四章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「き、き…きれー、ね」
「うん?」
「キラキラ、きれーね」
蝶屋敷の縁側に座り禰󠄀豆子は椎名の髪に触れた。サラサラと流れる銀髪が陽の光を反射して煌めいて見える。禰󠄀豆子が嬉しそうに何度も髪を触った。
「ありがとう禰󠄀豆子。禰󠄀豆子の目も綺麗な色よ。アメジストの色ね」
椎名のいた所では魔を封じ邪悪を寄せ付けないアメジストクリスタル。禰󠄀豆子にピッタリな色だと椎名は微笑んだ。
「目、目…きれー?」
「うん、綺麗」
禰󠄀豆子は自分の顔を不思議そうに触るとへにゃりと笑った。椎名が手のひらサイズの鏡を取り出すと禰󠄀豆子の顔を映す。
「ほら、見える?」
「み、見える。おかー、さんがアメ…アメジスト、を食べた?」
(食べた?)
意味が分からず椎名は首を傾げた。そこへ松葉杖をついた炭治郎が顔を出す。
「すいません椎名さん、禰󠄀豆子が言ってるのは子守唄の話だと思います。ウサギの目が赤いのは赤い木の実を食べたからって歌があるんです」
「お、おにーちゃん」
横に腰掛ける炭治郎に禰󠄀豆子が嬉しそうに抱きついた。禰󠄀豆子の頭を撫でる炭治郎に椎名が微笑む。
「随分回復したのね。遊郭で死にかけたと思ったら今度は刀鍛冶の里で上弦とやりあって…炭治郎のそれは引きの強さなのかただの悪運なのか」
「はは…でも骨折が治るまでは何も出来なくて」
鬼の動きが全て止まった事が嵐の前の静けさなのが痛いほどわかって落ち着かない。頰をかく炭治郎の頭を撫でる椎名に焼き餅を焼いたのか禰󠄀豆子が椎名の頰を両手で掴むと自分の方に向けた。ぐきっと椎名の首がおかしな音を立てた気がして炭治郎が慌てる。
「こら、禰󠄀豆子!」
「なでなで、ね、禰󠄀豆子も!」
「はいはい。ふふ」
椎名は小さく笑うと禰󠄀豆子の頭を撫でた。禰󠄀豆子が椎名の目を覗き込む。
「椎名の目、も、きれーね。く…」
「「…く?」」
椎名と炭治郎が首を傾げると禰󠄀豆子がにこっと笑った。
「くさもちの色!」
「こ、こら!禰󠄀豆子!」
炭治郎が禰󠄀豆子を嗜めるのと椎名が吹き出すのは同時だった。目を丸くする炭治郎とキョトンとする禰󠄀豆子を他所に腹を抱えて笑う。
「く、さ、も、ち!生まれて初めてそんなものに例えられたわ」
「すいません椎名さん、あの…禰󠄀豆子に悪気は…」
「大丈夫、大丈夫よ炭治郎。怒ってやしないわ」
椎名が笑いながら手を振っていると近くの茂みが揺れて伊之助が飛び出してきた。
「オイ!草餅って聞こえたぞ!お前ら俺に黙ってそんな美味そうなもん食ってんのか!?」
「禰󠄀豆子ちゃーん!今日も可愛いね!素敵だね!」
善逸も現れ途端に縁側が賑やかになる。椎名が人差し指を横に滑らせると炭治郎の手の中に竹の葉に包まれたものが二つ落ちた。
「わっ!椎名さん、これは?」
「草餅よ。あげるわ」
立ち上がるとヒラリと手を振り歩き出す。伊之助が誰よりも早く食いついた。
「草餅!オイ宗治郎!寄越せ!!」
「あ、こら伊之助!椎名さんにお礼言わなきゃ駄目だろ!」
「ご馳走様椎名さん…でも何で草餅なんか持ってるの?」
普通ならば一人で食べ切れる量ではない。善逸が尋ねれば椎名は肩越しに振り返り肩をすくめて見せた。
「杏寿郎のお勧め草餅よ。美味しいわよ」
「「………」」
何と返事をしたら良いかわからず沈黙する炭治郎と善逸にもう一度手を振ると椎名は去っていった。
伊之助を落ち着かせて縁側に並んで座ると草餅を手に取る。齧り付けばヨモギのいい香りが鼻に抜けた。
「………美味いな」
「うん…椎名さん、見た目だけは落ち着いたみたいだな」
悲しい、寂しい、苦しいの音は絶えることはないけれど最近その音に不思議な温かい音が聞こえる。善逸がそう言えば炭治郎も頷いた。
「たまに椎名さんから煉獄さんみたいな匂いがするんだ。温かくて人を励ましてくれる匂いだ」
炭治郎と善逸はしばらく黙って空を見上げた。今日も抜けるような青空だ。
「…草餅、美味いな」
「うん、美味い」
その隣で禰󠄀豆子が嬉しそうに草餅を眺めていた。
「うん?」
「キラキラ、きれーね」
蝶屋敷の縁側に座り禰󠄀豆子は椎名の髪に触れた。サラサラと流れる銀髪が陽の光を反射して煌めいて見える。禰󠄀豆子が嬉しそうに何度も髪を触った。
「ありがとう禰󠄀豆子。禰󠄀豆子の目も綺麗な色よ。アメジストの色ね」
椎名のいた所では魔を封じ邪悪を寄せ付けないアメジストクリスタル。禰󠄀豆子にピッタリな色だと椎名は微笑んだ。
「目、目…きれー?」
「うん、綺麗」
禰󠄀豆子は自分の顔を不思議そうに触るとへにゃりと笑った。椎名が手のひらサイズの鏡を取り出すと禰󠄀豆子の顔を映す。
「ほら、見える?」
「み、見える。おかー、さんがアメ…アメジスト、を食べた?」
(食べた?)
