四章
夢小説設定
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「炭彦!この後時間はあるだろうか!」
「ふぇ?」
下校時間に自席で微睡んでいた炭彦は桃寿郎に声をかけられて寝惚けた声を出した。廊下を連れ立って歩きながら桃寿郎が続ける。
「うちの裏に山があるのは知っているだろう!」
「あー、大きな森だったよね」
遠目に見た事があるだけだが相当な大きさの山だ。あれが全て煉獄家の管理の山というのだから恐れ入る。
「ここだけの話だが!」
と言いつつ桃寿郎の声は大きい。
「あの森にはうちで祀っている生き神様が住んでいるのだ!!」
「へ?」
突拍子のない言葉に炭彦は目を丸くした。桃寿郎が動じる事なく続ける。
「白銀 様とお呼びしているのだが、普段は月に一度父と俺ぐらいしか会えないんだ!しかし今月は父と俺の都合がなかなか合わなくてな!!」
「ふーん」
昔は鬼がいたと言うのだから生き神もいるのだろうか。炭彦は何となくそう思いながら桃寿郎の話を聞いていた。
「白銀様は賑やかすぎてもいけないが、寂しいのも駄目らしい!なので父が友達を一人連れて行っても良いと言ってくれたんだ!会いに行かないか?今から!」
「…今から?」
思いもよらない提案に炭彦はキョトンとした。
「実際に会えるって事?」
「勿論だ!」
「っ!」
湧きあがったワクワクに炭彦は目を輝かせた。鬼は祖母の話に聞くだけだったが、桃寿郎は本物に会えると言う。
「行く!会いたい!」
「うむ!では行こう!!」
二人は連れ立って煉獄家に向かうと森の入り口に立った。手入れされた森は適度に光が入り気持ちがいい。桃寿郎は大きく息を吸い込むと大きな声で森へと呼びかけた。
「白銀様!煉獄桃寿郎が友人と共に参りました!!お姿を拝見できますでしょうか!!」
桃寿郎の声は森の奥へと吸い込まれていった。鳥の鳴き声が聞こえるだけで何の物音もせず、炭彦は桃寿郎の顔を盗み見た。
「誰も来ないよ?」
「まぁ待て!」
桃寿郎がそう言うのと同時に近くの木の上に白い人影が現れた。白い肌に銀の髪、深い緑の瞳を持ったその姿に炭彦が目を見開く。
「ひと月ぶりです!白銀様!」
「桃寿郎」
白銀様は地面に降りると二人の前に立った。足首まで伸びた髪は真っ直ぐでサラサラで、しかし左頬の部分の髪だけは顎までの短さだ。
(綺麗な人だ…)
炭彦はぼうっと白銀様に見惚れた。白銀様の緑の瞳が炭彦を見つめ返す。白銀様の手が炭彦の頰に添えられた。
「竈門…?」
「は、はい!僕、竈門炭彦と言います!」
(凄い!名乗ってないのに!)
