一章
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「つまり椎名さんはならず者という事ですね」
「………」
胡蝶に思いも寄らない一言で纏められ、椎名は絶句した。
宇髄が横で茶を吹いて咳き込む。
「げほっ…お、おいおい胡蝶。派手に喧嘩売ってんなよ」
「あら、間違いちゃいました?」
「………」
のほほんと笑って見せる胡蝶を椎名はしげしげと見つめた。
(面白い子ね)
ふわふわと笑って見せているが、決して見た通りの子ではない。それどころか腹の中に渦巻くマグマのような強い激情を感じ、椎名は背にヒヤリとしたものを覚えた。
(ここにいる者は皆そんなものを抱えている)
それが苦しいのか悲しいのか哀れなのか…。形容詞がたい感情を椎名は喉の奥へと飲み込んだ。
「で、人には無い力ってのは?どんな力なんだ?」
たっぷりと甘い大福を頬張る宇髄に問われた椎名はハッとしてそちらを向いた。途端プッと吹き出す。
「あ?」
「食いしん坊か」
笑いながら宇髄の口元を指差す。口の周りの白い粉を宇髄がべろりと舐め取った。
「んで?」
恥ずかしかったのかちと頬が赤い。触れてやるのは可哀想かと椎名は話を続けた。
「そうね」
かなたの前でそうしたのと同じように椎名は人指し指を横に引いた。ドサドサっと重い音がして数冊の本が畳に落ちる。
「個々人で能力は違うけれど私のはこれ。物を別次元に収納する能力。生き物は入れないけど食べ物は腐らないしなかなか便利よ」
「身軽で動けるのは素晴らし…」
「あの!」
悲鳴嶼の方を向いた椎名の視界にズイッとしのぶが入り込んできた。
「!?」
「これ、この本。何が書かれているかお伺いできますか!?」
しかも何やら大興奮の様子で、手には椎名が先程出した本を握っている。そのタイトルを見た椎名はあぁ、と言ってしのぶの真横に移動した。
「当時気が向いたときに錬金術師や薬師なんかとその地方の植生や薬草を調べたりしたのを纏めたやつね」
「これとこれ、これから使ってみようと思っているものなんですけど、取り扱いに注意はありますか?」
「こっちは茎から出る汁に触れるとかぶれるから完全に乾燥するまでは手袋必須で…しのぶはこういうの専門なの?」
素人が手を出すような薬効のものではない。椎名が尋ねるとしのぶの満面の笑みが返ってきた。
「はい!私は鬼を殺す毒と隊士の治療のための薬の開発をしているんです。もう半ば趣味のようなもので」
「8割趣味…」
「冨岡さん何かおっしゃいました?」
「……」
空気を読めない男、冨岡をしのぶが笑顔で黙らせると椎名との薬草談義はしばらく続いた。
「夕暮レ!夕暮レ前二解散!!」
鎹鴉の声に冨岡は空を見上げた。わずかに空が赤みがかっている。
(いない…)
気付けば不死川も悲鳴嶼も宇髄もいなくなっていた。
「………」
帰るなら声をかけてくれれば良かったのに…と冨岡はちょっぴり思ったが、言った所で仕方がない。帰るために腰を上げた冨岡を見て椎名も立ち上がった。その手をしのぶが両手で握りしめる。
「そろそろ行かないと…」
「では是非私の蝶屋敷に来て下さい。まだまだ椎名さんとはお話したいことが沢山ありますもの」
物凄い熱意である。椎名はドン引きだが。
「今日は産屋敷の家に世話になるから…」
「では明日にはお寄りくださいね。蝶屋敷までは隠が案内しますから」
「………ハイ」
にっこり微笑まれ畳み掛けられて椎名は頷くしか道がなかった。
「………」
胡蝶に思いも寄らない一言で纏められ、椎名は絶句した。
宇髄が横で茶を吹いて咳き込む。
「げほっ…お、おいおい胡蝶。派手に喧嘩売ってんなよ」
「あら、間違いちゃいました?」
「………」
のほほんと笑って見せる胡蝶を椎名はしげしげと見つめた。
(面白い子ね)
ふわふわと笑って見せているが、決して見た通りの子ではない。それどころか腹の中に渦巻くマグマのような強い激情を感じ、椎名は背にヒヤリとしたものを覚えた。
(ここにいる者は皆そんなものを抱えている)
それが苦しいのか悲しいのか哀れなのか…。形容詞がたい感情を椎名は喉の奥へと飲み込んだ。
「で、人には無い力ってのは?どんな力なんだ?」
たっぷりと甘い大福を頬張る宇髄に問われた椎名はハッとしてそちらを向いた。途端プッと吹き出す。
「あ?」
「食いしん坊か」
笑いながら宇髄の口元を指差す。口の周りの白い粉を宇髄がべろりと舐め取った。
「んで?」
恥ずかしかったのかちと頬が赤い。触れてやるのは可哀想かと椎名は話を続けた。
「そうね」
かなたの前でそうしたのと同じように椎名は人指し指を横に引いた。ドサドサっと重い音がして数冊の本が畳に落ちる。
「個々人で能力は違うけれど私のはこれ。物を別次元に収納する能力。生き物は入れないけど食べ物は腐らないしなかなか便利よ」
「身軽で動けるのは素晴らし…」
「あの!」
悲鳴嶼の方を向いた椎名の視界にズイッとしのぶが入り込んできた。
「!?」
「これ、この本。何が書かれているかお伺いできますか!?」
しかも何やら大興奮の様子で、手には椎名が先程出した本を握っている。そのタイトルを見た椎名はあぁ、と言ってしのぶの真横に移動した。
「当時気が向いたときに錬金術師や薬師なんかとその地方の植生や薬草を調べたりしたのを纏めたやつね」
「これとこれ、これから使ってみようと思っているものなんですけど、取り扱いに注意はありますか?」
「こっちは茎から出る汁に触れるとかぶれるから完全に乾燥するまでは手袋必須で…しのぶはこういうの専門なの?」
素人が手を出すような薬効のものではない。椎名が尋ねるとしのぶの満面の笑みが返ってきた。
「はい!私は鬼を殺す毒と隊士の治療のための薬の開発をしているんです。もう半ば趣味のようなもので」
「8割趣味…」
「冨岡さん何かおっしゃいました?」
「……」
空気を読めない男、冨岡をしのぶが笑顔で黙らせると椎名との薬草談義はしばらく続いた。
「夕暮レ!夕暮レ前二解散!!」
鎹鴉の声に冨岡は空を見上げた。わずかに空が赤みがかっている。
(いない…)
気付けば不死川も悲鳴嶼も宇髄もいなくなっていた。
「………」
帰るなら声をかけてくれれば良かったのに…と冨岡はちょっぴり思ったが、言った所で仕方がない。帰るために腰を上げた冨岡を見て椎名も立ち上がった。その手をしのぶが両手で握りしめる。
「そろそろ行かないと…」
「では是非私の蝶屋敷に来て下さい。まだまだ椎名さんとはお話したいことが沢山ありますもの」
物凄い熱意である。椎名はドン引きだが。
「今日は産屋敷の家に世話になるから…」
「では明日にはお寄りくださいね。蝶屋敷までは隠が案内しますから」
「………ハイ」
にっこり微笑まれ畳み掛けられて椎名は頷くしか道がなかった。