意味が分からず椎名は首を傾げた。そこへ松葉杖をついた炭治郎が顔を出す。
「すいません椎名さん、禰󠄀豆子が言ってるのは子守唄の話だと思います。ウサギの目が赤いのは赤い木の実を食べたからって歌があるんです」
「お、おにーちゃん」
横に腰掛ける炭治郎に禰󠄀豆子が嬉しそうに抱きついた。禰󠄀豆子の頭を撫でる炭治郎に椎名が微笑む。
「随分回復したのね。遊郭で死にかけたと思ったら今度は刀鍛冶の里で上弦とやりあって…炭治郎のそれは引きの強さなのかただの悪運なのか」
「はは…でも骨折が治るまでは何も出来なくて」
鬼の動きが全て止まった事が嵐の前の静けさなのが痛いほどわかって落ち着かない。頰をかく炭治郎の頭を撫でる椎名に焼き餅を焼いたのか禰󠄀豆子が椎名の頰を両手で掴むと自分の方に向けた。ぐきっと椎名の首がおかしな音を立てた気がして炭治郎が慌てる。
「こら、禰󠄀豆子!」
「なでなで、ね、禰󠄀豆子も!」
「はいはい。ふふ」
椎名は小さく笑うと禰󠄀豆子の頭を撫でた。禰󠄀豆子が椎名の目を覗き込む。
「椎名の目、も、きれーね。く…」
「「…く?」」
椎名と炭治郎が首を傾げると禰󠄀豆子がにこっと笑った。
「くさもちの色!」
「こ、こら!禰󠄀豆子!」
炭治郎が禰󠄀豆子を嗜めるのと椎名が吹き出すのは同時だった。目を丸くする炭治郎とキョトンとする禰󠄀豆子を他所に腹を抱えて笑う。
「く、さ、も、ち!生まれて初めてそんなものに例えられたわ」
「すいません椎名さん、あの…禰󠄀豆子に悪気は…」
「大丈夫、大丈夫よ炭治郎。怒ってやしないわ」
椎名が笑いながら手を振っていると近くの茂みが揺れて伊之助が飛び出してきた。
「オイ!草餅って聞こえたぞ!お前ら俺に黙ってそんな美味そうなもん食ってんのか!?」
「禰󠄀豆子ちゃーん!今日も可愛いね!素敵だね!」
善逸も現れ途端に縁側が賑やかになる。椎名が人差し指を横に滑らせると炭治郎の手の中に竹の葉に包まれたものが二つ落ちた。
「わっ!椎名さん、これは?」
「草餅よ。あげるわ」
立ち上がるとヒラリと手を振り歩き出す。伊之助が誰よりも早く食いついた。
「草餅!オイ宗治郎!寄越せ!!」
「あ、こら伊之助!椎名さんにお礼言わなきゃ駄目だろ!」
「ご馳走様椎名さん…でも何で草餅なんか持ってるの?」
普通ならば一人で食べ切れる量ではない。善逸が尋ねれば椎名は肩越しに振り返り肩をすくめて見せた。
「杏寿郎のお勧め草餅よ。美味しいわよ」
「「………」」
何と返事をしたら良いかわからず沈黙する炭治郎と善逸にもう一度手を振ると椎名は去っていった。
伊之助を落ち着かせて縁側に並んで座ると草餅を手に取る。齧り付けばヨモギのいい香りが鼻に抜けた。
「………美味いな」
「うん…椎名さん、見た目だけは落ち着いたみたいだな」
悲しい、寂しい、苦しいの音は絶えることはないけれど最近その音に不思議な温かい音が聞こえる。善逸がそう言えば炭治郎も頷いた。
「たまに椎名さんから煉獄さんみたいな匂いがするんだ。温かくて人を励ましてくれる匂いだ」
炭治郎と善逸はしばらく黙って空を見上げた。今日も抜けるような青空だ。
「…草餅、美味いな」
「うん、美味い」
その隣で禰󠄀豆子が嬉しそうに草餅を眺めていた。