四章
夢小説設定
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カタン――
物音にしのぶは顔を上げた。
煉獄杏寿郎の訃報を受け取った翌日の夜。
患者は全て眠りについている――一部暴れたものは無理矢理に――時間だ。
「どなたですか?」
しのぶの問いかけに姿を見せたのは椎名だった。
「椎名さん!」
しのぶは驚いて立ち上がった。無限列車の現場まで駆けて行った椎名の打ちひしがれた様子は隠から報告を受けており、心配していたのだ。
椎名は泣き腫らした目にまだたくさんの涙を湛えたまま力無く笑った。
「心配かけたのね。ごめんねしのぶ」
「そんなことは良いんです。椎名さん、暖かいお茶を入れますからこちらにきて座りましょう?」
しのぶが引いた椅子を見て、しかし椎名は首を横に振るとしのぶの頭に手を置いた。
「大丈夫、心配しないで。しのぶの方こそもう休まないと…」
「椎名さん!」
強い口調で椎名の言葉を遮ったしのぶは両手をいっぱいに広げて見せた。
「…しのぶ?」
「私では力不足なのは重々承知しています。ですが、椎名さんが私にそうしてくれたように、私が椎名さんを抱きしめてあげたいんです」
「………」
「椎名さんはいつだって私達を子供のように受け入れて掬い上げてくれます。でも椎名さんだってそうされても良いでしょう?」
しのぶの言葉に椎名は片手で顔を覆うと俯き、しかし堪えきれずにしのぶの方を向くと涙をこぼした。
しのぶがゆっくりと椎名を抱きしめる。
「…こんなにっ、帰ってきて欲しいのにっ」
「……」
「手が冷たくて…目を開かなくて…名前を呼んでもくれないっ!」
わぁっと泣き崩れる椎名にしのぶはかける言葉がなかった。
鬼に大切な人を殺された苦しみならしのぶも同じ。しかしその苦しみが人によって違うこともしのぶは良く分かっていた。
「何を言っても気休めにしかならないことは私もわかっています。だから…だからいつでも泣いて良いですから。いつだってこうして抱きしめますから」
少しでも椎名の気持ちが楽になることを祈って、しのぶは椎名を抱きしめる腕に力を込めた。
物音にしのぶは顔を上げた。
煉獄杏寿郎の訃報を受け取った翌日の夜。
患者は全て眠りについている――一部暴れたものは無理矢理に――時間だ。
「どなたですか?」
しのぶの問いかけに姿を見せたのは椎名だった。
「椎名さん!」
しのぶは驚いて立ち上がった。無限列車の現場まで駆けて行った椎名の打ちひしがれた様子は隠から報告を受けており、心配していたのだ。
椎名は泣き腫らした目にまだたくさんの涙を湛えたまま力無く笑った。
「心配かけたのね。ごめんねしのぶ」
「そんなことは良いんです。椎名さん、暖かいお茶を入れますからこちらにきて座りましょう?」
しのぶが引いた椅子を見て、しかし椎名は首を横に振るとしのぶの頭に手を置いた。
「大丈夫、心配しないで。しのぶの方こそもう休まないと…」
「椎名さん!」
強い口調で椎名の言葉を遮ったしのぶは両手をいっぱいに広げて見せた。
「…しのぶ?」
「私では力不足なのは重々承知しています。ですが、椎名さんが私にそうしてくれたように、私が椎名さんを抱きしめてあげたいんです」
「………」
「椎名さんはいつだって私達を子供のように受け入れて掬い上げてくれます。でも椎名さんだってそうされても良いでしょう?」
しのぶの言葉に椎名は片手で顔を覆うと俯き、しかし堪えきれずにしのぶの方を向くと涙をこぼした。
しのぶがゆっくりと椎名を抱きしめる。
「…こんなにっ、帰ってきて欲しいのにっ」
「……」
「手が冷たくて…目を開かなくて…名前を呼んでもくれないっ!」
わぁっと泣き崩れる椎名にしのぶはかける言葉がなかった。
鬼に大切な人を殺された苦しみならしのぶも同じ。しかしその苦しみが人によって違うこともしのぶは良く分かっていた。
「何を言っても気休めにしかならないことは私もわかっています。だから…だからいつでも泣いて良いですから。いつだってこうして抱きしめますから」
少しでも椎名の気持ちが楽になることを祈って、しのぶは椎名を抱きしめる腕に力を込めた。