年前の話よ?」
「………」
むぅ…と口を尖らせる煉獄に椎名は悪戯っぱく笑うとヒラリと薄布をその首にかけた。
「じゃあ、着る?」
「…着てくれ」
実に正直な返事を返す煉獄に椎名は笑うとキスをした。
フワリと香るは異国の香。
隠れての逢瀬にと設えられた建物には人払いがされていて店の者も近づかない。
畳の上に敷き詰められたクッションに沈むようにして胡座をかいた煉獄の前には、薄布を重ねるようにして作られた踊り子の衣装を着た椎名が立っていた。
「………」
クッと人差し指を上に向けると置かれていた魔道具から音楽が鳴り始める。聞いたことの無い異国の曲は速い流れの曲で不思議な高揚感を煉獄にもたらせた。
「〜♪」
音楽に合わせ椎名の腕が、脚が、リズムを刻む。艶めかしく体全体を使って踊る椎名に煉獄は釘付けになった。
「………」
視線が絡むと椎名がスルリと近付き触れそうで触れない距離を舞う。ほんのりと透けて見える口元を覆い隠す布の向こうをちゃんと見たくて煉獄が手を伸ばすが、蝶のような軽やかさで椎名はその手を掻い潜った。
「………」
逃げられた自分の手を不思議そうに見る煉獄に椎名の目が笑みを刻む。煉獄の自分の動きを追う視線の熱さに身体が燃えてしまいそうだった。
「あっ…」
視線を外した次の瞬間、手を取られた椎名は煉獄の膝の上にいた。抱き止められ間近に見つめ合う。
「やはり君のこの姿を他の男が見たと思うと耐え難い」
「…捕まえたのは貴方だけよ」
そっと頰に添えられた椎名の手に煉獄は唇を落とした。フェイスベールを指先で持ち上げる。
「君の顔がちゃんと見たい。これを外してくれるか?」
「………」
椎名はベールを外そうとして…手を止めると煉獄の顔を覗き込んだ。
「私に踊りを教えてくれた子が言っていたんだけれど…相手がベールを外せば一夜限り。自分でベールを外せば私を捧げますって意味だそうよ」
自分で外して良い?と楽しそうに聞いてくる椎名に煉獄は柔らかく微笑んだ。
「是非も無い。君が外してくれ」
即答する煉獄に微笑み返すと椎名はベールを取り去った。煉獄が確かめるように頰に触れると唇を寄せる。
「この服も君が脱いでくれると嬉しい」
「…今日だけよ」
僅かに頬を染めながら衣装に手をかけた椎名は煉獄と共にクッションへと沈み込んだ。
空気の抜けるような間抜けな声に椎名は顔を上げた。部屋の入り口で煉獄が驚いた顔で立ち尽くしている。整理の為にアイテムを部屋一杯に広げている所為かなと思いつつも椎名は首を傾げた。
「杏寿郎?どうかし…」
「何だその布切れは!?」
「布…布切れ!?」
煉獄の指し示しているのが自分の持っている衣装なのに気がついて椎名は声を上げて笑った。
「布…確かに布だけど!これは踊り子の着る衣装よ」
「服なのか?どう見ても体を覆うだけの分はないだろう」
様々な装飾のついた布は上はブラのみ。下も大きくスリットの入ったヒラヒラしたスカートで、布の一枚一枚はうっすらと透けている。煉獄は荷を踏まないよう近付くと椎名の顔を覗き込んだ。
「まさか君が着ていたんじゃないだろうな」
「着てたわよ」
そうでなければ持っている理由がない。事もなげに答えた椎名に煉獄はクワっと目を見開くとその両肩を掴んだ。
「着たのか!?いつ!何の為に!?」
「300年以上前に潜入捜査でね」
富豪の目を他の潜入者から逸らす為に旅の踊り子を演じたのだ。騒ぎが起きた段階で逃げ出せば良いだけの簡単なお仕事だったのを覚えている。それよりも大変だったのは踊りを覚える事と女好きの富豪をのらりくらりとかわす事だった。椎名が簡単に説明すれば煉獄の顔が渋いものに変わった。
「君のそんな姿を他の者が見たと思うと腑に落ちない!」
「もう一度言うけど300年前の話よ?」
「………」
むぅ…と口を尖らせる煉獄に椎名は悪戯っぱく笑うとヒラリと薄布をその首にかけた。
「じゃあ、着る?」
「…着てくれ」
実に正直な返事を返す煉獄に椎名は笑うとキスをした。
フワリと香るは異国の香。
隠れての逢瀬にと設えられた建物には人払いがされていて店の者も近づかない。
畳の上に敷き詰められたクッションに沈むようにして胡座をかいた煉獄の前には、薄布を重ねるようにして作られた踊り子の衣装を着た椎名が立っていた。
「………」
クッと人差し指を上に向けると置かれていた魔道具から音楽が鳴り始める。聞いたことの無い異国の曲は速い流れの曲で不思議な高揚感を煉獄にもたらせた。
「〜♪」
音楽に合わせ椎名の腕が、脚が、リズムを刻む。艶めかしく体全体を使って踊る椎名に煉獄は釘付けになった。
「………」
視線が絡むと椎名がスルリと近付き触れそうで触れない距離を舞う。ほんのりと透けて見える口元を覆い隠す布の向こうをちゃんと見たくて煉獄が手を伸ばすが、蝶のような軽やかさで椎名はその手を掻い潜った。
「………」
逃げられた自分の手を不思議そうに見る煉獄に椎名の目が笑みを刻む。煉獄の自分の動きを追う視線の熱さに身体が燃えてしまいそうだった。
「あっ…」
視線を外した次の瞬間、手を取られた椎名は煉獄の膝の上にいた。抱き止められ間近に見つめ合う。
「やはり君のこの姿を他の男が見たと思うと耐え難い」
「…捕まえたのは貴方だけよ」
そっと頰に添えられた椎名の手に煉獄は唇を落とした。フェイスベールを指先で持ち上げる。
「君の顔がちゃんと見たい。これを外してくれるか?」
「………」
椎名はベールを外そうとして…手を止めると煉獄の顔を覗き込んだ。
「私に踊りを教えてくれた子が言っていたんだけれど…相手がベールを外せば一夜限り。自分でベールを外せば私を捧げますって意味だそうよ」
自分で外して良い?と楽しそうに聞いてくる椎名に煉獄は柔らかく微笑んだ。
「是非も無い。君が外してくれ」
即答する煉獄に微笑み返すと椎名はベールを取り去った。煉獄が確かめるように頰に触れると唇を寄せる。
「この服も君が脱いでくれると嬉しい」
「…今日だけよ」
僅かに頬を染めながら衣装に手をかけた椎名は煉獄と共にクッションへと沈み込んだ。
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