本物の生き神様だ!と目を輝かせる炭彦に白銀様は小さく苦笑した。いつものように切り株に腰掛けると桃寿郎や炭彦の話に耳を傾ける。
夕暮れが差し迫る頃、白銀様は二人の頭を撫でると立ち上がった。
「暗くなる前に帰りなさい」
そして自身も森の中へと姿を消す。煉獄家に戻る最中、炭彦は興奮しきりだった。
「凄いね!本当に生き神様なんだね!!」
「うむ!」
「でも、どうして桃寿郎君の家にいるの?元からずっとこの森に住んでたとか?」
炭彦のもっともな疑問に桃寿郎も首を傾げながら答えた。
「何でも祖父が聞いた話によれば祖父の祖父…つまり高祖父の兄と白銀様は結婚していたらしい」
「神様って人間と結婚したりするの?」
「俺にもわからん!だが高祖父の兄は随分若いうちに亡くなったらしい」
炭彦は日が暮れて黒い影のようになった山を振り返った。それからずっと森に住んでいるのなら100年は一人きりと言う事だ。
「それは寂しいね」
「そうだな!」
また会う事ができたらもっとたくさんの話をしようと思う炭彦だった。
「ふぇ?」
下校時間に自席で微睡んでいた炭彦は桃寿郎に声をかけられて寝惚けた声を出した。廊下を連れ立って歩きながら桃寿郎が続ける。
「うちの裏に山があるのは知っているだろう!」
「あー、大きな森だったよね」
遠目に見た事があるだけだが相当な大きさの山だ。あれが全て煉獄家の管理の山というのだから恐れ入る。
「ここだけの話だが!」
と言いつつ桃寿郎の声は大きい。
「あの森にはうちで祀っている生き神様が住んでいるのだ!!」
「へ?」
突拍子のない言葉に炭彦は目を丸くした。桃寿郎が動じる事なく続ける。
「
「ふーん」
昔は鬼がいたと言うのだから生き神もいるのだろうか。炭彦は何となくそう思いながら桃寿郎の話を聞いていた。
「白銀様は賑やかすぎてもいけないが、寂しいのも駄目らしい!なので父が友達を一人連れて行っても良いと言ってくれたんだ!会いに行かないか?今から!」
「…今から?」
思いもよらない提案に炭彦はキョトンとした。
「実際に会えるって事?」
「勿論だ!」
「っ!」
湧きあがったワクワクに炭彦は目を輝かせた。鬼は祖母の話に聞くだけだったが、桃寿郎は本物に会えると言う。
「行く!会いたい!」
「うむ!では行こう!!」
二人は連れ立って煉獄家に向かうと森の入り口に立った。手入れされた森は適度に光が入り気持ちがいい。桃寿郎は大きく息を吸い込むと大きな声で森へと呼びかけた。
「白銀様!煉獄桃寿郎が友人と共に参りました!!お姿を拝見できますでしょうか!!」
桃寿郎の声は森の奥へと吸い込まれていった。鳥の鳴き声が聞こえるだけで何の物音もせず、炭彦は桃寿郎の顔を盗み見た。
「誰も来ないよ?」
「まぁ待て!」
桃寿郎がそう言うのと同時に近くの木の上に白い人影が現れた。白い肌に銀の髪、深い緑の瞳を持ったその姿に炭彦が目を見開く。
「ひと月ぶりです!白銀様!」
「桃寿郎」
白銀様は地面に降りると二人の前に立った。足首まで伸びた髪は真っ直ぐでサラサラで、しかし左頬の部分の髪だけは顎までの短さだ。
(綺麗な人だ…)
炭彦はぼうっと白銀様に見惚れた。白銀様の緑の瞳が炭彦を見つめ返す。白銀様の手が炭彦の頰に添えられた。
「竈門…?」
「は、はい!僕、竈門炭彦と言います!」
(凄い!名乗ってないのに!)
本物の生き神様だ!と目を輝かせる炭彦に白銀様は小さく苦笑した。いつものように切り株に腰掛けると桃寿郎や炭彦の話に耳を傾ける。
夕暮れが差し迫る頃、白銀様は二人の頭を撫でると立ち上がった。
「暗くなる前に帰りなさい」
そして自身も森の中へと姿を消す。煉獄家に戻る最中、炭彦は興奮しきりだった。
「凄いね!本当に生き神様なんだね!!」
「うむ!」
「でも、どうして桃寿郎君の家にいるの?元からずっとこの森に住んでたとか?」
炭彦のもっともな疑問に桃寿郎も首を傾げながら答えた。
「何でも祖父が聞いた話によれば祖父の祖父…つまり高祖父の兄と白銀様は結婚していたらしい」
「神様って人間と結婚したりするの?」
「俺にもわからん!だが高祖父の兄は随分若いうちに亡くなったらしい」
炭彦は日が暮れて黒い影のようになった山を振り返った。それからずっと森に住んでいるのなら100年は一人きりと言う事だ。
「それは寂しいね」
「そうだな!」
また会う事ができたらもっとたくさんの話をしようと思う炭彦だった。