四章
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ーーこの国の事はこの国の人間がーー
ねぇ耀哉、私が今ほどこの言葉に打ちのめされているなんて貴方には分からないでしょうね。
「死亡!胡蝶シノブ死亡!!」
「………」
前線の状況は不思議な札を介した鴉からの報告で逐一入ってくる。私は禰󠄀豆子の眠っている座敷で静かにその報告を聞いた。
(あぁ…)
しのぶ、決めた通りを実行したのね。頑固にも程があるわよ貴女。おかしいと思ったのよ。産屋敷邸に呼び出されたしのぶが最後にあんなことを言うから。
『椎名さんと沢山沢山お話出来て本当に嬉しかった』
お別れのつもりだったの?予感がしたのかしら。それを言うなら私だって嫌な予感はあった。しのぶと産屋敷邸に行きたかった。でも天元が私には別邸にいる禰󠄀豆子を頼むと耀哉から言われているなんて言うから…。
(決戦に私を巻き込む気がなかったのね)
この国生まれでは無い私はいつまで来訪者なのだろう。鬼殺隊にいる誰よりも長く生き、鬼殺隊を見てきたのに。
(悔しい)
必ず戦力になれるなんて思っているわけじゃ無い。それでも出来る事はあるのにそれさえ許されないなんて…杏寿郎が大切にしていたものを私だって守りたいのに。
(無一郎も死んだ…玄弥も)
次々舞い込む訃報に天元も愼寿郎も左近次もピクリとも動かない。私は眠り続ける禰󠄀豆子の顔を見つめた。
無惨復活。
市街地への放出。
一体いつまでこうしていれば良いの。
「禰󠄀豆子」
左近次の声に我にかえると眠っていたはずの禰󠄀豆子が立ち上がっていた。左近次の呼びかけに応じる気配がない。
「どうした…禰󠄀豆子」
左近次がその手を取ろうとすると、戸を破り禰󠄀豆子が外へと飛び出していった。後を追う左近次に天元や愼寿郎が声を上げる。
「あ!?竈門禰󠄀豆子!どこ行ってんだ!」
「お館様!如何いたしますか!」
「………」
どうする?後を追うべき?けれど耀哉は私がこの国に関わることを喜んでいない。そんな、私が…。
「椎名!禰󠄀豆子さんを頼む!止めなくて良い!守ってやってくれ!!」
「!!」
輝利哉の声に私は禰󠄀豆子の跡を追って駆け出した。左近次の立ち止まった崖を飛び降りる。
(ありがとう輝利哉)
この国の事だけれど、でも…私の、杏寿郎の大事なものの為に出来ることを。
崖の下に続く道を土煙をあげて走る禰󠄀豆子の後を私は追いかけた。
「宜しかったのですか?」
戸の向こうからの呼びかけに輝利哉は手を止める事なく答えた。
「良いんだ。椎名はずっと鬼殺隊を支えてくれたから」
産屋敷の引いた線の外から中に踏み入ることもせず、けれど決して離れることも無く居てくれた椎名が、内心いつも歯痒さを抱いていたのをよく知っている。
(それでも椎名を線の外に置き続けたのは父上達が椎名を本当に大切に思っていたからだ)
迷惑をかけたくない。傷ついて欲しくない。
それは輝利哉だって同じだ。
(だけど見てきたから)
椎名が線の内側にいる杏寿郎の傍でどれだけ幸せそうだったかをそれを失ってどれほど泣いたかを。その大切なものを失った椎名はもう線の内側の人間なのだ。
(今、当主になったばかりの僕に出来るのはこれだけだから)
「禰󠄀豆子さんを頼んだよ椎名」
ねぇ耀哉、私が今ほどこの言葉に打ちのめされているなんて貴方には分からないでしょうね。
「死亡!胡蝶シノブ死亡!!」
「………」
前線の状況は不思議な札を介した鴉からの報告で逐一入ってくる。私は禰󠄀豆子の眠っている座敷で静かにその報告を聞いた。
(あぁ…)
しのぶ、決めた通りを実行したのね。頑固にも程があるわよ貴女。おかしいと思ったのよ。産屋敷邸に呼び出されたしのぶが最後にあんなことを言うから。
『椎名さんと沢山沢山お話出来て本当に嬉しかった』
お別れのつもりだったの?予感がしたのかしら。それを言うなら私だって嫌な予感はあった。しのぶと産屋敷邸に行きたかった。でも天元が私には別邸にいる禰󠄀豆子を頼むと耀哉から言われているなんて言うから…。
(決戦に私を巻き込む気がなかったのね)
この国生まれでは無い私はいつまで来訪者なのだろう。鬼殺隊にいる誰よりも長く生き、鬼殺隊を見てきたのに。
(悔しい)
必ず戦力になれるなんて思っているわけじゃ無い。それでも出来る事はあるのにそれさえ許されないなんて…杏寿郎が大切にしていたものを私だって守りたいのに。
(無一郎も死んだ…玄弥も)
次々舞い込む訃報に天元も愼寿郎も左近次もピクリとも動かない。私は眠り続ける禰󠄀豆子の顔を見つめた。
無惨復活。
市街地への放出。
一体いつまでこうしていれば良いの。
「禰󠄀豆子」
左近次の声に我にかえると眠っていたはずの禰󠄀豆子が立ち上がっていた。左近次の呼びかけに応じる気配がない。
「どうした…禰󠄀豆子」
左近次がその手を取ろうとすると、戸を破り禰󠄀豆子が外へと飛び出していった。後を追う左近次に天元や愼寿郎が声を上げる。
「あ!?竈門禰󠄀豆子!どこ行ってんだ!」
「お館様!如何いたしますか!」
「………」
どうする?後を追うべき?けれど耀哉は私がこの国に関わることを喜んでいない。そんな、私が…。
「椎名!禰󠄀豆子さんを頼む!止めなくて良い!守ってやってくれ!!」
「!!」
輝利哉の声に私は禰󠄀豆子の跡を追って駆け出した。左近次の立ち止まった崖を飛び降りる。
(ありがとう輝利哉)
この国の事だけれど、でも…私の、杏寿郎の大事なものの為に出来ることを。
崖の下に続く道を土煙をあげて走る禰󠄀豆子の後を私は追いかけた。
「宜しかったのですか?」
戸の向こうからの呼びかけに輝利哉は手を止める事なく答えた。
「良いんだ。椎名はずっと鬼殺隊を支えてくれたから」
産屋敷の引いた線の外から中に踏み入ることもせず、けれど決して離れることも無く居てくれた椎名が、内心いつも歯痒さを抱いていたのをよく知っている。
(それでも椎名を線の外に置き続けたのは父上達が椎名を本当に大切に思っていたからだ)
迷惑をかけたくない。傷ついて欲しくない。
それは輝利哉だって同じだ。
(だけど見てきたから)
椎名が線の内側にいる杏寿郎の傍でどれだけ幸せそうだったかをそれを失ってどれほど泣いたかを。その大切なものを失った椎名はもう線の内側の人間なのだ。
(今、当主になったばかりの僕に出来るのはこれだけだから)
「禰󠄀豆子さんを頼んだよ椎名」