短編
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「こんな所があったんだね」
道中を少し逸れた森の中に広がる光景に私は目を細めた。日が傾いていなければ綺麗な場所だろう。
炎柱と水柱は周囲への警戒を強めていたが、椎名は素直に喜ぶと私を振り返った。
《入っていいの?》
「私達はむこうを向いているから、心置きなく入っておいで」
にっこり笑って頷くと椎名が早速、服に手をかける。慌てて背を向ければ衣擦れの音がして、バシャバシャと水を弾く音がし出した。
《あー、生き返るー》
《服も洗っちゃおう!》
声の様子が弾んでいて微笑ましい。
しかし場の空気がふと変化した。歪な空気が押し寄せてくる。木々の間から大きな影が躍り出てきた。
「お館様!」
炎柱が素早く日輪刀を抜くとその牙を止める。
鬼だ。
水柱が走り寄ってこようとした横の草地からもう一体。
「ちっ!」
単独行動をする鬼には珍しいが、柱二人の相手には足りない。が、私の真上の枝から三体目。
「!!」
迫り来る爪に私は両手で頭を庇った。
「「お館様っ!!」」
ガチン!と言う金属音が響いて恐る恐る開けた目に飛び込んできたのは銀の髪。
「椎名!?」
湖から飛び出した椎名は一糸纏わぬ姿で見た事のない諸刃の剣を持っている。一体どこから…?
キンッ!
椎名は剣で受け止めた鬼の爪を弾くとその両腕を一閃した。落ちた両腕には一瞥もくれず鬼が腕を再生させる。
《なにコイツ…》
椎名は眉を寄せると剣を握り直した。いけない、突っ込むつもりだ。
「椎名、駄目だ!」
グッと前屈みになった椎名が飛び出して行こうとするのに慌ててその腰にしがみ付く。
《ちょ…何すんの!?離して!》
「駄目だ椎名!鬼は日輪刀で首を落とさない限り消滅しない!!」
《良いから心配しないで!そこそこ強い自覚はあるのよ!?》
全く話が通じている気がしない。私と椎名がそんなやりとりをしている間に、炎柱と水柱の刀が翻り鬼は討伐されていた。
《凄い…アイツそこそこ硬かったのに》
腰に私をぶら下げたまま立ち尽くす椎名に、炎柱と水柱が足音も荒く歩み寄る。
バササッ!!
《!?》
二人は同時に来ていた羽織を投げつけた。呆気に取られる椎名に声を荒げる。
「うら若き女人があられもない姿を晒すでない!」
「とにかく着ていろ」
「お館様も離れてください」
「流石に見かねます」
「分かっているよ」
椎名はそそくさと湖の中に戻ると羽織が濡れないように畳んで置いた。二人が心配した事は伝わっているようで良かった。椎名が身支度を整えている間、水柱が呟いた。
「この娘、武器を持っていたのですね。村人に向かって使われなかったのは幸いです」
「そうだな。鬼を切ったあの太刀筋、村人では太刀打ちできまい」
「そんなつもりは初めから無かったんだろうね」
だから黙って捕まったのだろう。逃げる気になればいつでも逃げられただろうからね。
パンパンと手の叩く音がして振り返れば、椎名は先程とは違う服を身にまとっていた。本当にどこに持っているんだろうね。
《待たせたわね。あんな物騒なのがこの国にいるとは思ってなかったから、悪かったわ》
「すっきりしたなら良かった。さぁ、行こうか」
とにかく何か意思伝達の方法を考えなくてはね。
道中を少し逸れた森の中に広がる光景に私は目を細めた。日が傾いていなければ綺麗な場所だろう。
炎柱と水柱は周囲への警戒を強めていたが、椎名は素直に喜ぶと私を振り返った。
《入っていいの?》
「私達はむこうを向いているから、心置きなく入っておいで」
にっこり笑って頷くと椎名が早速、服に手をかける。慌てて背を向ければ衣擦れの音がして、バシャバシャと水を弾く音がし出した。
《あー、生き返るー》
《服も洗っちゃおう!》
声の様子が弾んでいて微笑ましい。
しかし場の空気がふと変化した。歪な空気が押し寄せてくる。木々の間から大きな影が躍り出てきた。
「お館様!」
炎柱が素早く日輪刀を抜くとその牙を止める。
鬼だ。
水柱が走り寄ってこようとした横の草地からもう一体。
「ちっ!」
単独行動をする鬼には珍しいが、柱二人の相手には足りない。が、私の真上の枝から三体目。
「!!」
迫り来る爪に私は両手で頭を庇った。
「「お館様っ!!」」
ガチン!と言う金属音が響いて恐る恐る開けた目に飛び込んできたのは銀の髪。
「椎名!?」
湖から飛び出した椎名は一糸纏わぬ姿で見た事のない諸刃の剣を持っている。一体どこから…?
キンッ!
椎名は剣で受け止めた鬼の爪を弾くとその両腕を一閃した。落ちた両腕には一瞥もくれず鬼が腕を再生させる。
《なにコイツ…》
椎名は眉を寄せると剣を握り直した。いけない、突っ込むつもりだ。
「椎名、駄目だ!」
グッと前屈みになった椎名が飛び出して行こうとするのに慌ててその腰にしがみ付く。
《ちょ…何すんの!?離して!》
「駄目だ椎名!鬼は日輪刀で首を落とさない限り消滅しない!!」
《良いから心配しないで!そこそこ強い自覚はあるのよ!?》
全く話が通じている気がしない。私と椎名がそんなやりとりをしている間に、炎柱と水柱の刀が翻り鬼は討伐されていた。
《凄い…アイツそこそこ硬かったのに》
腰に私をぶら下げたまま立ち尽くす椎名に、炎柱と水柱が足音も荒く歩み寄る。
バササッ!!
《!?》
二人は同時に来ていた羽織を投げつけた。呆気に取られる椎名に声を荒げる。
「うら若き女人があられもない姿を晒すでない!」
「とにかく着ていろ」
「お館様も離れてください」
「流石に見かねます」
「分かっているよ」
椎名はそそくさと湖の中に戻ると羽織が濡れないように畳んで置いた。二人が心配した事は伝わっているようで良かった。椎名が身支度を整えている間、水柱が呟いた。
「この娘、武器を持っていたのですね。村人に向かって使われなかったのは幸いです」
「そうだな。鬼を切ったあの太刀筋、村人では太刀打ちできまい」
「そんなつもりは初めから無かったんだろうね」
だから黙って捕まったのだろう。逃げる気になればいつでも逃げられただろうからね。
パンパンと手の叩く音がして振り返れば、椎名は先程とは違う服を身にまとっていた。本当にどこに持っているんだろうね。
《待たせたわね。あんな物騒なのがこの国にいるとは思ってなかったから、悪かったわ》
「すっきりしたなら良かった。さぁ、行こうか」
とにかく何か意思伝達の方法を考えなくてはね。