四章
夢小説設定
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田の続く道を歩き続ける禰󠄀豆子の後ろを椎名は黙って歩いていた。初めは勢いよく駆けていた禰󠄀豆子は体力が尽きたのか今はなんとか歩いている状態だ。
(禰󠄀豆子…)
人間に戻り自我がはっきりした時、禰󠄀豆子はどうするのだろうかと椎名は思った。鬼でいた時の記憶は残っているのだろうか。残っているなら地獄だ。
(家族を失い、唯一残った兄は自分を人に戻す為にと触ったことさえない刀を握り、何度も死にかけ今も命を懸けている)
鬼のままでいた方が良かったと思ってしまうのでは。
禰󠄀豆子の瞳が鬼のそれではなくなり牙が失われていく。その中で一瞬見せた激しい怒りに椎名はやはりそうなるのかと眉を寄せた。しかし…。
「………」
次の瞬間ガラリと変わった禰󠄀豆子の表情に椎名は息を飲んだ。
(怒り…だけじゃない。悲しみ、戸惑い、慈しみ、愛しさ…禰󠄀豆子…禰󠄀豆子、貴女はただ大切にするのね。目の前にあるものもないものも)
ガクリと膝をついた禰󠄀豆子に椎名は慌てて傍に駆け寄った。立ち上がった禰󠄀豆子が頭を抱えて苦しむ姿に胸が苦しくなる。
「ううっ…ううぅ、うぁぁぁっ!!」
ボロボロと涙を流す禰󠄀豆子の瞳は完全に人間のものへと色を変えていた。しゃくり上げながら椎名を見つめた禰󠄀豆子の口がゆっくりと開く。
「わた、私は竈門禰󠄀豆子…ね、ずこ、禰󠄀豆子!」
「禰󠄀豆子!」
椎名は禰󠄀豆子を強く抱き締めた。椎名に縋り付いて禰󠄀豆子が声を上げて泣く。
「みんなっ…みんな殺された!母さんも竹雄も花子も茂も六太もっ…みんな…みんな…っ」
取り戻したばかりの自我には飲み込めない程の苦しみ。椎名は何度も何度も頷きながら禰󠄀豆子を抱き締め続けた。
「行かなきゃ…お兄ちゃんの所に行かなきゃ…!もう、もう誰にも死んで欲しくない!!」
「わかった、わかったわ禰󠄀豆子。行きましょう、炭治郎の所へ」
(無惨を倒すのでは無く、人を助ける為に)
こんな時でも人を想う禰󠄀豆子の温かさが椎名の胸に沁みる。涙を拭い歩き始める禰󠄀豆子と共に椎名も街に向かうのだった。
(禰󠄀豆子…)
人間に戻り自我がはっきりした時、禰󠄀豆子はどうするのだろうかと椎名は思った。鬼でいた時の記憶は残っているのだろうか。残っているなら地獄だ。
(家族を失い、唯一残った兄は自分を人に戻す為にと触ったことさえない刀を握り、何度も死にかけ今も命を懸けている)
鬼のままでいた方が良かったと思ってしまうのでは。
禰󠄀豆子の瞳が鬼のそれではなくなり牙が失われていく。その中で一瞬見せた激しい怒りに椎名はやはりそうなるのかと眉を寄せた。しかし…。
「………」
次の瞬間ガラリと変わった禰󠄀豆子の表情に椎名は息を飲んだ。
(怒り…だけじゃない。悲しみ、戸惑い、慈しみ、愛しさ…禰󠄀豆子…禰󠄀豆子、貴女はただ大切にするのね。目の前にあるものもないものも)
ガクリと膝をついた禰󠄀豆子に椎名は慌てて傍に駆け寄った。立ち上がった禰󠄀豆子が頭を抱えて苦しむ姿に胸が苦しくなる。
「ううっ…ううぅ、うぁぁぁっ!!」
ボロボロと涙を流す禰󠄀豆子の瞳は完全に人間のものへと色を変えていた。しゃくり上げながら椎名を見つめた禰󠄀豆子の口がゆっくりと開く。
「わた、私は竈門禰󠄀豆子…ね、ずこ、禰󠄀豆子!」
「禰󠄀豆子!」
椎名は禰󠄀豆子を強く抱き締めた。椎名に縋り付いて禰󠄀豆子が声を上げて泣く。
「みんなっ…みんな殺された!母さんも竹雄も花子も茂も六太もっ…みんな…みんな…っ」
取り戻したばかりの自我には飲み込めない程の苦しみ。椎名は何度も何度も頷きながら禰󠄀豆子を抱き締め続けた。
「行かなきゃ…お兄ちゃんの所に行かなきゃ…!もう、もう誰にも死んで欲しくない!!」
「わかった、わかったわ禰󠄀豆子。行きましょう、炭治郎の所へ」
(無惨を倒すのでは無く、人を助ける為に)
こんな時でも人を想う禰󠄀豆子の温かさが椎名の胸に沁みる。涙を拭い歩き始める禰󠄀豆子と共に椎名も街に向かうのだった。